マジで……この世界⁉️   作:タク-F

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継承される力

バルベルテでアルテミシア達を退け(機密資料はレイアさんが地味に回収していた)、バンダースナッチ達有象無象を撃破した。僕達は無事に彼女達を足止めして撤退に追い込んだけど、エレンとティキの存在が気がかりだな。

 

「旦那様。こちらがバルベルテ政府が秘匿していた機密資料となります。あの戦いの陽動で使った八の弾で作り出した分身が回収させました。」

 

「助かるよレイアさん。じゃあ僕達は転移で戻ろうか。連中の主力こそ割と直ぐに下せたけど、バンダースナッチやアルカ・ノイズの動きは明らかに時間稼ぎだった。もしかしたら帰国組の方も襲撃の可能性があるからね。」

 

「その可能性は高いわね。ただし勇の消耗を考慮して出国は一週間後よ。帰国組にはセレナもついているわ。必ず動きがあれば連絡が来る筈よ。」

 

師匠の命令で僕の静養の為に帰国は先送りにされた。う~ん……流石に過保護すぎませんかね?

 

「ならばわざわざ危険な戦法に頼ったお前自身を恨むワケだ。サンジェルマンの言葉は皆の総意だというワケだ。」

 

「わかりました。大人しく静養します。皆にはご心配をおかけしました。」

 

 

 

 

 

 

こうして僕の静養という名目でこの国に引き続き滞在することになった。そしてこの翌日に師匠は僕の寝ている部屋にキャロルと二人で入って来た。

 

「さて、今回わざわざこの国に残ったもう一つの理由なんだが、以前勇に渡された黄色の〈霊結晶〉に変化があった。そしてサンジェルマンの奴に反応している。勇はこの現象をどう解釈する?」

 

キャロルに以前渡した〈霊結晶〉……その一つの緑の〈霊結晶〉から七罪さんがキャロルに伝言をしてきた話は以前聞いたことがあった。そして今度は黄色……つまりミカエルの〈霊結晶〉が師匠と共鳴していることになる。

 

「キャロル………今から起こることを許して欲しい。多分キャロルはその行為に嫉妬しちゃうから。」

 

「………今晩だ。サンジェルマンとオレと勇で今晩〈愛しあう〉。それで手打ちにしてやる。」

 

………搾りとられることが決定かな?

 

「安心しろ。〈ガリィの薬〉はオレも常備している。お互いに〈楽しい時間〉にしようじゃあないか!」

 

キャロルの顔がなんだか嬉しそうだな………まあそれはそれでアリか。

 

「じゃあ勇……早速お願いできるかしら?」

 

「わかりました。師匠は〈霊結晶〉を持っていてください。その状態で僕達がキスをすれば恐らくは継承されるかと思います。」

 

そして僕と師匠がキスをすると、僕達三人を光が包んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ふむん。ようやくむくの力を継承する者が現れたか。主殿の覚醒から凡そ二年……流石のむくも待ちくたびれたぞ!〉

 

「お久しぶりです六喰さん。ですが当時から今まで期間が空いたことは流石に許して貰えませんか?僕の覚醒の方が予定より早かった筈です。本当なら凡そ一年と少し前の覚醒だったと思われますよ?」

 

〈ふむん。………まあそれは言うても仕方ないな。しかし今回は主殿の師にむくの力を継承する機会となったので、むくは主殿達を呼び寄せた。〉

 

「貴女が嘗てミカエルの力を使った前任者なのね。私が今代の継承候補だとして、その根拠を教えていただけないかしら?」

 

〈ふむん。力を継承する根拠……か。うぬ等は今の力に満足していない。だが強大な敵を打倒する為の力を少なからず求めている。そして力を手に入れる機会を得た。これでは不満か?〉

 

「そうね。勇を助けたいとは確かに思うけど、私は貴女にその覚悟をまだ示せてはいないわ。だから聞いて貰えないかしら?私が力を求め、何を成そうとしたかを。」

 

〈なるほどのう。むくからすればうぬは既に試練を乗り越えているが、うぬ自身の覚悟をむくに示すことで試練の変わりとしよう。〉

 

「感謝するわ。私は嘗て、奴隷だった母から生まれたわ。そして父は貴族だった。ある日母は病にかかり亡くなった。あの時父が薬を手配してくれれば母は助かったかもしれない。だけど父は拒み私は己の無力を呪ったわ。そして人類は何者にも支配されるべきではないと感じたわ。」

 

「そうだな。オレもその話は聞いている。そしてお前達がバラルの呪詛を解くために生け贄を集める。そして時を見て、オレが剥き出しにしたレイラインを用いて神降ろしの儀式を行う。それがお前達の当時の計画だったな?」

 

