中々、戦闘描写ってのが難しい……。
緑谷が右手の指に包帯巻いて帰ってきた。
しっかし、一試合目からリカバリーガールの世話になるとはなぁ。
あんましエネルギー持ってかれてないといいんだけど。
「デクくーん!お疲れッ!」
「空いてるぞ!緑谷くん!」
麗日さんと飯田が緑谷を呼ぶ。
最前列のいい席を抑えといたぜ、喜べ緑谷。
「ありがとう、みんな!」
緑谷が、クシャっと笑ってからぽてぽてと駆け寄ってくる。
席に座る前に、俺のことを見つめてきた。
「心操のことだろ?
どうだった、なかなかいいやつだろ?」
「うん。
彼はすごい。きっとヒーローになれると思うよ。
あとね、最初の心操くんのことなんだけど……。」
緑谷がちょっと申し訳なさそうにもじもじする。
お前がもじもじしてどうすんだよ、この優しさ100%ボーイめ。
「どうせ謝っといてくれとでも言われたんだろ?
気にしてねェよ。
アミーゴの事なら大体わかるさ。」
「あ、よかったぁ……。
心操くんちょっと苦しそうにしてたからさ……。」
「まぁ、アイツの『個性』柄、仕方ないさ。
緑谷、ナイスファイトだったぜ。
二回戦進出おめでとう!」
俺も、油断せずに一回戦を突破しよう!
俺だって負けるわけにはいかんのだ。
ただでさえハンデ抱えてる。
ここで遅れてみんなに置いて行かれちまうのだけは、避けなきゃいけないんだ。
「さぁ、緑谷さんも早く座ってください。
次の第二試合、勝った人が対戦相手になりますわよ?」
八百万さんが着席を促す。
そう、情報だって大事なファクターだ。
緑谷はもうクラス連中に自爆する『個性』ってことが割れちまってる。
得意の分析でこの差をひっくり返さなきゃ、キツいだろう。
「ウチ、轟が勝つと思うんだけど。
逆に瀬呂が勝つ想像が出来ないんだよね。」
う~ん、同意してしまうな。
けど、我らが『個性』博士はどうみるのか……。
「緑谷せんせー、瀬呂くんに勝機はあるんですかい?」
「デクくんのオッズ聞きたい!」
「麗日くん、競馬ではないぞ!
神聖な決勝トーナメントだ!」
俺がふざけて、麗日さんが乗っかり、飯田がたしなめる。
よくある光景だ。
すると、緑谷はどこからかノートを取り出して、バラバラとめくり始める。
「瀬呂くんみたいな拘束ができるヒーローの強みは先制攻撃からの相手の封殺なんだ。
シンリンカムイの先生必縛ウルシ鎖牢って知ってる?
あれは目くらましも兼ねてあえて広げたり、複数人を同時に拘束できることが強みでもあってブツブツブツ……。」
「緑谷さん、お話が脱線し始めてますわ……。」
「あ、でね!
拘束して、轟くんの冷気が伝わらないように浮かせて、場外に投げ飛ばせば活路はあると思う。
もちろん、投げる瞬間にテープを切るか、『氷結』が来るより早くテープを伸ばし続けなきゃいけないんだけど……。
ただ、轟くんが熱波をどれだけ使えるのかわからないけど、『テープ』を焼き切ってしまえば轟くんの勝ちだ。
そもそも、遠距離同士の戦いだから、強みの押し付け合い、ゴリ押しが効く方が有利だ。
その点でも、轟くんの方が分があるとは思うんだけどね……。」
さすが『個性』博士だった。
なるほど、確かに『氷結』は物体に接触してないとダメそうだから浮かせばワンチャンあるのか。
やっぱ緑谷凄いな。
よく見てるしよく考えてる。
正直こういう奴と戦うのが一番怖いんだ。
「なるほど、瀬呂くんにも轟くんにも頑張ってもらいたいものだな!
そろそろ始まるぞ!」
「勝負は一瞬、みんな、見逃さないようにね!」
緑谷が言うならそうなんだろう。
目を見開いて注目だ!!
『さーあ、第二試合はこいつらだ!』
舞台から火が上がり、舞台上の二人に注目が集まる。
『優秀!
優秀なのにぬぐいきれないその地味さはなんだ!
