白銀の精霊使い   作:紅凛

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皆さん、クリスマスはいかがお過ごしでしょうか。
こんな日に読んでいる優しい皆さまに碧達のクリスマスの様子をお届けします。
では、閑話をどうぞ。


閑 話   「異世界のクリスマス」

 「「くりすます…?」」

 

 私がこの世界に来てから数か月、気温も寒くなり薄着で外を出歩く人がほとんどいなくなっていたある日のこと。私が何気なく口にした言葉に近くにいた2人が反応した。

 

 「はい、クリスマスです。私の元居た世界ではこの時期になると毎年プレゼントを贈ったり豪華な料理やケーキを食べたりしているんですよ」

 「そんな素敵なイベントがあるんですね。こちらでは見たことありません」

 「でも、すっごく楽しそうだし。折角だからやってみたいな、えっと…クルシミマス?」

 「クリスマスです。何ですかクルシミマスって、3文字しか合ってないじゃないですか」

 「あはは、冗談冗談。ちゃんと覚えてるって」

 

 私は軽く苦笑しつつここに来る前、日本にいた頃のクリスマスを思い出す。

 料理こそ壊滅的ではあるが、裁縫はそこそこ上手だった。だからよく友人にクリスマスプレゼントや誕生日プレゼントにアニメや本人の人形を作って渡したものだ。…フィーアちゃんやフラメアはそれで喜んでくれるだろうか…?

 

 「まずは準備からですね。碧さんが言うにはそのクリスマス、という行事があるのは数日後だそうですからプレゼントや料理、ケーキの準備も含めてやることがいっぱいです」

 「確かに、料理とケーキは当日作るにしてもいつもより材料は増えちゃいますからね」

 「はい。それに…できるなら碧さんのいた世界の料理をできるだけ再現したいんです。なので、料理はしなくていいのでどんなものが並ぶのか、見た目や調理法、材料などを覚えている範囲で教えていただけると助かります」

 「…そんなに強調して言わなくても料理はしませんって。…流石にフィーアちゃんにあれだけ説教されたら…」

 

 そう、以前フラメアにカレーライスという名の物体Xを振る舞ったその日、今まで見たことないくらいの形相でフィーアちゃんに説教されたのだ。まあ、悪いのは私ではあるが1時間以上も説教され続けると流石にキツイ

 

 「わかってるなら良いんです。わかってるなら」

 「それで、料理でしたね。えっとクリスマスで定番なのは―――」

 「それじゃあ、私は先にプレゼントを探しに行ってくるね~。こういうのはみんなで行くより別々で行ってサプライズっぽくしたほうがいいだろうし」

 「確かにそうですね。では、フラメアさん行ってらっしゃいませ。…あ、ちゃんと夕飯の分は残しておいてくださいね?買い食いのし過ぎはだめですよ?」

 「は~い」

 

 いつの間にか私達の中で一番の権力を握り始めているフィーアちゃんだった。…まあ、いいんだけどね?

 

 それから数日後、ついにクリスマス当日がやってきた

 

 「今日はクリスマスですね。フィーアちゃん、フラメア、ちゃんとプレゼントは準備できました?」

 「うん、もちろんだよ。とても良いものを見つけたからね、二人ともきっと喜ぶよ」

 「私も、お二人が喜ぶかはわかりませんが、それなりの物は用意しました」

 

 自信満々のフラメアと自信無さげなフィーアちゃん、2人の背後に見えるそれぞれ赤と白で彩られた箱に恐らく準備してきたプレゼントが入っているのだろう

 

 「ふふ、それじゃあ始めましょうか」

 

 私のその一言で異世界でのクリスマスパーティーは始まった。

 まず私は目の前に置かれたローストチキンに手を付ける。これは私が教えるまでもなくこの世界でも普通に普及していた料理だ。日本とは違いここは異世界、見た目こそ普通ではあるものの中身はモンスターのお肉だ。フィーアちゃんが言うにはいつもの料理に使っているお肉より少し高い肉を買ったらしい。折角のクリスマスなのだ、それくらいしても罰は当たらない。

 

 「ん~♪すっごい美味しいね、このローストチキン!熱々でスパイスもしっかりときいてるよ」

 「やっぱりローストチキンはこれですね。とても美味しいです、フィーアちゃん」

 「お二人にそう言っていただけて良かったです。…それでこちらが…」

 

 ローストチキンを頬張る私達の目の前にフィーアちゃんが1つの料理を出してくる。丸く広げた生地にトマトソースを塗り、チーズやバジルなどをトッピングしたそれはピザだった。

 

 「ピザ、再現できたんですね」

 「とりあえず見た目は、ですけどね。味は美味しいですけど碧さんの言うピザという物かどうかはわかりません」

 「それじゃあ、食べてみますね」

 

