マジで……この世界⁉️   作:タク-F

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デート回もいよいよ最後になりました。

それでは皆様本編へどうぞ


虫捕り

「勇君!私とデートしてください!」

 

8月のある日の朝八時。幼馴染みの響が僕にデートの誘いをして来た。

 

「響知ってる?僕はキャロルが好きなんだけど。」

 

「知ってる………勇君の正妻はキャロルさんだもんね。だけど私は諦めてないから!勇君を好きだった九年間は!私の全てだもん!それにキャロルさんから許可をもらったの!勇君とデートをして、デレてくれたらその先の関係も許してもらえるって!」

 

僕の知らないところで話が進んでいた。そして一番になれずとも諦めていないのがなんだか響らしいね。

 

「勇君………ダメ………かな?」

 

消え入りそうな声で響が訴えて来た。マジですか。そこまで本気ですか。

 

「いや………そうじゃないんだよ。響のストレートな誘いに面食らってただけだから。それに、そこまで真っ直ぐに言葉を伝えて来るのが響らしいなって思っただけだよ。もちろんデートしようよ。」

 

「本当!ありがとう!勇君大好き!愛してる!私に乗り換えて!」

 

どこまでも自分の感情に素直な響だね。シレッとキャロルから奪う気マシマシで来てるじゃん。

 

「ごめん響。最後だけはダメだね。僕の一番はキャロルだよ。そこは揺るがないからね?」

 

「うん………やっぱりダメかぁ。だけどデートしてくれるなら私は嬉しいよ!」

 

「ちなみにどこでデートするの?」

 

「久しぶりにカブトムシでも捕まえに行かない?あの時は楽しかったもん!勇君がいたから楽しかったんだから。」

 

どうやら二日がかりのデートをするらしい。

 

「ねえ響?罠とかの準備はどうするの?もしかしたら二日がかりにならない?」

 

「罠は仕掛け終わってるの!後は勇君がオッケーしてくれたら全ての準備が終わるだけだよ?」

 

訂正しよう。どうやら了承する前提で準備してたみたいだ。

 

「それ僕が了承できなかったらどうしてたの?」

 

「優しい勇君が断るはずないじゃん!だから私は昨日の夜から準備して、後は現地に行くだけにしたんだから!」

 

響は僕のことを、どこまでも真っ直ぐな瞳で見つめていた。

 

「わかったよ。準備するから待ってて。」

 

僕はそう言って自分の部屋に向かい、動きやすい服装に着替えた。

 

「お待たせ響。じゃあ行こうか。」

 

「うん!仕掛けた場所はあの時の緑道公園だよ!」

 

「なるほどね。やけに準備が良いと思ったら近場か。なら久しぶりに虫相撲でもする?」

 

「良いね!未来やクリスちゃんは虫が嫌いだったから、私だけ勇君と遊べたもんね!」

 

確かに未来や姉さんは虫が嫌いだったなぁ。泥だらけで網を持って二人でセミ捕りもしたっけ。懐かしいなぁ。

 

「じゃあ勇君!早速行こうよ!仕掛けた罠に何匹かかったか気になるし!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現地につくと響の仕掛けた罠には、あまりかかっていなかった。

 

「うーん…あんまり大物はいないかぁ。」

 

案の定素人が作る即席の罠にかかる獲物は、というよりは響の作る雑な罠には何故かカブトムシはいない。良いところがセミだった。

 

「ちなみに何をいれてたの?」

 

「カブトムシ用のゼリー。」

 

憐れ響。道具を揃えても本命にたどり着けないあたりが、この幼馴染みの残念なところでもあった。

 

「ねえ響?今度はちゃんと準備しない?」

 

「うん………。そうする。」

 

「まあでも懐かしいところにも来れたし、思い出巡りのデートなら悪くなかったね。本命の結果自体は残念だけど、僕も童心に帰れて楽しかったよ。あの時僕と虫捕りをして楽しめた幼馴染みは響だけだったからね。」

 

「勇君!ありがとう!」

 

響は真っ直ぐ僕に抱きついて来た。なんだか響はこういう風に真っ直ぐ行動するから、昔から本心で話やすかったんだよな。

 

「じゃあそろそろ仕掛けた罠を回収して帰ろうか。また機会があれば皆で来ようね。」

 

「うん!その時にはキャロルさんから勇君を奪ってみせるよ!だって私の魅力に勇君が惹かれてくれる筈だから!」

 

「ははは。諦めが悪いけど、裏表がないのも響らしいね。だけどそう簡単に僕の心は動かないよ?」

 

「私が簡単に諦める訳ないじゃん!絶対時間がかかっても成功させるんだから!」

 

やっぱり僕の幼馴染みは今も昔も変わらないな。だから僕はこの町に戻って来れたんだろうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば響?なんでキャロルを〈さん〉付けして呼んでるの?前は〈ちゃん〉付けだったよね?」

 

「私達の中で絶対的な格付けになったの。だって今は誰よりも強い想いと実力があるからね。皆は一番の人を敬うって暗黙のルールが決まったの。」

 

なんだかいつか僕を奪う布石を施しているのかな。気付いたらヤンデレしかいなかったしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観測者からの報告による評価 立花 響 の場合。

 

デートプラン 良し

 

昔の思い出を活用した、気心知れたデートとなり、勇もたのしんだので合格。

 

結果 次があれば改善可能だろう………というか見たい。

 

想定外の出来事に対しての動揺が目立つが、勇が楽しめていたので結果オーライ。もしその先の関係を奴が望むなら、オレが同伴の場合に限り許可。奴等の昔の思い出はオレも気になるから。




もちろん響の番外編も更新しています。

よろしければあらすじや作者のページよりお願いします。

そしていよいよAXZ編に突入します。

次回〈謎の人物???動く〉ついに彼女が動きます!

更新をお待ちください。

また、感想もお待ちしています。

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