マジで……この世界⁉️   作:タク-F

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圧倒的な力を勇とキャロルにも見せつけたブラッド。その力は二組の主人公達が交戦しても余裕を崩さないほどの実力だった。そして分断されたお互いのパートナー達は今の状況を確認する。


今の状況を確認してみよっか?

~~ブラッドside~~

 

〈白黄 七海〉と〈キャロル・マールス・ディーンハイム(勇の世界)〉の二人は、小僧達の落下した場所と反対の崖下へと放り捨てた。故に奴等が合流する事は無いだろうな。

 

「しかし念には念を入れるべきだな。〈凛祢〉にも働いて貰うとするか。」 

 

愚かにも私に歯向かった、〈白黄 七海〉と〈キャロル・マールス・ディーンハイム(勇の世界)〉はあっさりと倒れ伏した。天使の力を操る小僧は更に幾つもの力を奪われ、〈キャロル・マールス・ディーンハイム(七海の世界)〉と共に崖下へと転落していたな。そして〈シャナ・マールス・ディーンハイム(更に二人と別の世界のキャロル)〉はいつの間にか消息を絶っていたな……。

 

「だが……まあ良い。直に私の計画は最終段階へと到りあまねく世界を救済しよう………そうすればいずれ。」

 

 

~~ブラッドsideout~~

 

 

 

 

 

 

~~勇side~~

 

「僕達に一体何が……。」

 

ブラッドに襲撃され、更に複数の天使を奪われた僕は、先程の戦闘で何があったかを思い出す事から始めた。

 

「七海さんとキャロルさんがブラッドの攻撃に胸を貫かれた。僕はその治療に〈ガヴリエル〉と〈ハニエル〉を使ったけど奪われて、形成していた分身を介して〈ザフキエル〉と〈カマエル〉の力も奪われた……か。」

 

その為に残る天使を用いて、僕から力を奪ったブラッドに一矢報おうとしたキャロルさんを助ける為に僕達は崖下へと落ちた筈だ。

 

「うぅ……ナナ姉ぇ……」

 

キャロルさんが意識を取り戻しかけた事に気づいた僕は、残る力を振り絞り氷(といっても力がほとんど残ってなくて水だったけど。)を作り出した。そしてキャロルさんの傷口を洗い長し、側にあった花を使って布に錬成して傷口を覆った。

 

「ありがとうキャロルさん。貴女のお陰で僕はまだ戦う事ができます。」

 

僕はキャロルさんが目覚めるまで待つことにして、周囲を見渡した。するとこの場所は先程のような森ではなく、どこかの廃墟に近い光景が広がっていた。そしてその確認ができた頃にキャロルさんは目を覚ました。

 

「ここは……どこだ?それにナナ姉は……。」

 

「目が覚めたんだね。ここがどこかは僕もわかってない。だけどあの時にキャロルさんが僕を助けてくれたのは覚えているよ。ありがとう。お陰で僕は全ての力を失わずに済んだよ。」

 

僕はキャロルさんに感謝をしたけど、申し訳ない事もあった。未だにシャナさんの事を見つけられていないのだ。

 

「だけどごめんなさい。シャナさんの事までは見つけられていなくて……。あの戦闘の時から気付いていれば……。」

 

僕の謝罪は、意外な言葉で返された。

 

「なるほどね……勇は私達の繋がりを知らなかったよね。だったら本人に説明して貰おうか。シャナ……もう意識は戻ってる?」

 

〈ああ。ブラッドに手酷くやられたが意識は何とか取り戻したし、勇がキャロルの手当てをしていたのも認識してる。〉

 

キャロルさんの体からシャナさんの声が聞こえた!?どういう事だ!?

 

「今のシャナさんの声は一体……?」

 

僕が驚いている間に、キャロルさんの体から粒子が抜け出してシャナさんを形成した。

 

「僕の目の前で一体何が……?」

 

「ならばオレの事を改めて説明しよう。まず、オレは平行世界の〈キャロル・マールス・ディーンハイム〉だ。だがナナ姉の世界にもキャロルは存在していた。よってオレは嘗ての世界への決別の意味も込めて名を一度捨てた。パパとの想い出を捨てることはいささか躊躇いがあったが、ナナ姉のくれた想いの方が今や重要だ。だから後悔はしていない。」

 

「えっ……ちょっと待って。シャナさんがキャロルさんの中にいた理由は?」

 

「話を遮るな。まず、同じ世界に同一人物は原則として存在できない。修正力が必然的に働くからな。故にこの世界はまだ救える価値のある世界だという事だ。そしてオレはサウザーの変身道具をキャロルに譲り、キャロルと同化していた。その為に戦闘中はあの場所にいなかったのだ。」

 

なんだそういう事か……なら良かった。目の前からキャロルが消えたら僕は耐えられない。それが例え平行世界の人物だとしても……。

 

「さて……状況の確認をするぞ。まずお前の体からフルボトルに吸い込まれた光の色は、〈黒〉〈赤〉〈緑〉〈藍〉だ。この色に心辺りはあるか?」

 

「その色の通りなら、〈ザフキエル〉〈カマエル〉〈ハニエル〉〈ガヴリエル〉になるね。各々が〈時間に関する十二の力を操る天使〉〈加護と炎の天使〉〈模倣の天使〉〈声と祝福の天使〉の筈だ。特にカマエルとザフキエルは疑似的な再生能力まであるから、相当敵に奪われたのは辛いね……。」

