とある世界のとある一幕   作:chee

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楽紅プロポーズシチュの紅音視点。

時系列としては楽郎と紅音が付き合っていて楽郎が大学卒業前くらいです。


一生記憶に残るプロポーズ

ーーー紅音、大事な話があるんだ。

 

 

 

楽郎さんがそう切り出したのは昨日の事。その楽郎さんを私は今テレビの画面越しに見ている。

 

テレビの生放送を見ていて「この日本のどこかのテレビ局で本当に今この人たちが動いてるんだなぁ」なんて考えたことはあったけどその時はなんだか現実感が無くて、自分の知り合いが出ているとやっぱり違和感を感じる。

 

 

『VR格闘ゲーム総合世界大会GH:Cの部個人戦決勝第3試合!!その開戦の火蓋が切って落とされました!!!』

 

 

画面の中での楽郎さんの姿は普段私に見せてる来鷹大学4年生の陽務楽郎ではない。魚臣慧(オイカッツォさん)の友人の覆面アマチュアゲーマー顔隠し(ノーフェイス)。それが今の楽郎さんだ。

 

対戦相手はシルヴィアさんというアメリカ最強らしいプロゲーマーの女の子。準決勝であのオイカッツォさんを打ち倒したとてつもなく強いプレイヤーさんだ。

 

でも、楽郎さんの強さも、私は知ってる。

 

 

「頑張れっ……!!!」

 

 

まだ本人たちは様子見程度であろう戦いでさえ見ているだけで握りこぶしに力が入る。

 

画面の向こうの楽郎さんにせいいっぱいの“頑張れ”を送りつけながら、私は昨日の楽郎さんとの会話を思い出していた。

 

 

 

ーーー俺、もうすぐ大学卒業だろ?で、その先の就職なんだけど……プロゲーマーになろうと思っているんだ。実はもう伝手で声もかけられてる。

 

 

ーーー前からプロの助っ人みたいなことはやっててさ、将来はそのチームに正式に所属して働いて行こうと思ってるんだ。

 

 

 

楽郎さんの突然の告白。

 

すごい!!!っていう気持ちでいっぱいになった胸がドキドキして、“将来”っていう言葉がやたらと染み渡った。もちろん、私は応援する。するに決まっている。

 

その場で動画も見せてもらった。楽郎さんが数多のプロがのさばる世界でどんな戦いを繰り広げてきたのか。その軌跡を楽郎さんに教えもらった。

 

その動画の一番最初。楽郎さんが初めてプロの舞台で戦った試合の、その対戦相手。その時はギリギリの戦いで負けてしまっていたけど、楽郎さんも強くなってる。今日も負けるとは限らない。

 

 

『No Face!!今日はやたらと気合が入ってるじゃナイ?』

 

『当たり前だろっ!!』

 

『イイネ!そうこなくっちゃ!!』

 

 

楽郎さんの操作する鎧武者とシルヴィアさんの操作するヒーローは大きく街を巻き込みながら激しい戦いを繰り広げていて、その速度がどんどん増していく。楽郎さんの鎧武者は画面にワンカット映るごとに若干ずつ見た目が変わっていて、どうやら一瞬一瞬で装備の取捨選択をしているらしい。瞬間的な判断力に優れた楽郎さんにしかできない芸当だ。

 

だがそれで完全に追いつけるほど全米一(シルヴィアさん)は甘くない。まだ楽郎さんには必要な最後のひと押しがある。そしてそれは街が破壊されるたびに着実にたまっていて…………

 

 

「溜まった……!!」

 

 

『行くぜ、シルヴィア』

 

『イイヨ。行こう!ドコまでも!!』

 

 

 

「『超必殺(ウルト)発動ッ!!!』」

 

 

 

弾け飛ぶ楽郎さんの鎧。その内から現れたのは真紅の凶星。楽郎さんの本領とも言えるスピードの権化。

 

膠着は一瞬。楽郎さんがさっきまでの高速戦闘なん屁でもないって言うようなスピードでシルヴィアさんに飛びかかる。

 

 

『……くはっ。イイ、イイよ!!プリズンブレイカー!!!』

 

『今すぐ……お前を……そこ(世界一の座)からッ……引きずり下ろしてやる!!!』

 

 

楽郎さんが殴りかかればシルヴィアさんは壁や電柱を蹴って逃げ回り、虚空を蹴って反撃に出る。対する楽郎さんは空を高速で這い回るように避け、再び攻める。

 

さっきまでは劣勢だった空中戦だったが、脱獄(プリズンブレイク)以降は5分以上に戦えている。お互いに体力が減っていくが、楽郎さんのほうが手数が多い!

