もはや敵側の方が哀れです。
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藤堯さんが映したモニターには、本来この世界に存在しない筈の兵器があった。
「あれは!リアライザか!バンダースナッチまで!あの人達は既に準備を終えたというのか!?」
僕の叫びが司令室の中で響いてしまった。
「勇………?一体何なの?さっきからその〈リアライザ〉と〈バンダースナッチ〉って?」
マリアさんは何とか平静を装って質問して来たけど、やはり不安があるようだった。
「まさか私達が報告した兵器がアレだというの!?あんなに簡単に量産できる物だというの?」
報告した師匠も驚きを隠せなかった。当然だと思う。師匠達は現物を知らない。かろうじて名前が伝えられたみたいだから。
「はい。兵士達が装備している異質な兵器こそが〈リアライザ〉です。そして報告の通り自律稼働している兵器が〈バンダースナッチ〉です。」
「だが解せねえなぁ。見たとこパワードスーツと大差無さそうだぞ?それに量産されてるたぁいえ、数もそこまでの脅威には見えねえな。せいぜい三下程度だろ?」
キャロルが警戒を促してくれた。
「その慢心は危険だなクリス。勇がここまで警戒するのだぞ?何か重要な秘密がある筈だ。」
「僕は以前エルを通じてキャロルに接触したことがありました。その時点ではガリィが迎撃に出てもアルカ・ノイズのデータをパクられたそうです。」
「確かに結社にアルカ・ノイズの情報が入って来たのは最近の話よ。でも急すぎじゃないかしら?報告から三ヶ月程度しか経っていないのよ?」
カリオストロ師匠も大げさと捉えていたけど、僕はアレがいかにヤバい兵器か知っていたから楽観視できなかった。
「嘗て十香さん達の世界で彼女達の力を狙って捕獲・研究を企んだ巨大企業〈DEMインダストリー〉。その主力兵器の〈リアライザ〉は汎用性が高く、非力な人でもリスクと適性次第では、人類最強を名乗れる程の性能がありました。見た目こそシンフォギアに似ていましたが、当然性能はピンキリです。それでも十香さん達が捕獲された前例すらあります。そして脳の演算処理機能を最大限に活用することで艦隊ですら非常識な動きや威力をすることもできます。」
「じゃあ折紙さんもその〈DEM〉って人達と戦ったの?」
未来の疑問は当然のものだった。
「まあね。でも折紙さんだけ、嘗ては自衛隊の一員として十香さん達と戦ったんだ。それこそ〈リアライザ〉を用いてね。そして折紙さんは間違いなく部隊のエースを務めていた人だよ。」
「ということはオレ達と接触した前任者達も例外無く戦ったということか。」
「キャロルの言う通り、最後は総力戦だったね。全員がそれぞれの目的と守りたいモノの為に戦ったんだ。」
「そしてそんな連中が〈結社〉と手を組んだワケか。あの局長のことだから都合の良い駒を手に入れたとしか考えていないワケか。」
確かにアダムなら都合の良い駒として手を組んだ可能性は高い。だけど彼女達は馬鹿じゃないからね。多分目的が変わっていないなら僕達が標的の筈だ。
「彼女達はそんな組織の最強の〈リアライザ〉の使い手達です。そしてその兵器の使用者をあの世界では〈魔術師〉と呼んでいました。その名前の通り彼女達の操る範囲の空間は彼女達の意のままです。その範囲も〈テリトリー〉と呼称されていました。」
「〈テリトリー〉……縄張りか。確かに無策で行けばシンフォギアさえも返り討ちにされかねないな。奴等の基本装備は判明しているか?」
フィーネさんも僕の雰囲気を察してくれた。
「彼女達の目的が変わっていないなら、標的は僕達天使を宿した人物の霊力の筈です。ワイヤリングスーツからの武装は、〈レイザーブレイド〉〈対超常用ライフル〉〈魔力砲撃〉そして高火力の〈ミサイル〉があった筈です。どこまで再現されてるかはわかりませんが。更にこれは空中に浮かぶ艦隊にも装備され、神獣鏡程ではありませんが精度の高いステルス機能や、艦隊版の〈テリトリー〉生成機械がある程でした。」
