マジで……この世界⁉️   作:タク-F

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コンタクト!ノーブルレッド!

師匠に教えてもらった情報は、僕の予想の斜め上を行く物へとなっていた。

 

「はぁ……実は師匠達は組織を抜けていて、現在はノーブルレッドの三人からの情報を頼りにしている……か。僕の協力をしてくれる?……いや、そもそも僕は認識されているのかな?」

 

僕は不安を抱えながらも渡されたアドレスに連絡を入れた。すると三コール目で応答が確認された。

 

『此方はノーブルレッドヴァネッサです。サンジェルマン様……どうされましたか?』

 

応答してくれたのはヴァネッサさんだった。ノーブルレッドの実質的なリーダーをしている人だ。上手くいくと良いな。

 

「お久しぶり……と言えば良いですかヴァネッサさん。僕の名前は〈雪音 勇〉です。今回は師匠のアドレスを借りてコンタクトを取らせていただきました。」

 

『そのお声……もしや勇さんですか!?お久しぶりです。一体何故お姿を見せてくださらないのかと心配でございました!すぐにエルザとミラアルクを呼びましょうか?』

 

「お気持ちは嬉しいですが一度通信を切りましょう。僕が其方へと伺います。都合の良い場所と時間の指定をお願いいただいてもよろしいですか?」

 

『わかりました。では二日後の正午に嘗ての私の実験場にてお願いします。そこに二人も連れて行きましょう。』

 

「ありがとうございますヴァネッサさん。それでは二日後に。」

 

僕はこうして通話を終了させた。

 

 

 

~~二日後の午前十一時半 旧ヴァネッサの実験場~~

 

「ヴァネッサ……本当でありますか?勇さんが此方に出向かれるとは?」

 

「冗談なら質が悪いんだぜ!あたし達は何も力を持たない勇さんが努力を重ねる過程を見てきたから、勇さんに憧れたんだぜ?嘘をついてたらいくらヴァネッサでも許さねえからな?」

 

「ごめんなさい二人共。その答えは後三十分でわかる筈よ。此方は先にお待ちするのが当然だからね。」

 

「……確かに目上の人よりも先に到着したい気持ちはわかるけどさ、あたしは待ちくたびれそうだぜ?」

 

ノーブルレッドの三人が話をしている時に僕はは現れたみたいだ。

 

「少しはやいかな?まぁ僕が待てば良いか……って!えぇ!?なんでもう三人揃っているんですか!?まだ約束の時間よりもはやい筈ですよ? 」

 

「お久しぶりです勇様……お姉ちゃんの言った通りでしょう二人共?」

 

「本当でありますか!?私達を騙しておりませんよね!」

 

「そういえば結社から離れてもう四年近くになるのかな?……ならそう言われるのも当然だよね。」

 

僕は今の状況を冷静に考え始めた。どうすれば良いかな?

 

「スンスン……これは勇さんの匂いであります!間違いありません!」

 

「エルザさん!?一体何を!?」

 

僕はエルザさんに匂いを嗅がれた後に信じて貰えたようだ。納得いかないけどさ。

 

「そういえばエルザは勇さんの持ち物を新しい物にすり替えてたな。そして古い物を持ち帰ってくれたからありがたかったぜ?」

 

「そういうミラアルクもビデオが増えると頬を緩ませていたじゃない?お姉ちゃんの目はごまかせないわよ?」

 

「ヴァネッサは狡猾であります!勇さんを孤立させて自分が理解者だと寄り添うつもりでありました!しかし勇さんは寄り添う前にキャロルの元へと行ってしまったであります!」

 

知りたくない真実を聞いてしまった。だから師匠は急に僕をキャロルの元へ………。

 

「つまり……?僕は結社の中では本来の評価は……。」

 

「努力家で意欲的。向上心の塊で磨けば光る原石だぜ!だから大幹部の方々が付きっきりでも文句は出ず、更には組織の在り方を人道的にしてくれた時期が勇さんの来た時期と重なるぜ!だから本来の二つ名は〈影の英雄〉だぜ!あたし達はそのお陰で救われた命だ。だから感謝してもし足りないぐらいだと思っているぜ!」

 

思いもよらない真実を知ってしまった。だけど嘘をついていない事もわかるから、僕は当初の目的通りにお願いをしよう。

 

「では本題に入ります。三人にお願いがあり今回は接触して貰いました。その本題は〈今後の結社の未来について〉です。」

 

