エルドラ―ドなヒーローアカデミア!!   作:捻くれたハグルマ

14 / 20
難産!
戦闘というか、ただの障害物競走をおもしろく書くのは無理!



第十四話! 波乱! 障害物競走!

 

 「さあさあ!

 位置につきまくりなさい!」

 

 ミッドナイトの言葉に合わせて俺に最適なポジションを探す。

 

 ボディーガンダ―とピンクアミーゴには高空から偵察をやってもらいたいんだよな。

 鳥型なだけあって、旋回性能と滑空性能はかなりある。

 ってことは、中盤辺りに位置取りして、ある程度情報を得たら、グランヘッダーを空中スケボー代わりにして飛びだすのがよさそうだ。

 

 というわけでやってきました、真ん中からちょっと脇にそれたあたり!

 ここなら安心して偵察に集中できる。

 

 集中集中……!

 スタートのタイミングを示すシグナルランプが一つ、また一つ、と消えていく。

 

 殺気……?

 どこから??

 あの、特徴的な髪!

 不味い、緊急合体!!!

 

 「スタート!!」

 

 開幕からやられたぁ…!

 やってくれるぜ、轟……!

 

 『実況始めていくぜェ!

 解説の準備はいいか、ミイラマン!』

 

 『無理やり呼んだんだろうが…。』

 

 『早速だが序盤の見どころは?』

 

 『今、だよ。』

 

 『ゲートを氷結で固めてるゥ!

 ってあれ、ゲートよりちょっと離れたところにも氷の塊があるぜ?』

 

 プレゼントマイク先生、それ、俺だよ…。

 やられた、警戒をおこたった。

 なるほど、分離させてるときの弱点はこれかッ!

 本体も守らなきゃいけないのを忘れてた!

 

 『鐵をピンポイントで氷結で抑えて、すぐさま入口にふるいをかけた。

 合理的だな。

 鐵は脅威ではあるが、動かなくさせちまえば関係ねぇ。』

 

 

 くっそ、関節もびっちり氷が覆ってやがる!

 仕方ない。

 エネルギーをがっつり食うからやりたくないけど、ジェネレーター回して熱を上げるしかない。

 

 あとで覚えとけよ、轟……!!

 

 

―――Side 緑谷

 

 鐵くん、抑えられたのか!

 驚いている場合じゃない。

 けどやっぱり驚いてしまう。

 

 明るくて、強くて、僕のことを認めてくれる友達。

 こんなところで燻ったままの人じゃない。

 僕は僕で全力でやらなくちゃ!

 

 氷の上をなんとか急いで歩いていると、先を行く峰田くんが、見覚えのあるシルエットに吹き飛ばされる。

 

 『さーて、まずは第一関門ッ!

 ロボ・インフェルノォ!

 この大軍を突破できるかぁ?!』

 

 やっぱり、入試の時の仮想ヴィラン!

 それも0ポイントも何体かいる。

 目の前はピンチ。

 

 だからこそ、オールマイトみたいに、僕の友達みたいに!

 ニコッと笑って乗り越える!

 

 「まずは、武器……。

 『個性』に頼れないなら、別のものをつかう!

 本当に君はいい影響を与えてくれるよ……!」

 

 僕は手近にあった破壊されたロボの装甲を拾う。

 そうしていると、1ポイントヴィランに狙われる。

 

 こいつらのAIは単純な追尾だけで、急制動は出来ない!

 

 「同じメカなら、鐵くんの方が何倍も強いよッ!」

 

 決まった!

 ロボの首を勢いを利用してたたき切る。

 

 この装甲、盾にもブレードにもなる……。

 よし、いける。

 足を止めずに考え続けるんだ。

 それが僕の真骨頂、みんなが認めてくれたもの!

 

 『さあ第二関門、ザ・フォール!

 下は奈落!

 落ちないように突き進めェ!

 

 といいたいところだけどトップツーは全然関係なさそうだな!

 轟に爆豪、ミイラマンの生徒じゃねェか!』

 

 『あいつらが優秀なだけだ。』

 

 『甘ちゃんなんだからぁ……。』

 

 プレゼントマイクの実況を聞きたい気持ちを抑えて、前へ前へと進む。

 もっと先に行かないと、オールマイトとの約束にこたえられない!

 

 

 『おぉっとここで新情報!

 最後尾でやきもきしてたやつが動き始めるぜェ!』

 

 来た……!