 

僕は現実を認識すると力が抜けてきた。只でさえ力を失ったというのに、更に奪われたのだ。これはかなり堪えるな。

 

「まだ絶望するには早いよ。ブラッドがお前に目をつけているなら何か行動があるから。その時が反撃の時期だよね?」

 

キャロルさんの言葉は当然だが、同時にあることにも気づいた。………まだ僕は狙われる動機がある。つまりまだこんな事が起こるって事だよね………ならまだ頑張らないといけないな。

 

「だがこの空間を作り出した奴等は何か基準を設けた筈だ。その基準は恐らく勇……お前の後悔か何かの筈だ。」

 

「僕の後悔………?」

 

僕が後悔している事か………。姉さんの時は覚悟をしていた。師匠達は心変りしている気がした。響達二課組は原作以上に結束が強くなった。旧〈F.I.S〉は正規適合者になった。キャロルは当に救われていた。一体何が後悔だと言うんだ?

 

「ああそれとナナ姉に渡した〈アルカ・ノイズ〉の結晶があと二つあるだろう?一つ寄越せ。」

 

僕は言われるがままシャナさんに結晶を一つ手渡した。そしてその時にキャロルさんにキスをされた!

 

「ッ!!?」

 

(静かにして。私が心辺りを見つけてあげるから。)

 

キャロルさんは僕にキスをしている間にそう伝えてきた。シャナさんはお顔が真っ赤になっていたけど。

 

「なっ!キャロル正気なの!?ナナ姉がいるんだぞ!?」

 

キャロルさんは唇を離すと、苦い顔をしていた。

 

「シャナ……貴女が先に勇の世界に行っていたら、私達とは出会えなかったかもしれないね。それだけ勇は私達を愛していた。そして彼の後悔も愛故の物だったよ。それも無意識の……ね。」

 

「無意識故の愛と後悔……?」

 

「勇が只一人救えなかった装者の、

〈天羽 奏〉だよ。彼女が生きていれば……って勇は無意識の内に後悔していたよ。」

 

「奏……さん?………そうか。彼女が生きていれば……。」

 

一度呼吸を整えてもう一度僕は言葉を続けた。

 

「そうだね。彼女とセレナさんの命は切り捨てた事が僕の後悔だった。セレナさんは師匠達に救われていたけど奏さんは………。」

 

「大丈夫だぜ?そんなのはただの平行世界だ。何せアタシがここにいるんだからな!」

 

「「「ッ!?」」」

 

僕達三人は声の方を振り返った。そこには間違いなく〈天羽 奏〉さん本人が立っていた。

 

「なんでここに奏さんが……貴女は2041年に……。」

 

奏さんは何事もなかったように話を始めた。

 

「良ーく思い出せよ?アタシはあのライブで絶唱を使った。だけどその時には勇の師匠達が助けてくれたじゃないか。アレでアタシは一命を取り留めて、響のギアが覚醒するのに合わせて目覚めた。そしてリハビリを死ぬ気でこなして復帰する頃に勇は帰国してきたじゃないか。そして了子さんのアホな行動を五人で制裁してリディアンを守った。フロンティア事変ではライブに参加せずに勇を救出しただろう?そしてマリア達が仲違いする事なくフロンティアを解放した。その時に未来が嫉妬で大暴れしたけど、それは二課装者と勇で何とか収まった。キャロルがアタシ達にケンカを売ってきた時は絶望したけど、勇は最後までアタシ達を信じてくれていた。だから一度はアタシと響と未来でキャロルと戦ったし、東京では八人の装者で奏でた旋律は綺麗だったじゃないか?天使は〈ケルビエル〉だぞ?ほら……コレが証拠の雷だぜ?」

 

奏さんが言葉を語れば語る程、僕はそれが真実だと感じ出した。そう……その言葉をイメージとして認識しだしたんだ。……ああ……そう言われるとそうかもしれない。

 

「奏さん……生きてて良かったです!」

 

僕が奏さんに抱きつくと僕達の傷が癒えていた。まるでそれが当たり前だったかのように……。

 

「違うぞ勇!そいつは……」

「勇!ダメ!そいつは……」

 

「悪いが二人は黙ってな?今はアタシの話の時間だぜ?……後、凛祢~早く出て来いよ~!勇が待ちくたびれてるぜ~?」

 

奏さんが二人を隔離した後に一人の女性が現れた。リディアンの制服に袖を通した緩いウェーブのかかった薄い桃色髪の少女……〈園神 凛祢〉が、僕の前に立っていた。

 

「ふふっ。この姿で会うのは初めてだね〈雪音 勇〉君。そうだよ?私の名前は〈園神 凛祢〉だよ?」

 

「そしてアタシ達は勇にお願いがあったから接触したんだ。必ずお礼も忘れないからアタシ達の話を聞いてくれないか?この世界の事も説明したいから………さ。」

 

「えっ……今……何て……?」

 

奏さんの言葉を聞いた僕は何も答える事はできなかった。




勇の前に現れた〈天羽 奏〉の存在は、只一人だけ救う事のできなかったシンフォギア装者だった。その後悔こそがこの世界を形成しているとはまだ勇は気付かない。

次回の更新をお待ちください。

そしてこちらから神咲さんの作品へジャンプできます。
https://syosetu.org/novel/222283/
〈錬金術師と心火を燃やしてみよっか?〉
是非七海さん視点でもお楽しみください。

一話の長さはどちらの方が好きですか?

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