地球連邦軍上層部はいつも多忙です。   作:haniwa17

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思い付きで書いちゃいました。はじめての投稿なので、生易しく見守ってください…。


地球連邦軍上層部はいつも多忙です。

地球連邦軍最高司令部第1会議室

 

ここに地球連邦軍の上層部である最高司令部の高官達が、観艦式での大惨事の対応と対処を話し合っていた。将官だけでも大将2人、中将5人、少将12人、准将9人と錚々たる面子が雁首を揃えて憂鬱な表情をしていた。

あぁ、また仕事が増える…と。

 

あかん、主戦派とコーウェンがやらかしやがった。極秘の核を強奪された挙句に使用され、ワイアットは戦死、観閲艦隊はほぼ全滅、コンペイトウ駐留艦隊は機能不全、宇宙軍は右往左往とは…。

 

「コリニー大将は何と?」

「こちらで対処する、と」

 

宇宙軍総司令官のコリニー大将は最高司令部の干渉を嫌うことで有名な人物だった。一年戦争が終結して最高司令部に指揮権がなくなってからはそれが更に顕著になっていた。

 

「情報局の情報は宇宙軍総司令部には流しているな?」

「コロニー落としを画策している件は伝えていますが、ソーラシステムで何とかなると思ってる節がありますね」

 

情報局長の中将からの回答が更に暗澹たる思いを募らせた。今までの主戦派がやらかした尻拭いの経験から、今回も絶対に大惨事になるパターンだと…。

 

はぁ…、これは手を打っておく必要があるな…。

 

「まぁ、照射が成功したら何とかなる…が、あれは使い方が難しい。あれを突破されればどうにもならんし、先ずはソーラシステムを使わざる得なくなる前に事態を打開すべきだろうな」

「では?」

 

これは奴らを使うしかあるまいなぁ…。

 

「ロンド・ベルを投入する。ロンド・ベルは最高司令部にのみ責任を負う。任務はコロニー落としの阻止とデラーズ・フリートの壊滅」

「了解しました。宇宙軍には何と?」

 

まぁ、分かりきってるが、言うだけ言っとかんとな…。

 

「どうせ聞く耳持たんが、最高司令部も独自で動く。宇宙軍も事態の打開に最善を尽くすように、と伝えてくれ」

「了解」

 

あっ、そうだ。事の発端を作ったアホんだらはどうした。

 

「…あぁ、あとコーウェン中将は?」

「アルビオンを動かして対処に当たっています」

 

はぁ!?ペガサス級1隻だけだと!?あのマヌケは何考えてる!!

 

「第3地球軌道艦隊は?」

「第4軌道圏に展開中ですが、動きが鈍いですね」

「…どういうことだ?」

「コリニー大将の横槍が入っているようです」

 

また派閥争いかよ!?そんなもん平和なときにやれよ!!

 

「はぁ…また派閥争いか…予算と心に余裕がある奴らが羨ましい…」

「ですね…」

 

心が折れそう…。

 

 

このとき、上層部高官の髪が一本、手元の珈琲に落ちた。上層部高官は抜け毛が珈琲に作った波紋を見ながら、地球圏の行く末と自分の抜け毛対策に目を顰めるのだった…。

 

 

ルナツー要塞ロンド・ベル駐留基地MS第3格納庫

 

「レイ少佐!最高司令部より命令です。」

「やはり来たか。上層部は我々をまた扱き使うつもりだな。」

 

アムロはいつもの無茶振りに苦笑いを浮かべた。

一年戦争が終わって連邦軍主戦派や高官に危険視され幽閉されそうになったときに後ろ盾になったのが、現在の地球連邦軍上層部だった。

旧ホワイトベースクルーで希望者は全員が新設のロンド・ベルへ編入され、アムロとブライトに至っては士官大学校に特別入学させられた。そこでは士官教育と指揮幕僚教育(ブライトは上級指揮幕僚課程も受講)、アムロは更に並行して高校と大学の普通教育も詰め込みで行われた。

1日16時間のカリキュラムには発狂しそうになったが、同じく大学校に入学したブライトが睡眠学習用バイザーとヘッドホンを付けられて、寝てるときも酷く魘されながら24時間教育課程を受講している姿を見ると、あぁはなりたくない…と自分を慰めていたのは、今では良い思い出だ。

アムロの性格的にはまだまだ反発しそうなものだが、真っ白になりながら教育を受けるブライトや多忙からか目を真っ赤に充血させ、目の周りに真っ黒なクマを作ったパンダみたいな連邦軍上層部高官の激励を受けたら、ドン引きしてとても反発出来なかった。

卒業後は史上最年少で少佐に昇進。各地のジオン残党軍の掃討作戦や動乱の鎮圧に従事した。中には衛星軌道上からアレックスだけで残党軍のど真ん中に降下させられて殲滅戦をやらされたこともあったが、あのときは上層部は自分を殺そうとしていると本気で悩んだりした。

しかし、その後、過重労働による過労で入院しつつ、病室で仕事をしている上層部高官から、無茶振りへの謝罪と感謝の言葉をテレビ電話で受けたときは、それはそれで嬉しかったのも事実だった。

色々と不満はあるものの、今自分がそれなりの地位でやっていけているのも上層部のお陰であるとの感謝もあり、無茶な命令にも反発はなかった。

 

「特に少佐をまた扱き使うつもりでしょうね。」

「言ってくれるな。それで?」

 

部下がおどけて報告してくるのを聞きながら、アムロはどんな無茶振りが降りかかるのかと部下に内容を聞いた。

 

「観艦式を襲撃したジオン残党軍、デラーズ・フリートの撃滅とコロニー落としの阻止とのことです。」

「コロニー落としだと!?」

 

ジオンはまたあの悲劇を繰り返す気か!?

 

「はい。コロニー落としに利用が予想される無人コロニーのリストはこちらに。」

 

一年戦争で損壊して無人化したコロニーは多いことは分かっていたが、これを全て捜索するのは厳しいな…。だが…。

 

「先ずはコロニー落としの阻止が最優先だな。機材は?」

「全て投入可能です。少佐のアレックスはトロイホースに積み込み中、中隊全機も1600までに積み込み完了、1800には出撃可能です。グレイファントム隊も同様です。」

「ブライトは?」

「ブライト司令も艦に向かってます。1500よりブリーフィングです」

「了解した。」

 

これは急ぐ必要があるな。

 

アムロは新たな戦乱の発生と更なる大きな戦いを予期して目を細めた…。




続くかな!?

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