「なるほど。確かに結社と協力が得られればかなりの脅威となる筈よ。それこそ勇とキャロルを同時に相手どる程のレベルだと認識して良いわ。」
師匠……ありがとうございます。悲しくなりますがこれ以上になくわかりやすい説明です。
「勇さんと」
「キャロルさんが」
「「同時に敵となるほどの脅威(デス)!?」」
司令もものの例えだとわかってはいただろうが、真剣な表情で決断を下してきた。
「なるほどな。ならば俺達はそれを踏まえた編成をせねばならんな。キャロル君・了子君・勇君は案があるか?」
確かに僕達に振られる気はしたけど、ここにはもっと頼りになる人がいるからね。僕の方は師匠に頼もうかな。
「構わないわ勇。貴方の案を出してみなさい。必要があれば私が修正や補足をするわ。」
ある程度はお見通しか。なら期待に応えますか。そう考えているとフィーネさんが第一案を出してきた。
「最も確実な案は勇とキャロルが暴れることだ。これ以上の方法はあるまい?」
確かに確実性を取るなら間違いないな。
「だが連中は奇襲や搦め手も使うだろうな。ならば他に動かせる戦力は必要だな。実働部隊の他にも隠密部隊が必要になるだろう。」
流石キャロルだ。だけど編成の難易度が上がるな。ならこうするしかないか。
「実働部隊に僕・姉さん・響・切歌ちゃん・ミカちゃん・ガリィかな。
隠密部隊は翼さん・調ちゃん・ファラさん・オペレーターのお二人・レイアさんとプレラーティ師匠にお願いできますか?」
「あら勇は大分戦力を投入したわね。根拠はあるのかしら?」
カリオストロ師匠が尋ねた通りかなりの戦力を投入することになると思う。でも可能性が否定できないからね。
「まず実働部隊の方は比較的単純ですが、制圧能力と奇襲対策です。姉さんやミカちゃん・響は搦め手を考慮しないならこれで良いんですが、敵の数が未知数である以上はそれを対応できるメンバーが欲しいです。更に響ならガヴリエルが展開できます。切歌ちゃんにスピーカーをばら蒔かせれば、〈独唱〉で敵戦力を無効化できる可能性があります。向こうがノイズキャンセルを使用しているなら効かない可能性も高いですが、その場合は〈輪舞曲〉での制圧に切り替えましょう。ガリィはそれこそ奇襲する側のタイプですから、必ず貢献してくれます。」
「へぇ!流石義兄さんです!やはり先生の教えを忘れずに研鑽されているのですね!妹弟子としても尊敬します!」
「ありがとうございますセレナさん。次に隠密部隊ですが、本来なら緒川さんにも参加して欲しいところです。しかしアルカ・ノイズやバンダースナッチを考慮するとリスクの方が大きいと感じました。なのでここは翼さん・調ちゃん・ファラさんとレイアさん。ナビゲーターにプレラーティ師匠と連絡役のお二方のお願いがしたいです。オペレーターのお二人は常にレイアさんが護衛して本部への連絡や科学面からの警戒をお願いします。残る翼さん・調ちゃんの案内を師匠にしていただき、ファラさんに殿をお願いします。このメンバーには一人一つ以上テレポートジェムの携帯をお願いします。」
「わかったわ勇。些か過剰戦力感は否めないけど、未知数への警戒には十分とみていいわ。その為には陽動組の働きがとても重要よ。」
「それは大丈夫です。僕が責任をもって注意を引きます。できれば過剰ではないことを願いたいですが皆さんよろしくお願いします。」
「よぉし聞いたな皆ァ!実働部隊は勇君・響君・クリス君・切歌君・ミカ君・ガリィ君だ。期待しているぞ!」
こっちは心配していない。だけど不安なのは裏方だ。この未知数は情報戦だからね。必ずここで化けの皮をはがさないと!
「そして隠密組の潜入班は翼・調君・ファラ君だ。そして翼達からの情報をいち早く俺達に伝える為に藤堯・友里も頼んだそ。レイア君が護衛してくれるならば大分安心だろうからな!」
こうして僕達のバルベルテ地獄変の介入メンバーが決まった。この心配が杞憂だと良いんだけと………
終わったな……バルベルテの軍隊さん達……
次回〈バルベルテ地獄変〉
更新をお待ちください。
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