僕達は各々の報告を終えて晴れて全員合流した。カリオストロ師匠だけは前回、ファウストローブ完成の為のデータをエルと一緒に(エルは通信の時に席を外されていた)、シャトーに取りに行っていたので、改めて全員集合ができた。
《アルカ・ノイズ及びバンダースナッチの反応を確認!数百五十!》
「セレナと勇は本部で待機よ。ここは私達が行くわ。プレラーティとカリオストロも良いわね?」
「なんだか息子の前で良いところを見せたい母親よね。今のサンジェルマンは。だけどあーしも同感ね。可愛い弟達に良いところを見せたいわ!」
「弟子達よ。師匠の活躍を見て来るワケだ。お前達を導く為の覚悟を形にして来るワケだ。」
「先生方……無理はなさらないでください。……私達は先生方に救われた身なのですから。」
「師匠達の覚悟は僕達全員が受け止めます。ですが、万が一への警戒をお願いします。まだエレンは退けたワケではないので。」
「そうね。確かに彼女達は今の私達でも不安があるわ。だからこそ、この力を今回で使いこなすわ。」
師匠達はそう言って転移して行った。
「では義兄さん。私達も始めましょう。」
「そうですね。では僕からしますので、セレナさんは正面を向いてください。」
僕はそう言ってセレナさんにキスをした。そしてその際に首に手を回され、ディープキスになってしまった!
(ふふっ、逃がしませんよ義兄さん♪)
そして僕は抵抗する事なく、光に呑まれる事になった。
〈お久し……ぶり……です。覚え……て……ます……か?〉
僕達の前に立っていたのは、嘗て兎の人形を左手に着けていた少女ーー〈氷芽川 四糸乃〉であった。
「お久しぶりです。四糸乃さん。そしてこちらが今代の継承者のセレナさんです。」
「始めまして。セレナと言います。義兄さんに力を託してくださってありがとうございます!」
〈義兄さん……ですか?〉
あ………そういえば精霊の方々には重婚の件はまだ言ってなかったような……
「はい!義兄さんはキャロルさんを正妻に、響さん・翼さん・クリスさん・暁さん・月読さん・姉さん・サンジェルマン先生・フィーネさん・私の愛しい旦那様ですよ?」
セレナさん……貴女義兄の結婚相手に自分を入れたのはわざとですか!?それとも偶然ですか!?
「(ペロリ)」
確信犯ですね……わかりました。
〈ふふっ。まるで「士道さん」ですね。あの人も私達全員の好きな人でいてくれました。そんなあの人を見ているみたいです。〉
「そういえば私への〈試練〉とやらは何ですか?」
〈いえ……実は貴女の試練は今では無いんです。この先に貴女のお姉さんに危機が訪れます。その時に私達の力を貴女は預からないといけません。だからその時が試練であり、貴女の役目です。だからその時に体を守る為に私の力を託しました。〉
セレナさんが〈力を預かる〉?〈マリアさんに迫る危機〉?わからないけど、僕達は備える必要があるな。
「わかりました。マリア姉さんの危機の際には、貴女の力を遠慮なく使わせていただきます。そして必ず救って見せます!」
〈はい!楽しみにしています!〉
「そういえば四糸乃さん?」
〈何ですか勇さん?〉
「七罪さんの継承者はちゃんと生きてますよね?」
〈はい!二亜さんの予知で確実に会える事がわかっています。心配しなくて大丈夫ですよ?〉
何故だろう。二亜さんの予知だとかえって不安になるなぁ。〈シェム・八〉の名前も間違えてたからなぁ。
「わかりました。四糸乃さんの言葉は信じます。」
〈はい!頑張ってください!あと、澪さんより伝言です。〉
「澪さんからの……伝言……?」
珍しい人からの伝言だな。
〈神様だろうと君の魅力は通じるよ。心のままに、
「デートして、デレさせなさい」
以上です。伝えましたよ。〉
………深く考えたらダメな気がするけど、とりあえずやることはわかった。僕達はやることをしよう。
「ありがとうございます!四糸乃さん!」
僕達の意識は現実に引き戻された。すると師匠達がアダムの登場に驚いているところだった!
「セレナさん!初陣ですが支援をおねがいします!」
「わかりました!確実に先生方を救います!」
僕達はアダムとの初戦を意外な理由で始める事になった!
