とある世界のとある一幕   作:chee

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サ゛ミ゛ー゛ち゛ゃ゛ん゛さ゛ん゛ん゛ん゛!!!!!!!!!!




もし彼女たちが生まれ変わって再び出会うことがあれば、そんな日常を過ごしてほしい。そう思って書きました。

現代転生を果たしたウィンプとサミーちゃんさんの短編です。


今度こそ、今度こそ。

いつも、同じ世界を夢に見る。

 

 

夢の中の私は一匹の巨大な蛇。

 

そして隣にはいつも『彼女(・・・・・)』がいる。

 

彼女(・・・・・)』から生まれ落ちて。

 

彼女(・・・・・)』と共に生きて。

 

彼女(・・・・・)』と共に笑って。

 

彼女(・・・・・)』のために散った。

 

 

そんな夢を見るんだ。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「……ちゃん…………サミーちゃん?」

 

 

自分を呼ぶ声に我に返る。

 

視線を声の方に向けると、私の顔のすぐ正面には私の幼馴染の少女の顔。この子は「ウィンプ(弱虫)」というちょっと残念なあだ名を小学生の頃に語感でカッコイイと感じて自ら使いはじめてからやけに気に入って今日まで使い続けているちょっと変わった子だ。

 

ちなみにサミーちゃんっていうのは私の事だ。名前の「兎見(うさみ)」からとってサミーちゃん。自分でも割と気に入っている。

 

「……ごめん、どうした?」

 

「サミーちゃん、ちゃんときいてた?」

 

「うん。聞いてるよ」

 

「うそつけ……」

 

 

教室の窓際隅っこ。私とウィンプの特等席。人の多い時間帯の登下校を嫌う彼女と私がいつもちょっと早めに学校に来てここでおしゃべりをするのが毎日の日課だ。

 

彼女が人目を苦手とするのには理由がある。外国の血の混じった彼女の白髪赤目は周囲からどうしても奇異の目を集めてしまう。私からしたらその純白のツインテールはこの世の何よりも魅力的だが、集める視線がいいものだけではないということを私はずっとこの子の隣で見てきた。

 

 

……そういえば、いつもの『()』にでてくる『彼女(・・・・・)』がウィンプにそっくりな見た目をしていたっけ。

 

 

「……ねぇ、サミーちゃん絶対聞いてないよね」

 

「……あぁ、うん。聞いてる聞いてる」

 

「うそ。絶対に今ぼーっとしてた」

 

「あはは……ごめんごめん」

 

かわいらしいジト目ウィンプの頭を撫でる。するとすぐに凛々しかった表情が蕩けて「うゔうゔうゔ」っていう変なうめき声が漏れ出した。……それどこから声出てるの?

 

 

「はい、お詫びにこれあげるから許して」

 

「あー」

 

「ほい」

 

「んむぐっ!?」

 

カバンから取り出したチョコ菓子を一口ウィンプの口の中に放り込む。しかしチョコ菓子は唇に弾かれて机に落ちた。

 

「ちょ!?サミーちゃん雑!!」

 

「はい、もいっこいくよー」

 

「ちょっと待って!?」

 

「ほい」

 

「ん!?んむぅ~~!!」

 

今度はしっかりとウィンプの口の中に押し込む。どこか不満げな目で訴えてくるが、すぐに口の中のチョコに意識を集中させていた。ウィンプ、これ本当に好きだもんね。

 

口の中のチョコ菓子を必死で味わうウィンプを横目に、私も一粒口に含んだ。うん。美味い。

 

「で、何の話してたんだっけ?」

 

「ふぇふぁふぁふぁふぁふぉふゅふぇふぉふぉふぁっふぇふぁふぁふぃ!」

 

「……全部食べ切ってからでいいよ」

 

「……!!」

 

必死に口の中の菓子を味わいながら胃に流し込む。その表情があまりにも真剣過ぎて笑ってしまいそうだ。

 

