エルドラ―ドなヒーローアカデミア!!   作:捻くれたハグルマ

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さて、主人公くんが倒れましたが、今後が気になるッ!


第三話! 勇者の目覚めとスポンサー?!

―――夢を、見ていた。

 どこか寂れていて、それでいて暖かい町の夢。そんな町の酒場で爺さんたちが酒を飲んで大騒ぎしている。

 「さすが、俺たちの孫だ!!まだまだ未熟だが、確かに勇者の戦いだった!」

 「甘やかすなよ、ネロ。ああやって相打ち覚悟の一撃は若いころのお前にそっくりだ!尻拭いはいっつも俺の仕事だった!」

 「なんだとホセ!!」「やる気か、この野郎!!」

 

 あぁ、ネロ爺さんとホセ爺さんがまた喧嘩してら……。懐かしいな……。

 「やめろ、二人とも。立派だったし、未熟でもあった。まだまだこれからだよ。しかし勇者はどんなピンチでも生きて帰らねばならないというルールを忘れていたのはいけないな。また正義講座を開かねば。」

 えぇ…。話長いんだよな……。好きだけどさ、爺さんたちの活躍聞くのは……。

 

 「そろそろ起きろ!勇者は一日にしてならずだ!」「また会えるさ。」「あぁ、寝るのはカルロスの役目だしな。」

 

 わかったよ。じゃぁ、俺はそろそろ行くよ。またな!

 「「「おう!!」」」

 

 

―――

 

 

 「知らない、天井だ……。」

 白いタイル張りの天井をベッドから眺める。生きてたんだな、俺……。

 「八百万さん、無事かなぁ……。」

 「鐵さん、目が覚めたのですね?!すぐ看護師さんを呼びますわ!」

 どたばたと大慌てでナースコールを押す八百万さんの様子はとっても元気そうだ。

 良かった……。戦った甲斐があったというもんだ。

 「心配しましたわ。もう一週間もずっと眠っていたんですわ。」

 「うぇ、一週間も経ってたのか?!マジか!」

 かなり驚いた。時間がないんだけどな、焦らないと。

 「一週間で済んで良かったレベルの大けがでしたわ。本当に、目が覚めてくれてよかった……。」

 八百万さんは泣きそうな顔をしていた。

 

 どうやら、俺は大分未熟者だったようだ。

 

 

 

―――

 

 あの後、お医者さんが来て、八百万さんは一時退室した。

 

 まず、俺の容体はというと、右腕を中心として体の前側に大きなやけど、それから、右腕はボッキボキに折れてたらしい。

 踏ん張っていた両足にもひびが入ってたとかで、全身がぼろ雑巾状態らしかった。

 幸い、あの場にいた八百万さんが適切に応急処置をしてくれたのと、本当に偶然リカバリーガールが俺が担ぎ込まれた病院に出張していたおかげで、なんとか助かったとのことだ。

 けど、傷跡が右腕と胸辺りにバッチリ残るらしい。贅沢は言えない。

 それと、八百万さんにはお礼を言っておかないとな!ありがとう!

 

 心の中で感謝を述べていたら、今度は警察の人が来た。

 まぁ、アイテムの使用許可とか持ってない状態で思いっきりヴィランぶっ飛ばしたから、何かしらのお叱りはあるだろうと思っていた。

 警察曰く「勇敢な行動は称賛に値するが、ルールを破ったことと、自分を犠牲にしてしまうことは感心しない。ヴィランも大けがではあるが、今は意識も回復しているため、おとがめなしということにしておくが、今後このようなことはないように。」とのことだった。

 甘んじて受け入れるしかない。俺がやったのはしょせんヴィランと変わらない。「殴って倒す」ことだけだった。真の勇者ならば、「悪を討って心も救う」ことが出来る様にならなくちゃいけない。

 頑張ろう!

 

 

 

 

 

 

―――

 

 

 あの方が目覚めて本当によかったですわ。

 あの戦いの直後、あの方は倒れてしまい、私は無我夢中で医薬品を『創造』して応急処置にあたりました。

 もし、目が覚めてくれなかったら……。私はお礼も言えなかったところでした。

 この一週間、毎日お見舞いに来ましたが、ずっと不安だったのです。

 あの方のお話が終わりましたら、たくさんお話しがしたいですわ。

 それに、お父様からの「提案」の話も進めませんと……。

 

 

 

―――

 

 

 長話が終わって、ベッドの上で今後のことを考えていると、八百万さんとご両親らしき人が入ってきた。

 「あ、スミマセン。お待たせしてしまって。何か……飲み物でも用意しましょうか?」と、出来る限り気さくな感じの笑顔で応対する。

 「私がご用意いたしますわ!鐵さんはまだけが人なんですから!お父様とお母様もお待ちになってくださいな!」

 なんかプリプリしてて可愛いな。いっつも気張ってるところしか見てこなかったから、なんか新鮮だ。あと、やっぱりご両親だったのね。

 「あ、ありがとう。その、応急手当の件も。君がいなかったら、俺、死んでた。あの、ご両親も、その、ご息女は大変立派な人だと思います。本当に、ありがとうございました。」

