エルドラ―ドなヒーローアカデミア!!   作:捻くれたハグルマ

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遅れてすいまセロリ
遊戯王のパック剥いてたらいつのまにかこんな日になってました。
けどこれは勇者の秘密の作戦会議だったんだよ。




第二十話! 麗日お茶子 FIGHTING

 

 ミッドナイトの回復のため、試合は一時中断となっていた。

 俺は未だに、八百万さんがあんなに容赦のない一撃を加えたことに驚いていた。

 アドバイスをしたのは俺だが、主審を巻き込んでダウンさせるほどやれとは言ってないんだよなぁ……。

 

 それで、八百万さんにちょっと聞いてみたんだ。

 

 「結構ハデにかましてたけどさ、一体全体どうして?

 吹っ切れすぎじゃないか?」

 

 ってさ。

 そうしたら、彼女はにっこりほほ笑んで

 

 「私、昔から色んなものの構造や材質を研究してきました。

 もちろん、ヴィランが使うような武器も勉強しました。

 けど、私、人をあからさまに傷つけたりする兵器を作るのは気が進まなかったのです。

 私の『個性』は、たやすく人を殺めることが出来ますから……。

 ですが、もう構いませんわ。

 私を信じてくれるお友達がいますので!」

 

 なるほどなぁ……。

 彼女は彼女なりに『個性』にも悩んでいて、自分の中にルールみたいなのも持ってたんだなぁ……。

 俺はやっぱりこの人はすごいなって、心から感動したんだよ。

 

 そんで、この空き時間に、俺たちは六人組は一堂に会していた。

 麗日さんの控室にだ。

 

 「麗日くん!どうしたんだその眉間!」

 

 「シワシワじゃん、お茶子……。

 いつもの麗かさはどうしたよ……?」

 

 「お茶子さん……。」

 

 みんな麗日さんを心配してる。

 そりゃそうだ。

 だって対戦相手が爆豪なんだもの。

 ヒーロー名に「殺」っていれそうなぐらい殺意に満ち溢れてる男だぞ?

 怖えよ……ッ!

 

 「え?眉間??

 あはは……。緊張かな……。」

 

 「麗日さん、ヤバいと思ったら棄権するんだぞ?

 生きるための逃走は決して恥ずかしいことじゃない……。

 あの無差別爆撃機にも、一寸の情くらいはあるはずだ!」

 

 思わず俺は棄権を提案してしまう。

 だってアイツは絶対手加減しないもの。

 

 「鐵くん!爆豪くんだって嫁入り前の婦女子に全力の爆破は……。」

 

 「いや、飯田くん。かっちゃんの辞書に手加減なんてないよ。

 それに、みんな夢のために一番狙って全力出してる。

 かっちゃんじゃなかったとしても、手加減なんてありえない。」

 

 「やっぱそうだよなぁ……。緑谷せんせ……。」

 

 幼馴染の緑谷がこうはっきりというのだ。

 爆豪にはリミッターなんてもんはないだろう。

 麗日さんには無理してほしくないよなぁ……。

 

 「僕は、麗日さんに今まで沢山助けてもらってきた。

 だからさ、付け焼刃かもしれない。

 けど、『無重力』を活かしてかっちゃんに勝つ方法、考えてきた!」

 

 そういって、緑谷はあの「ヒーローノート」を麗日さんのほうに、ずいっと向けた。

 

 「おォ!緑谷の分析はかなり当てになるぜ!」

 

 「うむ!麗日くん!やったじゃないか!」

 

 「お茶子さん!ぜひ参考にいたしましょう!!」

 

 俺たちは総出で喜んだ。

 無策で、真っ向勝負で爆豪とやりあっても危険すぎる。

 けど、緑谷の分析と策があるなら、話は変わってくる。

 

 最初の屋内戦闘訓練で、緑谷は『無個性』の状態で爆豪の動きを読んで、戦いをコントロールしていた。

 それだけのデータと分析が緑谷の中にあるなら、爆豪に勝つことだってできるはずだと思った。

 けど、麗日さんは俺達とは全く違うことを考えていたんだ。

 

 「ありがとう、デクくん。でもいいんだ。」

 

 麗日さんはグッと手を握りしめながら語ってくれた。

 