 

 

―――Side 鐵

 

 放送聞いてなんとなく状況は読めた。

 飛んでしまえば大概の障がいは無視できる!

 

 しかし、どうやって飛ぶ?

 普通にやってちゃ追いつけない。

 ちょっと節約しようとしてジェネレーターに回すエネルギーをケチったからだ。

 後悔先に立たず、とはよくいったもんだよな、コンチクショウ!

 

 やるしかない、か!

 まずは、氷が解けた瞬間!

 

 『さぁ、そろそろ飛び出してくるんじゃないかぁ?!』

 

 一気に後退する!

 

 『おいおい、ミイラマン、後退してるぜ!

 どういうことだ?!』

 

 『何をするつもりだろうな?』

 

 そんでグランヘッダーだけを分離。

 頭がないエルドラがグランヘッダーを担ぎ上げる。

 複雑な操作はまだできないけど、モノをぶん投げることぐらいはできる!

 

 グランヘッダーの上に生身の足をかける。

 飛ばす方向と角度に左手を向ける。

 イメージだ。

 エルドラがグランヘッダーを投げるフォームをイメージするんだ!

 

 「ランドローラー、ブースターオン!」

 

 あとは思いっきり初速をつけて、ぶん投げる!

 

 「エル・グラン・シュートォ!!!」

 

 って俺は生身だから風とスピードがやばいィィ!!!

 

 『思いっきり投げ飛ばしたぁ!!』

 

 『初速度をつけてごぼう抜きを選んだか。』

 

 待ってろよ、轟!

 

 

 

 猛烈な風と共に景色が後ろに過ぎ去っていく。

 眼前には大量のロボ。

 これが第一関門なのだろう。

 ほかの奴らが倒さずに進んでいったのか、思っていたより残ってる。

 

 戦闘している時間はない。

 ギリギリで回避するしかない!

 

 0ポイントロボの腕が間近に迫る。

 タイミングは今!

 

 グランヘッダーを掴んで、体思いっきりひねって回転だ!

 気分はスケボー選手!

 

 『バレルロール!こいつはテクニカルゥ!

 さて、先頭は轟と爆豪が入れ替わりィ!

 地雷原をものともせず妨害の応酬だ!

 なんだよこの展開は!

 よーくとっとけ、マスコミニケーション!』

 

 くっそ、まだ追いつかねェのか!

 開けた場所に出た!

 これが、ザ・フォールか。

 けど俺の前ではただの通り道。

 

 「鐵くんもう来とるん?!

 速すぎやろ~!」

 

 「ずるいずるーい!」

 

 芦戸さんと麗日さんだ!

 けどごめん!

 今口開いたらとんでもない顔になっちゃう!

 

 『鐵の猛烈な追い上げェ!

 こりゃワンチャンあるんじゃねェのォ?!』

 

 よし抜けた。

 このまま地雷原を突きぬけてゴールに……。

 

 緑谷を追い抜いた。

 立ち止まって何かをしていた。

 あいつ何を企んでる?

 あいつなら確実に何か仕掛けてくる。

 起死回生の一撃を!

 

 BOOOOOMMMMM!!!

 

 爆風?!

 くそ、ちょっとコントロールがぶれた。

 この高さじゃ爆豪と轟には捕捉されちまう。

 

 『爆風で緑谷猛追!!

 先頭集団が四人にグレードアップだぁ!』

 

 「デクてめェ、それにメカ野郎!

 俺の前を行くんじゃねェ!」

 

 「後続に道作っちまうが、関係ねぇ。

 行かせねぇぞ、二人とも。」

 

 ほら、やっぱりこの高さじゃ妨害してくる!

 くそ、爆豪の爆破のせいで落ちないように飛ぶので精いっぱいだ。

 緑谷は今どこに……って落ちてるじゃねぇか!

 頭打ったりしたら大変だ、回収する!

 

 「追い越し無理なら……抜かれちゃだめだッ!」

 

 緑谷がワイヤーを思いっきり引っ掴んで振りかぶるモーションに入ったのがわかる。

 こいつ、やっぱりやるじゃねぇか!

 

 グランヘッダーを爆風からの盾にするように、地面に対して垂直にさせるイメージ!

 この距離での大規模爆破耐えられるか?!

 

 『妨害かけてそのまま抜いたぁ~!

