第5話、どうぞ!
黒の獣亭で休息を取った翌日、私達は冒険者ギルドの前に立っていた。
「そういえばフラメア、冒険者登録ってどんなことをするんですか?」
「確か必要事項を記入して、ここに来るときに触れた水晶みたいなのに触れてステータスも登録して終わりだったはずだよ」
「…ということは私のステータスとかフラメアのステータスが見られるってことですよね?」
「うん、そうだけどそれがどうかし…」
私がふと気づいたことにフラメアも思い至ったのか言葉を途中で詰まらせる。
そう、ステータスが見られる…つまりは私やフラメアのステータスに表記された【精霊魔法】のスキルが見られてしまうのだ。
つまりそれを見られてしまえば私もフラメアも精霊、もしくは精霊使いだとバレるということで…
「ど、どうしよう!このままじゃ登録した瞬間にバレちゃう!」
「何かそういったことを隠せるようなスキルはもってないんですか?」
「どうだろ…ちょっと見てみるね」
フラメアはすぐにステータス画面を確認し、碧と共有する。
【名前】
所持スキル
【精霊魔法:炎】【心話】【偽装】
「「これだっ!」「これですっ!」」
見つけた【偽装】というスキルに二人は思わず叫ぶ。ただ、ステータスの偽装までできるかはわからないので一応確認はすることにした。
【偽装】
任意の物を本来の姿とは別の姿に認識させることができる。ステータス画面も偽装可能。
どうやら問題なく偽装できるようだった。
早速フラメアは自分と碧のステータスに【偽装】スキルを使用する。すると偽装を行ったスキルはぐにゃりと文字が歪み、別のスキル名へと変化していった。
「これで問題なく登録することが出来そうですね」
「いやぁ、一時は焦ったよ~」
二人は安堵の息を吐きようやく冒険者ギルドの中へ入っていった。
ギルド内に入ると鎧を着た男やローブを身に着けた女性など、いかにも戦士や魔術師ですと言えるような服装をした人たちが思い思いに過ごしていた。どうやらここは酒場も兼ねているらしい、ほんの少しだがお酒の匂いが漂っている。
「えっと…冒険者登録はあそこでしょうか」
私はフラメアを連れてギルドの奥、受付らしき女性がいるほうに歩いていく。
「すみません、冒険者登録をしたいんですが…」
「はい、冒険者登録ですね。登録するのはお一人様でよろしいですか?」
「あ、私も登録します」
「かしこまりました。ではまずこちらの用紙に必要事項の記入をお願いします」
そういって女性は文字の書かれた紙とペンをこちらに渡してくる。さて、文字はどうなんだろうか。
書き込まれた文字を確認するとそこには見慣れた日本語が書かれていた。どうやら読み書きの心配はないらしい。
内容としては冒険者ギルドの規約について同意するかどうか、また自分の名前や性別は何かを書き込むだけであった。
「…はい、書類の方は問題ないようですので次はステータスの確認をさせていただきます。こちらの水晶に触れてください」
書き終えた紙を回収すると受付の女性はカウンターテーブルの下から透明な水晶を取り出し、私たちの目の前に置く。どうやらこれに触れるとステータスが表示されるらしい。
「じゃあ私から…」
私は両手を水晶の上に手を置く、すると透明な水晶の内部に文字が浮かび上がり、私のステータスが表示された。
【名前】
所持スキル
【炎魔術Ⅰ】【心話】
どうやらちゃんと偽装スキルは発動してくれていたらしい。私の【精霊魔法Ⅰ】のスキルは一般的に習得されている魔術の一つへと変化していた。ちなみに、【心話】はいつの間にか手に入れていたスキルだがフラメア曰く珍しくはあるものの、隠すほどではないそうなのでそのままにしておいた。
「じゃあ次は私だね」
フラメアも私同様水晶に手を置き、ステータスを表示させる。
【名前】
所持スキル
【炎魔術Ⅰ】【心話】
スキルは私と同じように変化させ、疑われそうな【偽装】はステータス欄から消しておいた。ちなみに名前も家名がなくては疑われる可能性があると思い偽装を施していた。
そして、私たちのステータスを確認し終えた女性は優しく微笑むと銀色の小さなプレートを手渡してきた。そこには私たちの名前と年齢、そしておそらく冒険者のランクを表すだろうアルファベットのFが書かれていた。
「今渡したのがお二人のギルドプレートになります。そこに表記されているアルファベットは冒険者ランクを表していて、最低ランクがF、最高ランクがSとなっています」
「ランクを上げるためには依頼をこなせばいいですか?」
「そうなります。また、それぞれのランク昇級にはそれ用の依頼も用意されていますのでそちらも忘れず受けるようにしてくださいね」
「わかりました。それで…早速なんですけどFランクで受けられる依頼ってどんなものがあるんですか?」
「そうですね…今ある依頼ですとこの辺りが妥当でしょうか」
そういって女性は何枚かの紙を私たちに見せてくる。そこにはそれぞれ依頼内容とその報酬が細かく書いてあった。
「えっと…東の森に生息するブルースライム20体の討伐、ヒルクス草15本の採取にその他諸々…」
「どれにする?碧ちゃん」
「まほ…魔術の練習もしたいですし、ブルースライム20体の討伐でしょうか」
「そうだね、それにしようか」
危ない、つい魔法と言いかけてしまった。フラメアだけならいいけれど、ここにはギルドの女性や冒険者がたくさん居る。しかもステータスには炎魔術と表示されているのだから間違っても魔法と口に出してはいけないのだ。
「では、ブルースライム20体の討伐を受注しますか?」
「はい、そうします」
「わかりました。こちらは指定日数はありませんので討伐が完了次第、対象モンスターの魔石を持ってギルドへ報告すれば依頼完了です」
「あの…魔石ってなんですか?」
私はふと疑問に思ったことを女性に尋ねる。
「魔石というのはそのモンスターを倒した際に落とす魔力が込められた石の事です。それがないと討伐した証明になりませんので、回収を忘れないようにしてください」
「なるほど…わざわざ説明ありがとうございます」
「いえいえ。それでは気をつけて行ってきてくださいね」
「はい!」
私はそう答えるとフラメアを連れて冒険者ギルドから立ち去り、ブルースライム住まう東の森へ向かうのだった―――
フラメア「【偽装】スキルがあってよかった~」
碧「フラメア大活躍ですね」
フラメア「ふふん、私だってできる精霊なんだよ!」
碧「確認するまで気づかなかったのに何言ってるんですか…」
フラメア「(´・ω・`)」
次回、初戦闘!お楽しみに!
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やっぱり主人公の碧でしょ!
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精霊のフラメアかな
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龍夜の話をもっと見たい!