エルドラ―ドなヒーローアカデミア!!   作:捻くれたハグルマ

15 / 20
騎馬戦です。
三人騎馬だがエルドラVなら大丈夫だ!




第十五話! 激突!鋼鉄の騎馬!

 おそらく最高ともいえるメンバーを揃えた。

 あとはコンビネーションと作戦をどうするかだ!

 

 「で、作戦はどうするんだよ。

 いっとくけど、俺はフィジカルに自信があるわけじゃない。」

 

 「ま、その見た目だしね。

 ウチは爆音とか苦手だから、さっきはシメるとか言ったけど、爆豪とはやりたくないかも。」

 

 「おー……。ちょっと考えなくっちゃな。」

 

 フィジカルに自信がない心操は、騎手は任せられない。

 ということは騎手は耳郎さんになる。

 

 けど、耳郎さんが騎手になることで、爆豪との真っ向勝負は不利になる。

 あいつの性格からして、ポイントを全部かっさらうとか考えていそうだから、厄介だ。

 

 そして最重要懸案事項は、いつ1000万に食いつくかだ。

 正直、心操がいればジャイアントキリングは余裕でできる。

 しかし、それは手札にあるキーカードを開示してしまうことと同じだ。

 

 『個性』博士な緑谷。

 センス抜群で意外と頭も回る爆豪。

 才能あふれる氷炎魔人轟。

 

 どいつに使ったとしても、確実に二回目はない。

 分析されて後手に回ってしまう。

 

 なら、最後の最後で一気に詰めるのがいいのかな?

 前半は適当にヘイトを稼がないようにしつつポイントを稼いでおくか。

 

 「おい、いきなりこいつしゃべらなくなったけど。」

 

 「勇雅は考え込む癖があるんだよ。

 なんだかんだ言ってこいつもエンジニアだし。

 ちょっと待ってたらいきなり大声上げて……」

 

 「二人とも!

 俺にいい考えがあるッ!」

 

 「ほら。」

 

 「お、おう……。」

 

 耳郎さんが俺を指をさしながらニヤッと笑う。

 なんだか、色々見透かされている気がして恥ずかしいな。

 そして心操は変なものを見るかのような目をしないでくれ。

 悲しくなるだろ。

 

 「おっほん。作戦を説明するぞ。

 騎手は耳郎さん。

 心操は、敵を一瞬だけ『洗脳』して動きを止めてくれ。

 ほんの一瞬さえあれば、俺が距離を詰めて耳郎さんがイヤホンジャックで完封してくれるはずさ。」

 

 「一瞬だけってのはタネが割れないようにするためか?」

 

 流石心操。

 なかなか察しがいい。

 相澤先生風に評価するならごーりてきって奴だろう。

 

 「ご明察。

 心操にはとある3チームのために、出来るだけタネが割れないように行動してほしい。

 そのチームが近くにいたら、使わないでくれ。

 特に緑谷。

 あいつは『個性』の発動条件とかまで一回でかなり正確に分析してくるぞ。」

 

 「スパコンか何かか?」

 

 心操の感想はなかなかいい得て妙だ。

 緑谷の家で見せてもらった「将来のためのヒーロー分析ノート」、あれをほとんど覚えていた。

 あいつは十数年間で培ってきた異常なまでのデータをもとに概算している。

 やり方はパソコンとほとんど同じなのだ。

 人力でやっているところが末恐ろしいんだけどな。

 

 「ドがつくほどの行動派オタクだよ。

 ナードナードって言われてるけど、ああいう奴がいいロックをやるんだよね。」

 

 耳郎さんらしい評価だ。

 たしかロックってのは迫害されてた人たちの音楽なんだよな。

 嫌なことをぶっ飛ばして元気になれる音楽、か。

 

 うん、あいつらしいや。

 

 「あとの2チームは爆豪と轟だ。

 あいつらも結構鋭い。

 それに俺は轟を一発ぶん殴りたい。」

 

 あいつのせいで第一種目で相当苦戦させられたからな。

 許せん。

 まあ凄いやつだとは思うけど。

 それはそれだ。

 

 「なんか珍しく私怨丸出しだね。」

 

 耳郎さん、愚問だな。

 こういう時じゃないと、ガチでやりあったりできないじゃないか!

