まあ……皆さまお察しの方なのですが……
そしてこの話からAXZ編の開始です!
詳しい動きは本編へどうぞ!
謎の人物???動く。
「では始めよう。嘗てフィーネ……いや、今はダ・カーポか。奴の世界にて存在していた女……〈天羽 奏〉。奴こそが今の我の器へと相応しい。」
今の我はダ・カーポが嘗て過ごしていた世界の、人類が絶滅する前の時代へと精神のみで訪れている。
「さて、では我の目的を果たすとしよう。」
我は勇に愛される為ならなんでもしよう。崩壊する世界の中から零れ落ちた命があれば救おう。強大な敵が現れたら排除しよう。快楽を求められたら受け入れよう。
「所在は既に観測をした時点で判明している。後は機が来るのを待つだけだ。」
本来ならば奏の事を問答無用で乗っ取れば手早い事だが、それを知れば勇は我を許さないだろう。故に行わない。
「面倒な事だ……しかしそれも勇の望みだ。故にこの手間すら苦ではないな……必要な事だとわかっているからな。」
後は〈その時〉が来るまで座して待つとしよう。何……そう時間はかかるまい。
~~2041年 10月6日 ツヴァイウィングライブ会場(ダ・カーポの嘗て過ごした平行世界)~~
「さて!気合いを入れろよお前達!今回の実験は重要な物だからな!」
「わかっています……しかしいざ本番になれば失敗は……」
「な~に!気にしすぎなんだよ翼は!アタシ達は唄を歌う!そして観客達を盛り上がらせる!それだけで良いんだ!緊張しすぎな方が不味いんだ。ならアタシ達は自然体でいるべきなんだよ!」
「うむ……奏の言う通りだぞ翼。確かにお前達の役目は重要な物だ。だが同時に一人のアーティストでもあるんだ。それを忘れるなよ?」
……このライブこそが数奇な運命の始まりであったな。そして勇のいない世界だ。故に端末達が何を語ろうと、この時代の巫女が何を企んでいようと我の預かり知らぬ事態だ。
「だが、唄というのは悪くない。故に今は純粋に楽しむとしよう。」
その時が来るまでの余興のつもりであったが、あの世界の我もいずれ知るのだろう。〈ヒト〉が作る無限の可能性、我らが欲した答えの一端を。
「故に我も唄を心得るとするか。」
そして我はコンサート会場に雑音が入るまで楽しんだ。そして奴らが活動を始める事を少し残念に思う。
「先史文明の者は愚かであった。互いを受け入れてさえいればこの素晴らしさを知れた者もいただろうに。」
そして状況に動きが現れる。奏が命を燃やす唄を告げ始めた。ならば時は来た。
「この時を待っていたぞ!」
フォニックゲインが奏の体を覆った瞬間に我は辺りの雑音を消し去った。奴らなぞ我の前ではただの塵芥に過ぎぬのでな。そして我は奏を連れ去った。
「奏!奏!どこなの!奏えぇぇぇぇーー!!!」
片翼を失った女が泣き叫んだが、今の我はやるべき事がある。勇の見た未来を辿る事がない事がこの世界だと思うと残念ではあるが、これ以上の干渉は不要である。なので後は崩壊を待つ世界ではあるが、それでも一時の平和がある事を我は願う。
「あれ?なんでアタシは生きている?確かに絶唱を使った筈なのに……」
奏が意識を取り戻したみたいだな。ならば始めるとしよう。
「我は平行世界より来訪した嘗ての神である。今回はとある縁より貴様に接触した。」
「平行世界の神様だ?ハッ!冗談はよしてくれや。大体アタシを助け出して神様はなんの得をするんだ?」
「その無礼な態度は許そう。そして頭が回る事は評価しよう。故に貴様の世界の末路を話してやろう。」
そうして我は勇が見たあの世界の末路を奏に聞かせた。当然ではあるが、奏は話の途中から絶望して体の力が抜けていた。
「これが貴様達の世界の末路だ。理解したな?」
全てを話し終える頃には奏は涙を流していた。