「流石キャロルね。ラジエルの力を使わずに言い当てるその頭脳は、味方なら頼もしいわ。」

 

「だがお前達は勇と出会い、当時の目的が誤ったモノであることに気づき、計画の修正をした。そしてオレと勇を引き合わせた。そうだな?」

 

僕も今ならその可能性に行き着けるけど、当時は気づかなかったな。師匠達はその辺りは頑なに情報を隠してたし、僕自身は師匠達を信頼していたから。

 

「ええ。私はそのことを知ってからは、結社の影響力を正しく使う為にうごいたわ。だけど今は肥大化しすぎてしまった。だから今回の局長の討伐を期に結社を一度解体するわ。もちろんこぼれ落ちる命もあるでしょう。だから私達はその命とこれからも向き合い続けるわ。」

 

偉大な師匠の覚悟を聞いた僕は、一つ賭けに出たいことがあった。これを期に聞けないかな?

 

「師匠……一つ賭けに出たいことがあるのですが?」

 

「あら?珍しいわね。貴方がそんな重要そうな賭けを申し出るなんて。それ程分が悪いの?」

 

「ええ。このまま結社を解体すれば必ず護国の鬼である、〈風鳴 訃堂〉が動くでしょう。その際に奴が取り入れそうな人材に心辺りがあります。この賭けに乗ってくださいますか?」

 

「確かにあの男は動くでしょうね。良いわ……話しなさい。どうせやらないといけないことよ。」

 

助かる。なら遠慮なく言わせて貰おう。

 

「〈ヴァネッサ〉〈ミラアルク〉〈エルザ〉この三人……通称〈ノーブルレッド〉のメンバーに今の内にコンタクトをお願いできますか?彼女達の力を借りたいのです。」

 

「なかなか珍しい人選ね。だけど幸い彼女達こそが私達の協力者よ。連絡先を伝えるから必要なら貴方自身でやりなさい。私達にも隠したいことなのでしょう?」

 

お見通しか……師匠には敵わないなぁ。

 

「助かります。後でよろしくお願いします。」

 

〈………むくのことを忘れておったな?主殿が話し始めた時点で嫌な予感がしたぞ?〉

 

ごめんなさい。本当に申し訳ないです六喰さん。

 

〈だが、うぬの覚悟はしかと見届けた。そして以前の二亜からの杜撰な情報の謝罪を、むくからさせて欲しい。そして琴里から、四糸乃の力の継承者の名前を伝えるよう頼まれている。〉

 

確かに二亜さんの情報はかなり杜撰だった。ていうか未だにエレンに力を利用されてるから、こちらも困るんだよね……あれ。ていうか肝心な時に使えない。

 

〈まず謝罪の方が「ベルゼブブ」がエレンの手にある。そして「二コルベル」が産み出されてる。これに対処できるのは、主殿・キャロル殿・フィーネ殿の三人もしくは、三人の力で操る物であるな。例えばフィーネ殿がソロモンの杖でノイズを使えば二コルベルを打倒できるぞ。〉

 

なるほどね。〈ベルゼブブ〉と〈ラジエル〉は今も表裏一体か。だから僕達の攻撃のみ有効なんだね。あの時にソロモンの杖も復元して良かったな。

 

〈次に四糸乃の力の継承者は「セレナ」と言っていたな。主殿の知り合いにおるだろう?〉

 

「なるほど……セレナさんか。師匠帰国したら僕達は……」

 

「ええ。セレナとコンタクトをとりなさい。キャロルも構わないわね?」

 

「ふん!オレは勇の決定には異議はない。だけど代わりに、勇は〈愛して〉くれるよな?」

 

「………わかってる。その日も眠れないって訳ね。」

 

「ああ!素晴らしいではないか!戦力が増え、勇とオレの絆が深まる!一石二鳥の計画ではないか!」

 

「………勇………強く生きなさい。」

 

カリオストロ師匠がここにいなくて良かったな。絶対にちゃかされてた。

 

〈ではむくの仕事を………おっと済まぬ。サンジェルマン殿の「霊結晶」は完成しているが、初回の起動には体が礼装に耐えられぬ。故に主殿達が探している物を身に纏った時に改めて天使は継承されるだろう。セレナと言う少女も同様でな。〉

 

「私達が探してる物………まさかファウストローブのこと!?」

 

〈多分それであろうな。ではむくはもう行くぞ。主殿達の道に幸多からんことを。〉

 

そう六喰さんが告げると、僕達の意識は現実に引き戻された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどね。私達のファウストローブの完成がより急務になったわね。二人とも協力して貰えるかしら?」

 

当然僕達の答えは決まっている。

 

「もちろんです。必ずやり遂げましょう!」

 

「まずは今夜だ。お手並み拝見といくぞ。」

 

あ。そっちも不可避なのね。

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