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僕は凛祢から受け取ったフルボトルを開けた。すると予想通り〈ミカエル〉と〈ラジエル〉の力と霊力が戻った。
「ありがとう凛祢。これで僕はまだ戦える!」
キャロルも少し遅れて立ち上がった。
「同感だ!これ以上オレも寝てはいられない!ならばオレは勇の援護をする!それだけだ!」
七海さんも変身を完了させていた。そしてその隣にはキャロルさん(達)も立っている。反撃開始と行こうか!
「ほう……貴様達全員が立ち上がったか。だが言っておこう。ライダーの変身が強制解除された意味を私が知らぬと思ったか?既に風前の灯火である貴様達に構う暇など私にはありはしない。故にこいつらと戯れるが良い!」
ブラッドはそう言いながらスマッシュを出現させた。
「あのスマッシュはまさか!?まさか……姉さん達が負けたというのか!?」
驚く僕にフィーネさんは声をかけてきた。
「私がいつスマッシュは一体ずつしか出せないと言った!その程度の人形等いくらでも生成できるぞ小僧!」
確かに僕はこの現象に驚いただけど、僕達は既に覚悟を決めていた。だから急造したスマッシュごときには苦戦をしない筈だ!
「勇君……自分達が戦った三体を各々で倒すよ。」
「わかりました!行くよキャロル……僕達の相手は〈ミカエル〉・〈ガヴリエル〉・〈ラジエル〉の三体だ!」
「ふん……非戦闘系の三体か!直ぐに片付けるぞ!」
「あまりむく達を嘗めるなよ?」
「そ~だね。あたし達は弱くはないぜ?」
「そこの貴方以外は私のコレクションに加えても良いですよ?」
「行くよキャロル……メタトロンだ!」
「了解した……〈天翼〉だ!」
僕達はメタトロンの天翼を使い、擬似的なワープを始めた。
「ワープによる多角的な移動で的を絞らせず、更に〈光剣〉による粒子で私達を封殺……ってところかな?甘いよ!」
「ガヴリエル!〈幻想曲〉です!」
あの攻撃は美九さんが平行世界の十香さんとの戦闘に使った技だ。〈独奏〉〈輪舞曲〉〈行進曲〉〈鎮魂歌〉の四曲を組み合わせた歌だ。だけどその美しさは本物には及ばない。
「キャロル!合わせて欲しい!ラファエルだ!」
「今更だぞ勇!〈天を駆ける者〉だ!」
僕達は擬似的転移を繰り返す事で近くにいると三人に意識させた。そして意識の僅か外へ転移し、僕達は二人で弓矢を形成して穿った。嘗ての〈八舞〉の……〈風立 八舞〉さんの姿を越える為に!
「「ラファエル!!〈天を駆ける者!!〉」」
僕達が穿った矢は三人の意識の外からの攻撃となった。そしてその烈風で三人の姿を模したスマッシュを叩き潰した。
「ほう?存外まだしぶといか。ならば私自ら止めを刺そう。今度こそ貴様達の息の根を止めよう。」
フィーネさんはそう言うと、サンダルフォンを右腕に装備していた。
「アレはサンダルフォンか!だけど僕も顕現させる事はできるぞ!なのに……なぜ貴女が持っているんだフィーネ!」
フィーネさんは僕に失望した顔をしていた。
「貴様は……まだ私を享楽の……いや、先史文明の巫女の名で呼ぶか!」
「何度でも呼びます!僕にとっては……少し恥ずかしいですが!師匠達の次に母と呼べるのは貴女だった!だから僕は貴女の過ちを止めます!」
「オレも少なからず旧知の仲だろう?故に思い出すが良い!オレ達の因縁を!」
僕とキャロルはサンダルフォンを展開した。そして少し後ずさると、七海さんと背中がぶつかった。
「七海さん!」
「勇君……良く聞いて。ブラッドは私達二人で叩くよ。キャロル達は援護ね。」
(キャロル……聞こえた?)
