嘘つき探偵と幻想郷   作:kohet(旧名コヘヘ)

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最多スルー記録更新おめでとうございます

幻想郷中の花が咲き乱れている現在、紅魔館も例外ではなかった。

紅色の薔薇の血の色を彷彿させる光景が広がっていた。

湖の白さと木の緑と相まって、より紅色が映える。

しかし、桃色のサクラソウ等も咲き紅色を中和し、美しい見事な生命の館となっていた。

 

それらはオオスが一年前に春の剣『春季光星』で咲かせた花であった。

さらによく見れば既に切り落とされた、剪定された薔薇も再び咲いていた。

 

今回の現象の凄さが紅魔館をみれば一瞬で察することができた。

 

 

 

紅魔館の謁見室に一応案内されたオオスはレミリアに挨拶していた。

今回、咲夜は玄関口で何か仕事をしているようだ。パチュリーもいない。

 

「こんにちは。良い光景ですね」

オオスはレミリアに挨拶をし、端的に紅魔館の光景について感想を述べた。

 

なお、謁見室なのにオオスは妖精メイドに椅子まで用意され、そこに座っていた。

オオスはどちらが客かわからない程に堂々としていた。

レミリアの住処の占領具合がそこには見えていた。

レミリアももはやそのことに関して何も言わない。

 

オオスは妖精メイドまで支配していたかとレミリアは達観するだけである。

なお、咲夜がいればオオスはこんなことをしない。…ちょっとした悪戯であった。

 

「ええ、そうね。でも、剪定された薔薇まで咲いているのは異変じゃないかしら?」

レミリアはオオスの感想を受け入れつつも、異変じゃないかと尋ねた。

 

今の自分に対しそういうことを言うのは嫌がらせかとオオスは思った。

 

「ああ、それで霊夢さんに私殺されそうになったんですってね」

オオスは他人事のように言った。もう終わったことだが、本気でヤバかった。

 

「え…マジで」

レミリアは本気で驚いていた。

 

…どうやら嫌がらせではなく素で言っていたらしい。

レミリアは偶に頭を使った発言をすると思いきや普通に人の傷口を抉るだけだったりする。

今回は後者のようだった。

 

「何か私がこの光景を作り出したと思ったらしくって…問答無用で退治は本当です」

オオスは一部訂正してレミリアに言いなおした。

 

「アンタが犯人じゃないの?」

レミリアは心の底からオオスが犯人だと思っていた。

 

レミリアまでオオスを犯人扱いしていた。

 

「いや、違いますよ。これは自然現象です。60年に一度の。

 …原理は知っていますがお教えしましょうか?」

オオスはレミリアに心外なことを言われたのでここぞとばかりに詰め寄った。

 

「…いや、いいわ。後でパチェに聞くわ」

レミリアも慣れたものでオオスのペースに載せられまいと返した。

 

だが、レミリアのカップが不自然に揺れているのをオオスは見抜いていた。

オオスは惜しいと思った。もう少し強めに行くべきだったか。

 

「まぁ、何も知らなければ私が怪しいですからね。

 博麗大結界絡みの事象なのに博麗の巫女が知らないとか思いもしませんでした」

オオスは素直に自分の非を認めつつも、霊夢が知らないのは想定外だったと述べた。

 

「あら、意外ね。ここぞとばかり罵るかと思っていたわ」

レミリアはオオスが霊夢を罵ると思っていた。

 

「いや、私を何だと思っているんですか。普通にそんなことしませんよ」

オオスはレミリアのオオス像についてケチをつけた。

 

「私にならそうするわよね」

レミリアはオオスへ普段の自分への言動を思い返すよう暗に言った。

 

「まぁ、しますが」

オオスは素直に認めた。

 

「おい」

レミリアは思わず素でツッコんだ。

 

「いや、一応信頼関係があってやりますからね。

 霊夢さんの場合、問答無用で退治し出しますからね」

オオスはレミリアのツッコミをスルーして霊夢の暴虐婦人っぷりを指摘した。

 

「あー…」

レミリアも霊夢の問答無用っぷりに思うところがあるようだ。

いつもならオオスにここぞとばかりにツッコんでくるのだが。

 

「まぁ、そんなわけなんですが、私ってそんなに怪しいですかね?」

オオスは妖精メイドが持って来た紅茶に砂糖をかき混ぜながら言った。

 