ヒーロー科、瀬呂範太!』
ひっでェ。
プレゼントマイクひっでェ。
教職員にあるまじき解説だろ。
相澤先生あとでその捕縛武器でミイラにしてくれ。
いや、すでにその先生がミイラだった……。
『予選二位、騎馬戦ともに二位通過!
凄すぎるよ君!
推薦入学者の実力は伊達じゃないってか?!
ヒーロー科、轟焦凍!』
うん、差がひどすぎる。
俺の時の紹介酷いのじゃなきゃいいな。
『それでは第二試合!READY!START!!』
「勝てる気はしないけど負ける気もねェ!!!」
瀬呂が速攻で仕掛けた!
一瞬で轟の両腕両足を拘束して、場外へとぶん投げていく。
「ダメだっ、まだ接触してる!」
緑谷の叫びと同時か、それよりも早かったか。
一瞬の瞬きの合間に、俺たちの目の前には巨大な氷塊がそびえたっていた。
マジかよ。
つうか寒い。
「瀬呂くん、動ける?」
主審のミッドナイトが行動不能か確認してる。
心なしか声が震えてるし、巻き添えでも食らったか?
「う、動けるわけないでしょ……。」
瀬呂の声も震えてる。
やりすぎってレベルじゃないぞ。
これは少々いただけんな、轟。
緑谷にお仕置きしてもらえ。
無慈悲にも、会場にコールが響く。
「ドンマーイ。」
可哀想に……。
明日からお前はドンマイくんだ、瀬呂よ……。
「緑谷、これは不味いな……。」
「うん……。
何も掴めなかった……。
分かったのは最大出力の規模だけだ……。」
緑谷にとっては最悪の展開だ。
こいつの得意は膨大なデータと自分で観察することで得た情報を照会することによる分析。
情報が少なすぎたら分析なんてできない。
じゃあ、情報を集めたらいい?
馬鹿言うな、緑谷はただでさえ自傷していく。
戦えば戦うほど不利になるのは緑谷だ。
情報を得ようと耐久戦をしても、体が動けなくなってちゃ勝ちはない。
そんなことは緑谷が一番分かってるはずなのにさ……!
「けど、僕だって負けるつもりはないんだ……!
もともと僕はマイナススタート、これくらい、笑っちまってぶっ飛ばす……!」
笑ってやがるぜ、コンチクショウ!
ホントぶっ飛んでやがる!
最高だ、あぁ、最高だよ緑谷出久。
「えぇ、ウチ心配だよ……。
死ぬなよ、緑谷……。」
耳郎さん、死ぬとか言わないで。
結構現実的なレベルなんだから。
さて、次は俺の試合だ!
気合い入れていくぜ!
「勇雅さん、頑張って!」
「応援してるね!」
「勇雅、あんまり無茶苦茶するなよ?」
「健闘を祈っているぞ、鐵くん!」
応援ありがとな、みんな。
緑谷はどんなエールを送ってくれるのだろうか。
「鐵くん、準決勝で会おうよ。」
「任せろ!」
負けられないな!
いつものことだけど!
―――
『エビバディ!お待たせしたぜ!
氷漬けになってたステージもやっとカラカラ!
ようやく次の対戦!』
たしか塩崎さん、だったな。
プレゼントマイク、変な紹介しなきゃいいんだけど……。
心配しながら俺はエルドラVでステージに上がっていく。
『B組からの刺客!
綺麗な花には棘があるゥ?!
ヒーロー科、塩崎茨ァ!』
なんか、驚いた顔してるぞ、塩崎さん。
大丈夫なのか。
『選手宣誓から魅せる魅せる!
その姿はまさに鋼鉄の暴風ゥ!
ヒーロー科、鐵勇雅ァ!』
暴風か。
まぁ変な紹介ではなかったな……。
『さぁさぁ今回もど派手なバトルを』
「あの!」
食い気味に、塩崎さんが手を挙げてプレゼントマイクを遮る。
いったいどうしたんだろうか。
「申し立て失礼いたします。
刺客とはどういうことでしょう。
私は友人の思いを背負い、勝利を目指してここに来ただけであり、試合相手を殺めるために来たわけではありません。」
なるほどね、やっぱり駄目じゃないか、プレゼントマイク。
これからはキバタンマイク(雄英原産種)って呼ぼう。
「キバタンマイク先生、こりゃ謝ったほうがいいですよ。
さすがにさっきから選手紹介が雑すぎるぜ。」
『えぇ、ごめん……。
あとキバタンって俺の髪型ァ?!』
「そもそも、私が雄英の進学を希望したのは決して邪な気持ちではなく……。
多くの人々を救済したいと思ったからであり……。」
『だからごめんってば!
