英雄に鍛えられるのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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酒場の暴食

 モンスターにはレベルが存在しない。当たり前だ、恩恵がないのだから。

 しかし適正レベルは存在する。それは長い歴史の中、ギルドが先人達の情報を持って帰り、厳正に審査し、そのレベルに至った者達と戦わせ出した結論。

 ミノタウロスの適正レベルはLv.2。それはつまりLv.2以降でしか勝てた者は居らず、Lv.1では絶対に勝てないと千年続く歴史で決定づけられたこと。

 勿論それを覆す者はいる。そういった者達がランクアップするのだ。ただ、それはつまりランクアップ出来るだけの経験を積んだということだ。外で経験を積んでいたと言うなら、まだ解る。

 

「………もう一度確認なんやけど、自分はヘスティアの恩恵やなくて、神の恩恵そのものを半月前に得たんやな?」

「はい」

「で、今日ミノタウロスを3匹倒したと?」

「はい」

 

 とてもではないが信じられない。しかし嘘をついているようには見えない。念の為、彼が嘘をついた時わかるか確かめてみるか。

 

「なあ、ちょっと嘘言ってみてくれん?」

「え? あー…………【ロ、ロキ・ファミリア】の人達は美人ばかりですね。お義母さんより綺麗な人、初めて見ました」

「ふむ、ウチの子達より母親の方が綺麗と思っとる、と」

 

 ついでに言えば初めてという台詞から察するにこの場に人間以上の容姿を持つ女神が3人も居るのに誰一柱(ひとり)として母親より綺麗だとは思ってない。とんでもねえマザコンだ。

 

「はあぁ!? 何を言ってるんですか貴方は! 一児の母よりアイズさんやリヴェリア様のほうが綺麗に決まってます!」

「いえ、僕のお義母さんです。断固として譲りません」

 

 レフィーヤの言葉にキリッとした表情で告げるベル。無礼な〜と唸るレフィーヤ。と……

 

「うん、解るよ。お母さんって、誰に何と言われようと綺麗だよね。私も私のお母さん、私より、リヴェリアより綺麗だと思ってる」

「え、あ、アイズさん!?」

「…………………」

 

 アイズの言葉に固まるレフィーヤ。リヴェリアは何とも言えない顔をしている。

 

「そうですか。じゃあアイズさんが綺麗なのは、お母さん似なんですね」

「…………綺麗?」

「はい、綺麗です」

「……………そう、なんだ」

 

 下心一切ない、無垢な称賛に照れるアイズ。レフィーヤが慌てたように「私も綺麗だと思ってます!」と叫んだが()()()()()()()にアイズ、は「う、うん」とだけ返した。

 

「嘘は一度も言っとらんなあ。全部本音や」

「つまりミノタウロスを倒したのも本当、と。参考に、どうやって倒したか聞いていいかい?」

「えっと、2匹は簡単に倒せたんですが最後の一匹だけやたら強くて。2匹は武器が弱くても魔石を狙えるほど鈍かったんですが3匹目が………速さとかは変わらないんですけど、なんていうか、人を相手しているみたいな………」

 

 うまく言葉にできずに唸るベルに、フィンは目を細める。彼がミノタウロスを倒したのも、2匹を倒せたのも嘘ではないだろう。なら、彼が苦戦すると事になったミノタウロス、その一体だけがあのイレギュラーの中でも突出したイレギュラーということだろうか?

 

「ありがとう。君が対処してくれなかったら、死人が出ていたかもしれない」

「そうさ。そんなベル君を笑ったんだ、勿論相応のそれなりの謝罪は見せてもらうからな」

「か、神様ぁ……」

「いいんだ。神ヘスティアの言う事は尤もだ………時に、駆け出しということは装備も心許ないだろう? 慰謝料とは別に、そちらで謝罪できるなら僕からプレゼントさせてくれないだろうか」

「お気持ちは嬉しいですけど、僕はヴェルフの剣があるので」

 

 ベルの言葉にどこか誇らしげに胸を張るヴェルフ。エルフの何名かが「クロッゾの……」と何処か蔑むような視線を向ける。

 

「勘違いすんなよ? 俺がベルに造った剣は魔剣じゃねえ。あんな使えば砕けるような武器として三流なもん、ベルに渡すわきゃねえだろ」

「? ヴェルフ、なんかエルフに嫌われるような事したの?」

「俺は、何もしてねえよ」

 

