十話
「おいツナ そろそろ見つかったか、大事な物は」
珍しく早く起きて朝食の席に座っていたらリボーンがそう聞いてきた。
「なーに?♡ツーっ君 何か探してるの?」
母さんは食卓に料理を並べながら聞いてきた。
「ちょと、ね・・・それより、凪は?」
「え!?う、うん まだ寝てるんじゃないかな〜?」
・・・何だろう、何か隠されている様な・・・
「まぁ良いじゃねぇか 昨日、どっかの誰かが心配かけたからよく眠れなかったんだろう?」
うっ!?
それを言われると・・・昨日の夜のことを考えると何も言えなくなってしまう。
「それに、想い人がこんな朴念仁じゃな・・・大変だな」
リボーンの奴、人のこと好き勝手に言いやがって。
俺がリボーンに密かな闘志を燃やしていると、母さんの忠告が飛んできた。
「さっ、ツナもそろそろ学校行く時間でしょ?さっさと行ってきなさい」
そう言えば、今日は球技大会だったな。種目は確か・・・バレーボールだったかな?
「それじぁ、行ってきます」
俺は食べ終わった食器を流しに持って行って、そのまま外へと向かった。
「今日の試合、楽しみにしてるからな」
外に出た時にリボーンがそう言ったのが聞こえた気がした。
いつも通りの通学路を歩いていると前方から武が歩いて来た。
「よっ!ツナ 今日の球技大会楽しみだな!やるからには絶対優勝だよな?」
「まぁ、出来るだけのことはするよ」
「そう来なくっちゃな!」
それから、どんな作戦で行くのかとか、ポジションはここが良いとか、あのクラスにはアイツがいるとか、いろいろ話していたらいつの間にか学校に着いていた。
教室に着くと俺は何をすれば良いのかわからなくなってしまった。
いつもはこの時間、まだ家にいるんだよな・・・仕方ない。
そう思って俺は数学の教科書とノートを広げた。明日の授業で小テストがあることを思い出したのだ。
教科書を見ながらだとある程度の問題は出来た。
・・・この問題、どうやってやるんだろう?
キーンコーンカーンコーン!!
最後の問題に手こずっているとホームルームのチャイムが鳴ってしまった。
・・・しょうがないか。今日帰ったらリボーンに絞められるな・・・
ガラガラ
教室のドアが開いて担任の教師が入ってくる。
「みんなー席につけー。今日は転校生を二人紹介するぞー」
教室は騒然とした。まだ学校が始まって間々ならないこの時期に転校生が来て驚いているんだろう。
「こらお前らー!静かにせんか!・・・では入って来てください」
そう言って教室に入ってくる影が二つ。
俺は出したままの教科書とノートを机の中にしまいながら流し目で転校生のことを見た。
すると教室から、
「あれ?あの子って?」
「まさか、昨日の今日でか・・・」
と、言う笹川さんと武の声が聞こえて来た。
俺はその声が気になって転校生達をしっかりと見る。
・・・マジかよ・・・
驚きのあまり、俺は席を立ってしまった。
「何だ、沢田?知り合いだったか?」
担任がそう聞いてくるが俺は絶句して言葉が出なかった。
「・・・」
・・・明日って、そう言うことかよ・・・どうりで、凪が朝いなかったわけだ。
「では、二人とも自己紹介してくれ」
「チッ・・・獄寺隼人 言っておくが、十代目以外の下につく気はねぇ・・・あ!?十代目!同じクラスですね!」
「・・・さ、沢田・・・凪、です・・・よろしく」
この瞬間、俺の学校生活は劇的に変わり始めたのだった・・・マジかよ・・・
「と、言うわけで、チーム変更があってな。この六人でやることになったんだが・・・まぁ大丈夫だろ」
先生はそう言うとコートの外へと出て行った。
今日バレーボールをするはずだった選手達が次々と腹痛で棄権したらしい。
「まぁ、俺とツナがいれば何とかなるだろ!」
「何言ってんだテメェ!俺と十代目で勝負をつけるんだよ!」
「あ、あの・・・私も」
「!?姉さん!任せてください!この獄寺隼人、全力でお二人をサポートします!」
「みんな 仲良くやろうよ!」
「たくっ!これだから子供は」
「・・・どうしてこうなった・・・」
男子の出場人数が足りず、女子で種目に出ていなかった3名を臨時で投入した結果、こうなった。
セッター 沢田綱吉
センター 山本武 黒川花
レフト 獄寺隼人 沢田凪
ライト 笹川京子
以上6名でバレーボールは行われる。・・・異議反論申し立ては聞かない・・・
「それでは!試合を開始します!」
審判の声が体育館の中に響き、試合が開始する。
先攻は相手チームからだ。
「!?凪!上げて!」
相手がサーブを打つと凪のところへと飛んでいった。
「は、はい!」
凪は動揺したものの、うまく上へ上げた。
「隼人!」
ボールの着地点を予測すると隼人のところがドンピシャだった。
「任せてください十代目!トス!」
隼人の位置からトスが上がる。仕上げか・・・
「武!」
「おう!任せとけ!」
武は見事なアタックを決めて先制点を獲得した。
「テメェ!今のは十代目へのトスだっただろうが!」
「まぁまぁ 点が決まったんだから良いじゃねぇか!」
「「よくない!」」
隼人と凪の声が重なった。
「十代目の勇姿を俺に見せてください!」
「私も、見たい!」
隼人と凪は俺に詰め寄り熱弁する。
「・・・はぁ、わかったよ。なら・・・」
俺達はある程度ポジション交換をした。
「隼人くん、頼んだよ」
「お任せ下さい姐さん!十代目のために最高のトスを上げて見せます!」
ポジションを変えて武がサーブを打つ。
すると・・・
プラス1点、プラス1点、プラス1点、プラス1点、プラス1点・・・
武がサーブを打つだけで試合が終わってしまった・・・
「あんたら、大丈夫?」
試合が終わって肩を落とす二人に黒川が声をかける。
「あのバカのせいだ・・・あのバカがサーブだけで終わらせたのがいけないんだ」
「ツナくん、活躍してない・・・」
「あはは!悪りぃな!」
二人はギロっと武を睨んだ。
「はぁ・・・武、明日の小テスト勉強してないだろ?教えてやるからみんなで武の家でやらないか?勉強会」
「お、いつも悪りぃな。俺は良いぜ、勉強会 息抜きもできるしな」
武が俺を小突く。きっと俺の考えを察してくれたのだろう。
「私たちも行って良い?」
笹川さんも勉強会への参加を表明した。
「京子が行くなら私も行こうかな?」
黒川も参加、と。
「二人はどうする?」
俺は未だに武へ恨みの視線を向ける二人に問いかける。
「!十代目が行くとおっしゃるのでしたら、俺も行きます!」
「私も、勉強会、初めてだから・・・したい」
二人も参加か、よし!
これでどうにか我慢してもらえるだろう。
きっと、武も近いうちに「ファミリー」に入るんだから隼人とは仲良くしてほしいんだよな。
「じゃあ、武の家 15時30分集合で」
「「「「「異議なし」」」」」
こうして、波乱の勉強会は幕を開けた。