 「私ね、仲いい人同士ならやりやすいからって、デクくんと騎馬戦で組んだんよ。

 けど、飯田くんが挑戦するって言ってて私気づいたんだ。

 デクくんがすごいから頼ろうとしてたかもしれへんって……。

 私、自分のことが恥ずかしいなって思って……。

 それに、響香ちゃんと百ちゃんのさっきの戦い見てね、私も一人で勝っていけるように……。

 成長しなくっちゃって思った。

 だから、いいんだ!」

 

 そう言い切った麗日さんの顔はとても眩しくて、強い人の顔だった。

 そして同時に、逆境の中で懸命にあらがって前へ進んでいこうとする、聖者のようだと思わされた。

 

 「決勝で会おうぜ……!」

 

 震える親指を立てて、無理やり笑って、啖呵を切る麗日さんを、俺たちは尊敬と応援のまなざしで見つめてた。

 根拠もないんだけど、彼女なら何かをやってくれるっていう予感がした。

 

 

―――

 

 

 第七試合、上鳴と芦戸さんの試合は上鳴の勝ちであっけなく終わった。

 相性が悪かった。

 芦戸さんの『個性』は『酸』。

 高濃度の「水素イオン」を含んだ液体を操る『個性』。

 対する上鳴の『帯電』は、電気をコントロールできるわけではないんだけど、電気を無差別に放電することが出来る。

 

 初歩的な化学の知識さえあれば試合展開は容易に想像がつく。

 電解質を含んだ水溶液は電気をよく通す。

 そして、『酸』はその電解質を含んだ水溶液の筆頭だ。

 当然、よく電気を通す。

 

 そして、電気には流れやすい方に流れていく性質がある。

 無差別に放電しても、『酸』を放出する芦戸に向かって流れていった。

 いくら運動神経がよかったとしても、電気をよけることはできない。

 

 こうして、上鳴の開幕ブッパで芦戸さんは敗北してしまったというわけだ。

 芦戸さんはエルドラを操る俺にとっては危険度が高い。

 王水レベルの強酸を出せれば装甲を溶かすこともできるし、もしできなかったとしても、装甲の隙間から酸を流し込まれるだけで致命傷になりうる。

 正直、芦戸さんの敗北は俺にとっては都合がよかった。

 

 さて、次は第八試合……。 

 爆豪VS麗日さんだ。

 あぁ、怖いなぁ……。

 けど、頑張ってくれよ!

 

―――

 

 『中学時代からちょっとした有名人!

 カタギの顔じゃねぇ……。

 ヒーロー科、爆豪勝己!』

 

 あのさ、爆豪だって一応ヒーロー志望なんだしさ?

 全国放送でそういう紹介やめない……?

 俺の注意に懲りてないのね?

 

 『俺こっち応援したい……。

 ヒーロー科、麗日お茶子ォ!』

 

 『私情を挟むなよ……。』

 

 おォ、もっといってやれ相澤先生。

 その方がきっといいと思う。

 

 「なぁ、緑谷。

 麗日さんの勝ち筋ってなんだ?」

 

 「速攻以外ないと思う。

 突っ込んで触ってしまえば浮かせるし主導権を握れる。

 それに、かっちゃんはスロースターター。

 長引けば長引くほど麗日さんは不利になる。」

 

 「ってことはさ。

 お茶子の開幕の行動って一択しかないよね…。」

 

 「そうですわね、響香さん。」

 

 「うむ、開幕の特攻……。」

 

 俺たちは麗日さんの初動を読めた。

 だからこそ、嫌な予感が襲う。

 

 

 「これさ、爆豪気づいてたらどうする……。」

 

 「かっちゃんはみみっちいから、僕たちとの屋内戦闘訓練を覚えてるはず。

 それに、彼は覚えもいいから、一度見た『個性』のことなら自慢の『爆破』で対処してくると思うよ。」

 

 「やばいじゃん!」

 

 耳郎さんの悲痛な叫びをかき消すほどの大音量が俺達を包んだ。

 始まりのゴングが、今、鳴り響いたんだ。

 

 『START!!!!』

 

 弾き出されたかのように、麗日さんは低姿勢で突っ込んでいく。

 

 

 「よし、それでいい!

 かっちゃんにバレていようが関係ない!

 事故でもなんでも触れてしまえばいい!それしかないッ!」

 

 緑谷は麗日さんの初手を「いい」と評価した。

 実際それ以外道がないのなら、おもいきって突っ込むのはビビるよりいい選択のはず!

