私と13   作:遠い空

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あらすじ

二人の決闘は近い。私たちは二人の勝負を見届けべく、ファーバンティ中心部へ様々な想いを抱き、向かって行った。


第10章 二人の決闘

 私たちは奪ってきたISAFの車両で、ファーバンティ中心部に向かっていた。

 

 

 車両や航空機の残骸が散らばっていた。

 

 

 中には死体もあった。

 

 

 これが戦争だと思うとなんだか悲しい気持ちになる。

 

 

 私も戦争を経験した一人だ。

 

 

 家族の死、黄色の13との出会い、そして復讐のため彼に勝負を挑んだ…。

 

 

 戦争とはとても無惨で悲しく、人同士が傷つけ合う最悪なことだ。

 

 

 しかし戦争を通して、黄色の13も言っていたが一人の人間として強くなれた。

 

 

 黄色の13との出会いがなければ今の私は存在していなかったと思う。

 

 

 こうして生きているのも彼のおかげだ。

 

 

 彼はメビウス1と戦うことにしか頭がないわけでなく、私や酒場の娘、ジョン・ハーバード、黄色の4のことを想ってくれた誇り高きエースパイロットだ。

 

 

 今回の戦いで彼は死を覚悟している。

 

 

 おそらく彼の最期の戦いとなるであろう誇り高き戦いを、この私たちの目に収めたい。

 

 

 私たちはその想いを胸にファーバンティ中心部へ向かっていった。

 

 

 

 

 ファーバンティ中心部に近づくにつれ、ISAF軍が多くなってきた。

 ISAFの車両に乗っているため、なんとかカモフラージュできている。

 だが、ばれた場合は面倒なことになるため、できる限り建物を盾にしつつ進んでいった。

 建物が多いため、空を見渡すのは難しかった。

 ジョン・ハーバードは近くに見通しのよい公園があると言った。

 しかも周りは木に囲まれているため、ISAF軍に怪しまれる心配もない。

 私たちはその公園へと向かった。

 細い道を走り、公園に辿り着いた。

 

 

 赤く染まった青空が広がっている…。

 

 

 総司令が陥落し、攻撃をやめたため、周りが静かだ…。

 

 

 風で木の葉がうなる音が聞こえる。

 

 

 その時、車両についている無線機から無線が流れた。

 《黄色の13よりISAFの空中管制機。メビウス1から連絡はあるか?》

 《こちら空中管制機スカイアイ。メビウス1の燃料補給は完了したそうだ。すでに離陸したと言っているぞ。》

 《了解した。こちらも離陸準備をしていると伝えてくれ。》

 《了解だ。あとは任せといてくれ。》

 二人の準備は整った。

 あともう少しで二人の決闘が始まる。

 酒場の娘とジョン・ハーバードは緊張した眼差しで空を見ていた

 。私も紅の空を、二人の勝負が見れるという期待と、黄色の13が死んでしまうのではないかという不安の両方を抱えながら眺めていた。

 

 《こちらメビウス1、戻って来たぞ!》

 《来たか…。待ってろ、もう少しで着く。》

 無線が流れる。ついに潮は満ちた。

 《【F-22】のレーダーの映りがいいな。ステルス塗装を剥がしたか。》

 《条件はできる限り対等のほうが面白いだろう。》

 《俺の【Su-37】にステルス塗装をして正解だったな。どちらもレーダーの映りは同じぐらいだろう…。》

 しばらく沈黙が続いた。沈黙ののち、黄色の13が口を開いた。

 《メビウス1、勝負の時間だ!いくぞ!》

 1対1の空戦が始まった。

 私たちは双眼鏡を交換しながら様子を見ていた。

 激しい空戦だ。

 互いに一歩も譲らない。

 メビウス1がミサイルを撃てば黄色の13が避け、黄色の13がミサイルを撃てばメビウス1が避ける、その繰り返しだった。

 《ミサイルは通用しないようだ。ミサイル攻撃だけでは面白くないだろうメビウス1。機銃で勝負だ!》

 《いいだろう。ミサイルを切り捨てる!》

 お互いミサイルを切り捨て、機銃の勝負が始まった。

「昔、隊員が言ってた。敵機にミサイルが通用しなければ機銃で応戦しろと。機銃は当たりは悪いが、パイロットの技量次第では真の力を発揮する。凄まじい空戦になりそうだ。」