「薄々察していました。二ヶ月前に大幹部の方々が軒並み離反した事で確信をしました。」

 

「そして粛清された筈の魔術師一派が台頭して来たであります。」

 

「だけどこれが結社破滅のトリガーだとすぐにわかったぜ。だからあたし達はサンジェルマン様に情報を流せるように敢えてここに残ったぜ。」

 

「でも……それじゃあ貴女達が!」

 

「良いのです。私達は既に命と尊厳を救われたのです!ならば報いたいと願うのは間違いなのですか?」

 

ヴァネッサさんの言葉は、彼女達が本気だという事の何よりの証明に他ならなかった。

 

「なら……僕は一つある計画をしています。師匠達が組織を再建する為に一度解体する。その時に皆さんは〈風鳴 訃堂〉の接触に乗って貰えますか?それも〈弱みを見せる形で〉……です。」

 

「確認するであります!」

 

「お願いしますエルザさん。」

 

「風鳴訃堂が我々に接触する動機及び我々が敢えて弱みを握られる理由を教えて欲しいであります!」

 

「では動機ですが、局長との戦いでは〈神の力〉が顕現します。そしてその力はこの戦いの後に全ての勢力が硬直状態になる程の代物です。そして訃堂はその力を手にする為に行動を起こすでしょう。」

 

「ならば勇さんは組織が解体されて混乱に陥る際に、必ず奴が動く事を確信しているという事ですね?」

 

「はい。そしてその中で最も接触しやすくて行動を制御も容易いと考えられるのが皆さんです。」

 

「……確かに私達は定期的に体内の血液を交換する必要が出てくるのであります。しかしそれだけでは……。」

 

確かに確信を得るには弱いと考える方が普通だ。だけど訃堂は人の皮を被った修羅だ。恐らく常識は通用しないだろう。

 

「その弱みだけで手中に収める事ができるのがあの妖怪です。なのでここは敢えて乗ってください。」

 

「でもそれは只の流れであります!勇さんの話通りなら、わざわざ動かなくてもそうなる可能性が高いであります!」

 

「そこが重要なんです。」

 

恐らく自然な流れでなければこのお願いは成立しない。だから今回のコンタクトに繋がるんだ。

 

「この場合、訃堂は恐らく脅迫紛いの取引を持ち掛けるでしょう。しかし今回は僕達も裏で戦います。その為には貴女方の協力が必要です。」

 

「ならば我々の具体的な動きをお願いします。」

 

「その為に確認をしなければなりません。貴女方はその手で人を殺める事を良しとしますか?」

 

「……!そういう事なのですか!?」

 

「どういう意味でありますかヴァネッサ!」

「教えて欲しいんだぜ!」

 

「二人共よく聞いて。勇さんは私達に人を殺める機会が来る事を示唆しているわ。だけどその行為は訃堂が裏で手を引く可能性が高い事も同時に示しているのよ。」

 

「はい。恐らくは皆さんを脅迫して行わせる筈です。なので敢えてその指示を受け、証拠を押さえたいんです。あの妖怪の思惑に振り回された命に報いる為には、今回は多数の命を散らすでしょう。」

 

「つまり我々の本当の役割は!」

 

「奴の悪事の証人になることです。そしてその対価は既に僕が揃えてます。」

 

「勇さんが……揃える?どういう事だぜ?」

 

「貴女方を人間に戻す為の力が僕達にはあります。しかし今それを行えば皆さんの命をより危険に晒すでしょう。なので真に事が終わったその時は……」

 

「我々を元の体に戻す事を約束すると言うのですね?」

 

「はい!皆さんの憧れた過去に誓います。そして望むならば皆さんの事にも男として責任を取ります!」

 

「もしや我々を!?」

 

「はい。貴女達の〈伴侶となることを誓う〉という意味です。」

 

「それは……まさか!」

 

「あたし達は恋や愛すらも!」

 

三人の目がようやく女性の目へと変わった。

 

「なら……あたしは決めたぜ!勇さん!あたしをお嫁にして欲しいぜ!」

 

「私も立候補するであります!」

 

「本当によろしければ私もお願いしたいです……。」

 

「約束します。だから必ず生き残ってください!」

 

「「「お任せください勇さん!!!」」」

 

僕はこうして頼もしい協力者で新しい婚約者も獲得してしまった。キャロルの制裁は怖いけど!僕は救える命は救うと誓ったんだ!

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