 

 「決まってるだろ、今日が体育祭だからだよ!

 さぁ行こうぜ、アミーゴ!」

 

 「おー!」 「おー……。」

 

―――

 

 ブザーが鳴り響く。

 どうやら作戦タイムは終了のようだ。

 

 「さぁ、早速始めるわよ!」

 

 主審のミッドナイトは相も変わらず楽しそうである。

 まぁ、青春ジャンキーだしね。

 

 『さぁ、15分の交渉兼作戦タイムが終わり、フィールドに12組の騎馬が並び立ったァ!』

 

 『なかなか面白い組がそろったな……。』

 

 雄英の元気なキバタンに対してかなりクールな相澤先生が、「面白い」といったことに対して驚いた。

 その驚きが、エルドラVの背中にしがみつく二人にも伝わる。

 

 「相澤先生が面白いって言ったのにびっくりしたの?」

 

 「おう、あの人が面白いって言ったこと自体が面白いぜ。」

 

 「お前らの担任サイボーグか?

 というかさっきからツッコミが俺だけなんだ。

 そろそろ疲れる。」

 

 ごめんよ心操、俺たちこういう感じなんだ。

 大真面目でやってるつもりではあるんだけどな!

 

 けど、やっぱり引っかかるので他チームをざっと見てみる。

 

 緑谷のチームは守りに特化している感じだと見て取れた。

 麗日さんで機動力を確保。

 常闇が全方位防御。

 サポート科の子は何をしてくるのかは知らんが、緑谷の背負い物からしてジェットパックだろう。

 

 爆豪チームは攻めの陣形だ。

 切島で気兼ねなく爆破を使えるようにし、芦戸、瀬呂で遠距離牽制が出来る。

 あとは爆豪本人が爆破で暴行を加える、といった具合だ。

 

 轟チームは……ッ!

 

 「ゆ、許せん……。

 あいつ、俺の癒し枠を二人も持っていきやがった!」

 

 「お前マジで何言ってるのかわかんねぇよ。」

 

 試合前だというのに心操が疲れ切った顔をしている。

 俺は怒りに震えていた。

 そう、俺と仲のいい五人のアミーゴのうちの真面目枠である飯田と八百万さんが轟チームにいたのである!

 あの氷と炎のカーニバルマンめ!

 やっぱり許せん!

 かくなる上はこの体育祭の後でアミーゴにしてやる!

 

 思わず熱が入りシャードボクシングをする。

 けど、作戦は作戦だ。

 まずはポイントをちまちま稼がせてもらうぞ……!

 

 

 「絶対負けられん!

 勝つぞ!」

 

 『さーあ行くぜ!

 残虐バトル!カウントダウン!』

 

 『3!』

 

 「耳郎さん。索敵とハチマキよろしく!」

 

『2!』

 

 「心操、ここぞって時に頼むぞ!

 タイミングは任せる!」

 

 『1!』 

 

 「エンジン全開!準備よーし!」

 

 『START!!』

 

 まずは開幕!

 緑谷の方に集まる騎馬から離れるッ!

 

 全速力で緑谷に対角線上に向かう。

 ランドローラーのグリップ音とモーター音がフィールドに鳴り響く。

 

 「耳郎さん、状況把握と『個性』の情報よろしくッ!」

 

 「緑谷が飛んだよ!予想通り!

 このまま3時の方に移動して!

 距離を取っておくよ!」

 

 「近くに敵影はないな。

 俺はまだ温存だな。」

 

 よし、まずは安全確保。

 一番怖いのは乱戦になって状況も情報もつかめなくなることだ。

 心操の温存と俺のエネルギーの節約も兼ねたこの行動は正解なはずだ。

 

 「まって、何かの飛んでくる音がする!