 

 「爆豪さんは距離を取るタイプではありませんわ。

 ですから彼の選択は……。」

 

 「全力で迎撃する、だろうな。八百万くん。」

 

 俺たちは全力で試合を分析して予測していた。

 そして読み通り、爆豪は右腕を思いきり引き絞っていた。

 

 「爆豪の癖だよね、アレ。」

 

 「うん、かっちゃんはいつも最初は右の大振り!」

 

 「麗日がさらに沈み込んだッ!」

 

 避ける気なんだと気付いた時には遅かった。

 爆炎と衝撃波が麗日さんをすでに飲み込んでしまった。

 

 「ひえ……。もろかよ……。」

 

 「女の子相手に、容赦なしなんてね、爆豪ちゃん……。」

 

 峰田と梅雨ちゃんの嘆きは、俺達も通った道だ。

 気持ちはよくわかる。

 

 けど、彼女はこんなところで終わるタマじゃない。

 なぁ、そうだろ?

 

 「何か動いてますわ!」

 

 「上着じゃないか?!」

 

 八百万さんと、飯田が黒煙の中を微かに動くものを発見する。

 当然、爆豪もそれに気づいていて、さらに爆破を加える。

 だが、麗日さんの姿はそこにはなかった。

 

 「ブラフかッ!やるな、麗日さん!」

 

 「お茶子、やっちまいな!」

 

 『上着を浮かせて這わせたのか!

 よく咄嗟にできたなぁ!!』

 

 完全に爆豪の裏を取っての一撃だった。

 麗日さんのブラフに気づけた人は少ない。

 誰もが「決まった」、そう確信していた。

 

 しかし、爆豪は振り向きざまにかなりの威力の『爆破』を放ち、麗日さんを吹き飛ばした。

 

 「見てから動いてる?!」

 

 「あの反応速度なら、煙幕なんて関係ねぇわな……。」

 

 瀬呂と上鳴が爆豪の恐るべき反射神経に驚嘆する。

 見てから動けるってもレベルがおかしいだろ。

 人間の反射速度の限界ギリギリか、もしくはそれ以上だった。

 

 そして、麗日さんが雄たけびを上げながら突っ込んでいき、爆豪が爆破で弾き飛ばすという光景が何度も繰り返される。

 

 「爆豪、もしかしてそっち系の趣味が……。」

 

 峰田にそう言わしめるほど執拗に、爆豪の爆破が麗日さんに浴びせられる。

 麗日さんにはもう、意表をつける策がないのかもしれない。

 けど、こんな単純な戦法では爆豪に勝てないってことが分からないような愚かな人ではない。

 

 何かある。何かがあるはず。

 そう思って、大きな瓦礫一つもない、綺麗なフィールドを見る。

 ん?綺麗な……。

 

 「おい緑谷、瓦礫がない!

 いつのまに清掃業者が割り込んできたんだ?!」

 

 「かっちゃんは試合中ずっとステージごと爆破してた。

 瓦礫がないなんておかしい!」

 

 「勇雅、緑谷!上!!」

 

 おいおい……。殺す気か?

 俺たちが、いや会場中のほとんどの人たちが麗日さんたちの戦いに集中していたがために気づけなかったもの。

 麗日さんの決死の一撃が、武器が、上空に蓄えられていた。

 そう、爆豪が丹念にフィールドを削って作りだした相当数の瓦礫群が。

 

 「麗日くんは、このために一見無謀ともいえる突撃を繰り返していたのか?!」

 

 「キャパシティをオーバーする恐怖、そしてその反動を抑えながら、着々と準備していたのですね。

 お茶子さん、あなたのその勇敢さはとても素敵ですわよ!」

 

 クラスのみんなも続々と気づき始める。

 そして思う。

 これならあの爆豪すら落とせるんじゃないか、と。

 

 しかし、俺たちの期待とは裏腹に、会場からはブーイングが起き始めていた。

 

 「おい、ヒーロー志望のやることか?!

 そんだけ実力差があるなら、さっさと場外に放り出せよ!」

 

 とあるヒーローの一言は、俺達を怒らせるのに十分すぎた。

 けど、それに続く人たちがいた。

 

 「女の子いたぶって遊んでんじゃないよ!」

 

 もう、限界だった。

 それは、麗日さんの勇気も、爆豪の勝利へのあくなき執着さえも侮辱する行為だったからだ。

 

 「やかましい!

