悪食は闊歩する。   作:萩山カオル

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今回ワンピースものに挑戦してみようと思い投稿しました!
拙い文ではありますが、暖かい目で見守ってくださるとありがたいです。


インペルダウン編
悪食修道女アリシア


インペルダウンの最深部、LEVEL6に彼女は居た。修道服に身を包む彼女の名は“アリシア”。終身囚である美しいシスターだ。

なぜ、シスターである彼女がこの【無限地獄】と言われるLEVEL6に収監されているのか。そこに収監されている囚人はよくわかっている。

 

彼女の天女のような微笑みは看守、囚人または床を這う虫にまで向けられる。そんな彼女の笑みを無限の退屈に囚われた囚人たちは今日も無言で眺めるのだ。

 

だが、アリシアも大罪を犯したこ囚人。修道服を着てはいるが、牢屋の奥に囚われていることに変わりはない。ただ、彼女の牢はアリシア一人しか収容されていない。女性だからか、それとも、それほどまでに危険な囚人なのか。

 

そんなアリシアの通り名は【悪食修道女】。

 

バクバクの実と言われる超人系(パラミシア)の能力を持っている訳でもなく、ただただ、全てを食らった。特に、人を。

 

親を食らった。

神に祈る信者を食らった。

略奪の限りを尽くす海賊を食らった。

助けを求める子供を食らった。

自分の国の全てを食らった。

 

【人喰い】【悪食】【国喰らい】

 

かつて呼ばれ、恐れられた彼女の名だ。

 

「少し…お腹が空きましたね…。」

 

ヨダレを口に含み、独り言のようにつぶやくアリシア。

背にかかる金の髪をなびかせて正面の牢を見る。

 

「クロコダイルさん?お腹空きましたよね?」

「…テメェと一緒にすんじゃねぇよ。」

 

Mr.0 クロコダイル。バロックワークスの社長であり、元王下七武海である彼はアリシアの微笑みに対し、眉間に皺を寄せ、不快そうに答えるだけだった。

 

「あらあら。そんな表情(かお)をされては幸せが逃げていってしまうわ。」

「インペルダウンに収監されて幸せを語るのはテメェだけだ。」

 

彼女は大袈裟に両手をあげ、やれやれと言わんばかりにため息をつく。

この静かなLEVEL6において、アリシアとクロコダイルの会話は娯楽の一部でもあった。

 

「それよりも…面白いことが上で起きているわ。…侵入者ね。それと脱走囚が多数。」

「…またお得意の見聞色の覇気か?」

「もちろん。それ以外で分かる術があって?」

 

他の囚人には聞こえない外の音を鮮明に聞き取ることの出来る彼女の見聞色の覇気を使い、アリシアの耳にはすぐ近くで起きている事のようにインペルダウン内の音が聞こえてくる。

 

叫び声、笑い声、彼女の前にはプライバシーなどないも同じだ。

それゆえ、今この大監獄で何が起きているのか、彼女には筒抜けなのだ。

 

「王下七武海“ボア・ハンコック”の訪問。海賊“麦わらのルフィ”の侵入。それに“道化のバギー”と“Mr.3”が中心となり、他の囚人を逃がしているようね。さらに、その対処のためにマゼランが直々に動いているわ。」

「…アリシア。お前今…ルフィって言ったか?」

 

場を震わすような力のこもった声の主は四肢を鎖に繋がれたまま、アリシアに視線を向ける。

 

「今…ルフィって言ったよな?」

「ええ、言ったわよ。エース。」

 

珍しいわね、あなたが私に話しかけるなんて、とふふふと笑いながら彼女は続ける。

 

「今はまだ生きてる。ただ、もうじき死ぬわ。」

「…ッ!!!」

「だって当たり前でしょう?…マゼランが出るんだもの。それに彼、馬鹿みたいに戦ってばかりで逃げようともしない。…マゼランに出会ったが最期ね。」

「黙れ…!!」

 

アリシアの言葉に苛立ちを隠せないエース。

そんな彼を嘲笑うかのように彼女は続けた。

 

「私は何も間違ったことを言ってないわよ?どうやらあなたの事を救いたいようだけど、実力が足りないわ。たとえ運良くマゼランと遭遇しなくても、LEVEL5でくたばるがオチよ。」

「…その煩い口を閉じろ。アリシア…。お前程度の実力で…何がわかんだよ…!?」

 

声を荒らげるエースに対し、アリシアは微笑むのをやめ、酷く冷たい目で、凍えるように冷たい声で言い放つ。

 

「馬鹿で短気なところが義兄弟揃って似てるのかしら?少なくとも私はあなたや彼より強い。単細胞なあなた達なんかよりもずっと上手く立ち回れる。」

 

──現にあなた私に負けたことをお忘れ?

 

「そんな昔の話を持ちかけてくるなんてなァ…。アリシアも老けたもんだな。」

「あら、ケツの青いガキがなんか喚いてるわ。お守りが必要?」

 

睨みを聞かせるエースに微笑みを浮かべるアリシア。

それを眺め、爆笑する囚人たち。

エースにとって因縁のあるアリシアは気に食わない相手であり、倒したい相手でもある。

逆にアリシアはエースのことを特にどうとも思っていなかった。

何かと突っかかってくる鬱陶しい相手であり、もうすぐで処刑される男、という認識だろうか。

 

「まぁ、もう少し進展があったら伝えてあげるわ。」

 

そういい彼女は壁を背にして腰を下ろし、そっと目を閉じる。

そんなアリシアのひとつひとつの動作は全てが美しく、気品が感じられる。悔しながらエースもその点は感じているのだ。

 

 

 

“悪食修道女”アリシア

懸賞金 8億三千万ベリー

 

その華奢な体からは想像もつかぬ怪力で大きな片刃斧を振り回す。

殺した相手を髪まで血で染めながら貪ることから悪食という名が広まった。海賊ではないが、世界的な犯罪者としてインペルダウンに収監中。

 

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