本編へどうぞ。
七海さんがグリスブリザードに変身した。僕はそれだけでこの状況を打開する希望が見えた気がした。
「いい気になるなよ!貴様達がいくら新しい力を宿そうと私の行動は揺るがない!ここで障害を排除すれば良いだけなのだ!」
フィーネさんは再びスピリットスマッシュを六体生成して来たけど、今の僕達には恐怖を感じる理由がなかった。
「もう惑わされません!あれはただの力の欠片から生まれた偽物だ!本物の力を継承して、僕はあの人達から直々に力を託された!だからもう振り返らない!前を見て進むんだ!」
「そうだよ勇君!その覚悟があればきっとその想いは彼女に伝わる!まだ間に合う!だから希望を捨てないで!」
「良く言ったぞ勇!オレ達が道を開く!必ず勝利を掴むぞ!」
「ナナ姉にここまで言わせたんだ!失敗したら私はお前を許さないぞ勇!」
〈ここが正念場だ!踏ん張り男の意地を見せろ!〉
みんなが僕の背中を押してくれる!だから負けられない。僕は救うと決めたんだ!凛祢だけじゃない……ブラッド……いや、フィーネさんの本質は変わらないんだ!奏さんの姿をしたラジエルの言葉は一部は本当だったとおもう。だけどそれだけじゃない筈だ!
「勇の道を作るぞ!お前も合わせろ!」
「良いだろう。今はお前の言葉を信じるさ!勇の想いと行動は信じるに値するからな!」
キャロルさんはジャッキングブレイクを発動してミカエル・カマエル・ラジエルスマッシュを蹴りあげた。そしてその三体のスマッシュには、キャロルの砲撃が待ち構えていた。
「既に準備は整っている!翠の獅子機の一撃を喰らえ!」
この一撃を回避することは、宙に浮かぶ三体のスマッシュには不可能だった。そして僕はその道を通りフィーネさんのもとへ向かう。まずは凛祢を救う為に!
「スマッシュ達!悪いけど覚悟を決めた少年の邪魔はさせないよ!」
七海さんはグレイシャルアタックを発動し、氷で巨大化した左手のアームでザフキエル・ガブリエルのスマッシュを叩き潰し、ハニエルスマッシュは握りつぶした。そして巨大化させたままのアームで僕をスピリチュアルスマッシュに向けて投げ飛ばした。
「救ってきなよ勇君!今が彼女を救える最後のチャンスだから!」
「えええええッ!?七海さん!いきなり過ぎませんか!?」
だけどフィーネさんもこの状況で黙る程安い計画は立てていない。だから行動に移して来た。
「言った筈だぞ!私の目的の邪魔はさせないとなぁ!」
フィーネさんは様々な迎撃を行った。
サンダルフォンの振り下ろしや、ザドキエルの氷塊の形成と射出。ザフキエルによる銃撃やカマエルの砲撃。ラファエルの烈風とガヴリエルの〈輪舞曲〉、そしてメタトロンによる収束されたビームを放った。
しかしその全ては僕を援護する三人の攻撃に阻まれる形となった。
「私達も言った筈だよブラッド!勇君の道を作るとね!」
七海さんはサンダルフォンの斬撃とザフキエルの銃撃、そしてカマエルの〈砲〉を残る右腕で防いだ。
「オレもまだ動けるぞ!サンダルフォン!〈最後の剣〉……いや、〈エレメンタルブレイドォ〉!」
キャロルは負担の残る体に鞭を打ち、エレメンタルブレイドを放った。そしてその光はラファエルの烈風とメタトロンのビームを相殺する。
「シャナ!私達も勇の為に!」
〈良いだろう!今なら少しの無理も耐えられるぞ!〉
キャロルさんはガヴリエルの輪舞曲とザドキエルの氷塊をその身で受け止めた。恐らく遠距離攻撃をするための力がもう残っていなかったのだろう。だけどそれでも僕を援護する為に体を張ってくれた。七海さんという恋人の目の前で。
「キャロル……七海さん……キャロルさん……シャナさん……すみません!助かりました!必ず凛祢を救います!」
「おのれぇ!貴様等ァァァァァァ!!」
僕がスピリチュアルスマッシュに触れた瞬間、凛祢の意識と繋がる。そして僕は凛祢と会話する。
「凛祢……約束を果たすよ……。」
僕は凛祢の意識の奥深くへとアクセスした。
~~凛祢深層心理~~
「やっぱり来てくれたんだね勇君。」
凛祢はまるで僕がここに来る事がわかっていたような口振りをしていた。
「うん。迎えに来たよ。そしてこれが僕の答えだから。凛祢……君を連れて行くよ。凛祢は自分の使命が人を幸せにすることだと言ったね?だけどそこには自分も幸せになるべきなんだ。だから僕は凛祢を連れて行く。例えその先に困難が待ち受けていても!」
凛祢は僕の言葉を聞くと笑い出した。
「ふふっ……あはははははははは!勇君は随分勝手な事を言うんだね。私がまだ使命を捨てないって言ったらどうするつもりなの?」
その可能性……というより、その言葉が飛んで来るのはわかっていた。だけど今の凛祢が本気で言ってない事も同時にわかった。
「そうだね……ならさ、まずは僕達を幸せにして欲しいな。もちろんその中には凛祢も入っているよ。だって僕は凛祢を助ける……いや、僕達の仲間になってもらうんだから!」
「そんな事をキャロルちゃんに黙って私に言っても良いの?」
