崩壊する楽園で勇達は最後の準備を始めます。
一体何をするかは本編で是非確認をお願いします。
「さて、行くよガヴリエル!〈幻想曲!〉キャロルもガヴリエルを頼むよ!」
「任せろ勇!ガヴリエルよ!〈幻想曲!〉だ!」
僕達はこの崩壊する楽園でフォニックゲインを高め続けた。澪さんの言葉が正しいなら今の僕達二人でなら、〈虹の旋律〉を奏でる事ができる。
「来た!〈アイン〉の波動を感じる!エクスドライブだ!」
僕達はたった二人で虹の旋律を奏で、エクスドライブへと至った。だけど目的はここじゃない。この〈奇跡の再現〉はあくまでも手段なんだ。
「行くよ〈アイン!〉まずはこの崩壊を止めるよ!」
僕は崩壊する世界を〈創造と破壊を司る天使〉でこの空間の再構築を開始した。間違いなくこの力は神の力の一端と言えるだろう。
「勇……ようやく空間が安定したぞ。その力が相当に危険な力だという事はも理解している。〈崇宮 澪〉の力が全ての精霊の力の根源だという事もな。」
キャロルの気遣いもあり何とか急場は乗りきれた。そして僕達が七海さん達の退去した後にどうしてもやりたかった事は、ブラッド……いや、フィーネさんと凛祢を救済する事だ。
「ありがとうキャロル……じゃあ始めようか。」
僕はフィーネさんが倒れた時、その亡骸をこっそり回収しておいた。それは今から行う事に必要だったから。
「ではオレも準備しよう。勇の頼みの品だ。」
そう言ってキャロルが取り出したのは空だった筈のフルボトルだ。僕がキャロルに投げ渡した分と合わせて三本あるが、今はその全てが〈あるモノ〉で満たされている。
「そしてこの凛祢から託されたフルボトルも必要だね。」
僕は凛祢から託された薄桃色のフルボトルを取り出した。そして僕達は所持している全てのフルボトルを開けた。
「頼むよ……上手くいってくれ……。」
ボトルの中身である粒子がフィーネさんの亡骸を包む。そこからの時間は長く、キャロルはその間に七海さんから託された袋の中身を確認した。
「……中身は〈ハザードトリガー〉と〈ロストコブラフルボトル〉そして〈グレートクローズドラゴン〉か。ん?もう一つあるな……これは……手紙か?」
キャロルは少し顔をしかめたけど、すぐに手紙を僕達二人が読めるようにした。その内容はこう書いてあった。
《今回は二人のおかげで助かったよ。ありがとうね。だから気持ちばかりのプレゼントとしてこの袋の中身を勇君達に託す事にしたんだ。
・最初に二つのビルドドライバーだけどこれらは勇君が持っていて。恐らく今後力になる筈だから。私には予知能力はないけど、自分の直感が告げてるの。必ず必要になるってね。
・次にハザードトリガーは姉さんの作り出した試作品なんだ。だからそんな危険な物は流石に持って帰りたくないから、勇君の世界で厳重に管理もしくは活用して欲しい。
・そしてコブラロストフルボトルとグレートクローズドラゴンは私達じゃなくて凛祢さんの物だから、もし良かったら形見にでもしてあげて。その方が彼女もきっと報われるから。
・そして最後にもう一つ。ありがとうね平行世界の主人公。姿や魂は違うけど、同じ世界を舞台に降り立ったある意味もう一人の自分自身。きっと勇君達はこれからも困難が待ち受けているけど、それでも乗りきれる筈だから。なんたって勇君はある意味では私と同一人物なんだから、諦めないならきっと……》
手紙の内容にその先は書いていなかった。恐らくそれはわざと書かなかった事が想像できた。
「〈ある意味では同一人物〉……か。言われてみると確かにそうだね。どちらも別の魂と心を持った一人の人間だけど、僕達が辿る軌跡は同じ様なモノが多いからね。だからきっとその言葉がしっくり来たって事か。」
「否定したいところではあるが、それも一つの事実だとオレも理解している。さて……そろそろあちらも終わるみたいだな。」
キャロルの示す先には、フィーネさんの亡骸だった物が凛祢の体へと再生されていた。そして彼女は目を開ける。
「あれ?私……なんで……?」
やはり凛祢はこの状況に困惑していた。何せ自分の体が粒子へと変わり死んだ筈だったからだ。
「おはよう凛祢。言っておくけどここはまだ〈凶禍楽園〉の中だよ。そして凛祢の体はフィーネさんの体だった物だよ。」
「勇君……キャロルちゃん……私……私……。」
凛祢はなぜ僕達を排除しようとした自分が蘇生されたのかわからない様子だし、そもそもそんな自分が許される訳がないと言いたげだった。
「生かされた意味がわからないなら見出だせ!それが勇に報いるという事だ!」
キャロルは少しだけ機嫌が悪い。当然だよね。自分の伴侶が目の前で他の女性を心配しているんだから。
