あのUSJ襲撃事件から一日がたった。
雄英といえども、さすがに授業を進めることは出来ず、今日は休校、という措置になった。
「あ~、暇だな~……。やっぱ学校行きてぇ……。」
ぶっちゃけ暇である。
エルドラは修復のために八百万財閥に送られ、けがが治ってすぐということでトレーニングも出来やしない。
中学時代は『無個性』の負い目があって学校はそこまで好きではなかったが、今では大好きである。
なにせ、友達がたくさんできたのだから当然である。
「しょうがないから、ニュースでも見るかぁ……。」
ぴっ、と音を立ててリモコンが信号を送りテレビの電源をつける。
『昨日、多数のプロヒーローを輩出する雄英高校を、ヴィランが襲撃するという事件が起きました。』
お?昨日の事件がニュースになってら。
『こちらは、雄英高校から提供された、保護された後の生徒の様子です。』
ぼかしがかかっているものの、八百万さんや耳郎さん、麗日さんに飯田。
爆豪なんかも映っているのがわかる。
『生徒21名のうち、二名が重傷を負いましたが、同校のリカバリーガールによって治療が行われたようです。』
『いや~しかしね、生徒が襲われたってのは大問題ですよ。』
『そうですね。しかし、重傷を負った生徒は立派に戦ったそうじゃありませんか。
むしろ、若い世代の希望が感じられたのはよかったんじゃないんですかね。』
なんか、好き勝手言われているなぁ~……。
まぁ、重傷を負った俺と緑谷が褒められてるってのはなんだかむず痒い。
あ、そうだ、緑谷。
「よっし、緑谷のお見舞いに行くか!」
完全見切り発車なお見舞いになるが、まぁいいだろうという結論に至る。
何を隠そうこの男、あの勇者爺共の孫である。
行き当たりばったりになるのは仕方がないのである。
さて、今日の目的は決まった。
ならば行動あるのみ、ということで上のシャツを着替え始める。
そんな時に、ピンポーン、という呼び鈴が鳴る。
「は~い、新聞、宗教関係の勧誘はお断りですよ~って、アレ?」
目の前には昨日協力して戦った八百万さんに耳郎さん、麗日さんに飯田。
皆そろい踏みである。
めっちゃうれしいじゃん!
「おぉ!みんなどうしt」
「服を着ろぉ!」
どっくん!と体の中に『心音』が響き渡って玄関でぶっ倒れた。
い、痛い……!
―――
「いや~、すまん!まさか見舞いに来てくれるとはな!
着替えて緑谷のところにお見舞いに行こうとしてたんだが、タイミングが悪かったな!」
「服を着ずに外に出るなんて、不健全ですわ!」
「そうだぞ、鐵くん!まったく!君には雄英生としての自覚が足りないぞ!」
「わるいわるい!耳郎さんも機嫌直してくれよぉ!」
みんなを部屋にあげてからずっとツーンって感じな耳郎さん。
いやぁ、申し訳ないことしたなぁ……。
「ふん!デカいパフェでもおごってくれたら考えてやるよ!」
「おぉ、いいぜ!高いジャンプ急にしたりとかで怖い思いいっぱいさせちゃったしな!
今度みんなに飯おごるよ!」
ずっと気がかりだったし、おごるぐらいなら問題ないだろ!
「おもち、焼き肉、すき焼き、カレー、ご飯大盛り……!」
「麗日くん?!」
おぉ、麗日さんは食いしん坊だったのか……。
「んじゃあ、俺も着替え終わったし、土産物なんか適当に買って緑谷の家に行くか!」
「お土産はそのようなものがよいのでしょうか……?
やはり紅茶の茶葉がよいのかしら……?
緑谷さんのお宅はハロッズで満足していただけるのかしら?」
「うむ、俺も何を送るべきかわからんな……。
季節に合ったものがいいだろうか?」
「いやいやいや、百ちゃん、飯田くん!もっと軽いものでいいんやで?
こう、お菓子とか!ジュースとか!!」
「百も飯田も硬すぎ、ふふっ!」
真面目な人たちが常識人とは限らない。
人はこういうところがあるから、嫌いになれないんだよなぁ!
