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テストを終えた自動人形一同が何かを話しあっていた。
「これにて装者達のテストは無事終了致しましたわね。皆はどう評価したの?」
「アタシは楽しかったゾ!あの二人は良いコンビなんだゾ!お互いを良く信頼して、足りない物を理解しているゾ!」
どうやら装者の実力テストの結果を語りあっているようだ。そして全員が満足そうな顔をしている。それはつまり、全員合格ということなのだろう。
「アタシはカマエルの力を使わされたゾ!本当はマスターからもらった力だけで戦いたかったけど、旦那様の力は昂るゾ!使えば使う程もっと戦いたくなるんだゾ!」
「ええ。カマエルの力には戦闘衝動を増幅させる効果があるとマスターより聞いているわ。その衝動は前任者すら手に余っていたらしいわ。だからその点を見ればミカはカマエルの力を制御しているし、奥義である〈砲〉まで使った。それで尚退けられた以上は、誰が見ても文句なしね。」
どうやらザババコンビは文句無しの合格らしい。
「あーあ。ミカとレイアは良いよな。再生能力があるから戦いを楽しみ続けられてさ。あたしとファラは一度ヤバいのを食らったら戦闘続行不可能だからなー。完勝されたら清々しい程あっさり終わるからさー。」
「それは地味に仕方ない。マスターは我々の身を案じている。故にその機能に文句をつけることはできんし、我々が求められている証でもある。旦那様も同じことを言われるだろうな。」
「同感だゾ!」
「そうですわね。旦那様なら言われるでしょうね。」
「まああたしも同感だけどさ。もっとマスターや旦那様の喜ぶ顔が見たいのよね。人ならざるあたし達だけど、マスターや旦那様が大好きなんだからさ。」
「あら?ガリィが素直に気持ちを言うのは珍しいわね。当然私も同じ気持ちなんだけど、もっと尽くしたい・求められたいと思うことは、正に人間と同じなのでしょうね。それが例えマスターの深層心理に基づいたものであるとしても、私達の誇りよね。」
どうやら彼女達は主の他にも敬愛する人物がいるようだが、全員が同じ人物に同じ想いを寄せているらしい。
「そういえば剣ちゃんが、成長して旦那様に迫っていたわね。父親とのわだかまりが溶けたそうよ。旦那様が本心からぶつかったのでしょうね。故に迷いがなかったわ。だから私もラファエルを使い、
〈蒼穹を喰らう者〉を発動して、更に〈剣を殺す者〉を発動させたにも関わらす、一撃で負けたわ。」
「流石旦那様だ。ファラの二つの武器を使って尚乗り越えられる程の支えなのだ。マスターの愛がどれ程偉大なものかを改めて認識するな。」
風鳴翼も合格らしい。
「そんなお二人に仕えることができるあたし達は幸せよね。」
「ああ。そして旦那様の姉上も立派に成られた。相手をした私でさえ敬意を払える程のな。ザフキエルを使い二度立ち上がったが、彼女の目に不安はなかった。ただ自分の守りたいものを守りぬく。それだけのことのはずなのにな。」
雪音クリスも文句無しのようだ。
「マリアの方も骨があったな。あたしが戦ったのは二度だったけど、一度目は敵わないとわかって尚あたしの前に立った。ギアを失う覚悟をしてね。案の定あたしには敵わなかったけど、守りたい者を守りぬいたわ。だからあたしはマリアがイグナイトを使いこなせる確信すら出来たのよ。そしてあたしを越えると確信もしていたけど、ザフキエルの闇に呑まれなかったわ。あの力は禁忌の力でもあるけど、マリアの目に恐れはなかった。
旦那様の前で闇に墜ちること・自分の弱さを受け入れることが一番できていたわね。」
ガリィは満足した顔で語っていた。
「故に始まるわね。真に旦那様に相応しい者を決める戦いが。」
「アタシ達の役目は、マスターが全力を出す為に持って行くシャトーを守り抜くことだゾ!」
「そして今回も旦那様が派手に結界を構築してくださるそうだ。」
「あたし達はシャトーを守りつつ見届けるわ。どんな結果でもね。」
彼女達は見届ける。どんなことがおきようとも。彼女達とて一人の女性としての意地とプライドがあるのだから。
どんな結末が待つかは誰もわからない……しかし彼女達は譲れないモノの為に戦うだろう……
次回〈黒幕達の密談②〉
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