 おいイレイザー!お前のクラスの奴ヤバいな!どういう教育してんだ!』

 

 『なんもしてねぇよ。

 あいつらが勝手にたきつけあって、勝手に伸びてるだけだ。』

 

 くそ、グランヘッダーからぶっ飛ばされちまった。

 緑谷には先に行かれてるし、素の身体能力だけじゃ『個性』で機動力抜群の二人に追いつけん。

 俺はここまで、か。

 

 本当にお前って男はすげぇよ、緑谷。

 

 『会場のだれが予想しただろうか!』

 

 『一番初めにスタジアムに帰ってきたこの男を!』 

 

 『緑谷出久という存在を!!』

 

 おめでとう緑谷、お前がナンバーワンだ!

 

 「うわぁぁぁぁあぁ!!」

 

 「おいおい、緑谷、今は泣くべきじゃないぜ。」

 

 四位でゴールインした俺は、後ろから肩をたたく。

 せっかく勝ったんだ。

 勝った人間らしく振舞ってほしい。

 アミーゴのカッコいい姿が世に広まってほしい。

 

 「く、鐵くん!

 凄いや……。

 追いついちゃうなんて!」

 

 「今は俺の話はなしだぜ。

 勝ったお前が一番すごい。

 ほら、見てみろよ、モニター。

 お前がアップなんだ、アピールしとけよ。」

 

 そうさ。

 お前はきっとこっからどんどん伸びていく。

 俺の勘はよく当たるんだ。

 だからこそ、こう言ってあげたい。

 

 「お前が来たってことを、ニコッと笑ってよ!」

 

 「うん!」

 

 緑谷が小さくガッツポーズをしていい笑顔で笑う。

 そうだ、お前は笑ってろ。

 泣いたっていいけど、こんなときぐらいはな!

 

 『さぁ、後続もぞくぞく到着してるぜ!』

 

 プレゼントマイクの言葉が、俺たちの意識をゴールに向けさせる。

 

 「緑谷、他の人の『個性』見てたか?

 たぶん、上がってくるのはヒーロー科のやつらだろうけど。」

 

 そう、『個性』の情報アドバンテージはこの先必ず重要になる。

 だからこそ、最初は偵察をして情報を得たかったのに!

 あのアイス&ヒューマントーチマンが……。

 

 「ごめん、僕も余裕なかったんだ……。

 正直、一位もラッキーパンチだよ。

 拾って使えそうだと思ったものが、たまたま使えただけだよ。」

 

 「そうか?

 お前が使えそうだって思った時点で、かなり有用なものだったと思うぜ?

 お前の判断力と分析力はピカイチだ。

 もうちっと自信もっていいと思うんだけどよ……。」

 

 つくづく自己評価の低い男だ。

 幼馴染の爆豪をほんのちょっぴり見習えばいいと思う。

 それで、爆豪は緑谷から人生そのものを学び直した方がいいと思う。

 

 「へへ、照れちゃうな……。

 あ、飯田くん帰ってきたよ!

 お~い!」

 

 「飯田~!おつかれ~!」

 

 「くっ、この『個性』を持っていながら君たちに負けてしまうとは……。

 それに鐵くんに至っては後方スタートだったのに…!」

 

 飯田よ、お前も自罰的なとこあるよな。

 お前7位だぞ、凄いぞ。

 

 「最後のギミックが完全にスピード自慢殺しだったから仕方ねぇよ。

 この障害物競走、ちょっと空行ける奴が有利すぎる気がするぜ。」

 

 相澤先生にこんど文句言ってやろうか。

 いや、あの人の事だから「自分にできることとできないことが分かってたら突破できる。」

 とかいって聞いてくれないだろうな。

 

 お、あのシルエットは八百万さん…って露出度!!

 ジャージの前を思いっきり開けていて、ブラジャーが見えてる。

 あとなんか疲れてる…?