(……!……もちろんだとも。これが念話か。シンフォギアの決戦仕様の一つの。)
僕達は作戦を念話で擦り合わせた。後はやるべき事をやるだけだ。
「行きます七海さん!ラファエルよ!僕達を包み風の加護を!」
僕達は風の加護を受けて飛び回る事に成功した。これでフィーネさんが巨体だろうと簡単には潰されない。
「そして僕はまだ使える天使がある。いくよケルビエル!〈ラハットヘレブ〉だ!」
フィーネの視界(というより顔にあたる場所)に雷撃をぶちかました。だから少しは影響が出るだろう……そう思ったのが僅かな隙を作った。
「毛程も効かぬわ!」
フィーネさんはそのまま左腕で僕を叩き潰そうとしたが、その腕はキャロルに斬り落とされた。
「サンダルフォンの〈最後の剣〉だ。やはりこの出力なら届くらしいな!」
「そのまま食らえ!〈ジャッキングブレイク!〉」
左腕を斬り落とされたフィーネさんは僅かに重心が崩れた。そしてそのままキャロルさんの必殺技で左足を蹴られ、完全に体が傾いた。そして七海さんが止めに仮面ライダーグリス最高の一撃を加えた。
「食らいなよブラッド!〈スクラップフィニッシュ!〉だ!」
既にバランスが崩れかけていたフィーネさんは転倒した。しかしこれだけの攻撃を受けたにも関わらず、ダメージらしいダメージは確認できなかったように見えた。
「さて貴様達……これで十分満足したか?」
「ちょっとおかしいかな?私達の攻撃がアレだけ直撃しておきながらダメージらしいダメージが入ってないなんてアークゼロの最終形態みたいじゃないかな?」
「〈アークゼロ〉それは間違いなく、僕の知らない仮面ライダーの敵の名前ですね?しかし僕にもその相手が恐ろしく強かった事がわかります。そして……今のフィーネさんの実力の高さが想像できました。」
「そう……〈アークゼロ〉はゼロワンに出てきたラスボスであり、私達がフロンティア事変で相手をしたネフェリムが最後に至った姿だよ?そしてキャロル・セレナ・姉さん・私・奏・シャナの全員で力を合わせた……ね。」
「だけどナナ姉!アイツは!」
「間違いなくアークを越えているよ。勇君達の力は既にあの時の五人相当な力がある。それでも勝てていないからね。」
七海さんが冷静な分析を終えると、再びフィーネさんへの攻撃態勢に入った。
「僕も続きます!サンダルフォン!〈最後の剣〉!」
僕は七海さんを援護するべく〈最後の剣〉を放った。だけどフィーネはその一撃を見てこう言い返した。
「貴様達に真の斬撃を見せてやろう。」
そして右腕のサンダルフォンを両手で持ち直した。
「嘘だろ!?さっき左腕は斬り落とされた筈だ!」
「その程度のダメージは炎の天使で修復される。貴様達も覚えがあるだろう?そしてこれで倒れろ!」
僕達四人は振り下ろされた斬撃で何本もの木々をへし折りながら壁に叩きつけられた。
「ふむ。少々飛ばし過ぎたか……ではこのまま追撃を喰らうが良い!確か名前はカマエルの〈砲〉だったか?」
フィーネさんによる追撃の〈砲〉の威力は恐ろしかった。だから僕は七海さんを守る為にザドキエルを展開した。
「ザドキエル!〈凍鎧〉だ!ここで防がないと!それに今こそ虎の子を使う時だ!!」
僕はザドキエルだけならこの一撃を防ぎきれないとわかっていた。だから虎の子である最後の〈アルカ・ノイズ〉も使いきった。
「無駄だ!今更ノイズで防げるほどお前の力は弱くないぞ!」
「頼むザドキエル!全力だぁ!」
しかし僕お手製の増殖分裂タイプの〈アルカ・ノイズ〉もろとも、ザドキエルの防壁は破壊されてしまった。
「だけど……何とか防いだ!」
「ほう……?今の一撃を防いだか!では次はどうする?風の天使による烈風だ!確か名前は……〈天を駆ける者〉だったか?」
さっきの一撃を防ぐ事に全力を注いだ僕は体の力が入らなかった。キャロル達はまだ動けない。万事休すかな……
「大丈夫だよ。私に任せなさい。」
七海さんはザドキエルの力によって生まれた『グリスブリザードナックル』で粉砕した。そして一度変身を解除した。
「それの力はもしかして……ザドキエルの!?」
「そうだよ。誰かを救いたいと願った少女の、勇気の結晶だ。だから私は立ち上がる!何度だって諦めない!」
僕達の折れない覚悟を何度も目の当たりにして、フィーネさんは怒りに体が震えていた。それもそうだろう。目的が果たされる直前でこんなに邪魔をされているんだから。
「貴様達は、自らの幸せの為に、多くの理想を切り捨てるのか!その覚悟があるとでも言うのか!」
《Are you ready?》
「……できてるよ」
七海さんがそう冷言うと、冷気が辺り一面に漂い膝上まで凍結させた。
そしてナックルに似た「アイスライドビルダー」が出現して、大量の液体窒素のような液体(ヴァリアブルアイス)が溢れて、七海さんを氷塊状態になった。
「ふははははは!どうした白黄 七海!諦めないと言いつつも新たな力に呑まれたか!やはり人には過ぎた力だったと言う事か!」
フィーネさんはこの現象を笑っていた。だけど僕はこの現象が自滅じゃないと何となく感じた。……そして後ろから氷塊をアイスライドビルダーが押し割り、変身が完了する。
「何なんだその力は!私の知らない力だと!?」
動揺するフィーネさんに七海さんはこう告げた。
「さっき言ったよねブラッド!この力は!誰かを救いたいと願った少女の……勇気の結晶だと!」
そして七海さんは仮面ライダーグリスブリザードへと変身を完了させた。
今回は少し短いですが、七海さんがグリスブリザードの初変身回ということでここで区切ります。明日は七海さんの活躍をお楽しみください。そして勇君も一つ目の決意の行き着く先とは?
次回の更新をお待ちください。
そしてこちらから神咲さんの作品へジャンプできます。
https://syosetu.org/novel/222283/
〈錬金術師と心火を燃やしてみよっか?〉
是非七海さん視点でもお楽しみください。
一話の長さはどちらの方が好きですか?
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一話を濃密にして話数を少なく
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このまま切りの良い範囲で
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どちらでも良し