僕達が現場に到着すると、アダムは既に黄金錬成の準備を始めていた。
「セレナさん!アイツを止めます!支援をお願いします!」
「わかりました義兄さん!行きますよ〈ザドキエル〉!」
師匠達はアダムの体術に倒されていた。その影響でこの攻撃を避けることは困難だろう。
「くっ……流石に腐っても統制局長ね……嘗めて関ったつもりはないけど、手も足も出なかったわ……」
「そうね。あーし達の攻撃は直撃しても……涼しい顔をされて……」
「サンジェルマンの攻撃だけは……避けられたワケだ……。悔しいが私達は遊ばれたワケだ……。」
師匠達の表情は怒りと嘆きの色が強かったんだけど、冷静さを欠いた表情でもなかった。
「さて………充分かな?遺言は。お仲間共々消えると良いよ。仲良くね!」
アダムは師匠達の言葉が終わるのを律儀に待った後に火球を放ち、錬成を始めてきた!
「セレナさん!二人のザドキエルなら止められます!あわせてください!〈凍鎧〉です!」
「了解です!行きます!」
二人のザドキエルの力を解放し、火球の一部に対抗する。この僅かに稼いだ時間で師匠達をダヴルダヴラの弦を使って引き寄せる。
「きゃあ!?」
「ちょっと!?優しくしなさい!」
「手荒なワケだ!」
………師匠の声が乙女に聞こえた事は僕の気のせいだろう。
「あらぁ……。先生の可愛らしい声!私初めて聞きました!」
(セレナさん!?ちょっとぉ!?貴女は火球を抑える役目がある筈じゃぁ!?)
油断したセレナさんのせいで状況は一気に悪くなり、僕は急いで火球の相殺もしなくてはいけなくなった!
「ああっ!もうっ!間に合え!翠の獅子機!」
すぐに僕は獅子機を顕現させて力任せに相殺を始めた。
「ごめんなさい義兄さん!すぐに再開します!」
「これはセレナが悪いわね………」
「あちゃー。これはお説教ね……」
「流石に許されないワケだ………」
(師匠達……実は少しだけ余裕ありませんか?)
何とか力任せに火球を相殺して耐えきった僕達に、アダムは驚きと怒りを隠さなかった。
「ふざけた物だね……色々と。相手をしてあげるよ……少しだけね!」
アダムは僕達に接近して体術を仕掛けてきた。ならこの天使を使わせて貰うか!
「行くよ〈サンダルフォン〉!」
今回の顕現では大剣を使わず、二振りの剣という形で顕現させた。支援して貰うなら、大剣は不向きだからね。
「嘗めているのかな?この僕を。おすすめしないよ。図に乗る事はね!」
アダムの戦い方は体術に錬金術を組み合わせたやり方だ。だから接近戦は奴の土俵なのもわかっている。
「その動きはさっきの戦闘で見ました!だから考えてますよ!」
僕はアダムの攻撃の内、左側の攻撃を敢えて剣の腹で受け止めて、右側の攻撃を防がなかった。
「嘗めているじゃないか!やはりね!」
アダムの左足の蹴りが僕の腹部に当たる瞬間、風で僕達の周囲を球状に包んでアダムの動きを制限し、セレナさんに僕達の背後を取らせた。
「相手は義兄さんだけではありません!この私もいるんです!凍りなさい統制局長!」
セレナさんは風越しに霊力を集め、アダムに叩き込む準備を終えていた。そして僕が攻撃されて意識が逸れた瞬間に意図を察してくれた。
「不味いね……これは。しかしあきらめないよ。この僕もね!」
アダムは回避行動に移ろうとしたが、その動きは僕がさせない。派手に受けて貰おう!
「させないですよ。男二人で仲良くくらいましょうか!」
僕はアダムの足をしっかりと抱え、アダムはバランスを崩した。そしてその体勢で回避できるはずもなく、セレナさんの攻撃で二人で仲良く凍結した。
「忌々しいね。その力は!君なんだろう?サンジェルマン達を唆したのは?」
「何を……言って……?」
だけど攻撃を受ける直前の言葉の意味を、僕が正しく理解する前に僕達はセレナさんに凍結された。しかしここには思わぬ来訪者もいた。
「無様ですよ統制局長。はぁ……慢心が過ぎる人物はやはり足元を掬われますよ?」
そう言って現れた〈ペンドラゴンのリアライザ〉を纏った魔術師の〈エレン〉が、セレナさんに砲撃を放ち、師匠達をレイザーブレイドで切り伏せた。
「きゃあ!」
「あぐぅ……」
「ああぁ!」
「ぐあぁ!」
その流れは敵ながらに美しく、不意打ちとはいえ反応を許さない程鮮やかな動きだった。
「今回は局長を回収するだけですのでこれにて失礼します。そこで凍っている振りをしている〈ゼウス〉は聞いておきなさい。そして後で〈ヘラ〉に伝えてください。
〈次は貴方方の力をいただきます〉
そして私はアイク達の悲願を必ず達成します。」
エレンさんはアダムを回収するとそう言い残して転移して転移して行った。………しまったな。こんな事ならさっさと氷を砕けば良かったかも。
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