「了子さんはこの後から人類が救われる為に、自分の技術や知識を皆に提供したのか。だけど人類はその速度について行けずに互いに争って自滅……ね。……笑えねえな。翼だけでも救われる事を祈ってアタシは唄ったのに、最後には翼も守れないなんてな。」
「そして我は勇が後悔していた貴様……奏を救う為にここへ連れて来た。もし奏が我の提案を受け入れるのであれば我は奏に対価を約束しよう。もし拒否をしても殺しはしない。ただ我に体を奪われて意識を一時的に封印するだけだ。そしてその場合は事が終わり次第奏をあの世界へと送り届けよう。……全てがなくなった後の世界ではあるがな。」
奏は悩んでいた。もうあの世界へと……翼達と再会する事は不可能だと言われた為であろうな。
「ちなみに聞くけどさ。もし神様があの時に接触しなかったらアタシはどうなっていた?」
「絶唱の反動による体の崩壊。それだけで奏は亡くなったな。」
我の告げた結末を聞いた奏は決心した顔で答えを出した。
「そっか!やっぱりそんな気はしてたんだ。なら決めたよ神様。アタシは神様に協力するよ。だけどさ、もし神様が良いならアタシは神様の向かう世界で過ごしたいな。」
「良いだろう……契約成立である。では手始めに我に名前をつけるが良い。」
「一応参考に聞くけどさ。今の神様の名前を教えてくれない?」
「今の我の名前は〈シェム・ハ〉である。神代の改造執刀医でもある。」
……なんだかようやく我の名前を明かせた気がする。勘違いであろうが。
「オッケーだ。なら新しい名前は〈シャルロット〉ってのはどうかな?元の名前はやっぱ神様だけあって仰々しい気がするからさ。それに多分だけど気になる男がいるんじゃないかな?」
「……奏の勘の良さは認めよう。そして新たなる名前である〈シャルロット〉も気に入った。これからは我はシャルロットと名乗ろう。そしてよろしく頼むぞ奏。」
「了解だよシャルロットさん!じゃあ次にアタシは何をしたら良いんだ?」
「我を体に宿せ。そして我が覚醒・合図をしたら意識を交代させろ。それだけだ。」
「なんか思ってたよりも何もしないんだな。てっきり主導権は原則取られると思ってたんだけど。」
「それは無い。勇は奏が生きている事を望んでいる。故に乗っ取る事は勇を悲しませてしまうだろう。」
勇が喜ぶ事が何よりも重要な事だ。故にその害に足り得る行動は例え我の行動であろうが許されない。
「ならば一つ試練を与えよう。勇の霊力の残滓から〈ケルビエル〉を使いこなして前任者に邂逅せよ。」
「おおぅ……。なんかいきなりすごい要求をされた事がわかったな。だけどアタシはやるよシャルロットさん!そしてシャルロットさんが惚れた相手の勇君を振り向かす事に全力で協力する事を約束するよ!」
「ならば我はしばし眠ろう。そして覚醒を済ませた後に勇の世界へと向かうぞ?」
「おう!任せてくれよシャルロットさん!」
奏が鍛練する間に我はしばしの眠りについた。そしてその間に〈魔術師〉を名乗る奴等に魔王の一つを授けよう。この力を勇が見れば何者かが魔王を知っていること、そして勇にメッセージを送った事に気づいてくれる筈である。
「勇……我を満たしてくれる希望の光よ。我は必ず勇の世界へと辿りつこう。そして出会えたその時は我は今の気持ちを伝えよう。」
いつの日かの邂逅を夢に見て我は希望を抱く。例え悠久のように長い時だとしても。
そう!シェム・ハさんだったのです!(バレバレな伏線)
ちなみに今回から登場する〈天羽 奏〉さんは、ダ・カーポ(コラボ章で黒幕をしていた世界のフィーネ)さんの世界の奏さんです。決して勇君の世界の彼女ではありません。
次回〈力を覚醒させる者達〉
更新をお待ちください。
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