白銀の精霊使い   作:紅凛

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なんだかんだ次回でついに二桁の話数になりますね。意外と早いなぁ…
というわけで第9話、どうぞ!


第9話  「旅立ち」

 リョウヤと出会った翌日、私達は早々に旅立ちの準備を整えていた。

 それはなぜか?それは昨日の夜に遡る―――

 

 (まずいですまずいですまずすぎます…!)

 

 夕食を終え部屋に戻った私。先に眠ってしまったフラメアの隣で私は焦りを隠せずにいた。

 原因はもちろん先ほどの会話、幸い隣にいた少女には聞こえていなかったようだが私にはしっかりと聞こえてしまっていた。

 

 「あの人…白峰碧と、そういってましたよね…」

 

 白峰碧、つまり私。彼はおそらく確信があって言ったわけでは無いのだろう。しかし、だとしても私が白峰碧本人かもしれない、という疑問はもたれた可能性がある。

 

 「少なくとも私が精霊使いだということもフラメアが精霊だということもバレてはいません…となれば…」

 

 バレる前に旅立つに限る。そう決意した。

 そして今に至る。早朝にフラメアを起こし、すぐに準備をする。あまり長居していると勇者が探しに来る可能性もあるからだ。こういう時、アイテムボックスに入っていたテント設営キットが役に立つ。

 

 「よし…こっちは準備できたよ、碧ちゃん」

 「私も問題ありません。それじゃあ行きましょうか」

 「ちなみにどこに向かうつもりなの?」

 「あ…」

 

 全く考えていなかった。旅立つことしか頭になかったので具体的にどこを目指すという目的は一切考えていなかった。

 

 「あはは…何も考えてなかったんだね」

 「すみません…焦りすぎてました」

 「そうだね…まずはラルゴ王国を目指す?」

 「あ~…そうですね」

 

 獣人国ラルゴ。このアルフィナ王国の隣国であり、その名の通り獣人が住まう国だ。都市のほとんどは森に覆われており生物が多く生息しているらしい。

 

 「でも、人間が獣人の国に入ってもいいんでしょうか?敵対とかされませんか?」

 「昔はあったらしいけどね。今は普通に他種族との交流もあるよ」

 「そうですか…ならよかったです」

 「まあ、それでもモンスターは多いから気を付けたほうがいいけどね」

 「ははは…ですよね」

 「それで、すぐに出るの?」

 「もちろんです。バレてからじゃ遅いですから」

 「そうだね。それじゃ、行こっか」

 「はい」

 

 そうして私達は王都ラヴィニアから旅立ち、まずはラルゴ王国の中にある都市の一つ【ヴェリア】を目指すことにした。

 それから数日たったある日、私達は早速困難に遭遇していた。

 

 「ここ…どこですか?」

 「どこだろうね…」

 

 そう。迷ったのである。不運なことに森の中には深い霧がかかっており、初めてこの土地に来た二人を迷わせるには十分だった。

 

 「こんな霧がかかってたら目的の場所にたどり着けるか怪しいですね…」

 「そうだね…一応魔法で照らしてるからお互いに位置はわかるけど…」

 

 現在、二人は仕方なく炎で辺りを照らしているが、それでもお互いの姿以外ほとんど何も見えない状態だった。

 

 「地図もここではなぜか機能しませんし…」

 

 私は手元の地図を見る。普段なら自分の位置が表示されるのだが現在はその表示はなく、地図がただ表示されるだけだった。

 

 「どうしよっか…流石に下手に魔法を撃つわけにもいかないもんね…ここ、一応森だし…」

 「そうなんですよね…」

 

 ここが森ではなくただの迷宮のようなものなら魔法を放ち、壁の有無を確認しながら動くことができるが森は違う。炎魔法しか使えない私達にとっては森を燃やしかねない行動は取れそうに無かった。

 加えて、魔術を使おうにもその鍵となる詠唱を私は知らない。どうしたものか…

 と、そんなことを思っていると突然、悲鳴が聞こえてきた

 

 「誰か…助けてっ…!!」

 「「っ!?」」

 

 霧の奥から聞こえた悲鳴に私達は顔を見合わせる。こんな霧の中、悲鳴が聞こえるなんて普通ではありえない。となれば可能性は2つ、悲鳴の主が本当に危機に会っているか私達を陥れるための罠か、だ。もし危機に会っているなら助けてあげたいけどもし仮に罠だった場合私達に何が起こるかは想像がつかない。

 

 「碧ちゃん」

 

 私が考えていることを察したのだろう。フラメアは歩みを止めて私の目をしっかりと見る。そこには揺るぎのない決意が感じられた。

 

 「…罠かもしれないんですよ?」

 「それでもだよ。それに、この霧の中、逃げられる保証もないでしょ?だったら声の方向に行って、危機に陥っているかもしれない子を助けてあげないと!」

 「…まあ、それもそっか」

 

 正直、フラメアのいう通りだ。自分たちがどこにいるかもわからないこの現状、闇雲に歩き続けるより悲鳴の聞こえたほうに向かってみるほうが霧を抜けられる可能性がある。

 もし、仮に罠だったとしても私とフラメアならきっと抜けられる。そう思い、私は頷く。私が頷くのを見るとフラメアは悲鳴の聞こえた方に走っていく。

 

 「碧ちゃん!悲鳴が聞こえたのはこっちだよね?」

 「はい。さっき確かにこっちの方から聞こえました」

 「よし、なら行こう!」

 「霧が深いことには変わりありません。急がなければいけないのはわかりますが私達がはぐれないようにするのが一番ですよ」

 「もちろん!」

 

 そんな会話をしつつ、私達は炎を頼りに悲鳴の聞こえたほうへと走っていく。すると、すぐにその悲鳴の主の元へとたどり着くことができた。

 そこにいたのは淡い紫色の髪を後ろでまとめ、赤い瞳をした11~12歳ほどの少女、しかし、見つけたのは彼女だけではない。それは彼女の目の前に今にも襲いそうな雰囲気を出す3匹の不定形の()()がそこにいた。




少女「(叫んでも誰も来ない…)」
何か「■■■■■(早く来ないと襲うぞ…?)」

二人が微妙に迷っている間、律儀に待っていてくれる不定形の何か達。…意外と優しい?
次回もお楽しみに!

UA500突破記念は誰の話がいいですか?

  • やっぱり主人公の碧でしょ!
  • 精霊のフラメアかな
  • 龍夜の話をもっと見たい!
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