 周囲の警戒!

 心操!なんか見えない?!」

 

 「耳郎、頭下げろ!手が飛んできてる!」

 

 「なにッ?!

 ロケットパンチだと?!」

 

 主戦場である緑谷周辺からわざと離れて狙ってきた……?!

 よく見てみると、前腕だけの腕と、片目だけが飛んできていた。

 こんな『個性』はウチのクラスの奴じゃない。

 

 「そうかッ!

 B組の奴等だなッ!」

 

 「大当たり!

 ごめんけど、この後に出られて厄介そうなやつも潰しとかないとさ!

 切奈!このまま翻弄よろしく!」

 

 「おっけ~、一佳。

 三人で四人に勝てるかな?

 ケタケタケタ!」

 

 掌がでっかい子!

 おいおい、ヘイト稼がずポイント稼ぎの算段が、はじめっから狂いやがった!

 

 計画の乱れにおどろいた一瞬のスキをついて、騎馬が前へ詰めてくる。

 『個性』不明があと二人。

 下手に近づいてやられるのは不味い。

 相手の『個性』がわからないなら、何もさせなければいい!

 近づきたくないのなら、遠距離からの必殺!

 

 「心操、耳郎さん、しっかり捕まっとけよ!」

 

 「了解!

 心操、死ぬ気でつかまりな!」

 

 「お、おう!」

 

 「エルドラァ……フィストォ!!!」

 

 思いっきり腕を振りぬいて、一切合切を吹き飛ばす。

 出力は抑え気味にしておいたけれど、彼女たちの騎馬は俺達から「6メートル」ほどのところまで吹き飛ばされていた。

 

 「耳郎さん!そのまま回収!」

 

 声を発するよりも早く、彼女の『イヤホンジャック』は矢のように放たれる。

 

 「とった!

 心操!足止めよろしく!

 ロックにあおりな!」

 

 『よう、悔しかったら取りに来いよ。

 地味なB組さん?』

 

 うわっ、結構えげつないこと言うね、君。

 まぁかなり頭に来てるみたいだ。

 せっかくの綺麗な顔が台無しって感じに青筋が立ってる。

 勝気な子っぽいし、多分かかってくれるんじゃないかな?!

 

 「アンタ、なんてことッ……。」

 

 よし、かかった。

 後は距離を取って……。

 いや、囲まれてるな。

 

 「耳郎さん、何騎いる?」

 

 「正面の除いたら、3時方向に2、6時方向に1!

 さっきからしてた爆音から離れてきたやつら!

 たぶん爆豪にやられてきたんだ!」

 

 「どうする?俺の『洗脳』で脱出するか?」

 

 「いや、ここはアレで行く!」

 

 「ま、まさか……?」

 

 「エルドラ・ジャンプだ!!」

 

 耳郎さんの顔からサーッと血の気が引いてるのがわかる。

 前回はかなり叱られたから、今回はパフェじゃ済まないだろうな~、とのんきに考えてしまう。

 エネルギーはかなり使ってしまうが、致し方ない。

 状況を楽に打開できるならそれもアリだ。

 

 それに心操の『個性』はタネが割れればなんてことはないマジックに成り下がる。

 この先に行きたい奴に、乱発はさせたくない。

 

 「ちょっと、待って!

 ウチ降りる!もうアレやだ!

 降ろしてください!

 今までありがとう!」

 

 「心操!

 耳郎さんがっちり抑えて、俺にしっかり捕まっとけ!

 結構跳ぶぞ!!」

 

 「お、おう?

 って、来てるぞ!

 急げ!」

 

 心操は焦りながらも。耳郎さんを抑えて俺にしがみついてくれた。

 ごめんな、耳郎さん。

 今度、なんかプレゼントするぜ。

 

 「行くぞッ!エルドラジャンプッッッ!!」

 

 「うぎゃあぁぁぁぁ!!