「ここは緑谷の好きそうなやつにしよう!」
「「「「それは???」」」」
「オールマイトチップスとヒーローカードウエハースチョコさ!」
―――
スーパーで緑谷が好きそうなものと、みんなで食べられそうなお菓子(麗日&耳郎セレクション)、ジュース類を購入した俺たちは、緑谷の家の方に向かっていた。
ジュースは三分の一がオレンジジュースだ。飯田はオレンジジュースじゃないとだめらしい。
『エンジン』の燃料の関係だそうだ。
そういや、どうやって緑谷の住所知ったんだ?
「緊急連絡網に載ってたよ!私が一番に見つけて提案したの!」
「なるほど~。だから麗日さんが先導してるわけね。」
「頼むぞ~お茶子~。ウチら土地勘ないんだから。」
「まあ、最悪の場合はおまわりさんに聞けば何とかなるだろう!」
「こうやって街並みをゆっくり歩くのも楽しいですわね!」
うん、真面目組が可愛らしい。そうこうしているうちに、それらしいアパートの前についた。
「誰がインターホンおすの?」
誰が聞いたか、俺たちは一つの問題に直面した。
「誰がインターン押す?問題」である。
この問題大変重要である。
親御さんが出てきたときに好印象を勝ち取る重要な役目とともに、友達のご家族に一番に会えるというメリットもある。
そしてなにより緑谷家が気になっているため一番乗りしたいというわけである。
「私、押したい!押すね!」
「待ちたまえ麗日くん!俺も緑谷くんにお世話になっている!ぜひ、ご家族にご挨拶したい!」
「ウチ、さっさとお見舞いしたいんだけど。もう押しちゃダメ?」
「私、インターホンを押すのって初めてですの!
先ほどは響香さんに押していただいたので!次は私が!」
「よし!わかった!堂々巡りだ!ここで俺に名案がある!」
みんなの目線が俺に向く。
「いいか?みんなで指を重ねて、呼び鈴を押す。
そして緑谷のご家族が出てきたら一人一人、クラスメイトであることと、名前を言って自己紹介だ!
どうだ!いい案だろう!!」
これでみんながハッピーだ!ワハハ!
「「「「賛成!」」」」
―――
「よし、せーの!」
ピーンポーン。呼び鈴が鳴って少し経つ。
すると、少しふくよかな、緑色の髪の毛をした女性が出てくる。
「はーい、どちら様ですか…?」
「自分は、緑谷出久くんのクラスメイトの鐵 勇雅といいます!」
「私は麗日 お茶子です!クラスメイトです!」
「飯田 天哉と申します!学級委員長をさせていただいております!」
「八百万 百と申します。同じく学級委員副委員長をさせていただいております。」
「ウチは 耳郎 響香っす…。あの、緑谷のお見舞いに来たんですけど……。」
みんなで自己紹介をする。簡潔だったから怪しいものじゃないってのは分かってもらえたと思うんだけど…?
「い、いずずず、出久~~~~!!!お、お友達が~~~~!!!」
おぉ、お母さんが涙目で緑谷を呼び出してくれる。
なんとなく、いいおかあさんって感じな人だ。
「えっ?!お母さん?!!ってみんなぁぁあぁ?!?!?」
わお、すっごい元気そうじゃん、緑谷。
「あ、上がっていってよ!!
僕、かっちゃん以外の人家にあげるの初めてだ……!」
なんか、すっごい感動してる!
「じゃあ、何度でも来なくっちゃな!
あ、お母さん、こういってくれてますけど、お忙しいなら別に…。」
「いえいえ、上がっていってください。
出久の友達が来てくれるなんて、私とっても嬉しいもの!
自己紹介ありがとう。私は母の緑谷 引子といいます。
出久のこと、よろしくね。」
「もちろんです!この飯田天哉!
緑谷くんは尊敬できるところがたくさんあって、学友としてたいへん誇らしく!」
「飯田、それ以上長くなったら、迷惑だから。
じゃあ、お邪魔します。」
耳郎さんの制止が入る。
まあこのテンションの飯田はなかなか止まらないもんな。
「「「「お邪魔します!」」」」
「「どうぞ、ごゆっくり!!」」
―――
家にあげてもらったあと、引子さんにお土産諸々を渡して、緑谷の部屋に俺たち六人は大集合していた。
「おー、オールマイトだらけだ。大好きなんだな!」
「な、なんか恥ずかしいや……!」
「お宝部屋やん!すごいよデクくん!」
「緑谷、もしかしてプレミア付きのものとか持ってるんじゃないの?
