さて、アルテミシアさんはかなり強い筈だ。油断していたら死ぬのはらこちらだろうね。
「さて、お互いに譲れないモノの為に戦おうか。」
僕達は全力で彼女を倒すことにした。
「行くよキャロル!相手は超常と渡りあった人間だ!ここで落とすよ!」
「ならば全力で行こう!嘗てのオレが纏った全力をくれてやる!」
僕だけならば礼装を纏った方が強いと思う。だけどキャロルと並び立つなら条件は変わるね。
「まるで私達のリアライザみたいな装備だね。だけどそれなら私達の土俵でもあるよ!」
アルテミシアのテリトリーはジェシカよりも広く拘束範囲も広いだろう。そっちが不可視の結界使いならこっちは視界を覆う糸の結界で対抗しよう。
「挨拶代わりにオレの一撃をくれてやろう!」
キャロルは弦を操作して鋭利且つ極細い凶器を展開した。だけど彼女のテリトリーでは糸は逸れてしまった。
「私のテリトリーを過小評価しない方が良いよ?じゃないと死ぬからね!」
アルテミシアは高速移動を開始して置き玉にミサイルを選んだ。あの速度のミサイルはもはや追撃弾だね。
「あの速度で動かれたらこの糸も意味をなさない………か。ならキャロル!霊力を込めよう!只の錬金術なら分が悪いよ!」
「そのようだな!オレを〈ヘラ〉と呼称した以上温い認識はそちらとて命取りだぞ!」
僕達は糸にそれぞれの霊力を込めた。これでそう簡単には切られないし、弾かせない。
「やるわねゼウス。さっきまでの糸ならレイザーブレイドで対処できたけど、その糸は私が集中しないと斬れないか。そしてそれはヘラも同じ……ね。その糸が汎用性にも長ける以上は一番旗色が悪いのが私ね。ならジェシカが臆病者を下すまでは粘らせて貰おうかしら?」
僕達の糸が斬れないと理解したアルテミシアの行動は早かった。糸の結界を足場に三次元の動きで加速して斬りかかり、砲撃を放ってくる。そして肝心の糸の結界との接触時にはテリトリーで足を保護し、障壁が壊される前に再展開する。これを繰り返して正面から勝てない相手を翻弄しようとして来た。
「確かに一人なら貴女を捉えるのは難しいだろうね。だけど貴女の相手は僕達二人だ!」
僕は敢えて彼女のレイザーブレイドの攻撃を身に受けて、接触する一瞬の間に僕の体に深々と差し込ませた。
「嘘!私の攻撃を敢えて受けて私を絡めとったの!」
相変わらずこの戦法に頼りきりなのは情けないけど、一番慣れているのも事実だった。
「今だよキャロル!決め手は任せた!」
「ああ!とうに準備は終わっている!緑の獅子機の咆哮を受けるが良い!」
「ッ!このままじゃあの咆哮を受ける!何とか防御性のテリトリーを展開しないと!」
「おっと!なら僕がその護りを貫こう!」
僕も同じく緑の獅子機を作り出して、僕諸とも咆哮のコースに設定した。これでアルテミシアはどちらかの咆哮を回避ないしは防げない。
「ッ!防御性テリトリーを全方位に展開!こうなったら被害を最小限に抑える!」
アルテミシアは咆哮を受けて絡めとられた糸が切れた瞬間に回避を始めた。全エネルギー命中とは言わないけど、少なくとも半分の攻撃は命中した。
「はぁ、はぁ、これは活動限界が近いわね。私が一番に撤退するのは不味いけど、背に腹は変えられないわ。ゼウス、ヘラ、次までに勝負は預けるわ。」
そう言ってアルテミシアは転移して行った。だけど僕もかなりの傷を負ったな。帰国したら静養しよう。
~~サンジェルマンside~~
「さて、始めようかしらジェシカ。」
私とプレラーティで彼女を抑える、ないしは拘束する。その為の戦闘だ。
「こちらの準備は終わっているワケだ。」
「フン!臆病者の寄セ集めで私に勝てルかしら?」
ジェシカはテリトリーを展開しながら私達にミサイルを浴びせて来た。なるほど……これがアイザックとエリオットが研究していたリアライザね。
「サンジェルマン!確かに奴の装備は汎用性が高いワケだ!だがそれは特化したものではないというワケだ!一つ一つの攻撃は恐れるに足らないワケだ!」
流石プレラーティね。相手の技術への解析や対策は彼女の分野。故に私は彼女が信頼できる!