 もうやだあぁぁぁぁぁあ!!」

 

 「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 跳びながら、俺は心操って悲鳴を上げるんだなって思ってしまっていた。

 そして、心操にもお詫びの品を用意しなくちゃならないことに内心憂鬱な気分になっていた。

 

 「メカ野郎ォォオオ!!」

 

 Oh……。

 まさかこいつが来てるとはな、爆豪。

 空中戦はお前の十八番だったのを忘れていたよ。

 

 けど、単独で飛んでくるのは愚策じゃないか?

 俺達には遠距離持ちが……。

 

 やばい、今遠距離持ちダウンしてるじゃん。

 耳郎さん恐怖でダウンしてるじゃん。

 なんならこいつは耳郎さんの天敵だ!

 しまった!

 

 「死ねぇぇェええ!!!」

 

 ちょっと危ないけど、お前なら俺の予備動作見ただけでよけてくれるよな!

 

 「ボンバッディーロ!」

 

 技名を叫ぶとともにボディーガンダ―の口を開いてミサイルを意識させる。

 爆豪はUSJ事件の時ボンバディーロの威力を見ていたわけじゃない。

 だから賭けだ。

 爆豪が警戒してくれるだけでいい。

 そうすれば落ちるまでの時間を稼げる!

 

 「ちぃッ!あとでぶっ殺す!」

 

 「バクゴ―!戻れって!急に行くんじゃねぇよ!」

 

 爆豪が逆噴射の要領で爆風を俺に向かって起こし、距離を取っていく。

 下からセロテープが伸びてきたところを見る、瀬呂が回収班のようだ。

 

 よかった。

 退いてくれてなきゃ、下手したら当てはしないけど結構近くに打ち込んでいたかもしれない。

 一応訓練用のある程度威力を抑えたものではあるが、ダメージは免れないものだから、本当によかった。

 

 「おい、鐵!

 下に氷張ってるぞ!

 騎馬が何騎も捕まってる!」

 

 心操の言う通り眼下には大量の騎馬。

 氷ってことは轟だろう。

 

 周囲を注意深く探ると、氷の壁が出来ていた。

 なるほど、一騎打ちがしたかったんだな?

 けど、そんなに乱暴なデートのお誘いは嫌われちまうぞ?

 

 「よし!

 着地したら耳郎さん元気づけてあの騎馬たちのハチマキ回収しよう!

 もしダメそうだったらお前が回収しろ!

 どのみち奴らは動けん!」

 

 「わかった!

 耳郎、着地したら頼むぞ……!」

 

 「やってやらぁぁ!

 勇雅ぁぁぁ!

 後で覚えとけよおぉぉぉぉお!!」

 

 「すみませぇん!!」

 

 思わず謝ってしまう。

 だって結構怖かった。

 常闇風に言うなら金色夜叉とか般若だもの。

 けどイヤホンジャックを角みたいにしてたのは正直猫みたいで可愛かった。

 

 ってそんなこと言ってる場合じゃねぇ!

 もうすぐ地面じゃねぇか!!

 

 「対ショック姿勢!

 着地するぞ!」

 

 「了解!」「さっさとやれ、バカ!」

 

 氷を砕きながら着地する。

 着地したと同時に、耳郎さんの間合い、直径12メートルの範囲の騎馬のハチマキが次々に奪われていく。

 

 「勇雅、思ったよりポイントないよ!」

 

 「だからこそ1000万狙って大逆転にかけてるんだろうさ!

 氷の壁の向こうは多分緑谷が轟に無理やりダンスに誘われてるんだろうな!

 壁ぶち抜いて、轟ぶん殴りに行くぞ!」

 

 「鐵、壁越えたら『洗脳』使うぞ!

 ここが使いどころじゃないのか?!」

 

 心操が自分から切り札をきる提案をしてくれた。

 心苦しいが、正直その提案はかなりアリだ。

 

 氷の壁をぶち抜いてしまったら爆豪たちも簡単に迫ってこれるようになる。

 よくて四つどもえ。

 悪くてほかの動ける騎馬がまた仕掛けてきて大乱戦。

 

 それを避けるには短期決戦で一気にけりをつけて即時離脱しかない。

 そして奇襲において俺たちの心操は最強だ。

 

 「いいのか?