 

「だから、今日また()()()を見たって話」

 

 

()()()

 

私もよく見る一人の少女と一匹の蛇の夢物語。

 

私達の誰にも理解してくれないもう一つの共通点。この夢を、ウィンプもよく見るのだ。……まぁ、夢の中で私が蛇なのに対して彼女は少女の方なのだけれども。

 

「……で?今日はどんな内容だったの?」

 

「今日はね、料理してた」

 

「料理?」

 

「そう。あの子(・・・・・・)が野菜を持ってきてくれて、ひたすら私が皮をむくの」

 

「……皮むきだけ?」

 

「皮むきだけ」

 

「なんで?」

 

「わかんない」

 

ちなみに、ウィンプは地味に料理スキルが高い。そんなウィンプが夢の中でひたすら皮むきさせられているのってなかなかに面白いな。

 

「でも、楽しそうじゃん」

 

「うん。楽しかった」

 

この子が見た夢の話を自分の夢の世界に置き換えて想像してみる。蛇の私が『彼女(・・・・・)』にひたすら野菜を運んで、皮をむいてるところを見続ける。うん。やっぱり面白そうだし、楽しい。

 

 

「……でも、やっぱり最後はつらいね」

 

「……また?」

 

「うん」

 

 

さっきまでチョコに目を輝かせていたウィンプの表情が曇る。

 

ウィンプの見る夢のその最後。いつも見るその結末。ウィンプの慕うその()がウィンプを守ろうとどこかに行ってしまい、そのまま帰ってっこなくなってしまう。夢の中のウィンプは「いかないで!!」って叫ぶのだけれどその声は聞き入れてもらえなくて、結局彼女が一人になってしまう。

 

「……何度も見た夢だけど、やっぱりいつまでも慣れない」

 

「それだけ、その子()が好きだったんでしょ」

 

「うん。そうだと思う」

 

そう言って諦めたような笑いを浮かべたウィンプの顔が、夢の中で私がいつも見る別れ際(私の散り際)の『彼女(・・・・・)』の泣き顔にどうしても結びついてしまって。

 

私まで胸が痛くなる。所詮は他人の見た悪夢の話。だけどどうしても私は自分のことのように感じてしまえて。この子を、『彼女(・・・・・)』を、こんな顔にさせてしまった夢の中の()に怒りすら湧いてくる。

 

 

「……ねぇ、サミーちゃん?」

 

「なに?」

 

「サミーちゃんはどこにも行かないよね?」

 

 

ウィンプの今にも泣きだしそうな顔。その目の奥に見える不安は、あまりにも直接私の心に刺さった。

 

 

「当たり前でしょ!もう絶対離さないもんね!」

 

「ちょっ!くるしい!サミーちゃん今は離して!他の人にも見られてるから!!」

 

「やだね」

 

「サミーちゃん!?」

 

 

思いきり抱きしめたウィンプの頭がうめき声を漏らすけど気にしない。こうやって私の中にウィンプがいると、私もこの子もとても安心できるから。

 

そして、二度、三度、何度でも誓い直す。もう絶対にこの子を一人にしないと。(今回)は絶対にこの子の側に居続けて、私の力で守り抜いてみせると。

 

夢の中に出てくる()はきっと馬鹿だ。どんなに強大な相手がいたって二人でいる方が心強いに決まっているのに。

 

こうやって腕の中にいてくれるだけでこんなにも安らぎと勇気を与えてくれる。

 

 

もう、私達の仲は誰にも引き裂かせない。

 

 

それだけ、私はウィンプ(ごしゅじん)の事が大好きなんだ。




JKサミーちゃんさんのキャラ……??

ウィンプすら難しいのにJKサミーちゃんさんあまりにも難しくないです?

だとしても、この二人が再び出会て平凡な日常を過ごす。そんな未来はなきゃだめだなと思いました。まる。


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