黄色中隊の野戦滑走路が何者かに爆破され、その直後にストーンヘンジが空襲を受けた。黄色中隊は整備不良のまま出撃。結果はストーンヘンジは陥落し、黄色の4を失って帰ってきた。そして私には本来の目的が目覚めつつあった。
黄色の4が戦死してから黄色の13の態度は変わった。
理由はかなり多いと思う。
わかる限りあげると、黄色中隊のイメージが下がったこと。もう一つは大切な人の戦死。さらにもう一つはメビウス1の登場など、さまざまだ。
ストーンヘンジの破壊によって戦力が低下したエルジア軍は黄色の13を除く熟練パイロットを他の部隊へと編入した。
そのため、黄色中隊隊員はルーキーばかり…。
かつて仲良くしていた隊員はもういないので、話し相手は黄色の13しかいなかった…。
そのルーキー達はある程度の基準に達すると別部隊へと編入される。そしてまた新しいルーキーが黄色中隊に編入する…。その繰り返しだった。
このやり方を気に入っていないのか、黄色の13はいつも硬い表情だった。仲間思いだった黄色の13は次第に仲間意識も薄れ、メビウス1に執着していくようになった。
ある日、黄色の13は新聞紙を手にしてやってきた。
ルーキー達は賑やかに雑談していた。
新聞紙を壁に貼り付け、黄色の13は言った。
「見ろ!このパイロットは賞賛するに値する。ISAFの連中にも素晴らしいパイロットがいる。たった一人でエイギル艦隊を壊滅させ、多数の戦闘機を蹴散らし、ストーンヘンジを破壊し、黄色中隊に打撃を与えたパイロットだ。だがメビウス1は破壊活動を望んではいない。なぜなら俺の真っ向勝負を間に受けてくれたからだ。破壊活動を望んでいるのならば卑怯な戦法を使って俺を落とすはずだ。ところが、メビウス1は堂々と俺の勝負に付き合ってくれた。ヤツは卑怯な戦法など一切使わず、正統な勝負をした。ルーキー達にはメビウス1がどれだけ誇り高きパイロットかわかるか?」
それはメビウス1の記事が載っている新聞紙だった。
記事の内容は【リボン付きの死神、またもエルジア軍を全滅させる。】という内容だった。
この内容に黄色の13は怒りを感じたのだ。
そしてそれをルーキー達に語り継がせようと熱く語ったのだ。
だが、ルーキー達は黄色の13の言葉に応えなかった。
今や【メビウス1=リボン付きの死神=破壊神】の考え方が強いため、黄色の13の考え方はどうかしてるとルーキー達は愚痴を言っていた。
昔の黄色中隊は彼の意見を間に受けてくれる隊員達だったのに…。
それでも黄色の13はなにひとつ表情を変えなかった。
ある日、私は見てしまった。
黄色の13の本心を…。
一人湖のほとりで何かを持って夕日を眺めていた。
手に持っていたのはハンカチだ。
黄色の13の目には涙が浮かんでいる。
あの日から硬い表情をしていた彼が涙を流すとは…。
彼は私の気配を感じたのか、その場から離れた。
私は後を追う。
彼は観念したのか、その場に立ち止まって来いと一言言った。再び湖のほとりに戻る。
私と黄色の13は夕日を眺めていた。真っ赤な丸い夕日だった。
そして彼は口を開いた。
「黄色の4とは…そうだな…、俺が教官時代の時に出会った。あいつはただの戦わない、いたって普通の娘だった…。あいつが空軍を志願した理由は空が好きだという理由だった。旅客機のパイロットは飛ぶことに自由がない。セスナ機はプロペラだから好きじゃない。一番ベストなのは戦闘機だとあいつは言っていたなぁ…。あいつは訓練を重ねるうちに腕を上げていった。気が付けば、俺の教え子の中ではトップに立っていた。ある日、あいつは俺に告白した。一生のパートナーになってくれと…。俺は女そのものに興味はなかったが…、あいつだけは何か違った。ある意味俺にとってはかけがえのない存在だった。それから共に訓練をした。俺が黄色中隊を創設した時も、俺についてきた。それからあいつは不動の2番機になった。だが…もう会うことはできない。でもやむを得ないことだ。現実からは逃げることは絶対できない。この現実は一生背負っていくしかないのだ。」
彼が言ったことは誰に向けた言葉でもなく、一人言のように呟いていた。
そして彼はハンカチを見つめた。
微かな香水の香りがするハンカチ…。
このハンカチは黄色の4の遺品だった。彼も人間だ。悲しい時だってある。
彼もまた、私のように大切なものを失ったのだ。
ISAFは瞬く間に内陸部へと進軍した。サンサルバシオンが解放されるのは時間の問題となっていた。
町には撤退してきたエルジア軍が溢れかえっていた。町の警戒は更に厳重になり、建物の屋上には対空兵器が並んでいた。
「対空兵器で戦闘機を落とすとは卑怯な!」
黄色の13は対空兵器を設置している兵士を見て怒りに燃えていた。
黄色中隊もISAF迎撃の準備を整えていた。
皆が堅苦しい表情をしているなか、黄色の13は一人笑みを浮かべていた。きっとISAFのエース、メビウス1との戦いを楽しみにしているのだろう。
ストーンヘンジ陥落以来、メビウス1とは交戦していないため、余計に楽しみに違いない。ましてや、メビウス1はさらに腕を上げているだろう。
この二人の戦いをこのサンサルバシオンの空で見る日はそう遠くない。
だが、私にもやらなければならないことがある。
家族の仇打ちだ…。
今の私には黄色の13に対する憎悪はあるが、仲のいい関係を築いてしてしまったため、仇打ちは難しい。
でも家族のために、嫌でも行動に移さなければならない。
ちょうど、酒場一家もレジスタンス活動を行動に移す計画を立てていたので私も混ざり、これを機に黄色の13を殺すことにした。
黄色の13にとっては不名誉な死に方になってしまうが、これも私の家族のためである。
レジスタンス活動開始の日は刻一刻と迫って行った…。
今回も読んでいただきありがとうございます。物語も後半に入ったのでこれからのお付き合いよろしくお願いします。