俺が悪かったからァ!』
「分かっていただけて、感謝いたします!」
し、しまらね~……。
さっきまでゴウゴウ燃えてた闘志もちょっと火力不足だぞ……。
けど、まるで聖女みたいな子だな。
髪といい名前といい『茨』ってのがそのイメージを強めてる。
「塩崎さん、一応俺はヤワじゃない。
この鋼鉄の、無敵のボディでお相手する。
全力でよろしく頼む。」
「もちろんです。
お互いによい戦いをいたしましょう。」
よっし、空気もいい感じに戻った。
『個性』もいまいちよくわからん相手だ。
加減はなしだぜ!
『と、とにかく第三試合!START!!』
といっても全力攻撃は流石に危険!
一気に接近して押し出し狙い!
「速攻で行く!」
ローラーの出力を全開にして、前へ出る。
その瞬間、塩崎さんの髪の毛が蠢き、伸びた。
そして、コンクリートを割りながら、何かが俺めがけて伸びてくる。
「遠距離系か!ならば!」
それも、シルエットからして恐らく『茨』なのだろう。
拘束系の話を聞いておいて助かった!
グラウンドパンチで『茨』をむき出しにしてやる!
「エルドラフィストォ!!」
思いっきり拳を地面に打ち付けると、会場に揺れが伝わる。
コンクリートはバキバキに割れて、『茨』を視認できた。
けどなんか多くない?!
思ってた以上に伸びてたんだけど?!
驚いてた隙に俺は腕にも足にも茨が巻きつけられてしまっていた。
『鐵、がんじがらめェ!!
俺をキバタンって言った罪は重いぜェ!』
あんたも罪人だろうが。
というかかなり巻き付けられてるな。
「お、重いッ……?!」
塩崎さんは粉々のフィールドに、『茨』を突き立ててバランスを保っていたようだった。
俺を持ち上げようと茨を操作しているのだろうが、彼女のパワーより、俺の重量の方が上のようだ。
そりゃいくら『個性』といえど植物。
どんな原理で運動してるのかは知らないが、このエルドラVを持ち上げるにはパワー不足にもほどがある。
「悪いな、アブソル―ト複合鋼は重いだろう!
それと、もし痛覚がその茨にもあるなら、拘束を解くことをお勧めするぜ?」
ちょっと、いやかなりの罪悪感とともに、俺はエルドラの出力を上げ始める。
「絶対に解きません……!」
ごめんな、けど俺にはこのやり方しか思いつかなかった。
強引に俺は茨を引きちぎっていく。
ブチブチと引きちぎれていく音を聞くと、心が痛む。
『鐵、強引に拘束を打ち破るゥ!
強力なパワーがなせる業ァ!』
引きちぎれるたび、追加の茨が迫ってくるが、俺は構わずズシンズシンと近づいていく。
そして、ついに塩崎さんの目の前まで来た。
「諦めません、まだ、諦めません……!」
続々と茨を繰り出している塩崎さんの顔は苦しげだ。
限界ギリギリを出してるんだろう。
だが、諦めないのなら仕方ない!
「エルドラキャッチ&エルドラキャリー!」
鋼の両手で塩崎さんの脇腹を掴んで持ち上げる。
これまた茨を強引に引きちぎりながら場外まで突き進み、俺は塩崎さんを場外に置いた。
「塩崎さん場外!鐵くん二回戦進出!」
勝った。
勝ったけど良心が痛むゥ……。
ミッドナイトの宣告とともに茨の拘束が緩み、長さも短くなっていく。
「あの、すまなかった。」
「何を謝っていらっしゃるのですか?
あなたは全力で戦ってくださいました。
そこに何の咎があるというのでしょう……。」
「髪引きちぎったし腹掴んだだろ?