 と、その言葉にエルフの男が立ち上がる。

 

「貴様、よくもぬけぬけと言えたものだな! 貴様ら一族が造った魔剣により、どれだけの同胞の森が焼き払われたか!」

「え、ヴェルフ魔剣をオラリオの外にも売ったの?」

「売るかよ。その辺り、ギルドのロイマンが管理してる。そりゃまあ、そういう目から溢れたのもあるかもだが、彼奴が言ってんのは俺が生まれるずっと前の話だ」

「じゃあ、あの……ヴェルフの魔剣は、エルフの森を焼いてないんじゃ…………」

 

 と、鋭い剣幕でヴェルフを睨むエルフにベルが話し掛ける。エルフの男はそれでも怒りが収まらないのか今度は怒りの矛先をベルに向ける。

 

「ならば貴様は、クロッゾの魔剣が故郷を焼き滅ぼして、なおその男の友でいられるとでも言うとのか!」

「え? はい。えっと、だってその魔剣造ったのも、使ったのもヴェルフじゃないんですよね?」

 

 あっさりと回答したベルに、エルフの男は思わずロキを見る。ロキは嘘やないで、と返した。

 

「それに、その魔剣を打ったのがヴェルフだとしても、恨みませんよ。だって、少なくともヴェルフは魔剣をそんなことの為に使って欲しいなんて思いませんから」

「っ………だが───!」

「そこまでにしなさい」

 

 と、凛とした声が響く。

 

「っ……アリシア、お前はなんとも思わんのか!」

「何も思わぬという訳ではありませんが、その猛火を目にした事もない私達が、その時代生まれても居ない方を血筋というだけで糾弾するのはお門違いです」

「はは、何だよ。あんたも丸くなったなあアリシア、初めてあった時はあんなに噛み付いてきたのに」

「昔の話はしないでください………」

 

 ヴェルフのカラカラとした笑みに頬を染め、プイと顔をそらすアリシアと呼ばれた妙齢のエルフ。ヘファイストスはん? と彼女とヴェルフを見て、頬を膨らませヴェルフの腕を抱き寄せた。

 

「おっと、どうしたヘファイストス様」

「…………別に」

「ヴェルフ君は鈍いなあ」

「ヘファイストス様、どうしたんでしょう」

「ベル君も鈍いなあ〜」

 

 と、ヘスティアは名前のよく似た親友同士の親友と自分の眷属達の鈍さに呆れた。

 

「まあ、そういうわけで武器は間に合ってます」

「ポーションの類もね。ナァーザ君が工面してくれるしね」

「ナァーザ………【冥府の番犬(ナベリウス)】か………彼女の品質なら、アミッドとも同等か」

「え、ナァーザさんそんな恐ろしい二つ名だったんですか?」

「生者を冥府に通さないという意味の番犬だよ。アミッドに並ぶ世界最高のヒーラーだ」

 

 暗黒期、ダンジョンも地上も怪我人が増え、地上のアミッド地下のナァーザといった感じになっていたらしい。その際一度片腕を失う大怪我とそれによるトラウマを負ったが支えてくれる団員達と主神により再び立ち上がったらしい。

 ベルは片腕? と首を傾げよく両手でピースする無表情な知人を思い浮かべた。

 

「そうやな、何ならここの飯を好きなだけ奢るちゅーのはどうや?」

「ロキ、ここは確かに高めの店だけど、それでは謝罪にならないよ」

「ええやん、ようは気持ちやろ? ほれベルっち、好きなだけ頼んでええよ。大手やからな、金なら大量にある」

「「………あ」」

 

 ヘスティアとヘファイストスがやっちまった、と言うような声を出す。ロキがん? と首を傾げた。

 

「いいんですか? その、僕って結構食べますけど」

「かまへんかまへん。育ち盛りや、好きなだけ食べるとええ」

「じゃ、じゃあ…………すいませーん、さっきの注文も含めてメニューに載ってるの全部くださーい!!」

「「「……………は?」」」




ミアハ・ファミリアの借金はこのご時世に医療系ファミリアかつ民心の支持を集めるミアハ・ファミリアの消滅を恐れたギルドが変わりに請け負いました

アストレア・レコードでもまず頼りにされるとディアンケヒトとミアハの2つらしいですしね



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