 

 「おいら、天才!」

 

 「さいってー……ですわ。」

 

 八百万さんの上のジャージにもぎもぎをくっつけた峰田がスケベな顔して笑ってやがった。

 

 「ふんッ!」

 

 「ぎゃあぁぁあああ!」

 

 「鐵くん、ダメだぞ!仮にもクラスメイトだぞ!」

 

 「やかましい、こいつはケダモノだ。

 人じゃねぇ。

 人じゃねぇならクラスメイトじゃねぇ。」

 

 なんか無性に腹が立ったから思いっきりアイアンクローをしておいた。

 勇者式おしおきだ。

 

 「あ~、八百万さん。ジャージ、新しく『創造』するんだろ?」

 

 「えぇ。

 あと、その助かりましたわ…。」

 

 「なら、これで隠しといたほうがいい。

 一応全国放送なんだ。

 あんまり肌さらしてると京兆さんと造さんが悲しむ。」

 

 俺は自分のジャージを脱いで、カーテン代わりにする。

 八百万さんはお嬢様育ちで、峰田みたいな欲望むき出しの奴以外の、ムッツリスケベがいることをあんまり意識してない。

 体育祭を見てる不特定多数の男からそういう視線を彼女に向けられるのはなんかヤダ。

 ダチがそういう目で見られてうれしいわけはない。

 そういうことなのだ。

 

 「ちょっと勇雅、また脱いでんの?!」

 

 「うげっ!心音は勘弁してください!違うんです!」

 

 耳郎さんだ。

 俺は前科とそれに対する罰則をおもいだして震えあがる。

 アレ結構痛いっていうかヤバいんだよな。

 体の中を音が爆音で駆け巡るわけだから、体の機能が止まっちまうんだよ……。

 

 「あの、響香さん。

 勇雅さんは私をかばおうとしてくださって、その、今回は悪くないのですわ。」

 

 「そうだよ、耳郎さん。

 なんで鐵くんがこんなにおびえてるのかは知らないけど……。」

 

 「八百万くんと緑谷くんの言う通りだ。

 いくら前科があると言えども、鐵くんだってちゃんと更生しているんだ。」

 

 「人を犯罪者みたいに言うのやめてもらえません?」

 

 「勇雅、公然わいせつってしってる?

 まあ今回は許したげる。」

 

 「ぐ、グラッチェ……。」

 

 ほっと胸をなでおろす。

 耳郎さんに怒られるのは嫌だ。

 笑っていてほしい。

 あと、やっぱり心音は怖い。

 

 とにもかくにも一件落着でよかった!

 

 「お、おいらの治療を……。」

 

 お前はずっと寝ててもいいぞ。

 

 

―――

 

 「さて、ここからが本戦よ!

 障害物競争上位44名の参加が認められるわ!

 いい?

 ここからは報道陣の熱もけた違いよ。

 頑張りなさい!」

 

 44名……。

 やっぱりほとんどヒーロー科のためだけの体育祭なんだろうな。

 ヒーロー科四十人と、上を目指してるやつが四人入ればそれでいいって感じなんだ。

 

 上を目指している奴……。

 そう、心操みたいな奴さ!

 きっと勝ち上がるだろうと思ってはいたが、本当にチャンスを掴んできやがった。

 有言実行マンめ。

 そういうのは大好きだ。

 

 「さて、お待ちかねの第二種目!

 私はもう知ってるけど、何かしら?」

 

 またモニターにドラムロールと共にルーレットが回り始める。

 

 正直、さっきの障害物競走でもう2本分以上使い切った。

 だから今度こそ燃費のいいやつがいい。

 頼む、俺にエコな種目きてくれ。

 

 「これよッ!」

 

 またミッドナイトがバラ鞭を振るうとともにルーレットが止まる。

 

 「騎馬戦…か。」

 

 はい、終わった。

 俺絶対騎馬じゃん。

 だって俺デカくて重いもん。

 エルドラ着けたらもっと重いもん。

 

 なんでこう機動力を使わせるような種目ばっかりあるんだ?

 俺の真骨頂はパワーと装甲だってのに……。

 

 「ルールの説明よ!

 まず騎馬は二人から四人で組みなさい。

 あとで15分間の交渉タイムを設けるわ。」

 

 ほう。

 自分の弱点、あるいは強みを理解したうえで組めということか。

 

 「基本は普通の騎馬戦と変わらないわ。

 けど、ここからが普通の騎馬戦とは違うところよ。

 予選の順位をもとに下から5ポイントずつ、みんなにポイントが割り振られるわ。」

 

 俺はかなり高得点の部類だろうな。

 その分組みやすいかもしれん。

 

 「たぶん、チームのポイントは合算ってことなんかな?」

 

 「高得点の方と手を組んで優位をとるもよし。

 逆に、あえて低得点で組んでリスクを低くすることもできますわね。」

 

 麗日さんと八百万さんが考察してる。

 もしかして、緑谷のが移ったのかな?

