第10話、どうぞ!
私達が悲鳴の元に行くと、そこには一人の少女が3匹の不定形の何かに囲われていた。
幸い、その何かはこちらには気づいておらず全員がその少女の方へ向いている。奇襲するなら今だろう。
私はすぐに炎の矢を複数イメージし、魔法を作り上げる。以前のスライムのように爆発をさせてはいけない。今回は私達だけでなく少女が近くにいるのだから。加えて、外してもいけない。森を燃やす可能性があるから。
そして生み出される6本の炎の矢。相手がどの程度の強さなのかわからない今、1匹に1本だけでは足りないと判断した。
「―――放って!」
私のその言葉に応じるように炎の矢は不定形の何かに向けて飛んでいく。彼らはその矢に気づき、逃げようとする。しかし、さすがイメージを反映する魔法といったところか。
「■■■■■■■ッ!!!」
6本の矢は逃げ惑う不定形の何かの胴体と頭らしき場所を射抜き、そのすべてを燃やし尽くす。
そして、数秒経たずで彼らの命は絶え、そこには黒い結晶が3つ落ちていた。
「大丈夫ですか?」
「あ…はい…助けていただいたので…」
木に寄り掛かるように座り込む少女に私は手を差し伸べる。
「私はアオイ=シラミネと言います。そしてあっちにいるのが…」
「フラメアだよ。…それで、君の名前は?」
「私はフィーアって言います。えっと…助けていただいてありがとうございます…まさかこんな霧の中森に入ってくる人がいるなんて思いませんでしたけど…」
「ここって普段からこんな霧なんですか?」
「あ…えっと、普段はここまで深い霧じゃないです。こんな風になるのは数十日に1度位です」
どうやらタイミングの悪い日に来てしまったらしい。もう少し日付をずらして来たほうがよかっただろうか。いや、もしずらしていたらフィーアちゃんを救うことはできなかったかもしれない。そう考えるとこの日にこの森へ来たのはある意味運命ともいえる。
「えっと…アオイさん達はどうしてこの森に…?」
「この先にあるヴェリアという街に行きたいんです」
「ヴェリアですか?それなら私で良ければ案内します。お礼もしたいですし…」
「いいんですか?」
「はい。…それに、案内がないとこの霧の中では迷ってしまいますから」
「助かります。正直どう進めばいいのかもわからなくて…」
「それじゃあ案内しますね。こっちです」
そういってフィーアちゃんは霧の中を灯りも着けずに私達を先導し始める。それからは早いもので十数分ほどで霧が晴れ、街の入り口が見えてきていた。
「こんなに近かったんですね…」
「霧が深い時はこの森で遭難する人は結構いるんです。私達みたいに元からこの国に住んでいる人は普通に霧がかかってても歩けるんですけどね」
「そうなんですか…」
「はい。…さ、着きましたよ。ここがヴェリアです」
「ここは門とかないんですね」
「小さな街ですからね。門があるのは王都などの大きな都市だけですよ」
そういわれて私は辺りを見渡す。確かに、ラヴィニアとは違って人の賑わいはそこまで無く、店などはあるものの多くはなかった。
「ちなみに宿ってありますか?」
「宿は無いですね…あ、私のお家に来ますか?私しか住んでいないので部屋には空きがあるんです」
「いいんですか?」
「もちろんです!折角ですし、先ほどのお礼にご飯もご馳走します」
「そんな大したことはしてないのに…いいの?」
「お二人が来なければきっと大怪我をしていたでしょうから。これくらいはさせてください」
「そうですか…それなら、お言葉に甘えさせてもらいます」
「ふふ、それじゃあこっちです」
私達の手を引いてフィーアちゃんは街の中に入っていく。周りの獣人や人の視線を浴びながら連れてこられたのは1件の家だった。
「ここです。遠慮せず入ってきて大丈夫ですよ」
「わかりました。…お邪魔しま~す…」
「へぇ…フィーアちゃんってまだ11~12歳くらいなのに一人でしっかり掃除とか洗濯してるんだね~…」
フラメアは家に入るなり辺りを見渡してそういう。確かに、家の中は新築と言っても過言ではないくらい綺麗で、まるで一度も使ってないと思えるほど汚れはなかった。
が、それより私は気になることがあった。
「フィーアちゃん」
「はい、何ですか?」
「フィーアちゃんって精霊だったりしますか?」
私の一言にフィーアちゃんは驚いた表情で動きを止める。まるで、どうしてわかったのかと言っているようだ。
「どうして…そう思ったんですか?」
「確信はなかったんですけど…私達が助けに入る直前、魔法を使おうとしてませんでしたか?魔術と魔法では発動の仕方が違います。魔術を発動するなら詠唱を行う必要がありますし、設置魔術なら魔術を使おうとしたときに魔法陣が浮かぶはずです。だけどフィーアちゃんはどちらもなく、何かを発動させようとしていました。だから精霊だと判断したんですが…違いましたか?」
「魔法が使えるのは精霊以外にも精霊使いがいると思います。…私が精霊使いである可能性は考えなかったんですか?」
「それも考えました。ですが魔法を発動できている以上精霊使いなら契約した精霊がいるはずです。なのにあの危機に契約した精霊は現れない…となれば精霊しかないな、と」
「なるほど…まさかそんな風にバレるとは思いませんでした」
「私も気づかなかったよ~。…ってことはもしかして、フィーアちゃんは闇の精霊だったりするのかな?同じ精霊である私が気づかないってことは気配隠蔽をしてるんじゃない?」
「その通りです。精霊特有の雰囲気はわかる人にはわかってしまいますから」
「闇魔法はそういったことができるんですね」
「はい。…まあ、とりあえずそのあたりの話も食事でもしながらゆっくりしましょう。お二人が命の恩人であることに変わりはありませんから」
そういってフィーアちゃんはそのまま台所へと向かっていった―――
10話にして二人目の精霊登場です。そろそろUA500行きそうだから書かねば…
碧「今のところ私のお話が書かれそうですね」
フラメア「え、私は!?」
碧「どっちにせよ出てくるんじゃないですか?フラメアですし」
フラメア「それもそうだね!」
次回もお楽しみに!
UA500突破記念は誰の話がいいですか?
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やっぱり主人公の碧でしょ!
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精霊のフラメアかな
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龍夜の話をもっと見たい!