 先が苦しいぞ……?」

 

 だからこうするしかない。

 俺はそれに乗るしかなくて、心操が本当にそれでいいのか聞くしかない。

 つくづく自分の力押し一辺倒なところが嫌になる。

 

 「ここまで俺を信用してくれたんだ。

 アミーゴ、なんだろ?

 一緒に戦わせてくれよ。

 どうせここを勝たなきゃ、この先だって一人で勝てない!」

 

 あぁ、こいつもヒーローとしての光がある。

 焼き焦がれるような魂がある。

 熱く燃え滾るような情熱がある。

 

 もう野暮なことは言わない。 

 もうお前を手伝ったりしない。

 一緒に戦おう、心操。

 

 たった一言。

 それで十分だ。

 

 「行くぞ心操ッ!」

 

 「おう!」

 

 「いくよ二人とも!

 ロックンロォーーール!」

 

 耳郎さんの掛け声とともに俺は氷の壁めがけて最大速力で突っ込んでいく。

 俺たちは止められない。

 こんなちゃちな氷で足止めになんてなるわけがない。

 こんな冷たいもの程度に俺たちの熱は冷めたりなんかしない!

 

 「おっりゃぁ!エルドラフィストォォ!!」

 

 魂を込めて殴ると、壁は一撃で砕け散った。

 その先には、驚いて動きが止まる緑谷たちの顔と、とても憎らしいものを見ているようで、ちっとも俺たちの顔を映してない轟の目が見えていた。

 

 「く、鐵くん?!

 常闇くん、三つ巴になっちゃったけど、轟くんの左側はキープし続けて!

 動きとめられたらどっちにやられてもおかしくない!」

 

 「鐵……!

 上鳴は……ダメか。

 八百万、飯田、隠し玉があるなら出してくれ。」

 

 どっちの騎馬も対応が早いね!

 1000万はまだ緑谷が持ってる。

 

 なら、緑谷の方に近づくと見せかけたら、お前もつられてくるよな?

 轟くんよ!

 

 あえて、ローラーを高速回転させて、緑谷の方に急接近する。

 案の定、飯田が何かのアクションを見せた。

 釣れたぜ!

 

 「轟くん、必ず取ってくれよ!

 1000万!

 レシプロォ…バーストォ!」

 

 轟音とともに、急加速で俺たち以上のスピードを出す轟の騎馬。

 けどな、うちの女神さまは音をとらえるんだぜ?

 マッハ超えてから出直して来い!

 

 

 「抜かせるわけないよね、飯田!

 ウチら無視していけるとか思ってた?

 なめんなよ!」

 

 耳郎さんは、飯田のエンジン音が変わった瞬間に『イヤホンジャック』を轟たちの進路に置いた。

 確かに加速は見事だったが焦るあまりに直線的すぎた。

 

 轟たちの騎馬は急カーブでイヤホンジャックをよけることに成功したものの、なぜか動きを止めてしまっていた。

 今は動けない轟を俺と緑谷が挟み込む形になっている。

 仕掛けるなら、今!

 

 「常闇くん前進!

 下手に距離離して無差別に凍らされるよりも、前に出て轟くんにもリスクを背負わせる!

 それに鐵くんも確実に距離を詰めてくる!

 轟くんたちがやられたら今度は鐵くんと一対一!

 『個性』がわからない相手に一対一は危険すぎる!

 あえて乱戦に持ち込む!」

 

 「しかし、乱戦にもリスクがッ!」

 

 「たぶん鐵くんはガス欠寸前で大技はない!

 今なら君の『黒影』で抑えられる!

 二人相手だけど、このバランスを保たなきゃ勝てない!」

 

 「行こうデクくん!

 勝ちたいんやろ、あの二人に!」

 

 くそっ、緑谷にはばれてたか、ガス欠!