 

 「まだ途中!

 最後までちゃんと聞きなさい!」

 

 怒られた。

 いくら18禁ヒーローで青春ジャンキーといえども先生なんだな。

 

 「そう、ポイントはチームで合算よ。

 それと、一位の緑谷くん!

 君のポイントは……1000万よ!」

 

 ほーう……。

 どんな状況からでも逆転できるジョーカーってわけか。

 雄英はつくづくこういうのが好きだよなぁ……。

 

 「そう、上位の奴ほど狙われちゃう下剋上のサバイバルよ!

  『Plus Ultra』しなさいな!」

 

 

 緑谷の顔には少しの不安が見て取れる。

 けど目を見ていると、なんだろうな。

 全然こいつが負ける想像が出来ないんだよ。

 絶対何かやってくれるって、そう思わせてくれるんだよな。

 

 「合算したポイントが書かれたハチマキを騎手には付けてもらいます。

 首から上ならどこに着けてもオッケーよ。

 それを15分間ひたすら取り合ってもらうわ。

 たとえ、ハチマキを失ったり、騎馬が崩れたりしようともね。」

 

 え~……。

 ぶっ続けで戦うことになるのか……。

 燃費に悪いぜ。

 下手に動き回ってガス欠するわけにもいかん。

 どうしたものかな!

 

 「それじゃあ、今から交渉タイムスタートよ!」

 

 花いちもんめで決めれたら楽なんだろうけど、いっちょ頑張りますかね!

 

―――

 

 「とにかく騎手だ。

 それと俺みたいなシンプルな奴じゃなくて、搦め手とか、遠距離持ちとか、対応力の高いやつ。」

 

 考えを口に出してまとめる。

 あ、いるじゃん。

 そういうことが出来そうな人。

 

 「八百万さーん、組まない?」

 

 「お断りします。」

 

 そ、即答……。

 

 「いつまでも、貴方に守られるだけではいけないのです。

 ご容赦ください。」

 

 「君はいっつも俺を助けてくれるんだけどね……。

 分かった。

 決勝で会おう!」

 

 一番頼りになる人が相手というのはなかなかに堪える。

 騎馬戦の刻一刻と変わる状況に、オールマイティに対処できるのは彼女くらいなものだろう。

 逆に敵に回ればほぼ確実に弱点を突かれるわけだ。

 

 対応力がダメなら得意を押し付けられそうな人がいいんだけど……。

 近づかれたくないから遠距離持ちかな~……。

 索敵も出来たらいいんだけど……。

 

 あ、いるじゃん。

 どっちも出来そうなロックな人がさ。

 

 「耳郎さん、組もうぜ。

 君しかいないんだよ、遠距離も索敵も出来る人。」

 

 「いいけど、他のメンバーは?」

 

 「まだ君しかいない。

 万能性で八百万さんとも組みたかったんだけど断られたよ。」

 

 「百が断った理由はなんとなくわかってるけど、ウチは先に進んでアンタを超えるから。

 今はアンタと組んでも問題ないっしょ。」

 

 ロック~……。

 かっこいい人だよな、ホントに……。

 

 「それで、他に欲しい人いるわけ?

 近距離と遠距離。一応そろってるけど。」

 

 

 「意外性。」

 

 「まって、ウチにもわかる言葉でしゃべってくんない?

 アンタときどき端折る癖あるでしょ。」

 

 「周り見てみろよ、ほとんどヒーロー科で同じクラス同士組んでる。

 ヒーロー科抜いたら、サポート科3人に普通科1人だ。

 そんでサポート科も一人を除けば結局サポート科同士で組んでる。」

 

 「それじゃあ、あの宣戦布告してきた普通科の男子入れるわけ?」

 

 「おう。

 あいつがいれば、『個性』の情報アドバンテージが取れる。

 つまり、みんなの度肝を抜いた策が出来るかもしれないってわけよ。

 というわけで早速交渉に行くぞッ!」

 

 「こら、あんまり急がない!」

 

 すみません!

 それでっと、紫髪に隈の凄い男の子……。

 探すのめんどくさいな、呼ぶか。

 

 「普通科の心操くん!

 俺たちと組もうぜ!

 組みたいと思ってくれるなら出てきてくれ!

 思ってなくても出てきてくれ!」

 

 頼む!

