灰色の大空に落ちる色   作:Minadukiyuuka

9 / 12
目標No.9 初めての好きと初めてのファミリー

九話

 

「凪、起きてる?」

 部屋に行ったきり出てこない凪に扉越しで呼びかける。

「どうかしたの、ツナくん?」

「ちょっといい?」

 そう言って二人で家を出た。ちゃんとリボーンや母さんには伝えたので問題ないだろう。

「今日は、ごめん」

 俺はまず最初に謝った。誠心誠意、ただ謝ることしかできない自分を恥じながら。

「あんなに守るって言ったのに、結局危険な目に合わせて、本当にごめん」

「・・・ツナくん、頭上げて」

ペシっ

「!?」

 凪に言われた通りに頭を上げると額にデコピンを喰らった。いきなりのことで気が回らない。

「ツナくんは私を守ってくれたよ」

 だからね、と凪は続ける。

「私はツナくんが好き」

 先を歩いていた凪が振り向く。

凪の姿を車のヘッドライトが照らす。

「・・・」

 俺は何も答えられなかった。好きだと言われて、どうすれば良いかわからなかった。

 凪を守りたい。その気持ちに嘘偽りはない。

だから俺も凪が好きだ、と簡単に考えて良いかわからない。

「・・・ツナくん 別に、答えが欲しかったわけじゃないの。会って間もないし、ツナくんには私の他にも大事な人がいる。でもね、私だよ。ツナくんに最初に「好き」って伝えたのは私なんだよ」

 言い終わると凪は苦笑いを浮かべて佇んだ。

 俺は何かを言おうと何度も口を開いた。なのに、口から出るのは空気だけだった。何かを伝えなきゃいけないのに、言葉が見つからない。

「凪・・・俺は・・・」

 やっと出てきた言葉は遮られた。それも、ある種最悪な者達に。

「おうおう兄ちゃん!えらくベッピンさん侍らせて、俺たちへの当て付けかよ!?俺たちにも味見させてくれよ、な?」

 それは、この街に居る不良の下っ端だった。不良の頭は下卑た笑いを浮かべながら凪に触ろうとする。

 俺は堪らず凪を自分の元に手繰り寄せて、その手を払った。すると頭は目に見えて不機嫌になった。

「テメェ・・・良いぜ、相手してやるよ。行け!お前ら 女に手は出すなよ」

「「「「へい」」」」

 頭が指示を出すと、傍に控えていた四人が姿を表す。

 四人は徐々に俺達を囲んでいく。

「行くぞ!お前ら」

 一人が合図を出すと一斉に殴り掛かってきた。

 俺は凪を守りながら相手を確実に潰していく。四人中二人が気絶すると頭はさらに不機嫌になる。

「テメェ等!!何ちんたらやってんだ!!さっさと潰せ!!」

 頭はノソノソと戦場に足を踏み入れた。

 相手は脆く、次々と倒れていく。

 結局、頭以外の四人は気絶している。

後はあの頭だけ・・・

 そう思った時にはもう遅かった。

「ツナくん!」

 凪の声が聞こえた時にはもう後ろから強い衝撃を受けていた。

 俺は体勢を崩して、頭にマウントを取られる。

「ツナくん!危ない!」

 頭が腕を振り上げた時だった。

 

「十代目!目を瞑ってください!」

 

 次の瞬間、俺と頭の間に閃光が走った。

「!?目が、目がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 頭は目を瞑れなかった様で目が焼かれた様だ。

 俺も、少し光に目をやられて再起するのに時間がかかった。

 そして、俺が起き上がった時には不良どもは縄に縛られていた。

「!十代目!?お怪我はありませんか!?」

 獄寺が俺に駆け寄る。

凪は・・・大丈夫みたいだ。

 凪も木陰から出てくる。

「あぁ 大丈夫。ありがとう獄寺」

 俺は獄寺の手を借りて立ち上がる。聞けば、街からの帰りにこの近くを通りかかったら俺が見えて助けてくれたらしい。

 木陰から出てきた凪は立ち上がった俺の背中にすかさず隠れた。

「・・・爆弾の、人・・・」

 凪は帰り道でのことを覚えていたらしく、獄寺を見て怯えてしまった。

「・・・十代目、そいつは?」

 獄寺は覚えていないらしく、凪の発言に少し怒りを覚えている様だった。

 二人の間で火花が散っている様に見えた。

「まぁまぁ、それは後にしてさ・・・獄寺、どうしてファミリーに入れないか、わかった?」

 俺は威圧感のある声で獄寺に問う。

 獄寺はハッとして顔つきが変わった。

 覚悟の決まった顔だった。

「・・・答えは、もらいました。でも、これは俺の答えじゃねぇ・・・だから、待っていてくれませんか?必ず、必ず自分の答えを、見つけてみせますから」

 そうか、なら・・・

 

「なぁ 「隼人」。俺のファミリーに入らないか?」

 

「えっ?」

「実はさ、俺もまだ見つからないんだ。一番大切な物が・・・だからさ、俺と一緒に見つけないか?お前は理由を、俺は大切な物を」

 そう言って、俺は隼人に手を差し出した。

「良いですか!?お、俺なんかで良ければ 十代目のファミリーに入れてください!」

「あぁ、よろしく隼人」

「・・・どう言う、話の流れ?」

 俺は凪に今日起きたことの全容を話した。

「そう言えば、そいつは?」

 隼人には、凪について聞かれたのでまぁ、義妹と答えた。すると・・・

「十代目の妹君でしたか!?申し訳ありませんでした!!!」

 隼人は土下座の勢いで頭を下げた。

「そうとは知らずに、何と言う無礼なことを・・・」

「別に、良い。それより・・・」

 隼人と凪は俺には聞こえない声で話し合っていた。

「・・・何と!そんなことが・・・ふむふむ・・・」

「・・・そうなの、でね・・・して欲しいの・・・」

「わかりました!この獄寺隼人 全身全霊でやらせてもらいます!それでは十代目!姐さん!今日はこの辺で失礼します また明日!」

 

 隼人はそ言って住宅街の闇へと消えて行った。

「あ、うん また明日・・・明日?」

「!?ツナくん!さぁ、帰ろう!」

 凪は俺の手を強く引いて元きた道を歩いていく。

 凪の語調や態度から何かを隠しているのはわかったが、それをとやかく言うつもりはない。

 そんなことよりも、答えるべきことが俺にはある。

「ねぇ 凪」

 俺と凪は足を止める。

「凪 ありがとう」

「え?」

 凪は目を丸くする。

 

「俺をさ、好きになってくれて ありがとう」

 

 俺は優しく微笑んでそう言った。

「・・・ふふ、やっぱりツナくんは優しいよ」

 その笑顔が色を帯びている様に見えたのは俺の気のせいだろう・・・

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。