「戻りましたか真那。ではこれより儀式を始めます。」
「長かったね……この時が。だけど始まるのさ……僕達の悲願がね。」
私達は生け贄が足りていない事に気がつきました。しかしこちらの戦力を割くつもりはありません。なので真那を負け戦に送り出し、手負いの彼女を生け贄にする事にしました。
「ごめんなさい真那。私達の悲願の為にその命を貰うね。」
「アルテミシア!何を……」
アルテミシアが真那の意識を刈り取り生け贄の祭壇に設置、そして私達はレイラインマップを使い〈神の力〉を降臨させる準備を終えました。
「アイク……エリオット……もうすぐですよ……」
『アルカ・ノイズ及びバンダースナッチの反応を検知しました!装者達は至急現場に向かってください!』
友里さんから届いた一報は驚く物だった。正直に言うと原作四期の敵は師匠達だったが、僕がその未来を変えてしまったので敵の次の一手が予想出来ないでいた。
「クソッ!僕が動かなかったら敵の狙いがわかっていたのに!余計な事をしたばかりに後手に回ってしまった!」
嘆く僕は後ろから優しく抱きしめられた。その人物を確認するために振り返ると師匠達が立っていた。
「勇……自分を責める事はないわ。貴方は自分の信念に基づいて行動したし、そのおかげで私達は過ちを必要以上に重ねなくて済んだのよ?」
「そもそもこんな事態を引き起こした原因はあーし達にあるわ。だからケジメをつけるのもあーし達でなくてはならない事もあるのよ?」
「私達も自分達が果たすと決めた事を遂行するワケだ。その為の障害は覚悟していたワケだ。」
「サンジェルマン師匠……カリオストロ師匠……プレラーティ師匠…………。」
僕は言葉が続かなかった。しかし師匠は言葉を続けて来た。
「ならば私は勇が後悔している事の精算に付き合うわ。それがこの事態を引き起こした者として……そして貴方の師匠としての責任という物よ。」
「ならばオレ達でヴァイスハウプトを討てば良いだけだ。そして〈神降ろし〉とやらの妨害をすれば良い。そうだろう?」
キャロルの投げかけた言葉は僕達のやるべき事を明確にした。ならば後はそれを果たすだけだ!
「司令!僕からの提案があります!」
僕は司令に人員分けの提案を行う事にした。
「僕・サンジェルマン師匠達とセレナさんの旧パヴァリア組とキャロルで魔術師達を抑えます……いえ、倒します!」
「ならば響君達装者七人でアダムを討つと言う事か……。確かに戦力の投入は検討しているが些か少ないと思われるのだが……。」
確かに今の戦力に対しては明らかに人員が少ないだろう。だけど今この展開において僕達錬金術師組はケジメをつける必要がある。だからここは譲れない。
「すみませんがこれは僕達のケジメです。それに僕達は響達がいつまでも守られるだけのお姫様じゃない事も知っています。だから約束します。僕達がケジメをつけたその時は全力でアダムを討ちに合流します。」
「そうか……ならばわかった!お前達の思うようにやって来い!そして全員で帰って来い!」
司令はなんてお人好しなんだ……なら僕達もその信頼を裏切る訳には行かないな!
僕達はオペレーターの指示により示されたポイントへと到着した。そしてそこには倒すべき人達が万全の状態で集まっていた。
「ようやく現れましたか〈精霊達〉。では始めましょう?私達と貴方達の信念のぶつけ合いを!」
「皆!世界を守る戦いだ!頼んだよ!」
「任せてよ勇君!私達は負けない!」《b》
《b》「貴方の帰りを待つ乙女として……そして一人の防人として恥じないように戦うわ。」
「愛しい弟の合流を前に倒れるつもりはねぇ!全力で行ってこい!」
「私達が信じた勇さん達が!」
「安心して戦えるようにする事が!」
「私(あたし)達の役目(デス)!」
「ここは私達に任せなさい!それが役目なんだから!」
「いいえ……ここで倒しましょう?私達の強さを勇君達にわかって貰うチャンスなんですから!」
「ありがとう皆……ここは任せた!」
僕達は言葉を交わし、各々の相手との戦闘をするべく分断を始めた。
私とセレナはアルテミシアと対峙している。今の彼女は結社にいた頃よりも遥かに強い。だから私達は彼女を引き受ける事にした。
「貴女達二人……ね。〈ゾディアック〉となったサンジェルマンと〈ハーミット〉となった新参者……か。私を相手にするのに戦力を集めるのはわかるけど、あまりジェシカを舐めない方が良いわよ?彼女だって私程じゃないとはいえ充分強いんだから。」
「それはこちらの台詞よアルテミシア。あまりカリオストロとプレラーティを舐めない事ね。彼女達は私の友であり、肩を並べる存在よ?それに勇の師匠であり、一度雪辱を味わった相手を彼女達が見くびると思わない事ね?」
「お二人を心配される前にご自身の心配をしてはいかがですか?貴女も充分不利なのですから?」
アルテミシアは余裕を崩さない。まるで想定通りという事かしら?
