詳しくは本編へどうぞ。
八紘さんとの話の後、僕は庭に出てきた。ファラさんとでも世間話でもしようかな。
「にしても………うまくいかないものだな。」
「そうね。勇は家族の話になると冷静でいられないわ。だけどそれは貴方が家族に対してどれ程真摯に考えているかの裏返しでもあるわよ。」
声のする方へ振り返るとマリアさんがいた。どうやらあの後直ぐに僕を追ってきたみたいだね。
「ごめんなさい。騒がしくしてしまって。マリアさんは同行を買って出てくださったのに負担をかけてしまって。」
「いいえ。この程度なら想定内どころかかなりマシだと思っているわ。貴方の優しさを知る私だから貴方に甘いのかもしれないけどね。さあ勇。縁側に行きましょう?」
そこでマリアさんは僕に膝枕をして、二人でどうすれば向き合っていけるかを悩み続けた。すると目元が赤かったが翼さんが吹っ切れた顔で戻って来た。
「翼さんが元に戻りましたね。」
「ええ。人の努力も虚しくね。」
僕達は皮肉を言ったが、翼さんの表情は変わらなかった。
「すまないな二人共。お陰で私はお父様に胸の内の想いを伝えることができた。だから今度は私が二人の為に報いる番だな。だがそれとは別に一つ私にも新たな想いが生まれたんだ。」
そう言って翼さんは僕の顔を覗き込み、僕にキスをした。マリアさんの目の前で。
「………翼。なんの冗談かしら?勇は私の運命の王子様であり、私が全てを捧げると誓った相手よ。貴女もフロンティアの中継は知っているのでしょう?よくもまあ泥棒紛いのことができるわね。〈自動人形〉より先に貴女から叩き潰そうかしら?」
「ん?ああすまないな。半年たっても勇の心を掴みきれないヘタレは眼中になかったものでな。幼馴染みという邪魔者と、危険思想のストーカーと、聞き分けのない義姉の教育のことを考えることで忙しくてな。悪いがお前のことは忘れていた。だがお前も婚姻は可能なのだろう?だから側室にしておけ。それが身の程を知るということだ。」
あれれー?翼さんの目から光が消えてませんか?そしてこの雰囲気に耐えかねた僕は逃げ出す際に要石に左腕で触ってしまった。
「では旦那様との約束に則り私がテストを致しますわ。準備はよろしいですね風鳴翼さん?」
そうだった!ファラさんとそんな約束してた!でも結果オーライだからこのまま隠し通そう!
「お前はファラと言ったな?嘗てロンドンにて勇の前でかかせた私の恥は!お前を倒すことで精算しよう!」
そう言って翼さんはファラさんに斬りかかった。
「なるほど。貴女は旦那様に惚れましたね?あの時よりも剣に覚悟が乗りましたわね。良いでしょう。マスターより賜ったこの哲学兵装の力で貴女を屠って差し上げましょう!」
すると鍔迫り合いをしていた翼さんの剣が砕けた。なるほどあれが〈剣殺し〉ね。更にラファエルの機動力まで考慮すればかなりの苦戦だな。
「剣が砕けた!?だがそれがどうした!私は確かに剣としての生き方を選んだ!それは今でも変わらない!だが剣は剣でも愛した者と共に歩む為の道を開く力だ!お前が剣を殺すならば!私は剣でありながらも人として生きる!故にお前に怯えることはない!
イグナイトモジュール!抜剣」
〈ダイン=スレイフ〉
翼さんを闇が覆った。
~~翼side~~
イグナイトが私に見せたのは、風鳴邸にいた頃の幼い私とお父様の光景だった。風鳴家の発展の為になすべきことがなんたるかを叩き込まれたあの日々だ。そして私が剣であろうと最初に思った日々でもある。
しかし!これはあくまでも過去の出来事だ!故に今の私は恐れていない!今の私は自分をきちんと見てくれる仲間がいる!同じ人物に恋をしたライバルもいる!私の成長を楽しみにしてくれるお父様がいる!
そして私のことを剣としても!一人の女性としても見てくれる勇がいる!だから私は強くありたい!彼を支え・守る為の強さを!
〈なんだ。もう既に覚悟を終えているではないか。これでは私の出番はほとんどないな。〉
「なんだお前は!?いきなり人の精神に侵入して来るとは!」
〈おお!すまないな。皆との約束なのだ。私達の力を真に継承できる存在を私達は探していた。そしてその力は無事に継承されたが、お前達の覚悟に私達は心をうたれたのだ。だから私達はお前達に力を継承するのだ。〉
「力の継承だと………?」
〈うむ。私からの試練はこれだ!
何故お前が剣として戦い続け、その先に何を見るかだな。〉
「なるほど。確かに目的なき力はただの暴力だ。故に私の目的を語ろう。と言ってもさっきわかったばかりだからな。」
〈うむ。私は嘗て人ならざる者だった。世界に現れては恐れられ、武器を向けられる。他者との交流など、力と力の交わりしかなかったのだ。「シドー」と出会うまではな。だからお前の目的を私に聞かせて欲しい。〉
「私は嘗て、お父様に認めてもらう為に家の剣として生きてきた。だが今は、勇のことを支えて、障害を打ち崩す為の剣であり、一人の女としてありたいと思う。今までの自分を捨てることはできないし、新しい自分でもありたい。だから剣であり、私として勇の側にいたいんだ。」
〈なるほどな。故に私が選ばれた訳か。お前の信念と生き様は人ならざる者だった私とよく似ている。だから私もお前に力を贈ろう。〉
「貴女の力………?それは一体なんだ?」
〈お前も嘗て見ただろう?彼の大剣だ。あれが私の力だ。万物を両断する圧倒的な力。そして玉座だ。〉
「勇のあれは貴女の力だというのか!?」
〈そうだ。そしてお前に継承する力だ。願わくば、その力を正しく使えることを祈っている。憎しみに囚われず、心を強く持つのだ。〉
「ありがとう。だが私は恩人である貴女の名前を知らない。教えて貰えないか?」
〈そうだったな。私の名前は「夜刀神 十香」だ。大切な男性である「シドー」からもらった誇りある名前だ。〉
「ありがとう十香。私の名前は風鳴 翼だ。十香のお陰で私はまた立ち上がれそうだ。だから私の覚悟をまた見守ってくれたら嬉しい。」
〈ああ。私達は翼達の力の中にいる。だからこの力あるところで常に見守っているぞ。〉
そうして私は十香から大切な力を受けとった。だから戻った時は勇の目に、私が勝利する瞬間を見届けて貰おう。
~~翼sideout~~
翼に天使を託した精霊 〈夜刀神 十香〉
嘗て人ならざる存在だった少女。人との関わり方を知らず、〈シドー〉に出会うことで運命が大きく変化した。翼の覚悟の仕方が、嘗ての孤独な自分に行き着く気がして声をかけてしまう。
翼「ふむ。勇を手に入れる為の情報を吐くが良い作者。そうすれば断片は残すと約束しよう。」
(既にバラバラな作者は答えられない)
翼「何も語らない作者に代わり私が予告を担当するぞ。
次回は〈翼さんの覚悟〉だ。
それにしても予告で私自身を〈翼さん〉と呼ぶ事に違和感があるな。皆様は更新をお待ちください」
(作者はバラバラなので誰もこの状況を突っ込めない)
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