 出てこい出てこい出てこい……。

 

 「あんまり大きい声で呼ぶなよ。

 恥ずかしいだろ。」

 

 「よう、組もうぜ。

 『個性』小声で教えてくれよ。」

 

 「はぁ?

 どうして『個性』もしらない相手と組めるんだよ。」

 

 当然の疑問だ。

 下手したら、駅前でナンパするよりも難しい交渉だろうな。

 けどな、俺には確信があるんだ。

 

 「あれだけギラギラした目で宣戦布告したんだ。

 あるんだろ?

 ヒーロー科だろうがなんだろうが、絶対に倒せるお前の『切り札』がよ。

 そうじゃなきゃ、あんな啖呵は切れないぜ。」

 

 まだ心操の目は疑いで満ちている。

 いや、むしろ警戒しているのだろうか。

 そう簡単に虎の子を明かせないってか?

 渋いね。

 

 「諦めなよ。

 こいつ、自分の直感で馬鹿正直に突き進むやつだからさ。

 いくら警戒したって無駄だよ。

 勝ちたいなら組む。

 負けてもいいなら好きにすればいい。

 男なら、うだうだせずに今決めな!」

 

 あ、姉御!耳郎の姉御!

 耳郎さんの言葉を聞いて、心操はこいつどうしようもないやつだなって感じにため息をついた。

 失礼な奴だ。

 けど、こうやってリアクションに表してくれるだけマシかな。

 

 「こっちこい。

 あんまり知られたくないんだ。」

 

 心操が少し離れたところに手招きする。

 どうやら教えてくれるらしい。

 やったぜ、これでもうアミーゴだな。

 

 「俺の『個性』は……。

 『洗脳』だよ。

 俺の問いかけに答えた奴の意識もコントロールも奪える。

 笑えるよな。

 ヒーロー志望がこんなヴィランみたいな『個性』でさ……。」

 

 「いい『個性』じゃん。

 ぶっ壊すしかできない俺より優しくていいと思うぜ。

 それに俺は『個性』ないから、どんな『個性』でも欲しいし、使い方次第だと思うけど。」

 

 「それ、かなり強いよね。

 よかったじゃん、勇雅。

 意外性どころかウチらのリーサルウェポンだよ、こいつ。

 前からムカつく奴だと思ってたし、爆豪シメに行こうよ。」

 

 「もうちょっとオブラートに包みません?

 彼にだって少しはいいところあると思う。

 その……、髪型とか。」

 

 いや、まさか『意外性』欲しさに組みにいった心操がこんなに頼りになるとはな。

 分かりやすい俺のパワーを餌にして、心操にちょっと集中力乱すようなこといってもらえば一瞬じゃん。

 

 燃費にも優しい。

 俺って見る目あるな。

 先見の明ってやつ?

 

 「何も思わないのか?

 『洗脳』なんだぞ?

 使われたら怖いって思わなかったのか?!」

 

 心操が意外な顔して聞いてくる。

 そんなの怖くねぇよ。

 決まってるだろ。

 

 「だってお前ヒーローなりたいんだろ?

 だったら仲間みたいなもんだ。アミーゴだ。

 アミーゴは信頼するもんだろ。」

 

 「ウチはアンタの『個性』は怖いと思うけど、アンタは怖くないよ。

 だって声かけた時に使えばよかったじゃん、『洗脳』。

 勇雅なら馬鹿正直に返事して引っかかってたはずだよ。

 けどしなかった。

 アンタだって正面から向き合おうって思ってくれたんでしょ?」

 

 心操の目に、涙が溢れそうになってる。

 よっぽど、自分の『個性』になやんでたのかな。

 周りの奴らは見る目がなかったんだろうか。

 きっと、緑谷とか、飯田とか、他のみんなにもっと早く会えてたら、こいつもきっとこんなに悩んだりしなかっただろうな。

 

 心操がごしごしと袖で目をこする。

 

 「勝ちに行こうぜ、せいぜい使って見せろよ。

 切り札!」

 

 「おうよ!」

 

 「サポートは任せといてね。

 あと、名前教えて?

 ウチ、耳郎 響香。」

 

 「心操 人使だ……!」

 

 さぁ、見てろよ?

 俺たち、マジに強いぜ……!




主人公の騎馬がなかなかにオールマイティになりました。
次回、騎馬戦です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。