「なら始めようよ。〈本当の殺し合い〉ってのをね!」
〈アシュクロフト〉を用いた彼女の動きは素早い。故に私達もファウストローブと礼装の併用を始めた。
「〈スペルキャスター〉スタンバイ!〈ミカエル〉を展開!絶対にここで落としてみせるわ!」
「〈クラウ・ソラス〉起動!〈ザドキエル〉解放!貴女を倒します!」
私達はお互いに臨戦体勢だ。だから先に動けば何かしらの変化は訪れる。
「アイスメイク!〈ホーク!〉そして〈ローゼンメイデン!〉」
「ッ!なんて数の鷹と薔薇なの!?しかもそれを氷で造形するなんて!」
迫り来る氷の鷹と薔薇は確実に彼女の想定外の攻撃だった。恐らくこんな発想をする能力者は結社にはいなかっただろうし、元の世界ではまずいなかったはずだ。だから対処するまでの判断が遅れる。
「相手はセレナだけではないわよ!〈無限の銃弾!〉」
「ッ!その銃弾には何かしらの仕掛けがあるわね!防御すら遠慮したいわ!」
アルテミシアは動揺しながらもセレナの鷹を撃ち落とし、薔薇を回避した。そして私の銃弾は薔薇に当たるとその内部から無数の短剣が飛び出した。
「銃弾の中に仕込まれた短剣……〈随意領域〉で防げても数回止めれば恐らく内部構造がボロボロになるね。回避して正解だったよ。」
「それはどうかしら?既に私達は次の一手は打ってあるわ。凌げるものならやってみなさい!」
「それは……どういう……!まさかこの空間が!?」
「えぇ。外界と隔離したこの空間は現在も温度が下がり続けているわ。貴女の〈随意領域〉が後どのくらいもつかはわからないけど、そう長くは持たない筈よ?」
人間にとって〈温度〉とは絶対の法則を持つ。冷気に晒され続けて体温を失えば体は震えだし、果てには凍死する事例すらあるのだ。そしてそれは魔術師であろうと例外ではない。いずれ彼女にも限界がくる筈で、その前に勝負を決めに来るだろう。
「決着を急ぐ理由が出来たよ!直ぐに落としてあげるから!」
動き出した彼女だがやはり先程よりも〈遅い〉。それは彼女自身ではなく、その〈随意領域〉こそが急激な温度変化の影響を受けている為だ。
「その動きは貴女のイメージよりズレています!つまり貴女の視線の先が攻撃範囲であり、そこにたどり着くまでの誤差を狙えば攻撃は届かない!」
「援護するわセレナ!〈炸裂弾!〉」
私はアルテミシアが回避しうるルートに炸裂弾を放つ。しかもこれは只の弾ではない。着弾した物に重りを付与する弾を仕込ませた。
「恐らくサンジェルマンの弾は拘束用の筈!だったらハーミットの方を狙えば!」
「その動きは読めています!〈絶対切断!〉」
アルテミシアはセレナに斬りかかったが、その動きはもはや目で追える程に遅くなり、セレナは何事もなく受け止め、反撃の一撃を加えた。
「嘘……私の〈アシュクロフト〉が……」
彼女の〈顕現装置〉はセレナの一太刀で破壊され、更には氷漬けにより体の自由を奪われた。
「こっちは終わらせたわよ勇……カリオストロ達……。」
私達は装置者達の援護に向かう事にした。局長に制裁を加え、私達を騙した報いを受けさせる為に。
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