「プレラーティ!私がフォローに回るから貴女が決めなさい!一撃の火力は貴女が上よ!」
「了解したワケだ。では私の錬金術を見せてやろう。光栄に思うワケだジェシカ。」
「あまり私ヲ嘗めるんじゃないワ!後悔してモ遅くてよ!」
ジェシカのリコリスに搭載されてる兵器は単純なブレイドとミサイル、そしてあの特殊なテリトリーのみ。テリトリー自体はリアライザに搭載可能だから戦い方が解れば苦戦しないわね。
「テリトリーの発生には膨大な集中力を要するわ。その集中力が維持できなければ貴女の兵器は只のお荷物よ!」
私達は常にお互いのどちらかが攻撃を仕掛けてテリトリーを発生させ続けた。あの二人ならとにかくジェシカ程度なら時間の問題で倒せる。
「私を嘗めなイ方が良いワ!そんナ策お見通シよ!」
ジェシカは大量のミサイルを四方八方に打ち出して私達を迎撃してこようとしてきた。
「プレラーティ!合わせるわよ!」
「了解なワケだサンジェルマン!」
プレラーティが放った氷を私が砕いて打ち上げ花火の要領でミサイルの迎撃を図ったが、その隙にジェシカの接近を許してしまった!
「隙だらケよ!」
「しまったワケだ!」
プレラーティはジェシカのブレードを回避できずに斬られてしまった!
「プレラーティ!」
「私は良いから奴のミサイルに備えるワケだ!まだ防ぎきれてないワケだ!」
彼女のいう通り、私達は全ての攻撃を防げた訳ではなかった。そしてその攻撃を防ぐ為にまたしても隙を晒してしまった!
「やはり臆病者にハその選択ガお似合いヨ!」
その一瞬で彼女の接近を許してしまった。回避しながらの為に少しだけ距離を取れていたが、その距離は彼女のテリトリーの範囲内で私達は拘束されてしまった!
「油断したつもりはなかったわ。だけどこの様なのね。その兵器がいかに恐ろしいかよくわかったわよ!」
私も彼女同様に迎撃の際にスフィアを上空に置き弾として残しておいたわ。だから私の動きを止めれば!
「上空ヨり攻撃!?これハ不味いワ!」
ジェシカは直撃を避ける為に私達と距離をとった。そのお陰で私達は拘束から抜け出したけど、正直ファウスト・ローブがなければ状況を打開できないわね。私達にラフィスの輝きがあれば!
「ふふッ!手こずらされたけドこれで終ワりよ!」
ジェシカはミサイルとテリトリー、そしてブレードの三位一体の時間差攻撃で私達に止めを刺しに来たけど、その攻撃が私達に届くことはなかった。まさかの人物が助太刀してくれ、攻撃が防がれた為だ。
「なるほど。確かに火力のみであれば先程の奴よりも脅威だろうな。だが軌道は雑で本人の精神状態はあの様か。であれば対処もまた容易なことだ。」
ダヴルダヴラのファウストローブを纏ったキャロルが私達の救援に駆けつけた。
「お前は〈ヘラ〉!アルテミシアが相手ドっていた筈だ!」
「ん?ああ先程の魔術師なら撤退をしたぞ。勇の特攻に虚を突かれてな。そして貴様も同じ運命をくれてやろう!」
ダヴルダヴラの力は圧倒的で、ジェシカのミサイルはキャロルの結界に阻まれ、ブレードでは斬れず、テリトリーには捕まらない。キャロルの三次元の動きはジェシカの処理能力を上回るということなのね。
「そんナ!あり得なイわ!私のリコリスが!」
「やはり貴様は先程の奴よりも劣るか。であればこうしよう!」
キャロルは糸を織り合わせて二本の槍を形成していた。そしてジェシカ目掛けて投擲し、形成しなかった糸で軌道を操作してきた。
「こんナものテリトリーで!」
ジェシカは再度自分の周囲にテリトリーを展開したけど、その内側には既にキャロルの糸が存在し、テリトリーの内側からジェシカを拘束した。
「オレが抑えている間に決めるが良い!」
「助かったわキャロル!行くわよプレラーティ!」
「任せるワケだ!」
〈トリビアルミスチーフ!〉
〈ミリアドスフィア!〉
私達の攻撃はキャロルがジェシカを拘束していたので直撃させることができた。
「こノダメージは不味イわ!悔しイけど撤退さセて貰うワね!」
ジェシカはそう言って転移して行ってしまった。
「キャロル……貴女が来たということは……」
「ああ。もう一人の奴は既に撤退している。勇の捨て身の特攻で致命傷を受けたようでな。」
「ちょっと!何やってるのよ!貴女がいながらに捨て身って!」
ああもう!なんで私の弟子は心配事を増やすのかしら!これだから勇のことは目が離せないのよ!
「やれやれ。サンジェルマンの母親スイッチが入ったワケだ。これは長くなるワケだな。」
その後の私は勇のことを心配で仕方なかったわ。だけどその後でちゃんと説教をしないとね。
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