 心配そうに見つめるフィーアちゃんを横目に私はピザらしきそれを口へ運ぶ。口に広がるその味は慣れ親しんだ文句の無いピザだった。

 

 「どうですか…?」

 「ん、大丈夫ですよ。ちゃんとできてます」

 「良かったぁ…」

 

 と、そんな風に料理を楽しみ時間は過ぎて行く。そして料理もほとんどなくなってきたころフラメアが声を上げた。

 

 「そろそろプレゼント、渡し合わない?」

 「確かにそうですね。もう料理もほとんどなくなって、残すのはケーキだけですし…」

 「このタイミングでやるのが一番かもしれないですね」

 

 というわけで早速私達は各々買ってきたプレゼントを渡し合うことにした。まずは自信満々なフラメアからだ。

 

 「私が買ってきたのは…これ!」

 

 そういってフラメアが箱から取り出して渡してきたのは1つの髪飾り、シンプルなデザインではあるものの私には白、フィーアちゃんの物には紫色の宝石が埋め込まれていた。

 

 「これは…髪飾りですか?」

 「そう、髪飾り。いやぁ、最初は何か食べ物を渡すつもりだったんだけどフィーアちゃんに止められてね~。だから2人に似合いそうな髪飾りを探して買ってきたの」

 「プレゼントで食べ物を渡されても困りますからね…でも、髪飾りはとてもうれしいです。フラメアさん、ありがとうございます」

 「確かに、クリスマスプレゼントで食べ物はね…でも、それをやめてこの髪飾りになったのはとても嬉しいです。フラメア、ありがとう」

 「ふふ、どういたしまして!」

 「では次は私ですね」

 

 フラメアがプレゼントを渡し終えると今度はフィーアちゃんが同じ見た目の箱を手に持ち、中身を取り出す。出てきたのは2つの白い物体しかし所々にカラフルなデザインが施されている、その見た目には日本でも見覚えがあった。そう、キャンドルだ。

 

 「特にこれといって目を見張るものではないんですが…私からはキャンドルです。使うも使わないもお二人にお任せします」

 「キャンドル…こっちにもあったんですね。初めて知りました」

 「なんでも過去に召喚された勇者が広めたんだとか」

 

 なるほど、納得だ。…けど、なぜキャンドル。もっと広めるものがあっただろうに…

 

 「キャンドル、とても嬉しいです。あとで部屋を暗くした後に点けましょうか。これはこれで風情がありますし」

 「へぇ…そうなんだね。…フィーアちゃん、ありがとね」

 「はい、どういたしまして」

 

 フィーアちゃんもプレゼントを渡し終えたのでついに私がプレゼントを渡す時が来てしまった。ここに来て渡さないという選択肢があるわけもないので大人しく二人に私のプレゼントを渡す。それは2人に似せた人形だ。この数日間、ひたすら編み続け何とかギリギリ間に合わせることができた。

 

 「これは…人形?」

 「みたいですね。しかも、私達にとても似ています。ふふ、可愛い…♪」

 「私は料理は出来ないけど裁縫はできるんです。なので、折角だから手作りのプレゼントにしてみました」

 「すごいです!私達の特徴もしっかりと捉えられていますし、何よりとても可愛いです」

 「よく数日で作れたね~。ふふ、碧ちゃん、ありがと」

 「ありがとうございます、碧さん」

 「ふふ、どういたしまして」

 

 と、こうしてプレゼント交換は無事に終わった。残るはケーキを食べるだけ…と、ふと窓の方を見たフラメアがあっと声を上げる。私とフィーアちゃんもその声に釣られて窓を見た。すると、そこに見えたのは真っ白な粒。それはゆっくりではあるものの空から降り、街並みを白く染め上げて行く。

 

 「雪…」

 「降ってきましたね。いつもだともう少し遅い時期に振るんですが…」

 「ふふ、でもいいタイミングで振ってきましたね。…あ、そういえばこの言葉を2人に言うのを忘れていました」

 「そうなの?」「そうなんですか?」

 「はい、とっても大切な一言を」

 

 私は二人の方を見て、振り始めた雪をバックにこの言葉を贈る。

 

 「メリークリスマス」




龍夜「…プレゼント、何ももらえなかったなぁ…まあ、クリスマスを知ってる相手が近くにいないし、仕方ないけど…」

勇者なのにぼっちなクリスマスを彼は過ごしていました。まさにクルシミマス。

というわけで、皆様クリスマス回はいかがだったでしょうか。…というか時間かけすぎですね。いろいろと忙しいので書く時間がなかなかないんです。多分次回投稿も遅くなるかも…できる限り早めに出せるよう努力しますはい。
コロナもあって不自由な生活を送っているかと思いますが、皆様よいお年を
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