 ベッドの上からではあるが、八百万さんとご両親に頭を下げる。

 顔を上げると、八百万さんはなんだか暗い顔をしていた。なんでだろう。

 

 「鐵さん、まず、お詫びをさせていただきませんか。」

 「へ?」

 「私、あの日、あなたを憐れんでいました。それも、どこか上から。『個性』がないからヒーローになるのは難しいだろうって。それが可哀想だって。私は……。本当に申し訳ありませんでした。」

 「実際……。その通りだと思う。全然気にしないよ。」

 「そのうえでお礼を。あの時、足がすくんで動けなくなっていた私を、救ってくれて、本当にありがとうございました。感謝してもしきれません。あの時のあなたは、かっこいいヒーローでしたわ!誰よりも!!」

 

 衝撃的だった。俺は未熟だったかもしれない。けど、俺はなれたんだ。彼女にとっての、勇者(ヒーロー)に!

 感極まって涙があふれ出てきてしまった。

 「俺を……!ヒーローにしてくれてッ!ありがとう……!」

 俺は泣きながら彼女に感謝することしかできなかった。

 

 

―――

 「お見苦しいところをお見せしました……。」

 めっちゃ恥ずかしい。女の子とその家族の目の前で三分ぐらい大泣きしてしまうなんて一生の恥だ。

 「いえいえ、娘のことを守ってくれてありがとう。紹介が遅れましたね。私は 八百万 京兆(やおよろず けいちょう)。この子の父です。」

 「私からも。本当にありがとうございました。母の八百万 造(やおよろず つくり)と申します。」

 「あ、ご丁寧にどうも……。鐵 勇雅です。八百万さんとは、クラスメイトです。」

 すごく品のよさそうなご両親だ。まぁ、八百万さんの日々の様子からすりゃ、特に驚く要素がない。納得だ。

 京兆さんはビッチリ黒い髪を撫でつけて、目元はきりっとした長身の男の人だ。ちょっと八百万さんに似てる。造さんは深窓の令嬢といった感じの和風美人で、今日は和服を着ていた。八百万さんのあのプリプリした感じはたぶんこの人からなんだろうな……。

 

 「存じ上げてますよ。鐵くん。少々、調べさせてもらいました。申し訳ない。身長190センチ、体重88キログラム。年齢は今年で十五歳になる。黒みがかった深い赤髪にオレンジ色の瞳をした好青年。『無個性』でヒーロー志望。素行成績ともに申し分なく、若くしてサポートアイテムの開発の実績あり。ご両親はすでに他界され、保護者のおじいさま方も現在は不在。一人で生活をしている……。あっていますね?」

 なんだこのオッサンこわい!個人情報が駄々もれなことに恐怖するものの、お金持ちだし、娘さんのことが心配で調査したのかな?

 

 「えぇ。そうです。あってます、ハイ。」

 「一つ、ご提案があります。我が八百万財閥であなたのヒーローへの夢をサポートさせていただけませんか?」

 

 サポート。それも一大企業のもの。これは非常にオイシイ話だ。けど……。

 

 「もし、それがご息女を助けてもらったお礼、というのであれば、お断りさせていただきたく思います。」

 「それは、どうしてかしら。自画自賛するようだけれど、八百万財閥の技術は最高峰クラスよ?」

 造さんから疑問の声が上がる。

 「だからこそです。それは勝ち取らなければいけないもの。俺はそういうものを勝ち取りたいから八百万さんを助けたんじゃありません。俺が助けたかったから助けたんです。」

 京兆さんは少しびっくりした様子だったのが、納得したのか、薄く笑みを浮かべた。

 「君は調べ通り、とても実直で素晴らしい子だ。確かに娘を救ってくれた感謝の気持ちはある。けどそれ以上に、次世代のヒーローを育成するのが、私たちのような『持つ者』の義務だと思っている。」

 「次世代の育成ですか……?」

 「そう。君には次世代のヒーローとなれる素質を感じた。いわばこれは投資だ。そしてそれが社会に還元されることを願っている。オールマイトですら永遠ではないのだから。投資は資本家の基本業務だよ。」

 「俺は、あなたのお眼鏡にかないますか?」

 京兆さんに問いかける。これは最終確認だ。

 「あぁ、もちろんだとも。愛娘が君をヒーローだと認めたんだ。娘の判断と、私の判断が一致したとき、失敗したことは一切ないよ。」

 京兆さんはにっこり笑って、こちらに手を差し伸べる。

 

 「よろしく、お願いします!!」

 俺は力強くその手を握った。

 

 

 俺の、勇者への歩みは、ここから急激に速まっていく。頑張るぞォ、俺!!!




八百万さんの両親と勇者爺たちの登場でした。

実際、ヒロアカ世界でオールマイトの後の時代を考えていた人ってほとんどいませんよね。
エンデヴァ―ですら、オールマイトを超えることを息子に課そうとしていたくらいですから、今後オールマイトを超えるようなニュービーが現れるとは思ってなかったんでしょうかね。
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