 何見てんだこのスカタン!」

 

 「アンタらがお茶子と爆豪の戦いに口出すんじゃないよ!

 馬鹿な大人は黙ってみてな!」

 

 「友人を侮辱し、神聖な戦いに水を差す行為!

 見過ごすことは出来ない!」

 

 「プロヒーローの名が泣きますわよ!低俗ですわ!」

 

 「かっちゃんも麗日さんも、勝ちたいから頑張ってんじゃないか!

 バカヤロー!」

 

 俺達はいてもたってもいられなくなって、思わず反論してしまった。

 これこそ、試合に水を差す行為なんだけどさ。

 

 「そうだ!バクゴ―はキツイ所あるけど、漢らしくて、いつも本気なんだ!」

 

 「お茶子ちゃんだって本気なのよ。女の子だからって弱く見ないで頂戴。」

 

 クラスメイトが口々に、プロヒーローを叱責する。

 そうだよ、俺たちは一緒に命がけでヴィランとだって戦ったんだよ。

 その仲間を侮辱されて黙ってられるような奴なんて、ウチのクラスにいるわけがない!

 

 『今遊んでるっつったの誰だ?

 何年目だ?素面で言ってるなら見る意味ねェから帰れ!

 帰って転職サイトでも見とけ!

 ガキに諭されねぇとわかんねぇのか、このド素人共!』

 

 相澤先生……。

 あんたって合理的とか何とかいうけどさ、案外生徒思いで、いい先生だよな。

 

 『爆豪はここまで上がってきた実力者を認めてるから警戒してんだろ!

 本気で勝とうとしてるからこそ、手加減も油断も出来ないんだろうが!

 麗日だってここまで上がってきた実力と勇気がある!

 俺の生徒を馬鹿にするんじゃない!』

 

 普段クールでドライな先生が放った熱い言葉とともに、先ほどまでフィールドを埋め尽くしていた黒煙は晴れていた。

 そして、そこに立つ麗日さんはボロボロだったけど、背中には闘志が溢れていた。

 俺たちはその瞬間を待っていた。

 

 彼女の勇気が作り上げた流星群が雲一つない空を切り裂いて、降り注ぐその時を。

 

 「勝ぁぁぁぁぁつッ!」

 

 麗日さんが観客席に響くほどの雄たけびと共に最後の一撃を放ちに行く。

 だが、俺たちの予想をもっと裏切って、麗日さんはさらに技を重ね合わせた。

 

 「あ、あの技は!緑谷くん!あれ!あの時のではないか?!」

 

 「うん、即興必殺彗星ホームラン!単独バージョンだ!」

 

 爆豪が上空に気を取られたその一瞬で、麗日さんはフィールドに残った瓦礫を浮かし、渾身の力で蹴り飛ばしたのだ。

 麗日さんの『個性』で浮かせたものは、質量は残る。

 つまり、瓦礫の弾丸はとてつもない衝撃力をもって、爆豪を襲う。

 上と横からの攻撃、完璧だった。

 

 しかし、爆豪が片手を上に向けた瞬間。

 俺たちは心の中で、嘘だろ、そう呟くしかできなくなっていた。

 

 流星群を真っ向から打ち破る、まるで火山の噴火のような爆破が天を穿ったからだった。

 数トンはあろうかという瓦礫群を消し飛ばす爆風は、麗日さんが蹴とばした瓦礫を押し返すには十分すぎた。

 万策敗れて、俺たちの麗日さんの勝利への期待はむなしく打ち破られた。

 

 『爆豪!麗日の秘策を真っ向から打ち破ったぁ!』

 

 「まだだ!麗日さん!」

 

 緑谷が身を乗り出してエールを送る。

 それに呼応するかのように、麗日さんはボロボロの体で爆豪へ向かっていく。

 だが、キャパはとっくに超えていて、彼女は倒れ込んでしまった。

 

 「お茶子、立って!」

 

 「立つんだ、麗日くん!」

 

 俺たちのエールはもう届かなかった。

 ミッドナイトが麗日さんに駆け寄って、そっと状態を確認して、

 

 「麗日さん行動不能!爆豪くん二回戦進出!」

 

 そう、宣言した。

 

 お疲れ様。

 君はよく頑張ったよ、麗日さん。

 今度は俺達の番、だな……!