全力で戦ってくれたから、あんまりこういうこというの良くないと思うけどさ。
髪は女の命っていうから、無理やり引きちぎったのはダメだったな、と。
けど俺力任せなやり方しか知らねェから……。ごめん。
髪は元通りになるのか?」
そう、女性扱いするのは失礼なのかもしれない。
ヒーローとして戦っていくんだ、こういうことはしょっちゅう起こるだろう。
けど、好き好んで髪の毛引きちぎられる子がどこにいるというんだ。
「えぇ、日の光と水さえあれば、自由自在に操れます。」
良かったァ!
こう、心配事がなくなるとすっきりするよな!
胸の中の重しが取れたような感じだ!
「そか、よかったぜ!
綺麗な髪だから、もったいないしな。
それに、いい『個性』だな。傷つけずに捕まえられる。
あんまし君のこと知らないけど、ぴったりだと思う!」
俺は本当に力任せ以外出来ないからな。
燃費のせいで短期決戦を意識せざるを得ないから、どうしようもない。
「ありがとうございます。
お優しいのですね。
二回戦も、ご健闘を……!」
おぉ。
対戦相手からエール貰えるのは嬉しいな。
感動的だ。
『あの~、そろそろ退場してくれません?
青春っぽいのはいいなだけどさァ~!』
「茶化すなッ!」
まったくやかましいキバタンめ。
何はともあれ、第一回戦突破だぜ!!
―――
「死ね、ナンパ男。」
「サイッテーですわ!不潔ですわ!」
観客席に戻ると罵倒された。
なぜ、どうして………。
泣きそうだ。
「なあなあ、鐵、連絡先とか聞いたのかよ?!
あの子、綺麗目だけどかわいい系も入ってたじゃん!
今度紹介してくれよ!」
「おいおい、ムッツリ鐵ぇ……!
どうだったぁ?!
腰つきどうだったよぉ?!触ったんだろぉ?!」
淫獣共に絡まれた。
俺は今罵倒されたことに傷心中なんだ。
そっとしておいてくれよ。
「なんで連絡先とかの話になるんだよ……。
あと感覚とか分かるわけないだろ、パワードスーツだぞ。
それに塩崎さんに失礼だ。
知ってたとしても言うわけないだろうが……。」
とはいえ無視するのもよくないので、ちゃんと答えるのだが……。
一体全体どうして連絡先の話やらナンパの話になるってんだ。
「女の子を気遣うなんて、戦い方以外も男らしいぜ!鐵!」
切島の評価が嬉しい。
お前はいいやつだよ……。
「いーや、あれは口説いてたね。
範太くんにはそうとしか見えなかったね。」
ドンマイくん、じゃなかった瀬呂は俺が口説いてたなんてひどいことを言う。
どこをどう見たらそうなるんだ。
「緑谷、俺が口説いてたように見えるってウソだろ?
何をどうしたらそういう話になるんだ。
対戦相手を気遣っただけじゃないか。」
「えっと、僕にもさっぱり……。」
「鐵くん、デクくん、そこは私が解説して進ぜましょう!」
麗日先生!お願いします!
「まず、女の子を気遣ったのと、『個性』と髪の毛褒めたでしょ?」
「おう、そうだな。当たり前だろ。
実際すごい人だった。」
「それだよ~!
女の子にやさしくしたり褒めたりしたら口説いてるようなもんだよ~!」
「うぇえぇぇぇ?!
なにがどうやったらそうなるんだ?!やっぱり意味が分からねぇ!」
もうびっくりしちまって何が何だかさっぱりだ。
飯田、助けてくれよ。
お前だけが頼りなんだよ。
今日だけで何回助けを求めたことか。
「もしかしてさ~、鐵ってかなり鈍感?」
「言わないで、三奈ちゃん。かわいそうよ、ケロ。」
もう何が何だか……。
あ、そうだ、飯田。
助けを求めてた飯田がいない。
「飯田はどうした?
もう、試合準備か?」
フィールドの復旧作業があるからまだ時間かかると思うんだが……。
いや、マジメな飯田なら早めに動くか。
「うん、飯田くん、すっごく張り切ってたよ!
あと、発目さんに話しかけられてた。
何か用事なのかな……?」
おぉ、そうか、飯田はサポート科のひとと試合だったな。
ちゃんと見ておこう。
結構気になってるしな、サポートアイテム!