ほれ、言ってみな…!」
「な、耳郎くん!無理に問い詰めたりしてはだめだぞ!」
「なんでしょう…!小さなオールマイトミュージアムというのでしょうか…!
なんだかワクワクして胸が躍りますわ!」
みんな緑谷のプチオールマイトミュージアムに大興奮である。
八百万さんはいつものごとくプリプリしてる。
可愛い。
「へへ、かっちゃん以外に見せたの初めてだな…!
小さいころからずっとオールマイトグッズ集めてきてたから、たぶん、目利きも出来るよ!」
「すっげえ。プロじゃん!」
それから、緑谷のオールマイト談義が始まった。
ところどころに、ヒーローとしての自身の売り出し方や、グッズなどの商品展開の話が入るのでとても勉強になる。
ヒーローファンとしての知識が、ヒーローとしてのハウツーにつながるまでに高められているところは、緑谷の凄いところだ。
「出久~。皆さんに飲み物とお菓子!出久の好きなものも買ってきてくれてたわよ!
飯田くんはオレンジジュースじゃないといけないのよね?」
「はい!お気遣い、ありがとうございます!」
「いえいえ、全然平気よ。
ごゆっくり~。」
引子さんがお菓子やら飲み物やらを人数分持ってきてくれた。
ありがたいなぁ。
「これは!最新弾のヒーローカードウエハースチョコ?!」
「一人二つだぜ!」
「うむ!自分の望むヒーローが引けるかは運次第というわけだ!」
「私、こういうおまけ付きのお菓子も初めてですの!楽しみですわ!」
みんなのテンションがあがる。
そりゃあな、みんなヒーローが好きでヒーローを目指しているわけだし。
自分の好きなヒーローのカードが手に入ったら嬉しいわけで。
「緑谷、目玉カード、みたいなのあるの?
ウチはそんなにヒーローに詳しいわけじゃないし、教えてほしいな。」
「おぉ、せっかくだし、レアカード引きたいよな!」
「えっとね、まずレアリティ―が設定されていて、カードの光り方でわかるんだけど!
ほかにもただの写真じゃなくて、戦闘シーンを撮ったコンバットバージョンってのもあって!!
けど、今回の目玉は特にすごいんだ!
もう全国のオールマイトファンが血眼で探してるものなんだよ!」
「えぇ?!オールマイトのファンってめっちゃ多いのに…!
いったいどんなカードなん?」
「フルホログラムのゴールデンエイジオールマイトのコンバットバージョンカードだよ!
なんと封入率一千万分の一!!」
「まあ!日本でも十人ほどしか手に入れられない、といったものなのですね!」
「なるほど!では、それを当てられるように祈りながら開封しよう!
もちろん、カードを見るのはウエハースを食べきってからだぞ!
では緑谷くん!音頭をとるんだ!」
「じゃ、じゃあ…いざ、開封!!」
緑谷の合図に合わせて開封する。
飯田の言う通りに、カードはまだ見ずに、だ。
さて、レアカードは当たるかな……?
―――
ウエハースを食べるのは実はちょっと時間がかかる。
口もパサつくし、一人二つだ。
流石に甘いものを一気には少々きつい。
それに、あんまり急いで食べると飯田に怒られそうだ。
「いや、しっかし昨日は大変だった……。
途中でダウンしちまったから、知らなかったけど、飯田が救援を読んでくれたんだろ?
ありがとうな。みんなの命の恩人だよ。」
「それを言うなら俺だって、麗日くんたちのサポートがなかったら脱出できていなかった。
君たちが戦ってくれていなかったら、救援が呼べたとしても間に合わなかっただろう。」
「みんながみんなを助けた結果じゃん。
ウチらヒーローの卵なんだしさ。
助け合ってなんぼでしょ。」
耳郎さんのこういうさっぱりしたところは本当にいいところだよなぁ…。
「そういえば、エルドラV、直るん?
