それでは本編へどうぞ。
勝ち抜きステージでの歌に、雪音が参加すると言いだした時に私は驚いた。彼女は自分から表舞台に立ちたがる性格では無いからだ。
「だが、小日向が立花を連れてステージに立つと言いだした時には、流石の私も驚いたな」
それも、私達を前にして小日向は、
「私が響といっしょに、〈逆行のフリューゲル〉を歌います。
翼さんのパートを私が、
奏さんのパートを響が歌います」
この言葉は雪音に向けたものなのだろうが、
同時に小日向からの宣戦布告でもあるのだろう。
「しかし、自分の歌を他人が歌う様を観客席で見るのは、新鮮なものね。それに二人の息の合いようは、私から見てもかなり高いわ。私もいつか、再びそんな相手と出会いたいものね」
思えば、彼女達との関わりは、二年前のライブからはじまっていたわね。本来なら、二人で私達のライブに来るはずだったみたいだけど、小日向は事情で来れず、立花はライブを一人で楽しむことになった。
「そして、ステージに現れたノイズを倒す為に戦った奏のガングニールが折れ、欠片が彼女の胸に刺さった………か」
小日向達は、勇に自分達がステージで歌う姿を見て欲しかったから、今回ステージにエントリーしたのだろう。雪音もクラスメイトに後押しされて行ったが、勇が見に来ることがわかってからは積極性に準備をするようになった。
〈でましたー!!お二人の得点は94点!最高点の更新です!!!〉
「本当に素晴らしいものだった。もし小日向が装者になる時が来てしまうなら、立花と並び立てば私と奏に匹敵…………
いえ、私達を越えるコンビネーションを出せるでしょうね」
〈続きましては、リディアンに突如現れた希代の天才!雪音クリスさんです!〉
ほぉ、もう雪音の出番が来たか。あの二人の後では、緊張しそうなものだが、中々良い顔をしてる。
〈それではお願いします。雪音クリスさんで「教室モノクローム」です!どうぞ!〉
雪音も二人と同じく肩の力を抜き、本当に届けたい相手の為に歌を歌っている。そして、その表情はとても良いものだ。
〈でましたー!得点はなんと96点!勝ち抜きステージ新チャンピオン誕生だー!〉
「あの二人は惜しかったわね。でも、私から見ても僅差で、どちらが勝っていてもおかしくなかったわ」
〈さあ!次の挑戦者はどなたですか!飛び入りも大歓迎ですよ!〉
すると、観客席席から二人の女子が立ち上がった。
「チャンピオンに」
「挑戦デース!」
「あの娘達はマリアの!まさかリディアンに紛れ込んでいたのか!」
私はすぐに雪音と合流することを決めた。そして、あの娘達の目的は、私達のギアペンダントを奪うことだとわかった。ここを戦場にされて不利をとるのは私達だ。どうすれば良いんだ。
〈それではお願いします。暁切歌さんと月読調さんで、「ORBITAL BEAT」もちろんツヴァイウイングのナンバーだー!!〉
「なんのつもりの当てこすり!」
奴等が私達の歌を歌うのと、小日向達が私達の歌を歌うのは、何故か感じるものが違った。だが………
「あのコンビネーションは本物ね。小日向達に迫るものがあるわ。いや、戦闘においては、おそらく私達以上かもしれないわね」
だが、あの娘達は得点の発表前にステージを去って行った。耳を気にしたことから、通信機で何か指示があったのだろう。そして追いかけると、あの娘達は私達に決闘を申し込んできた。ここで戦いたくないと言っていたが、ステージでの表情からおそらく嘘では、無いだろう。場所と日時は追って連絡するらしい。
「しかし、あの娘達の目的が読めないな。ライブ会場の時と同じく陽動なのか?
あり得るな。だが、なんの為の陽動だ?」
会場の時は、緒川さんに接触し、
勇とソロモンの杖の写真を手紙と共に託した。今回もそれと同じなら、誰かに接触したはずだ。勇を捕らえた目的がその人物のあぶり出しなら、私達に近しい者のはずだが、その人物なら狙う根拠はないはずだ。
「奴等の目的は一体何なんだ?」
私の呟きを聞き取る者は誰もいなかった。
ひびみく版の逆光………普通に聞きたい。
そして翼さんの推測はあと少し情報があれば………
次回〈暴走〉
更新をお待ち下さい。
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