 

 

―――

 

 

 俺たちはぞろぞろと観客席を後にする。

 俺、飯田、緑谷は控室に向かうのと、麗日さんの見舞いに行くために。

 耳郎さん、八百万さんは麗日さんを励ますために。

 

 俺たちが無言で廊下を歩いていると、爆豪と出会った。

 

 「おい、クソカス共!

 おめェら、アイツにカスみたいな捨て身の策教えたんか?!

 おい、クソデクゥ!どうなんだ!

 厄介なことしやがって!」

 

 緑谷は首を横に振って、

 

 「あれは麗日さんが自力で必死に練りだした策だよ。

 自分の経験すら力に変えてね。

 全部、彼女だけの力だ。

 もし、厄介だって思ったんなら、それは麗日さんが君を翻弄したってことだと思う。」

 

 そう力強く言い放った。

 緑谷は仲間のためとなるといつも勇敢で、爆豪に対してでも堂々と物を言いきることがある。

 俺たちの仲間はきっと今、悔しいに違いないだろう。

 早く見舞いに行ってやろう、そう思って俺たちは爆豪と足早に分かれた。

 

 

 「や~、負けてしまった!」

 

 ガチャリとドアを開けて、そこにいたのはいつもの麗かな麗日さんだった。

 俺たちみんなキョトンとしてしまう。

 あれ、思ったより大丈夫そう?

 

 「いや~、最後いけると思って調子乗ってしまったぁ、くっそ~!」

 

 「麗日さん、ケガは大丈夫?」

 

 「お茶子、傷跡とか残ってない?!」

 

 「うん、リカバリーされとるよ!切り傷とかは体力の兼ね合いで残ってるけど!」

 

 なんだろう、元気そうだ。

 けど、あんまりよくない元気さだ。

 インフルエンザで熱があるのに原稿書いてる人みたいな、危うさを感じる。

 

 「いや~、強いね、爆豪くん!

 もっと頑張らんとなぁ、私も!」

 

 「お茶子さん、本当に大丈夫ですの?」

 

 「うん、デクくんとか、みんな、先見据えてやってるもんね!

 負けたからって負けてられんよ!」

 

 『さぁ、ステージの復旧も終わってェ!

 次の試合が待ちきれないぜYEAH!!』

 

 プレゼントマイクの大きなアナウンスが響いて、左ブロック組の男子勢はあわただしく動き始める。

 

 「あ、僕もう行かないと!」

 

 「俺達も準備しなきゃな、飯田!」

 

 「うむ、正々堂々行かせてもらうぞ!」

 

 二回戦二試合目の俺たちはもう一組の控室に向かい、緑谷は直接ステージに向かって歩を進める。

 それを見た麗日さんが、気にしなくてもいいのに、わたわたと手を振りながら緑谷を気遣う。

 

 「あ、ごめんね?!私邪魔しちゃったね?!」

 

 「ううん、大丈夫!」

 

 「じゃあ、見とるね……。」

 

 なんだか、二人の世界って感じだ。

 そっとしておこう。

 

 「勇雅、飯田、百、ソロ~っと出るんだよ。」

 

 「合点だ。」

 

 「うむ、これも気づかいだな。」

 

 「承知いたしましたわ。」

 

 俺たちがコソコソ出ようとしてると、

 

 「いや見えとるから!聞こえとるから!」

 

 思いっきり突っ込まれちまった。

 流石関西の人だって言ったら怒られるんだろうけどな。

 

 さぁ、そろそろ出て、今は麗日さんをそっとしておいてやろう。

 悔しい気持ちを押し殺して、緑谷にエール送ってあげられるぐらい強い人でも、泣きたいときは泣いていいと思うから。

 

 

 さて、次は緑谷の試合……。

 情報のない相手にどう戦うのか……。

 見せてもらうぞ、緑谷!




強化された麗日さんでも爆豪に勝つこと能わず……。

この世界線のお茶子さんは、周囲に頭脳派がけっこういるのと、仲間が多いことから、普段の話し合いによって『個性』への理解度や戦術をつくるのが少し上手になってます。
仲間がいると成長できる、これもまた合体なのです。
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