 

6:8だった体力比が少しずつ縮まっていく。

 

……5:6

 

解説の人も絶句してしまうような高速戦闘の中で。

 

……4:5

 

観覧席のオイカッツォさんも呆れ笑いを浮かべてしまうくらいの極限の戦闘の中で。

 

……3:3

 

私が初めて見届ける楽郎さんの試合の決着がつこうとしている。

 

……2:1

 

脱獄(プリズンブレイク)残り7秒!!

 

 

そして天翔た2つの星が……衝突した。

 

 

「ッ……!!」

 

 

激突の一瞬、相手のスタンを勝ち取ったのは……

 

 

 

『Hey!NoFace!!Do you know who is the master of the sky?(この空が誰のものか知ってる?)

 

 

 

……ミーティアス。

 

 

 

『Star Road!!!!』

 

体の自由を奪われた楽郎さんへの怒涛の追撃。残り少ない体力は一撃のパワーが小さいスピード特化のミーティアスの攻撃でも確実に削られていて、それが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『くっ……!!』

 

『これが!アナタのなし得なかったワタシ流()()()()!!』

 

背中から地面に落ちてしまった楽郎さんにシルヴィアさんが()()()()()()()を取る。

 

 

超必殺発動(MeteorStrike)!!!』

 

 

『俺はッ……負けられねーんだよぉッ!!!!!』

 

 

 

その時、シルヴィアさんじゃない()()が楽郎さんに向かって飛んできた。

 

 

 

 

 

 

ーーーどうしてこんな話を急にしたかって言うとな、明日の試合を見てほしいんだ。お前に、どうしても。

 

 

 

ーーー俺は絶対に明日勝って世界一になってみせる。"()()"する。だから、その時は…………

 

 

 

 

 

 

身体の自由を失ったはずの楽郎さんが立ち上がる。()()()姿()()

 

 

 

 

『確かに、空中戦じゃまだお前に敵わないかもしれねぇ。でもな、俺は今日今までの人生で一番重いもん背負ってここにいるんだ!!だから……ぜってぇ負けねぇ。この足踏ん張って、お前に勝つまで立ち続ける。そう“()()”したんだ!!』

 

 

 

 

 

 

ーーーその時は、俺と、結婚してくれ。

 

 

ーーー返事は、明日世界一になったら聞く。

 

 

 

 

 

 

『堕ちろォ!!ミーティアスッ!!!!』

 

 

既に直線を描いて楽郎さんへと向かってきた流星を……真横から蹴り飛ばした。

 

『くぁッ……!!』

 

ミーティアスの超必殺(ウルト)の発動条件は飛び蹴りの着弾、その接触の瞬間。本来なら当たったであろうその一撃は、再逮捕によって硬直抜けした楽郎さんによって叩き落された。

 

そして残り少ない体力のシルヴィアさんが吹っ飛ばされて……

 

 

……そのままHPが全損した。

 

 

 

「~~~ッ!!!!」

 

 

 

KOという無機質な文字列に画面内からワァーーーーっ!!!!という会場の大歓声が沸き上がってくる。

 

……勝った!!楽郎さん勝ったんだ!!!

 

昨日私に宣言したとおりに本当に世界一になってしまう楽郎さんの疲れ切った姿がどこまでもかっこよくて。約束したとおりに勝った楽郎さんに胸がいっぱいになった。

 

 

 

温かい、涙がこぼれてくる。

 

 

 

インタビュアーさんが楽郎さんに近づいて行って、優勝者インタビューがその場で始まる。

 

 

そして、楽郎さんはその場でおもむろに仮面を外してどこかに電話をかけ…………

 

 

唐突に鳴りだした携帯電話を、私はすぐに取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅音!!!この賞金で指輪買って帰るから俺と結婚してくれ!!!!」

 

 

「もちろんです!!!!」




楽銀で使いたいセリフを大分使ってしまったが……その分盛り上がりが増したと思ったので満足です。

……楽紅なのに紅音より銀金の方がセリフ量多いのはご勘弁。

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