「まあまあ落ち着いてよキャロル。確かに君の目の前で凛祢を心配した事は謝るよ。だけどさ、今だけは許してくれないかな?もう一人も起こさないといけないから。」
「わかっているさ……。勇の優しさが度が過ぎてる事も……。それが例え今の今まで戦っていた相手だとしても手を伸ばしてしまう事も……。」
キャロルは嘗ての自分の事を思い出しているようだ。
「もう……一人……?……それは……一体?」
凛祢がその答えを聞く前にその人物が目を覚ましたようだ。
〈なぜ私の意識がある……?私は確かに先ほど……?〉
その人物も凛祢同様になぜ自分の意識があるのか困惑していた。だけど凛祢と違うのは、その人物は自らの体を持たない事だった。
「これは現実ですよブラッド……いや、フィーネさん。」
《お前は勇か!なぜ私を甦らせた!私はあのまま!》
「その答えは今から伝えます。二人には聞いて欲しい話だったから覚醒するまでは、キャロルにも詳細を説明をしていなかったんですから。」
「まったくだ!いきなり念話で、〈フィーネが消滅する際にその粒子をフルボトルに集めろ〉等と無茶を言いやがって!」
「それは本当にごめん!だけど詳細を話す時間がなかったんだよ!」
本当に全てがギリギリだった。少しでもズレていたら救う事は不可能だった可能性が高かったから。
「じゃあ一から説明するよ。まず発端は凛祢が見せたイメージだったんだ。」
「私の見せたイメージ?」
「うん。平行世界のフィーネさんと凛祢は人々の願いや幸せを望み続けた。だけどそれが叶わないと知っていただけに、無意識に諦めてもいたんだよ。だけどそこに僕が観測された。」
「うん。私が勇君を見つけたのは、今から凡そ九年前だよ。ちょうど勇君がバルベルテで初めて礼装を纏った時だよね?」
「いつか僕が成長する。それまでの間にフィーネさんは凛祢に接触された。違いますか?」
《その通りだ。そして私は全てを救済するには、この世界と異なる理の力が必要になる事に気がついた。》
「なるほどな。凛祢とフィーネは本来は出会う筈がなかった。だが勇の存在を知った事で平行世界という概念に気づき、凛祢はフィーネに接触したという事か。」
「更にもう一つの世界へと影響が出ていた。その世界が……」
「白黄 七海の世界……か。オレが聞いた話では、あの世界には既にライダーシステムが存在していた。そしてその世界で作られた〈ビルドドライバー〉と〈ハザードトリガー〉をフィーネが奪った。」
そこまでが僕達の来る前の話だ。だけどここからが皆の聞きたい事なんだよね。
「そうなんだよ。ねえ凛祢?本来なら〈ロストコブラフルボトル〉と〈グレートクローズドラゴン〉は機能しない筈だったんじゃないの?」
「そうだよ。嘗てのビルドの世界から流れついた二つの装備が、七海さんが完成させた試作品と共鳴したんだ。本来なら起動しない筈だったのにね。」
恐らくそれで七海さんの世界は巻き込まれたんだ。
「だが解せんな。例えそうだとしてもその世界が観測される理由は無い筈だろう?それとも何か特別な物があったというのか?」
推測の域を出ないから僕も確信は持てない。だからそれをフィーネさんに聞きたいな。
「ねえフィーネさん。もしかしなくても七海さんの世界には〈ギャラルホルン〉があったんじゃあないですか?」
「おい勇……まさかあの〈ギャラルホルン〉というつもりじゃあないだろうな?」
「ギャラルホルン……それは北欧神話においてアースガルズの門番であるヘイムダルが持つ角笛で、ラグナロクの到来を告げるといわれる物だね。そして七海さんの世界には間違いなくあった筈だよ?」
〈確かに存在していたぞ。だが何故それをお前が知っている?〉
「それは勇が転生者だからだろうな。それも七海と同じようにこの世界を知っている……な。」
そう。キャロルのいう通り僕はアプリ版でギャラルホルンの存在を知った。そしてそれが平行世界へとアクセスする役目を持つ事も。
「話を戻します。フィーネさんは七海さん達がギャラルホルンを使う事で生じた歪みを観測しました。そして凛祢も所持していた二つのアイテムが、七海さん達の使うギャラルホルンを通じて反応したんです。」
そして恐らくは……。
「本来七海さん達は関わる筈がなかったけど、ギャラルホルンはブラッドとしてのアイテムとフィーネさんを呼び寄せた。そして僕達の世界へとSOSを発信し、凛祢が僕に接触した。そうですよねフィーネさん?」
〈全てお前の推測通りだ。故に私達はお前に接触したのだ。〉
「だけどそれでそれぞれのも平行世界とここが観測されるだけだよ?勇君はなんたって私達を救ったの?」
ようやく本題に入れるな。
