マジで……この世界⁉️   作:タク-F

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XV その輝きがさし示すは……
護国の鬼が動く


~~ヴァネッサside~~

2044年12月某日

 

私達は結社がサンジェルマン様による解体の際に〈風鳴 訃堂〉にコンタクトを受けた。

 

「貴様達が常人では無いことも、その身を保つ為に特別な血液を欲していることを儂は知っている。大きな組織とは崩れると再建には時を要するであろうな。しかし儂等ならば支援ができる。この意味はわかるな?」

 

私達は三人で顔を見合わせた。そしてこの状況こそが勇様の見た展開なのだと確信をした。

 

「なるほど……とても光栄なお話です。確かに今の我々を支援してくださる組織は皆無です。もしその血液をいただける事を確約してくだされば我々は〈何でも〉致しましょう。」

 

訃堂は顔を歪めた。吐き気のする笑みだ。

 

「頭が回る兵は嫌いではない。しかし貴様達は我々にとっても脅威である。故に通すべき筋があるだろう?」

 

なるほど……本当に話通りの人物のようですね。ならばここはあの方々より賜りし献上品の使いどころと言う事でしょう。

 

「ならばこれをお納めください。〈神の力〉を得たレイラインマップと、貫かれた人形の腕です。そちらの機関で力の解析がすめば真偽はわかるかと思われます。」

 

「ふむ。此方の望みを見抜く洞察力もなかなかよな。あいわかった。正式に協力関係を築こうではないか。しかし我々は貴様達のような異形には恐れる物が多い。故に保険も幾つか掛けさせて貰うぞ?」

 

そう言うと訃堂は輸血用の液パックを踏み砕いた。

 

「ああ済まんな……先程仕舞い忘れた上に一つ無駄にしてしまった。しかし取り引きに相違はない……良いな?」

 

「構いませんよ。二人も大丈夫よね?今までの逃亡生活においては次の保障はなかった。しかしここはかろうじてその保障があるのよ?」

 

「……悪くはない条件だからあたしは乗るぜ?後ろ盾って奴は重要だ。それも裏に通じるような人物のは……な。」

 

「私も異論はないであります!二人の信じる道が私の道であります!例えそれが地獄に通じるとしても!」

 

私達の決意を聞いて訃堂は、少しだけ意外と言いたげな表情を見せたがすぐに持ち直した。そして私達にとても重要な提案をしてきた。

 

「では〈神の力〉に関する正しい情報を儂に供給せよ。これは儂個人に直接送る物とする。くれぐれも仲介を立てるなよ?」

 

「了解しました。混乱する結社より該当資料を精査した後に確認してお届けします。その暁には……」

 

「良かろう……先の分まで血液の便宜を図ってやる。しかしその場合は出来高で供給量が増減する事をしかと覚えよ。」

 

「構いませんよ。私達は生き残る事をあきらめていました。しかし貴方と出会えた事でまだ希望を持てそうです。そのご恩には必ず報いて成果でお返しする事を誓いましょう。」

 

訃堂は多少疑いながらも、我々がそれほど切迫している状況だとうまく認識してくれた。後は彼の掌で踊る演技をするだけだ。

 

「その為には汚れ仕事だろうが密偵だろうが何でもやるぜ!」

 

「私達は既に異形の身であります!それゆえにプライドは当に捨てたであります!」

 

私達の決意を聞いた訃堂はますます笑みを浮かべる。まるで思い通りであるかのように。

 

「働きには期待しているぞ?」

 

「おまかせください。そしてゆくゆくは神の力を再度降臨させましょう。」

 

私達は会話を終えると退出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やはり勇さんの予想通りと言う訳ね。」

 

「私達が身を粉にする事を誓った時に、奴の口元は笑っていたであります!」

 

「そして手を汚す事を示唆していたぜ。多分近い内にアイツは何かをやらかすぜ?」

 

私達は先程の会話を振り返る事にした。そして奴の目的を絞り込む事にした。

 

①奴が欲しているのは〈神の力〉であり、その力は現在レイラインに沿って流れているということ。

 

②私達を使い捨ての駒として扱うつもりでいる事、その為にはおそらく追ってを差し向けるということだろう。

 

③奴は後に私達が手を汚す事をさせるつもりがあるという事。

 

私達はその情報を念話で勇さんに送る事にした。

 

〈お久し振りです勇さん。貴方の予想通り彼が私達に接触しました。そして血液を提供してきたした。〉

 

《お久し振りですヴァネッサさん……予想通りですね。そしてその血液は此方へこっそりとテレポートで送ってください。》

 

私達は事前に渡されていた〈鍵〉を使い、勇さんに伝えました。

 

《確認がとれました。やはり微量の毒を仕込んでいます。血液の交換頻度から見て凡そ3ヶ月で中毒死させるつもりだろうと思われます。》

 

〈3ヶ月……ですか。ではもう時間がないと言う事なのですね?〉

 

《はい。そして最初の大規模襲撃ポイントは既に判明しています。次の翼さん達のコンサート会場です。》

 

〈!?歌姫達のコンサート………ですか?〉

 

《そしてミラアルクさんの能力で洗脳をさせる筈です。しかし気にせず洗脳をしてください。来るとわかっている手は潰せます。貴女達が安全である事が一番です。此方が演技を合わせますので、ヴァネッサさん達は本音で僕達に伝えてください。》

 

〈ありがとうございます勇さん。それでは来るコンサートの日に……〉

 

私達が通信を終えると訃堂の使いがやって来た。

 

「これが次の仕事だ。生きたいと願うなら下手な事は考えない事だな。」

 

そう告げると使いは去って行った。

 

「フムフム……。南極におけるシェム・八の資料の強奪でありますな。勇さんはこの事を告げていませんでしたな。その理由は一体?」

 

