嘘つき探偵と幻想郷   作:kohet(旧名コヘヘ)

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…あの月破壊できませんかね

オオスは鈴仙に薬草を持って永遠亭に帰らせた。

後日、結果を聞きに永遠亭を訪れると言伝を鈴仙に頼んだ。

 

そして、オオスは魔法の森を突き抜けて紅魔館の方へ向かっていた。

オオスは気分転換をしたかった。

紅魔館の図書館でパチュリーと話をしようと向かっていた。

魔法でも何でも良いから月以外の事を話したかった。

 

 

ここ二、三日オオスは月のことで振り回されていた。

この感情を何かにぶつけたいと思った。

 

そのため、オオスは次回の紙芝居で月に当て擦りすることに決めた。

…自分だけがわかるような形で、だ。

 

オオスが紙芝居の題材としてまず浮かんだのは猿の生き肝という話だった。

 

竜宮城の乙姫が病にかかり、猿の生き肝を欲して竜王の命を受けた亀が使いに出る。

亀は竜宮へ招待したいと猿を連れ出すが、門番のくらげがうっかり漏らしてしまう。

それを聞いた猿は機転をはたらかせて、肝は木に掛けてあると言って陸に連れ帰らせた。

失言したくらげは、魚達から骨抜きにされて現在のような姿となるという内容だ。

 

猿の生き肝を求める竜宮城(月)の野蛮さを盛りに持って、猿からピンチでも諦めない心を子供達へ学ばせるのだ。…と、オオスは張り切っていたが、幻想郷には海がなかった。

 

そもそも海やくらげが何なのか伝わりにくい。

昨年の春、十五少年漂流記を元ネタにした紙芝居で海という物が伝わりにくかったのだ。

その時のオオスは勢いで誤魔化し、書籍化する際には鈴奈庵で海の怪異を調べて加筆修正した。

 

猿の生き肝には亀が口を滑らせて仕置として甲羅にヒビが入るまで叩かれるという展開になるのもあった。

オオスは竜宮城(月)を野蛮なサディストとして扱おうとしたが、今一つピンと来なかった。

 

オオスは珍しく紙芝居の内容について迷走していた。

月は一応、神々が住む世界である。神が嫌いなオオスは本当は月のこと等考えたくもない。

 

自分自身を落ち着かせるためにもオオスは気分転換をしたかった。

 

 

 

一方、紅魔館の図書館ではオオスと同じように月のことで迷走している人物がいた。

オオスが気分転換の友として会いに行く予定のパチュリーである。

 

…八雲藍は紅魔館組にも月への侵攻計画に誘いをかけていた。

 

レミリアはロケットで月へ行くと決めていた。それにはパチュリーも同意した。

しかし、レミリアは八雲紫を出し抜いて先に月へ侵攻する等と言い出した。

月への侵攻は今年の冬になると八雲藍は言っていた。

 

今年の冬までという短期間では、パチュリーがどう頑張っても時間が足りない。

時間が足りないのであれば他で補う他ないだろう。

しかし、ロケットに関する資料は不足していた。

 

なお、咲夜が現在進行形で資料を探している。そのため、咲夜は夜まで不在だった。

 

咲夜も忙しいが、無から有を作り出す程難しいことはない。ましてや月へのロケットである。

パチュリーの負担とストレスはかなり大きなものとなっていた。

 

前にも月ロケットは考えていた。

夜の明けない永夜異変の時だ。

レミリアの我儘に付き合いパチュリーが考えたのは飽くまで素案だった。

 

パチュリーは理論ができていても、実用は無理だった。

その時は後日への課題として残していた。

 

レミリアやパチュリーの、夜の種族では月への推進力が致命的に不足していた。

それを補うものがないとロケットは作れない。

 

そして、ロケットに関してオオスには頼らないと前もってレミリアと決めていた。

月の馬鹿野郎と柄でもないことを内心愚痴る程度に、パチュリーは迷走していた。

 

 

 

紅魔館の図書館にて、オオスとパチュリーはポットとカップが温まるまで会話をしていた。

咲夜が不在なこともあり、小悪魔が紅茶の用意をしてくれていた。

だが、紅茶ができる待ち時間のうちにお互い月のことで悩んでいることがわかった。

 

「…あの月破壊できませんかね」

オオスは本気で月を壊滅させようかと思って言った。

 

オオスは気分転換に来たつもりが地雷を踏んでしまった。

パチュリーも同時にオオスの地雷を踏んだのでお相子である。

 

「…ちょっと同意してしまったわ」

パチュリーはオオスに思わず同意しかけた。…夜の種族として恥ずべきことに。

 

小悪魔が紅茶が淹れたタイミングで丁度良くレミリアが現れた。

 

「随分、物騒な会話をしているわね」

レミリアが苦笑いをして二人へ言った。

 

レミリアはオオスが図書館に来ていると妖精メイドから聞いた。

そして、パチュリーが休憩に入ったと悟った。

 

オオスは毎回謁見室でレミリアと会話しているわけではない。

そもそもレミリアが留守の時もある。そういう時は大体博麗神社によく行っていた。

オオスは図書館へ直接行ってパチュリーの喘息等の具合を見て帰るだけというのも多かった。

パチュリーはその時は手を止めてオオスと会話を楽しんでいた。

 

レミリアもそれを知っていた。レミリアはパチュリーが根詰めないように見に来ていた。

レミリアは友達パチュリーの心配をしていた。

…そもそもレミリアが無茶ぶりしたせいなのだが。

 

「気分を変える何か面白いことを思いつきなさい」

レミリアはオオスに無茶ぶりをした。

 

パチュリーはこのレミリアの無茶ぶりは流石に酷いと窘めようとした。

 

だが、

「…今の時期、河童の春のバザーがありましたよね?」

オオスはレミリアの無茶ぶりに一瞬で解答を思いついた。

 

オオスも気分転換にもなるアイディアである。…河童を驚かせてやろう。

 

「バザーに行きたいけど、河原じゃねぇ…」

レミリアはオオスのアイディアに難色を示した。

レミリアは吸血鬼なので流水が弱点であった。

 

「私が何とかするのでパチュリーも行きませんか?」

オオスはレミリアとパチュリーへ言った。

 

「何とかって何よ!」

レミリアはオオスに憤慨した。

 

何とかじゃ答えになっていない上に何もわからない。

レミリアが無茶ぶりしておいて実に我儘であった。

 

「レミィ。何とかするって言ってるのだから大丈夫なのよ」

パチュリーはレミリアの我儘をスルーした。

 

パチュリーはオオスの誘いに乗ることにした。…久しぶりに外の空気でも吸うことにした。

正直、河童のバザーに期待はできないが、オオスが何をするのか見て見たくなった。

 

パチュリーにはオオスが何をするつもりなのか大体想像できたが。

 

「まぁ、見てのお楽しみというやつです」

オオスはレミリアの問を有耶無耶に返した。

 

それよりも河童のバザーで何か面白い物が見つかると良いなとオオスは思った。

碌でもない物しか売ってないだろうなと思いつつも。

 

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