「凛祢が僕にキスをした時にわかったんだ。凛祢もフィーネさんも、本当は皆を救いたかっただけだとね。そしてそれは僕も同じ想いだ。だけど同時に二人から、
〈自分達の事を止めて欲しい〉
という無意識の想いもわかった。だからもし次があるなら……ってね。」
〈筋金入りのお人好しめ。後悔しても知らないぞ?〉
「私はあのまま消える事が運命だと思っていた。だけど勇君が繋いでくれたこの命を、もし良いと言ってくれるなら私は勇君の為に使いたい。だって私達に〈本当の幸せ〉を教えてくれるんでしょ?」
フィーネさんは素直には言ってくれなかった。それでももう一度やり直す機会と本当の幸せを知る為に僕の提案を受け入れてくれそうな気配がした。そして凛祢は言うまでもないって訳ね。
「それじゃあ改めて。僕は確かに救える人々を救いたいし、その覚悟も決めた。だけどもし二人が良いなら協力して欲しい。」
「もちろんだよ。」
〈私の事も幸せにするのだろう?そうでないなら許さんからな?〉
「約束します!そして次に会う時は……」
「〈現実で会おう〉だよね?もちろんだよ!必ず会いに行くから!」
「ありがとう。そしてフィーネさん……もし良かったら新しい名前を受け取って貰えませんか?」
〈新しい名前だと?面白い!言ってみろ。〉
「〈ダ・カーポ〉。音楽用語で始まりを表す言葉です。今の享楽の巫女の使命は終わり、新たな幸せを手にする者。そういう意味ですよ。」
〈ダ・カーポか。良いだろう!もし向こうに辿り着いたその時は!〉
「必ず僕が迎えに行きます!だからその時私は勇の力になろう!」
「約束ですからね!」
僕達はその言葉を交わした時世界が光に包まれた。
「いよいよですね。先に現実で待っています。」
「うん!私達もすぐに向かうからね!」
そして僕は意識を手放した。
~~???side~~
アレが天使の輝きか。なんと素晴らしいものだ!
「我はあの者が気に入った。あの者が心残りにしていた端末は我の知る世界に存在していたな。」
我はあの者が欲しい……いや、あの者の愛が欲しい。あの全てを受け入れる度量は、嘗ての我が求めていた物だ。そしてついにはその機会を失っていた。しかし今回、我はあの者に会う事が出来る可能性を見た。
「その為にはまず、〈天羽 奏〉の器と魂が必要だな。」
ならばまずは器と魂を揃えよう。そして我は伝えよう。
〈我も幸せになりたい。そして我を愛して欲しい〉と。
「ならば急がねばなるまい。そして出会えた時は必ず……」
~~???sideout~~
~~凛祢side~~
勇君が光に包まれた後、私達はこの崩壊する楽園で最後の時を待っていた。だけど一瞬だけ、本来は感じない筈の気配を感じた。
「ダ・カーポ……気づいた?」
〈ああ。まさか奴が活動を始めるとは思わなかった。だが、様子があまりにもおかしいな。今までと気配が違いすぎる。まるで恋をしたかの様な気配だったな。〉
そう……私達が感じたのは、本来は活動をしない筈の人物の気配だった。だけどその様子が予想とまるで違う事に驚いてもいる。
「だけど確信が持てるまでは勇君達にも内緒だよ。これ以上迷惑をかける訳にはいかないからね。」
〈だが難儀なものだ。よりによって奴が勇に惹かれたとはな。〉
私達に出来る事は確信が持てるまで余計な事をしない事。そして確信が持てたらすぐにキャロルちゃんに伝える事だ。
~~凛祢sideout~~
と……いう事で勇君の超強化完了!(神咲さんからブラッドの変身道具を正式にいただきました。)
これから勇君は、〈仮面ライダーセイヴァー〉に変身可能となりました!(これ以上強化必要かどうかは別の問題という事で)
そして凛祢さんとフィーネさんも無事に救済できました!(この二人も……というよりは最後の人物も神咲さんからいただきました。)そしてフィーネさんは新しい名前として〈ダ・カーポ〉の名前を授かりました。(意味は音楽用語で〈始まり〉です。)
次回〈設定集 コラボ編〉
更新をお待ちください。
そしてこちらから神咲さんの作品へジャンプできます。
https://syosetu.org/novel/222283/
〈錬金術師と心火を燃やしてみよっか?〉
よろしければ是非読んでください。
一話の長さはどちらの方が好きですか?
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一話を濃密にして話数を少なく
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このまま切りの良い範囲で
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どちらでも良し