「キャロルとは事前に相談をしたさ。そしてその上で凛祢を救う事……いや、フィーネさんだって救うと決めたんだから!」
「私がまた勇君の力を狙うかもしれないよ?」
「そんな事をするつもりなら今の凛祢はその表情をしていないさ。自分の表情を見た方が良いよ?」
僕はザドキエルで簡易的な鏡を作り凛祢に投げ渡した。
「っ!冷たいよ!でも……確かに今の私は笑ってるね。あ~あ……これじゃあ説得力ないか~!」
「それだけじゃあないだろ?凛祢は今恋する乙女の顔をしているよ。……いや、僕と戦ってた時から明らかに僕に執着していた。僕はあの顔に覚えがあった……というよりずっと見て来た顔だったんだから。」
「へえ~。じゃあそれは一体何だったの?」
「もう知ってるでしょ?〈愛〉だよ。それも凛祢の愛は普通の親愛とかじゃあないね。キャロル達と同じ類いの顔をしていた。凛祢はさ、最初は普通の恋をしてみたかったんじゃないの?だけど様々な世界を見て回る内に愛を知った。そして〈士道さん〉と同じ力を持つ僕を観測したんだ。だから今度は自分の幸せを手に入れたくなったんだよ。だけど僕はあの人じゃない。」
「そうだね……勇君は士道とは違うよ。だけど……私の胸がとても焦がれたのもまた事実なんだよ?」
「うん……そう言われる事は〈男冥利に尽きる〉って言えば良いのかな?だけどね、僕が凛祢自身を幸せにしたいと願った事もまた事実なんだよ。」
「そうだね。でももう一度聞くよ?私を本当に救う気があるんだね?」
「違うよ。凛祢だけじゃなくて、フィーネさんも救うんだ。その為にもまずは凛祢をここから救い出す!そして力を取り戻す!」
「あはははははははは!そういえばまだ力を全部取り戻してなかったんだ!なのによくそこまで言えたよね?」
そう……まだ〈ザフキエル〉・〈カマエル〉・〈ガヴリエル〉・〈ハニエル〉を失ったままだ。だけどそれでも僕は二人を救うと決心したんだ。
「はぁ……笑い疲れた。だけどそれなら私も手伝うよ。空いてるフルボトルに私の力を注ぎ込む。そして〈彼女〉が取り戻したフルボトルで最高の力を勇君は使えるよ?」
すると二本のボトルの内の一本が薄桃色に変わった。
「まさか七海さんが!……そうか。ありがとう凛祢!おかげで最高の姿を見せられるよ!」
「どういたしまして。じゃあ……私にキスをして。この戦いが終わったら勇君には、私がこんなに素敵な気持ちにさせた責任をとってもらうから。」
「かまわないよ。僕はいつだって全力さ。だからいくらでも困難に立ち向かう。」
僕は凛祢にそっとキスをした。その味には儚さを感じたけど、僕はもう迷っていないんだから。
「さあ行くよ凛祢!この戦いを終わらせる!」
「うん!私に最高の幸せを見せてよね!」
僕達は語りあった後にブラッドとして……スピリチュアルスマッシュとして活動するフィーネさんから脱出した。
「おのれ!雪音 勇!貴様はまたしても私の邪魔を!そして凛祢!私を裏切るつもりか!」
フィーネさんはそう言うと凛祢を取り戻すべく触手を何本も伸ばして来たけど、それは僕達には届かなかった。
「させる訳ないよ!せっかく二人がいい雰囲気なんだから空気を読みなさい!」
だって七海さんが既に〈スクラップフィニッシュ〉の態勢に入っているからね。
「チイィ!白黄 七海ィ!またしても貴様はぁ!」
「いいや違うよフィーネさん!僕達の決意そんなモノじゃない!それをこれから見せてあげるさ!」
そしてフィーネさん……僕達は貴女も救うつもりなんだから……。
~~クリスside~~
「かぁ~!やっぱりザフキエルとカマエルはゾンビみたいに何度も立ち上がるなあ!だけどてめえらの動きは既に見切ってあんだよ!」
「模倣の天使もそこまでです!これで決めます!」
あたしは平行世界のセレナと即席のバディを組んで勇を援護しに来た。そして今はこいつらをもう倒せる!さあ!後少しで姉ちゃんが駆けつけてやるからまってろよ!
「これで終いだ!カマエルゥ!〈砲〉だぁ!」
「終わりです!ソードクリスタ!」
「きひひひひ……これではダメそうですわね。」
「悔しいけどここまでみたいね。」
「やっぱりあたしを駆り出すんじゃないわよ。」
そう言い残して奴ら……スマッシュは倒れた。それにしても琴里達の姿の模倣とは趣味がわりぃな。
「こっちは終わったぞ……すぐに行くからな!」
~~クリスsideout~~
無事に凛祢を救い出す事に成功した。最後の戦いは熾烈なモノとなっていた。そして皆は悟っている………幕引きまでの時間は残り少ないと。
明日が最終決戦です!更新をお待ちください。
そしてこちらから神咲さんの作品へジャンプできます。
https://syosetu.org/novel/222283/
〈錬金術師と心火を燃やしてみよっか?〉
是非七海さん視点でもお楽しみください。
一話の長さはどちらの方が好きですか?
-
一話を濃密にして話数を少なく
-
このまま切りの良い範囲で
-
どちらでも良し