 二回のエルドラフィストにエルドラジャンプ。

 特にエルドラジャンプはこの重い機体を上げるために、エル・インフェルノ・イ・シエロよりもエネルギーを食う。

 そのせいで、かなりエネルギーがもっていかれちまってる。

 

 けど、緑谷の言う通り、離れるよりは突っ込むほうがいい。

 俺達も突っ込む!

 

 「心操、頼むぞ!

 耳郎さん!

 中遠距離のパワーは常闇が上!

 狙うなら轟チーム!」

 

 「了解、任せとけ。」

 

 「ウチの最後の見せ場!派手に決めるよ!」

 

 残されたエネルギーを速度にすべて回して突っ込む。

 

 こっちをみた八百万さんが、何かを『創造』していることに気が付いた。

 何を作る気だ?!

 止めなきゃ!

 

 「心操、あの女の子を!」

 

 心操に指示を出すと、心操は一瞬考えた後、苦々しい顔をして『洗脳』を発動させた。

 

 『ねぇ、胸とか大胆に見せてるけど。

 もしかして痴女?』

 

 「なっ、私はただっ……。」

 

 なるほど、そりゃぁ苦い顔するわけだ。

 『洗脳』するためには、相手に答えてもらわなきゃいけない。

 確実に答えてもらうには、相手の嫌なところを突くしかない。

 ヒーロー志望の奴にとっては酷な話だ。

 

 けど、止めれた。

 

 「八百万?!

 ちっ、何しやがった?!」

 

 「答えるわきゃねーだろ、アイス&ファイヤマン!

 うちのジョーカーの恐ろしさ、さんざん妨害してくれたお礼に覚えて帰りな!

 耳郎さん、いけ!」

 

 「もらったぁ!」

 

 取った。

 轟に勝った。

 その一瞬の時間に、暴風が吹き荒れた。

 その発生源には、腕を振り上げた緑谷。

 

 「僕だって……!

 期待してくれる人たちのために、勝ちたいんだ!

 だから、絶対に二人には拮抗状態でいてもらう!」

 

 腕にはバチバチと赤い閃光が流れていて、目には闘志が満ち溢れている。

 この土壇場で、調整を成功させたのか!

 それに、この風のせいで……!

 

 「すまん、鐵、破られた。」

 

 心操が申し訳なさそうに謝る。

 

 「何言ってんだ、試合はまだ途中!

 行くぞ!」

 

 正直もう突っ込める時間はあまりない。

 けど試合時間はもうあと数十秒。

 その間だけ動ければそれでいい!

 

 「勇雅さん!後で説明してもらいますからね!!」

 

 「八百万、怒る前に『創造』を!」

 

 意識を取り戻した八百万さんが珍しく怒り、轟がそれをみてすぐに対応に乗りだす。

 

 「させてたまるかぁぁぁ!!」

 

 しかし、緑谷がそれを許すはずもなく、また腕を振りかぶった。

 赤くほとばしる閃光とプレッシャーに、俺は防御姿勢を取ってしまった。

 

 またも吹き荒れる豪風。

 そのなかで、俺は微かに轟の火を見た。

 なぜ?

 

 そんなことはどうでもいい。

 まだ時間はある。

 轟には一矢報いないと!

 

 「すまん、一瞬止まった!

 もう一回行く!」

 

 「勇雅、爆音が近づいてる!

 たぶんアイツ!」

 

 空を見れば、爆豪が爆音とともに現れた。

 さながら旧ドイツ軍の爆撃機がごとく、自身の存在をアピールするかのように掌から爆破を繰り出し続けている。

 

 「1000万は?!

 クソデクかっ!!」

 

 「かっちゃん!

