嘘つき探偵と幻想郷   作:kohet(旧名コヘヘ)

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言葉にできないもの

無縁塚にてオオスは小野塚小町容疑者から事情聴取を行っていた。

 

「大量の霊魂が中有の道に突然現れて大変なんだよ。特に私が」

 

「膨大な魂達が一斉に救いの神が現れたとか言うんで見に来たら神性を垂れ流している奴がいた」

 

「神の力を借りたわけではないのに神の気配しかない存在とか神と思うしかないだろう?」

 

以上が小野塚小町容疑者の言い分である。だが、オオスは反論した。

 

「神の力等なくても努力すれば何でも何とかなるものである」

 

「魂達もよりにもよって私を神と見間違えるとは余程辛かったのだろう」

 

「そもそも死神が仕事していればこんなことにはならないのでは?」

 

以上が一般里人たるオオスの意見だ。神でなくとも何とかなるから神ではない。

 

「故に私は神ではない。人間だ」

オオスは繰り返し強調して小町へ言った。

 

「いやいやいやいや…。無理やり過ぎるよ。無理だよその言い分は」

戦犯はオオスの言う事が通じないらしい。

 

「あとさー。やって貰っといて何だけど来年は60年目なのさ」

小町はそんなことをオオスへ言い出した。

 

「60年?…ああ、そういうのもあったな」

オオスは60年に一度、魂が外から押し寄せる年の存在は文献等で知っていた。

 

「だから、今やっても後でやっても作業量的にはそんなに変わらないんだよ」

小町はオオスに物分かりの悪い子どもへ諭すように話した。

 

だが、

「早いも遅いも関係ない。あれだけ苦痛に塗れた同胞を放っておけるか」

オオスは死神の、小町側の視点等知ったことではなかった。

 

オオスは無縁塚という牢獄で苦しんでいる人々を見てしまったのだ。

その時、その場で苦しんでいる者をかつてなら兎も角、今の自分ならば救う事が出来る。

それにも関わらずに見捨てられるのかと思ったら体が勝手に動いていた。

 

「あたいが四季様みたいなこと言うのも何だけど…アンタはもっと自分を大事にした方が良いよ」

小町はオオスへ呆れた顔をして言った。

 

そして、小町は自分の能力を発動させた。

小町は距離を操り、オオスと共に無縁塚から人里の門前へ移動した。

 

「これで人里の前だ。アンタの事は上司に報告させて貰うよ。…神嫌いの神様」

小町はそう言ってオオスに手を振った。

そして、また能力を発動させて消えていった。

 

「…私は絶対に神ではない。しかし、こうして恩が出来た以上は仕返しもできん」

オオスは行き場のない感情を抱えながら一旦は矛を収めざるを得なかった。

 

オオスは身体の限界で人里まで一人では帰れる気がしなかった。

…それ以外の意味でも。

 

 

 

次の日、オオスの家の前に輝夜がいた。

異変後から急にアクティブになり過ぎじゃないかこの元ひきこもりとオオスは思った。

 

「肝試しをしましょう!」

そう言って永琳と鈴仙を連れて来ていた。

 

「お断ります」

そう言ってオオスはドアを閉めようとした。

 

「この私が誘っているのよ!何故行くと言わないのかしら!?」

だが、輝夜はドアを閉める前に割り込んできた。オオスは射命丸文を思い出した。

鈴仙も青い顔しながら弱弱しくも輝夜を手伝っている。

 

オオスはこのままでは負けると思った。

 

「どうせ、妹紅さんの刺客として送り込む気でしょう?私死にます。本気で」

オオスは本心から言った。妹紅は普通に強い。

オオスでは妹紅へ不意打ちしても死なない以上勝てない。

 

「それは他の連中にさせるわよ」

輝夜はやはりその気だったようだ。

 

「姫様は適当な理由をつけて遊んで欲しいだけだから付き合ってくれないかしら?」

永琳がそんなことを言い出した。主である輝夜を後ろから刺した。

 

だが、

「…何故、私なんですか」

オオスは口から言葉が漏れていた。

 

「私はとても面倒臭い人間です。輝夜さんにとっても良くないと思います」

オオスは昨日のことを思い出してしまったのか普段なら言わない弱音を吐いた。

…いつものオオスならここぞとばかりに永琳の言葉尻をとって揶揄うはずなのに。

 

「…貴方らしくないわね。何かあったのかしら?」

輝夜はオオスの目を見て言った。その目はオオスのみを見ていた。

 

だから、

「取り乱しました。失礼を」

オオスは落ち着きを取り戻した。先ほどまでの取り乱した様子はもうなかった。

 

「隠さないで言いなさい」

輝夜はそう言ってオオスに詰め寄る。だが、もう解決していた。

 

だけどそれは今のオオスには言葉にできないものだった。

 

「ちょっと昔を思い出して後先考えずに行動して自己嫌悪していただけです。

 …輝夜さんのお陰で元に戻りました。ありがとうございます」

オオスはせめて誠実に正直に答えることで輝夜に礼を言った。

 

誰かがこうして声をかけてくれなければオオスは過去へ引きずり込まれていたかもしれなかった。

 

「そう…それなら良かったわ」

輝夜はとても嬉しそうに笑顔を見せた。

 

 

 

だが、妹紅へ嬉々として復讐を目論む輝夜を見てオオスはさっきまでの感情等瞬時に消え失せた。輝夜は輝夜であった。

 

 

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