灰色の大空に落ちる色   作:Minadukiyuuka

12 / 12
目標No.12 連れ去りと胸に灯る炎

十二話

 

「リボーンの、元教え子・・・?」

「はい・・・ボンゴレは、俺たちの世界では親元みたいなもんなんです。リボーンさんは最重要であるボンゴレ十代目を優先して、日本に来たと聞いてます。跳ね馬は、十代目の所に来るまでリボーンさんが教えてた生徒です。」

『残念だな。今日はお前の兄弟子がくるんだが』

この人が、そうなのか?

「リボーンの言ってた通りだな。まるでなっちゃない。これじゃぁ、本部が躍起になるのも当然か」

「テメェ、何が言いたい」

 隼人は眉間に皺を寄せて問い詰める。

「言っただろ。まるでなっちゃない。これじゃぁお遊びだって」

 そう言って、持っている鞭をしならせる。

 鞭は縦横無尽に地を這い、隼人へと向かって行った。

 そして、隼人が持っている爆弾のほとんどを掻っ攫って行った。

「!?何しやがる!!」

「こいつがあると、部下が危ないんでね」

「テメェ!!」

 隼人は彼に詰め寄る。

 すると

「良いのか?あれ見ろよ」

 指差された方を向く。

「ツナ、くん!」

「何!?」

「ちょっと!?何すんのよ!?」

 すぐ近くにいた凪や笹川さん、黒川が黒服の男達に拘束されていた。

!?気づかなかった!?

 俺はすぐに助けようとするが、

バンっ!!!

 銃声が轟く。

「おっと、そこを動くなよ?ちょっとでもそこを動けばお嬢ちゃん達の命はないぜ。」

 三人に銃が向けられる。

「おいツナ これって、」

 武も、状況が分かったのか俺に尋ねてくる。

「エキストラかなんかか?」

・・・分かってなかった。

「このお嬢ちゃん達を助けたければ、明朝六時に 並盛廃工場まで来い。来なければ、命はないぞ」

 まるで、人を何人も平気で殺してきたような冷たい目をしていた。

「テメェ!卑怯だぞ!!」

 隼人が吠えるように叫ぶ。

「おいおい、正々堂々挑むマフィアがいるかよ?・・・テメェらズラかるぞ」

 そう言うと、凪達は車で連れ去られてしまった。

 その場にいるのは俺と隼人、武だけだった。

 

こんなに、こんなに呆気ないのか?

俺がやろうとしていたことは、こんなに呆気なく終わってしまうのか・・・

「・・・俺のせいだ・・・俺が近くにいたのに、守れなかった。俺が、弱いから・・・」

「!?十代目は弱くなんかないすっよ!!」

 隼人が俺を励ましてくれる。でも、俺は下を向き、自分がいながら守れなかったことに対して後悔の念を抱いた。

「十代目・・・」

「なぁ、あいつらどこ行ったんだ?」

 武はまだ状況が掴めていないのか、能天気なことを言った。

「テメェ!ふざけるのも休み休みにしやがれ!!」

 隼人は武の胸ぐらを掴む。

「・・・こんなことでもしてなきゃ、気がどうかしちまうんだよ。獄寺。」

 武は目を細め、隼人に灸を据える。

「うっ」

 隼人は武がふざけていないことが分かると胸ぐらから手を離した。

「・・・」

 俺は下を向き、前に何があるかも分からず、ただ歩き始めた。

「!?十代目!どちらへ!?」

 隼人はすかさず俺の後ろを着いてくる。でも、俺にはそれを許容できるだけの余裕がなかった。

「・・・今は、一人にしてくれ・・・」

「十代目・・・すいません」

「ツナ 悪りぃ」

 二人も、ただ下を向くばかりだった・・・

 

「ただいま・・・」

 俺は言葉を発した。あの日々の様に・・・

「母さん、リボーンは?」

 リビングにいた母さんにリボーンの居場所を聞く。

「さぁ?見てないけど・・・そう言えば!凪ちゃんから連絡来たわよ。友達の家でお泊まり勉強会するんですってね?」

・・・そう言うことかよ。リボーン

 俺は心中で悪態をついた。

 きっと、これはリボーン が仕組んだことだ。

 だから母さんには心配をかけないように電話をさせたのだろう。

「ごめん母さん。俺ちょっと寝るわ」

 そう言って、俺は部屋に篭ろうとした。

「・・・ねぇツナ、何かあった?」

 母さんが後ろから話しかける。俺は振り返って、

「うんうん、何にもないよ」

と、笑って答えた。

 

 そして、俺は夢の中にいた。またあの夢だ。

前には炎が九つ、後ろには屍の山。

 やっぱり、心は落ち着いていた。

『デーチモ。どうしたんだ?難しい顔をしているぞ』

またあの男だ。確か・・・クリーム?

『・・・デーチモ、それはわざとか?』

・・・プリーモ、だったよな?

『あぁ、よかったよ 憶えていてくれて。・・・それで、今日はどうしたんだ?』

・・・力が欲しい。

『何のためにだ?』

みんなを、凪を、守るために。

『どうしてだ?どうして守りたい?』

・・・凪が・・・

『ふっ』

!?何がおかしい!

『十三年間見てきたが、正直に何かを話すなんて初めてだったからな』

・・・凪が、好きだ・・・

『そうか、なら・・・これをやろう』

 プリーモは俺の額に触れて、炎が灯る。

 暖かい炎だった。

 「オレンジ色」の炎だった。

 力が、あふれてきた。

『何かを守りたいなら、その力で十分だ。・・・頑張れよ デーチモ』

うん ありがとう

 

 そして、夢は覚めた。

 外を見れば、空は黒く染まっていた。

 部屋のドアを開けると、床にはラップのかかったサンドイッチとメモが置いてあった。

『あんまり無理しないでね 母より』

敵わないな・・・

 俺はサンドイッチに手を伸ばして一思いに食べる。

 お腹も膨れた。

 準備も済んだ。

 

 覚悟は出来てる。 

 

ボッ

 胸の内に炎が灯るのを感じた。

・・・あの時の感覚に似ている。リボーンに打たれたあの時に・・・

 そうか、これが「死ぬ気」か。

 頭がクリアになる。

 やるべき一つだけが、今も残っている。

「・・・凪、待ってろ」

 俺は玄関を開け、廃工場へと向かう。

 道中、

「!?十代目!俺も一緒に行きます!」

「よっ ツナ、俺も行くぜ」

 隼人と武が待っていてくれた。

正直、嬉しい。でも・・・

「・・・ごめん でも、俺だけで行くよ。二人を、危険な目に巻き込みたくないから・・・」

ゴツン!

痛った!?

「テンメェ!十代目になんて事しやがる!?」

「まぁまぁ落ち着けって獄寺。 なぁ、ツナ 俺たちもさ、お前と同罪なんだよ。・・・なのにお前だけに全部背負わせられるわけないだろう?」

「!?そうっすよ!十代目、俺があん時このバカに喧嘩さへ売らなければ、ああならなかったかもしれない。だから、俺にも戦わせてください!」

 そう言って隼人は地面に頭をつけて頼んできた。

そこまでは望んでないんだけど・・・

・・・あぁ、そうか。仲間って、ファミリーって、こう言うことか・・・

「あぁ、悪い。一緒に戦ってくれ、頼めるか?」

「「おう!」」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。