けっこう派手に壊れたらしいやん?」
麗日さんから質問が飛ぶ。
おぉ、それは俺も心配だったんだよ。
「あ、それな。なんか大丈夫ってブッチ博士が教えてくれたよ。
ブッチ博士ってのは八百万財閥のエンジニアさんで、俺のエルドラの開発に協力してくれた凄い人だよ。」
「八百万財閥は雄英を目指していた勇雅さんに、先行投資という形でご協力させていただいているのですわ!」
八百万さんがさっきからずーっとプリプリしながらウエハースを食べてたんだけど、補足を入れてくれた。
ウエハース、お口にあったのかな?
「けどどうしてあんなにボロボロに壊れてしまったんだろう?
脳無との戦闘ダメージは残ってたけど、あんな僕の腕みたいに『内側から爆発』したみたいな壊れ方…。なんか変じゃなかった?」
「おお、それなんだがな。
エルドラの戦闘ログ、一部は破損してたけどさ、エネルギー回りのデータは残ってたんだよ。」
「ほう。そのデータを見たら、壊れた原因がわかるわけだな!して、どうだったんだい?」
「あー……。
心霊現象みたいかもしれないんだけどさ、八百万さんと耳郎さんがバッテリー届けてくれたんだけどな。
それに溜め込まれてたエネルギーよりもっと大きなエネルギーが腕に流れてたっぽいんだよね。」
「えぇ?!こわ!どうしてそんなことになったんやろ……。」
六人でうーんうーんと悩み始める。
すると、緑谷が
「何かいつもと違うことがあったんじゃないのかな?
なんでもいいから心当たりないかな?」
そうだなぁ……。あ、そうだ!
「感覚だ。感覚が違った。」
「感覚?科学的なものじゃなくて?」
「おう。こう、自分がエルドラになったような感覚だ。
いつもはなんかこう……。色々考えながら動かしてんだよ。
けど最後の一発の時は、自然と動けた。
あれはどうしてなんだろう……?」
「ゾーンってやつじゃない?
音楽家でも入れる人がいるらしいんだけど、集中力の極地、らしいよ。
極限状態でめっちゃ集中力があがったとかじゃない?」
「そんなもんかなぁ……?
あ、でもなんか体の中をビリビリッとこう、衝動?電撃?
みたいなのが流れるような感覚もあったんだよな。」
「まるで上鳴さんですわね……。」
「ぶっは!!!」「ダハハ!!!」
思わず俺と耳郎さんが笑ってしまう。
あれは反則だ。
「あ、あのアホ面、思い出すだけで笑っちゃう……!」
「二人とも、クラスメイトをそんな理由で笑うなんてダメだぞ!」
「飯田、お前も、見たらわかる…!ック、ダメだ、ハハハ!!
こらえきれん!!」
もうすっかり俺たち二人が笑ってしまって、他の奴等もつられて笑ってしまう。
ようやく笑いが収まったってところで、みんながウエハースを食べ終えてることに気が付く。
「おお、緑谷くん!ついに来たぞ!どうする?!いくか?!」
珍しく飯田が興奮している。
「みんな、行くよ!まず一枚目!!」
緑谷の音頭に合わせて一斉にカードを見る。
俺のねらい目は開発も出来る凄いヒーロー、パワーローダーだ。
「あ、ウチ、インゲニウムじゃん。」
「私パワーローダー先生だった!」
「僕、ベストジーニストだ!やった!」
「あら、私はプレゼントマイク先生ですわ。」
「むっ!13号先生ではないか!」
さてさて、俺のは……?
ん?なんだこれ。
オールマイトっぽいけど、光り方がなんか妙な感じだな……。
「緑谷~。これオールマイトっぽいけどどうなんだ?コレ……。」
「く、鐵くん……!君って人は……!
いい?そのカードに傷をつけないように、そっとこのオールマイトスリーブに入れてくれる?
慎重にだよ!とってもデリケートなんだから!」
「お、おう……!」
め、目がマジだ……!
言われた通りにしよ……。
「みなさん、拍手…!
鐵くんが一千万分の一を引き当てましたッ!!!!」
えっ………?!