 常闇くん、最後お願い!」

 

 「耳郎さん、怖いだろうけど対空頼むぜ!」

 

 「上鳴、無茶は承知で無差別放電やってくれ!」

 

 

 三者三様に、身構えた瞬間。

 

 『試合しゅ~りょ~ォォォ!!!』

 

 終わりは突然に。

 俺たちは轟チームに一矢報いることも、緑谷チームから1000万を奪うことも出来ずに試合を終えた。

 

 「クソがァァァァァァ!!!!」

 

 爆豪、お前そんなに怖い顔するなよ……。

 全国放送だぞ……。

 

 

―――

 

 『じゃあ、さっそく上位4チーム見てみよかァ!』

 

 元気だな~、プレゼントマイク。

 

 『一位!1000万キープし続けた緑谷チーム!』

 

 「わあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 緑谷の涙腺ってどうなってんだ……。

 間欠泉みたいになってる……。

 脱水症状になるぞ…。

 

 『2位!轟チーム!』

 

 くっそ~!

 勝っておきたかった!

 次に持ち越しだな!

 

 飯田はすごく悔しそうな顔してるし、八百万さんはプリプリしながらこっちをにらんでる。

 可愛いし、怖くないんだけど、追及されると怖いんだろうな。

 

 『3位!爆豪チーム!』

 

 「ァァァァァ!!!」

 

 「やっぱりこいつが納得するわけないんだよな……。」

 

 「あ~……。」

 

 切島と芦戸さんが爆豪に後指をさしてる。

 後が怖いから俺だったら出来ないよ。

 

 『四位!耳郎チーム!』

 

 俺たちの騎手は耳郎さんだったから、耳郎チームなのだ。

 

 「勇雅、ごめんね?

 指示とか出してくれてたの勇雅だったのに……。」

 

 「別に気にしないさ。

 な、心操?」

 

 「いや、俺は関係ないだろ……。

 まぁ、ありがとな。一緒に戦ってくれて。」

 

 クールな笑みを浮かべる心操。

 こんな心操を見れたのはなんだかうれしかった。

 

 「この先も頑張ろうぜ!」

 

 こっからはライバル!

 負けるわけにはいかない!

 

 「あぁ。」

 

 くーっ、ドライ!

 

 

 『それじゃあ一時間ほど休憩挟んで午後の部だぜ!じゃぁな!!』

 

 午後も頑張るためにはまず飯だ!食いに行くぞ!

 

 

――― Dark side

 

「先生、いつになく楽しそうじゃな?」

 

 薄暗がりの中。

 ぎょろりとした目をした白衣の老人が、ある男に話しかける。

 

 『そりゃあね。

 雄英にオールマイトがOFAを託した者がいると考えただけで、その希望をどう壊してやろうかと楽しくて仕方がないというのに……。

 彼らの、宿敵の孫がいる。

 こんなにも面白いことはない。

 彼が「見える」。まるで彼らそのものだ。』

 

 「すまんがワシはその『勇者』なる人物たちを知らん。

 先生の宿敵といえる奴らじゃったのか?

 OFA以外にそんなものがあるとは思えん……。」

 

 『OFAは僕が生み出したものだ。

 宿敵になるべくしてなったのさ。

 けど彼らは違った。

 義務もない。関係もない。

 だというのに僕のやることを何から何まで邪魔してきた。

 初めてだったよ。自称勇者ごときに計画をとん挫させられるなんてね。

 それに、僕がわざわざ手を貸した計画すらも、勇者とそれ以外の…なんといえばいいのかな?

 ガンマンと剣士に潰されてしまった時は、初めて無力感のようなものを味わったよ。』

 

 「なんと、先生にそこまで言わせるとは……。」

 

 『バースデイ……。そして鉤爪の男……。

 僕にとっては面白くて仕方がなかったよ。

 あんなにイカれた男も計画も、そうそうお目にかかれないからね。

 なぁドクター……。

 一度失敗した計画で、今度は孫を滅ぼせたら、どれだけ胸がすくだろうか?

 あぁ、楽しみだ。

 弔には悪いが、僕も少し動き出してみようか……!』

 

 悪意はいつも、自分本位に動き出す。

 今日もまた、闇はうごめき続けるのだ。




なんだか不穏ですね(すっとぼけ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。