 ジョン・ハーバードが言ったとおり、さらに激しさを増した。

 メビウス1の機体から黒煙が出た。

 だか、その直後黄色の13から黒煙が出た。

 《機銃攻撃が上手くなったな。》

 《黄色の13の背中はもらったぞ!》

 《フッ、甘いな。》

 黄色の13は急減速した。

 前に見たコブラ機動だ。

 メビウス1の背後をとる。

 黄色の13のターンだ。

 機銃で集中攻撃している。

 メビウス1の黒煙が増えた。

 しかし、急旋回して避ける。

 再び背後をとり、黄色の13に機銃攻撃を食らわせる。

 黄色の13の黒煙も増えた。

 二人とも異なる機動をするが、強さは同じ。

 黒煙の量からしてダメージもほぼ同じ。

 まさに互角の戦いだ。

 《ひと昔前は俺よりも弱かったが、ここまで成長するとは驚きだ。だか、俺にもプライドがある。ここで負けるわけにはいかない。》

 《戦争を通して身に付けた強さだ。黄色の13とはいつも決着をつけることができなかったが、今日でつけてやる。》

 二人ともプライドが高い。

 性格までどちらも一歩も譲らなかった。

「すごい勝負…。勝って…。」

 酒場の娘は祈っていた。

 お互いの黒煙の量が増えていき、さらに機体の一部の翼がなくなっていた。

 本来なら墜落するくらいのレベルだが、飛んでいるのが不思議なくらいだ。

 《機銃の量が少ない。メビウス1、そろそろケリをつけよう。ヘッドオンで決める。》

 《ヘッドオンだな。負けるわけにはいかない‼︎》

 一直線上に並ぶ。

 お互い正面を向いている。

 残り少ない機銃を撃つ。

 しかし、両者ともうまく回避した。

 《もう一度正面からだ!いくぞ‼︎うぉぉぉぉ‼︎》

 《うぉぉぉぉ‼︎》

 再び機銃を撃つ。

 今度は回避することなく、お互い命中した。

 両方の機体から火が吹く。

 《メビウス1、イジェークト!》

 《こちら空中管制機スカイアイ。メビウス1無事か?》

 《俺は無事だ。それより黄色の13は⁈》

 《黄色の13よりメビウス1へ。この戦争のエースは一人だけでいい。お前とはもう少し楽しみたかったが…、ここでお別れだ…。》

 《待て‼︎黄色の13‼︎脱出しろ‼︎》

 《スカイアイよりメビウス1。これは彼が決めたことだ。彼の言うことを聞こう。》

 《うるさい‼︎早く脱出しろ‼︎》

 

 

 《さらばだ…。》

 

 

 こうして、黄色の13は紅の空へと散った…。

 

 

 彼は機体もろとも空中へと消えた。

 

 

 その場所は私たちのいた公園の上空だった。

 

 

 小さな破片が降ってくる…。

 

 

 機体の破片は細かく砕かれ、原型すらわからない…。

 

 

 そして、彼の遺体は骨すら見つからなかった…。

 

 

 しかし、彼の遺品は無事だった。それは黄色の4の遺品でもあるハンカチだ。

 

 

 ひらりと静かに降ってくるハンカチ…。

 

 

 私はハンカチを受け取った。

 

 

 微かな香水の香り…。

 

 

 私たちは様々な気持ちを抱えながらハンカチを地面に埋め、小さな墓を作った。

 

 

 この墓は黄色の4の墓であり、黄色の13の墓でもある。

 

 

 二人の魂はひとつとなり、広い大空へと羽ばたいていった…。

 

 




お久しぶりです。長い間待たせてすいませんでした。小説はどうでしたでしょうか。実はまだ続きがありますが、もう完成していますので、近々投稿しますのでよろしくお願いします。
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