「うぇえェぇぇえぇ?!」
「凄いじゃないか!」
「豪運や……!今度商店街のくじ引き手伝って!!」
「ウチもコンサートのチケット取りたい!」
「すさまじい運ですわね……!」
なんか、みんな興奮している。俺も妙な声を上げてしまった。
あ、緑谷の目がなんだかちょっと……。
「緑谷~。俺さ、これ、お前が持ってた方がいいと思うんだ。」
「えぇッ?!いいの?!」
「うん、俺のねらい目パワーローダーだし。
ほら、お菓子の袋にも仲良くトレードしようって書いてるだろ?」
「えっと、それじゃあ、僕のベストジーニストと交換…で!
ちゃんとジーニストのスリーブに入れて渡すよ!
一応、有名どころのスリーブは全部買ってあるんだ!」
「おう、ありがとな。」
「なるほど、トレード……!
耳郎くん!僕は正直に言うとインゲニウムが、兄さんのカードが欲しい!」
「いいよ。ウチはマイク先生欲しいかな。
百、交換しない?」
「えぇ、もちろんですわ。実は私、ベストジーニストさんを尊敬していて……。
鐵さん、交換していただけますか?」
「飯田くん飯田くん!13号!13号私好きなの!交換しよ!ね!」
ん?これ、もしかして……。
「これ、俺が麗日さんからパワーローダー交換出来たらみんなほしいカード一枚はゲットできるな!」
「本当だな!」
「じゃあ、みんなのカードもスリーブに入れて交換しようよ!」
「いいじゃん、友情の証って感じじゃん。」
「こういうの、好きだ!私!」
「素敵な思い出になりますわ!」
緑谷がなんかの箱からスリーブをがさっと取り出す。
本当に有名どころはほとんど抑えててマジですごかった。
「んじゃ、二枚目行きますか!」
「よーし、当てるぞー!」
麗日が意気込んでいる。こういうくじ系で得したいタイプなんだろうな。
「まずは俺だ!これは……、ミッドナイト先生だ!
いつも授業でお世話になっている時とは違う感じだ!
緑谷くん、これがコンバットバージョンかい?」
「それも、旧コスチューム版だよ!コアなファンなら絶対に持っておきたい一品だろうね!
僕はっと……。リューキュウだ!女性トップヒーローだよ!」
「俺も行くぞ~っ!
誰かな……?おぉ、これミルコだな?
これもコンバットバージョンか。
皆運がいいな!」
「じゃ、ウチね。じゃじゃん。
ってこれイレイザーヘッド……。相澤先生じゃん。」
「イレイザーヘッド当てたの?!バージョンは?!」
「ゴーグル着けてるし…、たぶんコンバット?」
「凄いや!イレイザーヘッドもアングラ系だからなかなかグッズがなくってね!
特にコンバットバージョンは偶々記者とかが戦闘してるところを切り抜いたものが多いんだ。
だから、臨場感たっぷりでヒーローファンからの評価が高いんだ!」
ほぉ~。アングラ系になるとレアものになるのか……。
なんか、わざと相澤先生の前に見せつけたくなるな。
「それでは、私、参ります!
これは…。シールドヒーロー クラストですわね!
この方もトップヒーローですわ!」
「それじゃあ、ラスト!
どどどどどど、どんっ!
エンデヴァ―!ナンバー2だ!」
「おぉぉお!!エンデヴァ―コンバットバージョン、シークレットレア!
エンデヴァ―もファンサが少ないからこういうカードの需要高いんだよ!!!」
「緑谷、大興奮だな!
それで、トレードなんだが、どうする?」
この瞬間、八百万を除く女性陣二人はこう思った!
(あ、この人たちが引いた女性ヒーロー、峰田に懇願されるタイプだな)
と!
飯田 天哉ならまだいい!しかぁし!
残りの二人がそういうカードを持っているのはなんとなーく不味い!
そう思った二人は顔を見合わせるっ!この間なんとわずか0.1秒の出来事!
「あっ!せっかくやからさ!
男性ヒーロー三人、女性ヒーロー三人やし、それで分けたらいいんじゃないかな!!」
「うんうん!ウチもそう思うよ!ね、百!」
「ええ、そうですわね!お二人とも!」
おー、名案だな、と考える鐵!
誰のものが欲しいか得意の高速回転考察を行う緑谷!
