私と13   作:遠い空

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あらすじ

ISAFは瞬く間に進行し、サンサルバシオン解放も時間の問題となっていた。酒場一家と私は密かにレジスタンス活動を実行に移す計画を立てていた。


第6章 私との決戦

 2005年7月9日、ついに作戦実行の日がやってきた。

 酒場の親父は密かにとあるISAF陸軍と交信していたらしく、サンサルバシオン解放作戦の日時を聞いていた。

 ISAFの作戦開始は7月10日0時0分。

 それまでにISAFの戦況を有利にするため、エルジア軍によって制限されていた灯火管制の解除と、エルジア軍のサンサルバシオン方面司令部、野戦滑走路などに誘導爆弾を誘導するレーザー発信器を仕掛けることにした。

 レーザー発信器は今日の夜に密かに設置し、灯火管制はISAF作戦開始時刻の10分前に解除することになった。

 灯火管制を解除した途端、エルジア軍が攻撃をしてくる可能性が高いので、持てる武器で10分間抵抗するということを前提とした作戦だ。その時は私と酒場の娘は酒場の2階に隠れることになった。

 私たちにはやることがないというわけではない。

 前日の夜に酒場の娘と共にレーザー発信器を仕掛けるという重要な役割を任せられた。

 

 

 そして私には黄色の13を殺すという最も重要な役割が…。

 

 

 私は酒場の娘の護衛として彼女を見守ると共に、心の準備をしていた。

 

 

 

 

 7月9日2時、その時がやってきた。

 灯火管制の影響で夜の町は暗い。外には懐中電灯をもったエルジア兵がいた。

 私は周囲を警戒し、酒場の娘は目的の場所にレーザー発信器を仕掛けた。

 事はうまく運んでいた。

 だが酒場に戻ろうとした時、エルジア兵に見つかってしまった。

 見つかったのは酒場の娘だけで彼女は必死に逃げていた。私はエルジア兵にばれないように酒場の娘の後をつける。

 なんとか振り切り、警戒しながら酒場に戻ろうとした。

 私はハンドガンをもっているので先に進んで様子を確認した。エルジア兵がいないのを確認し、酒場の娘に合図をした。

 その時だった。

 酒場の娘の近くに止まっていた自動車から男が出てきた。肩にはエルジア軍のワッペンが…。

 私は壁の後ろに隠れて様子を見ていた。酒場の娘の顔は青ざめていた。

「信じたくはなかったが、まさかお前が犯人だったとは…。」

 その声には聞き覚えがあった。

 

 

 よく見るとそれは黄色の13だった。

 

 

 黄色の13は密かに犯人捜しをしていたのだ。

 実は黄色中隊の野戦滑走路爆破事件の犯人は彼女だったのだ。

「司令部に連れて行く。来い!」

 酒場の娘の腕を引っ張り出す。

 

 

 私は酒場の娘を助けるため黄色の13に銃口を向けた。

 

 

「僕らの町から出て行け!侵略者め!」

 

 

 私は黄色の13に向かって叫んだ。

 

 

「どういう事だ…。なんの真似だ少年…。」

 

 

 彼は驚きを隠せなかった。

 

 

「お前のせいで僕の家族は死んだ!2年前の夏の終わりにお前が戦闘機を墜とした!パイロットは脱出したくせに家族が死んだ!僕はお前が憎かった!だから今僕はお前を…」

 

 

 私はここで叫ぶのをやめた。

 

 

 黄色の13に向かって殺してやるとは言えなかった。

 

 

 そこから長い沈黙が続いた。

 

 

 私は涙を堪えていた。

 

 

 長い沈黙の中、黄色の13が全てを理解したかのような顔をして口を開いた。

 

 

「あの時の陽動作戦で少年の家族を殺してしまった事は今知った。少年の気持ちを理解できなくてすまなかった。そこまで俺のことが憎いのなら、焼くなり殺すなり好きにするがいい。」

 

 

「黙れ!」

 

 

 そう言って私は無意識にハンドガンを撃った。

 

 

 幸いにも弾が外れたので黄色の13は無事だった。

 

 

「どうした?俺を殺すつもりじゃないのか。ハンドガンの扱い方がまだまだだな。よく狙え。俺の頭か心臓をよく狙って撃て。」

 

 

「うるさい!」

 

 

 私はまたハンドガンを撃った。

 

 

 今度は彼の肩に命中した。

 

 

 肩からは血が吹き出す。

 

 

 私はそれを見て腰を抜かしてしまった。

 

 

「少年、まだまだだ。頭か心臓をよく狙って撃てと言っただろう。もう一度チャンスをやる。今度は外すな。」

 

 

 私は彼の肩から出る血を見て大変なことをしてしまったことを自覚した。

 

 

 私はプレッシャーに耐えられなくなり、ハンドガンを投げ捨て、泣きながら黄色の13に抱きついた。

 

 

 彼は小さな子供の勝負を受けてくれた。

 

 

 結局は私の負けだか、それでよかったのだ。

 

 

 

 

 その日の夜は黄色の13にかくまってもらいながら酒場に戻った。

 彼は今回の事件を秘密にしてくれた。肩の傷は誤ってハンドガンを誤射したという適当な理由をつけた。

 彼はしばらく戦闘機に乗ることができなくなってしまったので、一人エルジアに戻る支度をしていた。彼もまたサンサルバシオンが解放されるのが時間の問題だということを察知していたのだ。

「メビウス1と戦えないのは残念だが少年のせいではない。全ては俺が引き起こしたことが原因だ。」

 そう言って私と酒場の娘に別れの挨拶をして出て行った。

 

 

 

 

 その夜、灯火管制は解除され、サンサルバシオン解放作戦が幕を開けた。

 私と酒場の娘は酒場の2階から様子を見ていた。

 戦況はISAFが有利でエルジア軍は撤退準備を始めていた。

 空からは戦闘機の騒音が聞こえていた。

 

 

 あの中にメビウス1がいるのだろうか。

 

 

 もし今黄色の13がいれば一体どのような展開になっていたのだろうか。

 

 

 私はそんなことを考えていた。

 しばらくしたのち、サンサルバシオンが解放されたという放送がはいった。

 

 

 ついにこの時がやって来たのだ。

 

 

 夜中にもかかわらず町はお祭騒ぎで、皆で解放を祝っていた。

 夜が明けると、空にはISAFの戦闘機が優雅に飛んでいた。

 市民の一人がリボン付きがいたと叫ぶ。

 よく見ると確かにリボンのエンブレムをつけた戦闘機が飛んでいた。

 

 

 あれが黄色の13が言っていたメビウス1…。

 

 

 きっとすごいパイロットに違いない。

 

 

 黄色の13との勝負を一度でもいいから見たい。

 

 

 見るためにはメビウス1について行くのも手だが、一度も会ったこともないので黄色の13がいるエルジアに向かうことにした。




今回も読んでいただきありがとうございます。最後までお付き合いよろしくお願いします。
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