そういや飯田、前から兄ちゃんにカッコいいところを見せたいって張り切ってたもんな……。
飯田の兄ちゃん、今テレビ見てるんだろうか……。
―――City side
「くっ、ヒーロー殺し!なぜこんなことをする!」
白いアーマーを着たヒーローが、倒れ伏しながら、刀を持った男に怒鳴りかける。
「貴様のような偽物を、贋作を粛正するためだ…ハァ…。
偽善者はいらない…。
正しき社会には、お前のような弱い偽物は不要だ…。
せめて、正しき社会への礎となれインゲニウム……。見せしめとして……!」
凶刃が振り下ろされようとした瞬間、烈火のごとく現れた男たちがいた。
「エル・グランアタック!」
赤いヒーロースーツを纏う老人が、ヒーロー殺しの顔面を蹴り飛ばす。
「おい、ネロ!焦るんじゃない!尻拭いさせるなよ!
ったく、おい、大丈夫か若造。」
青い服を着た男は、インゲニウムを気遣い、動けないインゲニウムを避難させる。
「ホセ、若造は無事か!
って、危ない!なにするんだこの悪党!」
ネロという男がインゲニウムに気を取られた瞬間、ヒーロー殺しは切りかかる。
しかし、それは阻止される。
今度は黄色い服を着た大男がカバーに入ったからである。
「ネロ、集中しろ!時差ボケがあるんだ、無理をするな。」
「バリヨ、助かった!カルロスは?!」
「そこまで連れてきてるよ、で、若造。
どうしてこんなことをする?」
三人の老人たちがヒーロー殺しに相対する。
「決まっている……。ヒーローを取り戻すためだ。
オールマイトのような本物を!
弱いヒーローや、偽善にまみれたヒーローなどいらない……。
徒党を組んでいるような、そこのインゲニウムもだ……。」
狂気、圧倒的に理不尽で独善的な思想、妄執。
しかし、その目には教信者的な熱が見て取れる。
ただこの老人たちは、臆することはなかった。
「若いな、若造……。」
「勇者とは、心と力の合体だ!」
「一人で強いヒーローなどいない。
当然、オールマイトだってそうだ。」
それぞれがヒーロー殺しを否定する。
「アイツは昔っからダメだった!」
「俺たちの正義講座を聞いてなければ今頃は死んでいた!」
「ソラヒコやナナにいつまでも心配されていた。
若造、よく聞いておけ。
人は学び、継ぎ、そして託す。
そうして心と心で合体することで強くなるんだ。
若造、やり直してこい。
罪を償って戻って来れば、お前も勇者になれる。」
どうやらこの老人たちは、妄言が過ぎるようだ、とインゲニウムは思った。
しかし、その顔を見ると、インゲニウムはウソだと思えなくなっていた。
「何を言うかと思えば……。
妄想が過ぎるぞ、老骨……!
動きを見るに歴戦の強者と思ったが、所詮は偽物。
だが、ここは退いてやろう……。」
マフラーを翻し、逃走を開始するヒーロー殺し。
それを見ても、老人たちは追わなかった。
「くっ、待てヒーロー殺し!」
インゲニウムは声を上げるものの、体の自由が利かないために、追う事は敵わなかった。
「無理するな、若造。」
「あぁ、命あっての物種だ。すぐに救急車がくるだろう。」
「さて、で、俺たちは何するんだっけ?
そうだ、俺たちの孫に会わなくっちゃな。」
「雄英に入学したんだろう?今頃は体育祭だ。」
「行くか!」
インゲニウムを放って置いて好き勝手に話をはじめる老人たち。
自由人にもほどがある。
「まだだ。まずはソラヒコとトシノリに会わねば。
巨悪がまた動き出している。」
「俺たちが会うのは因縁に決着をつけてからだ。
俺たちの弟子の願いだ。」
「それが父親の願いでもある、か。
仕方ない……。」
老人たちは、何かを決めたようだ。
インゲニウムは全くついていけてない。
完全に置いてけぼりである。
「若造、俺たちは行くべきところがある。
もう大丈夫なら行くが、大丈夫だな?」
「えぇ、助かりました。
行く前に、お名前を!」
「ネロだ!」「ホセ。」「バリヨ、あともう一人カルロスがいる。」
「俺たちはエルドラチーム!さらばだ若造!」
古き勇者が日本の地に帰ってきた。
巨悪との戦いの序曲が始まる。
エルドラチームが帰ってきたぞ!
色々書きたいですね、えぇ。