どのヒーローも素晴らしいヒーローだ、と尊敬できるヒーローならだれでもよさそうな飯田!
三人の答えはもちろん!
「いいぜ!」「いいね!」「うむ、素晴らしい案だ!」
「んじゃあ、緑谷は誰が欲しい?」
「レア度的に、エンデヴァ―かイレイザーヘッドなんだけど…!
1,2でそろえるか、1-Aでそろえるか…!
むむむ……。ここは、エンデヴァ―で!」
「緑谷くんはエンデヴァ―か!鐵くんは希望はあるかい?」
「うーん……。イレイザーヘッドのカード持ってたら思わず先生相手に見せびらかしちまいそうだしなぁ…。
クラストも人を守る情に厚い素晴らしいヒーローだし、クラストがいいかな。」
「では、俺が相澤先生をもらっていこう!」
いやー、クラストかっこいいんだよな。『盾』ってのがヒーローらしくていい。
人を守ることが出来る『個性』ってのはいい。
今度のエルドラ改造計画に盾を入れてみるのもいいな…!
女性陣は決まったのかな?
「私はリューキュウさんを希望しますわ!
物腰が柔らかくて、同じ女性ヒーローとして尊敬しておりましたの!」
「ウチはミッドナイトかな……。まぁ、ある意味憧れてるっちゃ憧れてるから……。」
なんか悲壮感漂ってるな?なんでだ?
「じゃあ、私はミルコ!なんかデクくんっぽいよね!ウサギやし!」
「みんな、決まったみたいだね!
うわ~……。なんか昔かっちゃんと同じオールマイトカード当てた時以上の感動だなぁ……。」
緑谷がしみじみ、って感じで喜びをかみしめてる。
「これから俺たちは三年間一緒にやっていくんだぜ?
もっとたくさんいい思い出が作れるさ!」
「もちろんだとも!」
「その通りやで、デクくん!」
「ウチも、思い出つくんの協力するよ。」
「これからもよろしくお願いしますわ!緑谷さん!!」
「みんな……!うん!!」
今日、俺達には三つの宝物が出来た。
二枚のカードと、みんなの誓い。
きっと、俺らがヒーローになったとしても、心の支えになってくれるだろう。
とても頼もしい心の支えが出来たことに喜びながら、そのあともみんなで話をつづけた。
最後らへんは緑谷のヒーロー物まねメドレーのオールマイトとか、エンデヴァ―とかが面白すぎて死ぬかと思った。
なんか骨格からかわってたぞあれ。
次にテレビに出た時絶対やってほしい。
―――
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。
「今日はお邪魔させていただいて、本当にありがとうございました!
これからも、緑谷くんとは仲良くさせていただきたいと思っております!
今日は本当にありがとうございました!」
「いえいえ、出久のあんな楽しそうな顔、ヒーロー特番とか以外で初めて見たわ…。
こんなに家がにぎやかになったのも!とっても楽しかったわ!
またいらっしゃい!」
「「「「「お邪魔しました!また、お世話になります!」」」」」
「じゃあな、緑谷。また学校でな!」
ばしばしと背中をたたきながらハグをする。
「緑谷くん、明日も学校で会おう!」
飯田がガシガシと握手してる。
結構勢いが強くて緑谷の腕が上下にブンブン振られてるのが面白い。
「デクくん!またね!」
麗日さんが両手でハイタッチをする。
なんか緑谷の顔が真っ赤だ。
「それじゃあね、緑谷。また明日。」
コツン、と拳と拳を打ち付ける。
すげぇ……!これがバンドガール!
耳郎さんスゲェ!
「緑谷さん、明日またお会いしましょう!」
ぺこりとお辞儀をする八百万さん。
最後まで丁寧だ。
俺たちは各々で学校に思いをはせながら帰路につく。
明日からの活力が胸の中から湧き出てきて、どうしようもなく落ち着けなくて。
俺はその晩ずっとドキドキしてた。
いい場所に飾り付けたカードを眺めながら……。
「いいお友達ね、出久。」
「うん!!」
日常回でした!!
ヒーローのカード、たぶんMtgでいうところのブラックロータスとか
遊戯王でいうところのブルーアイズとかブラマジガールとか
そういうレベルのプレミア付くことあると思うんですよね