しかし今回はクリスさんパートである。
本編へどうぞ。
勇たちのもとから離れたあたしは、居場所を転々としていた。金も着替えのないあたしは、着の身着のままある廃墟を拠点にした。食料は残飯を漁ったり、水場を見つけては体を洗ったりしてひとまずはすごしていた。
本当はすぐにでも勇たちに連絡したかったが、あのオッサンが勇と同じ物を持っていたので、それは出来なかった。勇からの贈り物じゃなかったらこの端末はすぐに捨てただろう。でも勇は何を言おうとしたんだ?
そんなことをあたしが考えていると、突然通路からビニール袋が出てきて、あたしにこういった。
「そらっ、差し入れだ。どうせ録に食べてはいないだろう?」
中身は未開封の、日持ちがよくて携帯に便利な食料と飲料、
そして弁当が入っていた。何のつもりだ?
「どうしてここが?それに、これは何のつもりだ?」
まずあたしは、そこから確認することにした。
「まずその端末は、俺たち二課の支給品だ。そして食料は君の弟が俺に託してきたんだ」
ああ、やっぱりか。このオッサンはそこまで気を使えるようには見えなかったし、端末に至っては奴らの物かよ。そりゃああたしを見つけられるわな。
「以前俺は、君が帰国直後に行方不明になった時の捜査員だった。他の奴らは先に死んじまったがな………
だからこそ俺は君を助けるために、今回は一人で来たというわけだ。責任までは放棄したくないからな」
他の奴らの気配がないから、本当にそうなんだろうな。
だけどあたしは、これを言わずにはいられなかった。
「ふざけるな!何が責任だ!?お前ら大人はいつもそうだ。あたしたちを利用するだけ利用して、不要になれば押し付けあう。あたしが何を見続けたと思ってんだ!?寝言は寝て言いやがれ。あたしの支えは勇達だ。お前らじゃあねえんだよ!!!」
「そうか………君はそんなに思い詰めていたんだな」
そう呟くオッサンの声に力はなかった。
「なら、その端末について説明をさせてくれ。
それは二課の端末であると同時に、財布の機能がある。任務で使う者が必要な物を状況に応じて確保するためにな。そして交通機関もあらかた対応してあるから、必要なら使うと良い。元々は君に託すはずだったさ。
彼のおかげで多少時期が早まったがな。だから使う分には遠慮はいらんさ。
そして彼からの伝言であり、俺の本音も伝えよう」
だけどオッサンはあたしに端末の説明だけは丁寧にしやがった。多分本当なんだろうな、端末のことは。
「「心の整理に時間がかかっても良いさ。いつか姉さん(君)が、わかってくれるまで僕(俺)たちは待ち続けるさ」」
勇のやつ、そこまでお見通しかよ。少し可愛くねぇな。
そう思いながら、あたしはオッサンに言った。
「勇からの伝言をしたことに免じて一つ教えてやる。
フィーネは〈カ・ディンギル〉は完成した。後は炉心を確保するだけだとあたしは聞いた」
「そうか。その情報はとても大きな物だな。教えてくれてありがとう」
オッサンの最後の言葉を聞き終わる前にあたしは、
イチイバルを纏い、荷物を持って飛び出した。
…………………あたしの苦労は何だったんだろうな
~~少し前のside勇~~
弦十郎さんが姉さんの追跡をすることを知った僕は、あるお願いをすることにした。
「弦十郎さん、姉さんに差し入れをする気はありますか?」
「ああ。あんぱんと牛乳を持って行くつもりだが」
やっぱりか。アニメなら良いシーンだったけど、姉さんがそれを受け取るのを知ってる弟からすると、少し複雑になった。
「今の姉さんは、きっと録な物を食べてませんよ。その状態で炭水化物中心の食料はちょっと遠慮して欲しいのですが」
「う………。因みに君ならなにを持っていくんだ?」
「これから気温が上がります。スポーツドリンクは絶対です。そして姉さんから見た弦十郎さんの好感度はマイナスです。まずは日持ちするカロリーメイトみたいに、ある程度栄養のとれる物をお願いします。また、脱水予防の点でも、そういう商品を準備します。
こんなかんじに」
そう言って僕は用意した差し入れ一式を預けた。
「すまんな。俺が気が回らないせいで君に手間をかけた」
「いえ、おきになさらず。姉を心配する弟ってだけですから」
「俺は何故か、君の方が保護者に見えるぞ?」
マジか。あーでも、他人から見れば何かわかる気はする。
「〈心の整理に時間がかかっても良いさ。いつか姉さんがわかるまで、僕たちは姉さんを待ち続けるさ〉とお願いします」
「だいたい俺の本音と同じだな。よしわかった!俺の責任を持って伝えよう」
頼みますよ弦十郎さん。
~~勇sideout~~
実際差し入れはこういった物が好ましい気がするんだよな。だって録に食べてないし。
次回〈雪音勇、ライブに行く〉
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