オオスは悪戯に協力してくれた感謝の意を込めて妖精メイドに土産を差し出した。

 

「そこ!何怪しいことしているの!?」

レミリアは目敏くツッコミを入れた。

妖精メイドに賄賂を渡すのを紅魔館の主人の、自分の目の前でするとは良い度胸である。

 

「いや、お土産渡しただけですよ。レミリアさん達のもありますよ。

 …興味ありませんか?血の池地獄名物の本物の血入ったお饅頭」

オオスはレミリアに反撃を許さない。

オオスが持って来た饅頭は妖怪が食べれば死ぬ程旨いが、人間が食べたら発狂するという地獄の名産品であった。

 

今回、悪戯が過ぎたかと反省したが、後悔はしない。オオスに対して逃げすぎである。

オオスとしては、レミリアに発破をかける意味で今の悪戯を考えて実行したまでである。

妖精メイドには今回の件で処分等言われれば全部オオスのせいにしてくれと言ってある。

妖精メイドも何だか面白そうだとオオスの言うことを簡単に了承してくれた。

やはり妖精メイドも根が妖精であるとオオスは思った。

 

こういうことをオオスが簡単に実行できるだけでレミリアにとっては恐ろしかった。

レミリアは一旦考えるのを辞めた。無駄な思考を辞めて未来の自分へ問題を丸投げした。

 

レミリアは土産に集中することにした。逃げではない。

 

「あら、田舎臭い饅頭だけど中々良いこと考えるじゃない」

レミリアはオオスの土産に興味を示した。

土産の包装に書かれた『本物の血100%使用』というフレーズが琴線に触れた。

 

なお、レミリアはオオスが地獄へ行ったことにはツッコまない。パチュリーに聞いていた。

 

「そうでしょう。私も見つけた時、この発想はなかったと思いました」

オオスはレミリアの反応を見て気を良くして返した。発想が実に地獄であると感心した。

 

「…人間としてどうなのかしら?その反応」

レミリアはオオスがここぞとばかりに土産を絶賛するのでツッコんだ。

 

「人間は人間、妖怪は妖怪。それはそれ、これはこれ。

 幻想郷の一般里人の処世術ですよ、基本。基本」

オオスはレミリアのツッコミをスルーした。

そんなことを気にしていては外で邪神や邪教徒等を相手にできない。

 

「…何かそういう気がしてくるのが理不尽だわ」

レミリアはオオスの言葉に納得しそうになった自分を許せない。

 

「ところで私、霊夢さんと仲良くやっていきたいんですけど」

オオスは話の流れをぶった切って本題を切り出した。

 

「そういう話を突然、あっちこっちに投げるの辞めてくれないかしら」

レミリアは呆れてオオスへ言った。

いつものことながらオオスの言動は酷い暴投でコミュニケーションをとる気が無い。

 

「人を選んでやっているので問題ありませんよ」

オオスはレミリアだからやっている。問題ないと返す。

 

「問題大ありよ!!」

レミリアはもう我慢が出来ず叫んだ。スルーし続けるのは無理だった。

 

「最多スルー記録更新おめでとうございます」

オオスはレミリアの叫びを無視した。

オオスは自分の暴投みたいな言動・行動に対するレミリアのスルー回数を数えていた。

謁見からレミリアが限界値を超えて叫ぶまでがオオスの計測範囲であった。

 

「…そういうの辞めてくれないかしら本当に」

レミリアは疲れた声でオオスへ懇願した。

 

「誇り高き吸血鬼が人間如きに屈するので?」

オオスは心の底から残念そうにレミリアに言った。

実際、辞めようと思えばオオスは即辞める。

 

だが、

「そんなわけないじゃない!!」

レミリアはよせば良いのにオオスの挑発に乗った。

 

なお、オオスはレミリアを挑発したつもりはない。…これはオオスの素である。

パチュリーが居れば呆れるばかりの光景がそこにはあった。

 

「流石、レミリアさんです。それでこそです」

オオスはレミリアの奮起に感動した。これからも鋭意努力する方針を決めた。

 

「…」

レミリアは思わず固まった。だが、前言を取り消すことは自身の、吸血鬼のプライドが許さない。

 

「それで霊夢がなんだったかしら?」

レミリアは考えるのを辞めた。…未来の自分はオオスを軽くあしらうだろうと期待した。

 

レミリアは未来の自分からの怨嗟の声を無視してオオスと会話を続けることにした。

 

 

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