白銀の精霊使い   作:紅凛

14 / 21
UA500突破ありがとうございます!
今後も精進していきますのでよろしくお願いします。
では、第13話をどうぞ!


第13話  「反撃開始」

 私はクイーンの動きを封じるべく走り出す。未だ彼女の動きは見えないが私には考えがあった。

 それは先ほどフィーアちゃんにも伝えておいた。その方法とは

 

 「フィーアちゃん、私がわざと攻撃を何とか受け止めて動きを止めますのでその隙に魔法をクイーンに向けて撃って下さい」

 「でもそれじゃあアオイさんが大怪我を負ってしまう可能性もありますし…何より私の魔法に巻き込まれてしまいます」

 「私が行動阻害される分には構いません。フラメアがきっと倒してくれるはずです」

 「…アオイさんがそうういうなら私は信じます。…それに、それ以外の方法も思いつきませんから」

 「お願いしますね」

 

 そう、囮だ。戦っているうちにわかったことだがクイーンの攻撃は速いものの、まともに受けなければ大怪我を負うことはない。そのため、魔力を体内で循環させ、身体能力を少し高める。そうすることでギリギリ受け止めることができるはず、碧はそう考えていた。

 

 「さあ、やりますよ…」

 

 私は一人空洞の中央へ行き、耳を澄ませ、クイーンの発する足音のみに集中する。何度かフェイントを混ぜるように私の近くを通っていくが決して攻撃はしない。

 先ほどとは違う雰囲気を感じているのかクイーンも警戒しているようだ。

 

 (チャンスは一瞬…音の方向を間違わないように…)

 

 そしてその時が訪れた。クイーンは碧に致命的な一撃を喰らわせるべく最初と同様に真横に現れ、その身体に鋭利な歯を突き立てようとする。

 しかし、その瞬間を待っていた碧はすぐに真横を向きクイーンの身体を全力で抑え込む。一瞬でも他の事に気を向ければ逃げられてしまう、それだけの力で抵抗されるがすぐには離れることができない。それでも数秒あれば抜け出すことができてしまう。だが、その数秒があれば十分だった。

 

 「■□□■■■■□ッ!!」

 

 突如私の視界が黒く染まる。どうやら、魔法はしっかりと当たったらしい。

 そして、直撃したクイーンはどうかというと、突然視界が奪われ動きが止まる。そしてその速さが失われてしまえばもうそれはいくらクイーンと言えどただのヴェノムと同様だった。

 

 「さっきまでの仕返し…させてもらうよっ!!」

 「被害にあった人たちの仇、今ここで討ちます!」

 

 フラメアは大火球を、フィーアは禍々しいオーラを放つ槍を作り上げ、構える。

 そして…

 

 「「はぁぁぁッ!!!」」

 

 二人はほぼ同時にクイーン目掛けその魔法を放ち、クイーンの身体を燃やし、ドロドロに溶かしていく。それは明らかに過剰ともいえる威力ではあったがこうして無事、この森一帯に住まうヴェノムをすべて討伐することには成功したのだった。

 その後、視界の戻った私はとある変化に気づいた。それはステータス画面のスキル一覧。

 

 

 【名前】 白峰 碧(しらみね あおい) 17歳

 

 所持スキル

 【精霊魔法Ⅱ】【心話】【身体強化】

 

 

 なんと精霊魔法のスキルレベルが上がり、新たに身体強化というスキルが手に入っていた。

 

 

 【身体強化】

 魔力を循環させ身体能力を向上させる、その効果は術者の技量によって変化する。

 

 

 「…さっきのあれってスキルだったんですね」

 

 どうやら先ほど体内で魔力を循環させたことでこのスキルを獲得したらしい。意外と思いつきでスキルは手に入るんだろうか?

 

 「どうかしましたか?」

 「いえ、なんでもありませんよ。…さ、戻りましょうか。あまり長居はしたくないですからね」

 「「そうだね」「そうですね」」

 

 こうして私達は真夜中の森を歩き、街へと戻っていった。

 その後、疲れ果て倒れるように眠りにつき、翌日目が覚めたのは太陽がすっかり真上まで昇っていた頃だった。

 

 「もうすっかりお昼ですね…」

 「まあ、真夜中まで戦ってたからね。そりゃ疲れるよ」

 「街の方々にも心配されていましたね…」

 

 そう、私達は街の人達に何も言わずにヴェノムの巣へ行ってきた。それゆえにこんな時間まで起きてこない私達を心配して何名もの人がフィーアちゃんの家を訪ねてきたのだ。さすがこの街に住まう人の娘…

 

 「せめて領主様に報告してから向かうべきでしたね」

 「あ~…確かにそうだったかもしれませんね」

 

 私とフィーアちゃんは街の中に建つ一際大きな屋敷を見る。…正直、領主へ報告するということどころか領主の存在を私達は完全に忘れていた。

 そんな出来事を経て、私達は新たにフィーアちゃんという仲間を加えて出発の準備を整える。街の人はというと笑顔や涙ながらに送り出す者はいたものの、引き留めようとする人は誰一人としていなかった。おそらく全員がわかっていたのだ、この街に引き留めておいてはいずれ危機が訪れてしまう可能性があると。

 フィーアちゃんはそんな彼ら一人一人に今までお世話になったと声をかけていく。律儀な性格だ。

 そして、旅立ちの日。街の入り口には領主含めすべての住人がフィーアちゃんを送り出すべく集まっていた。

 

 「皆さん、今までお世話になりました。いずれまた顔を見せに戻ってきますのでそれまでお元気で」

 「ああ、気を付けてな。フィーア。お前さんももっと外を知るときだ。楽しんでくるといい」

 「怪我には気を付けるんだよ。もちろん病気にもね」

 「わかりました」

 「フィーアちゃん、そろそろ行きましょうか」

 「あ、そうですね。それでは皆さん、行ってきます」

 「「「「いってらっしゃい!!」」」

 

 賑やかな人たちに見送られ、私達は街を出る。

 そして、次なる目的地である獣人国ラルゴの王都、ウェルフェンへ向かっていった―――




碧「もう3人旅になりましたね」
フラメア「結構早いよね~」
フィーア「私が偶々近くにいただけだと思いますけどね…」
次回、UA500突破記念の閑話になります。お楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。