悪食は闊歩する。   作:萩山カオル

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急にお気に入り数や評価が増えていてとても驚いてしまいました!
今週まだ予定がそこまで詰まってないので今夜も更新


邪魔しないで

「ゼハハハ。麦わらが居ることはわかってたが、まさか悪食野郎まで出てきてたとはなぁ!?」

「あら…。女性に対して“野郎”って少し失礼ではなくて?」

 

下品にゼハハハと笑う大男にいつもの微笑みとは違い、凍りつくような笑顔を向けるアリシア。まるでゴミを見るかのような視線をしていた。

普段のアリシアはというと、意味ありげな笑み、唐突な真顔など、コロコロと表情の変わる女性なのだが、黒ひげ“マーシャル・D・ティーチ”と相対してからというもの表情に変化が見られないのだ。

 

「つれねェ女だぜ…!! まあいい、ちょうどお前にも用があった所だ。」

「ふふふ、黒ブタと海賊ごっこなんてしたくないわ。わかったかしら? 理解出来たのならさっさと養豚場に帰ることね。」

 

下卑た笑みを崩さない黒ひげに冷めた笑みを浮かべるアリシアは告げる。「まだ言ってないぜ?」と黒ひげの言葉をも無視して歩き出す。

 

「じゃあね、黒ブタさん。…あ、いいこと思いついたわ。ちょうど真下に大釜があるのだけれど…。」

「…入らねェぞ?」

 

アリシアは「あら残念」と無表情で告げ、再び背を向け黒ひげとすれ違う。そんな時雄叫びと共に走り出す男がいた。

 

「JETピストル!!!」

 

『ズガンッ!!』という音とともに黒ひげは吹き飛び、アリシアを追い抜かし壁へと激突した。痛みに悶絶する黒ひげに対して怒鳴りつける男は“麦わらのルフィ”だった。

 

「ジンベエに聞いた!! お前が“黒ひげ”だな!!??」

「あぁ…!!! だったらどうしたァ!!??」

 

「ぶっ飛ばす!!!」

 

すぐ真横で繰り広げられる戦闘に目もくれずアリシアは軍隊ウルフの“ハクロ”から何かを受け取っていた。

 

「ありがとうね。やっとこれで本調子が出るわ。」

 

ハクロが咥えていたものは大きな片刃斧。収監前のアリシアに愛用武器である片刃斧【ケツァル】は蛇を模した柄に翼の模様を持つ刃が特徴の大斧だ。アリシアはハクロから斧を受け取ると、軽々しく片手で持ち上げ、肩に担ぐ。

 

彼女が笑顔で愛武器を愛でている時、遂にルフィが黒ひげの“闇水(くろうず)”により捕まる。急激な引力により引き寄せられたルフィは何が起きたか理解しておらず、そのまま為す術なく叩きつけられるかと思われた。

 

「黒ブタさん?…首を落とされたくはないでしょう?…早く手を離せ。」

「オーガー!!!」

 

オーガーは既に三発の銃弾をアリシアに向け放っていた。眉間、首、胸を狙う、ほぼ同時に放たれ弾は真っ直ぐ目標へと向かい、彼女の息の根を止める。

 

「…残念でした。」

 

彼女は放たれた銃弾を全て受けたのだ。もちろん、無傷。金属に当たったかのような音を出し、銃弾は彼女の肌で跳ねたのだ。

状況を呑み込めないルフィ、Mr.2、その他囚人たちは有り得ないものでも見るかのようにアリシアを見ていた。だがそんな彼女は彼らの視線など気にもとめず、【ケツァル】を振りかぶる。

 

「待て! 待て待て待て!!! 離す! 離すからよせ!!」

「あらあら、そんなに慌ててどうしたの? まるで今にも殺されるかのような表情して。あら?…でも元気ね…。どうせなら元気なうちに精肉工場まで送ってあげましょうか?」

 

さらに顔を青く染める黒ひげに対して恍惚とした表情を浮かべるアリシア。そんな表情を前に黒ひげはルフィを投げ飛ばす。

 

「ふふふ、ちゃんとできるじゃない。」

 

と言った直後に、アリシアは黒ひげの襟首を掴みオーガーに向かって投げ飛ばす。まるで大砲かと思われる程の威力でオーガーと黒ひげはもみくちゃになる。焦る黒ひげ海賊団を無視し、自由の身になったルフィを助け起こす。この一連の動作を間近で見ていた彼は理解が追いついていないのか、少し首を傾げていた。

 

「さぁ、先へ急ぐわよ。すぐにマゼランが駆けつけてくるわ。」

 

──あなたはまだ止まるべきでは無い

 

笑みを浮かべルフィの背中を押す。

「さぁ」と彼を走らせた後、他の者にも声をかけた。

皆がアリシアを抜き去り、階段へと駆けた後、ゆっくり振り向き、黒ひげを見据える。

 

「あんまり調子に乗らない事ね。確かにあなたには力がある。それに運もあなたに向いているのかもしれない。 その悪魔の実の能力を深く理解していることは評価するわ。」

 

再び斧を肩に担ぎ続ける。

 

「私はあなたのような人を多く見てきた。 そしてその多くを屠ってきた。 だけれども、私があなた達を今ここで邪魔する理由なんてどこにもないわ。 する必要が無いもの。 あなた達を食い殺すなんていつでもできる。手間なんてかからない。」

 

ウィンプルにより影に隠れた彼女の両目は金色に怪しく煌めいている。

 

「ゼハハハ…。大きく出たな。」

 

壁に寄りかかる黒ひげがそう発した瞬間、そのすぐ横の壁が一つの大きな斬撃により砕け散る。

 

「今私が話してるのよ。時間が惜しいのに無駄な事させないで。」

 

修道服に隠れた彼女の体が少し膨らみ、背丈が一回りほど大きくなる。

鼻先も伸び、まるで獣のような目で黒ひげを睨んでいた。

 

「…はぁ、何話そうと思ってたか忘れちゃったじゃない。」

 

──じゃあね、もう行くわ

 

「せいぜいマゼランに殺されないようにね…。」

 

話終え、背を向けるアリシアにオーガーが銃口を向ける。バージェスも戦闘態勢に入っているが、黒ひげが制する。

 

まだ勝てない。

 

悔しそうな目で、穴が開きそうなくらい彼女の背中を睨む。

黒ひげの目に映る彼女の背は先程よりも小さくなっていた。

 

「いくぞ。」

 

立ち上がり、アリシアに背を向け、歩き出す。

血まみれで、息を切らしながらLEVEL6へと彼らは向かったのだ。




アレ、黒ひげ弱くねって思って方居るかと思いますが、そこら辺は大目に見てやってください。
頂上戦争では彼女の戦闘をメインとして書き上げたいと思っております。

評価、お気に入り追えなくなってきました…。
新たに評価、お気に入り登録してくれた方ありがとうございます!
稚拙な文章に目を通して頂き、ありがたいです
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