「簡単だよエルザ。おそらく勇さんは既にその内容を知っているんだ。そして油断していたように立ち回る事であたし達を動きやすくしてくれているんだ。」

 

「ミラアルクちゃんの予想はおそらく当たりよ。勇さんは終始落ち着いていたわ。その情報は〈伝えそびれた〉じゃなくて〈伝えなかった〉筈よ。ならば私達は派手に立ち回りますよ?」

 

そして私はミラアルクちゃんを呼び止めた。

 

「もうひとつの伝吾よ。装者達の洗脳に遠慮はいらないそうよ。ならここはおもいっきり洗脳して訃堂への貸しと、勇さんの反撃を特等席で鑑賞しないかしら?」

 

「ならばまずは神降ろしの詳細を調べるであります!そして準備ができた時には!」

 

「ターゲットを事前に洗脳してあの美しい姿を見せて貰おうぜ!」

 

「ならばこれからは忙しいわよ!お姉ちゃんについて来なさい!」

 

私達は手始めにサンジェルマン様より厳選された資料を読むわよ!

 

「任せろヴァネッサ!」

「やるであります!」

 

その後私達は一週間後には南極にてシェム・八の封印痕跡の詳細を調べに行き装者達と戦闘になるけど、おそらく勇さんがこの時には次の手を打ってくれると信じて待つ事になる。

 

 

 

 

~~キャロルside~~

 

2045年1月某日

 

ある朝オレはふと目を覚ましたが勇は目を覚まさない。深い眠りについているようだが、呼吸は安定しておりバイタルサインも異常は検知されなかった。更に昨日はノーブルレッドとの打ち合わせをしていた筈だが、その報告を聞くのが今日だったが未だに目を覚まさない。

 

「何が起きているんだ?」

 

オレは一人呟いた。そしてその呟きを聞いてかもう一人部屋に入る人間がいた。

 

「キャロルちゃん……おそらくだけど……勇君は今。」

 

「その〈可能性〉に賭けるしかないということか。そして凛祢は他の用事でもあったのか?」

 

「うん。この世界の〈彼女の棺〉が見つかったよ。勇君が目を覚まさないなら私達が行かなきゃね。」

 

そうか……とうとう奴の棺が見つかり防衛機能が暴れ出したか。ならばオレ達とて動かねばならない事態の筈だな。

 

「ならば行くぞ凛祢。ブラッドの変身道具はオレが持って行ってやる。」

 

オレ達は未だに目を覚まさない勇に代わり、奴の棺をこじ開けることにした。

 

「しかしシャルロットちゃんはどうやって開けたんだろうねぇ?」

 

「奴は仮にもアヌンナキだ。恐らく無条件に起動ができただろうが、今回の発見者が別人ならば防衛機能が動いた筈だ。そしてこれは………」

 

「彼女達からの合図だね。とうとう訃堂が動いたってことか。」

 

「らしいな……では始めるとしよう。圧倒的な魔王と闇の力を!」

 

~~キャロルsideout~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~勇side~~

 

僕が見ているモノはなんだ?

 

〈よう後輩!大分修羅場を乗り越えたな!〉

 

その声は僕にとって聞き覚えのある声だった。

 

「貴方は士道……さん?」

 

〈あ~そうか俺とお前は一応初対面だったな。すまんかった。〉

 

そういうと士道さんは頭を掻きながらバツが悪そうにしていた。

 

「でもそれは十香さん達も同じでした。しかし意外ですね。なぜ僕にコンタクトをしてきたんですか?」

 

〈それはだな。お前に伝言と説明をする為なんだ。〉

 

「伝言と説明ですか。じゃあ伝言からお願いします。」

 

「おう!まずは伝言だが、鞠奈からだな。

 

〈キミのおかげで私達は無事に帰ることができた。そしてエレン達もそれぞれの世界へとね〉

 

ってよ。でも確かに全盛期のエレンさんが標的に定めた事を知ったら驚くよなぁ……。」

 

「えぇ。僕も彼女達の目的を知るまでは同性同名の異世界の人物だと思っていましたけど、まさか本人だとは思いませんでした。」

 

〈でも彼女達を救ってくれてありがとうよ!〉

 

「いいえ……僕は真那さんを救えませんでした。それは変えようのない事実です。」

 

〈いや、真那の事は仕方ないさ。お前にも守るモノがあった。だからそれは間違いじゃないよ。〉

 

士道さんは僕の胸を叩いた。そしてこう続けてきた。

 

〈恐らくもうすぐお前の知る戦いは終わると思う……だからお前のもう一人の妹に伝えて欲しい。あれが必要になる。そして■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ってな。〉

 

士道さんの声の続きが僕は聞こえなかった。そして僕は目が覚める事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは?……現実か?」

 

「はい兄様。僕達がいる現実世界です。そして姉様達は先程出撃されました。場所は南極にて〈彼女の棺〉が発見されたそうですがどうしますか?」

 

ホムンクルスがそこにいて、彼女は確か……

 

「〈ノエル〉ですよ兄様。最も……姉様は慌てて名付けたみたいでしたけどね。」

 

彼女がいるならちょうどいいのかな?

 

「ごめんノエル……用意して欲しいモノがあるんだ。〈あれ〉がいるらしい。そして僕は聞こえなかったけど、それに関係する何かも必要らしい。」

 

「〈あれ〉ですね?わかりましたよ兄様。では僕にキスをしてください。兄様の記憶が欲しいです。」

 

「はぁ……キャロルには内緒だからな?ヤンデレ怖いから。」

 

「大丈夫です。僕はクローンなので浮気じゃありませんから。」

 

「そういうモノなのかな?」

 

僕は疑問を感じつつもキスをした。

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