本土からモノレールに乗り、沖にある人工島へ向かう。そこには、IS……インフィニット・ストラトスと呼ばれるパワードスーツの操縦者を育成する学園があった。
「IS学園……か。」
荷物を担いでモノレールから降りた少年の右腕には、青いブレスレットが在った。
1年1組
教室にただ一人の男、つまりこの俺【織斑一夏】は、前述した通りこのクラス……否、この学園唯一の男子生徒である。ここ、IS学園はIS操縦者を育成するための施設。本来ISは女以外基本動かせない。要は女子校になるというわけだ。結論から言うと、俺はパンダのように見られるわけだ。面倒くさいことこの上ない。そもそもなんでこんなことになったのかというと……「……む…くん…お…むらくん……織斑くん!」おっと。
「はい、なんでしょう?」
「あのね、今自己紹介中で、『あ』から始まっていま『お』だから、自己紹介してほしいなぁって。」
「すみません。すこし考えごとを。では……織斑一夏です。ある目的のために入学することになりました。基本的にはあまり、皆さんとは関わりません。空気、そう思ってください。以上です。」
クラスの空気は一気に凍り付いた。それもそのはずだ。初手でこんだけ突っぱねたんだ、これで俺にかまう奴は……「「「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」」!?
「俺様系クール系!!」「ド・S・王子!!」「唯我独尊!!」
あぁ、ここは変態の集まりだったか……失敗したな《ドゴッ!!》「いってぇ…千冬姉か…」
「織斑先生だ。」と、同時にもう一発入れられそうになったが、片手で受け止める。
「……全く…表面上だけでも、もう少しくらいクラスへ協調性を見せろ。」
「メンドクサイ。後々判明するから先に関わるなと警告しただけだ。」
「はぁ、まぁいい。諸君私がこのクラスの担任の……」
今自己紹介を始めたのは織斑千冬。苗字を見たらわかるだろうが俺の姉だ。…さて、そろそろか。あ、これを傍観してる諸君も耳栓……いや、心の準備をしておいた方が良い。さぁ、来るぞ!!
「「「「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」」」」」
ふぅ、どーせこうなると思ってたよ。俺の姉、織斑千冬は第一回モンド・グロッソ……まぁISのスポーツ大会みたいなもんだ。それの優勝者……初代ブリュンヒルデという称号を持っている。もっと端的に言おう……世界最強、そういう意味だ。
聞き流していたら、どうやら諸々の挨拶は終わったようだ。さて……まずは睡眠だ。授業など受ける必要はない。俺は机に突っ伏しようとしたが……。
「おりむー。やっぱり来たんだね……。」と、両袖がやたらと長い少女が話しかけてくる。あんなことを言った後に話かけてくるのなんて、知り合いか変人かのどちらかだ。彼女の場合は前者、……顔見知りだ。
「本音か。……俺はやると言ったらやる。それだけだ。」
「そんなこと、かんちゃんは望んでないよ。」
「かもな。でも、簪は関係ない。これは、俺の……俺のための復讐だ。」
「おりむー……。」
「さ、成績に響くし、アイツの出席簿は凶器だ。はやく席に戻れ。」
「う、うん。」
少女……布仏本音は席へと戻っていく。俺は……寝た。
1時間目初っ端から出席簿を叩き込まれ、目が覚めた。
「目覚まし時計の方がまだ目覚めがいい。」
「馬鹿者が。起こしてやってるだけマシだと思え。」
「授業なんて「受けてもしょうがない、とは言わせんぞ。郷にいては郷に従え、だ。」……はぁ、仕方ない。表面上だけでも受けておく。」
「それで構わん。さ、授業を始める。」
この後は聞き流した……。
休み時間に入ったので、今度こそと眠りに着こうとした。が……
「ちょっとよろしくて?」
……チラっと顔をみて、すぐに突っ伏する。
「急ぎの用件じゃないなら何処かに行ってくれ。俺は暇じゃないんだ……。」
「まぁ!日本の男性はレディーに対して礼儀もなっていませんこと!」
「……だったらなんだ?急用じゃないなら俺はもう寝るぞ……。」
「……この私、イギリス代表候補生のセシリア・オルコットに話しかけられたんですわよ!同じクラスになっただけでも奇跡だというのに!!」
俺は無視を貫く。うるさい奴にかまっている暇はない。今のうちに少しでも仮眠を取らなければ……。そうこうしてるうちに、始業のチャイムが鳴る。
「ッ!また来ますわ!」
「もう来なくていいぞ……。」
さっきのやかましい奴が席に着いたタイミングで千冬姉が教室に入ってくる。
「……さて諸君。2時間目を始める前に、このクラスの代表を決めてもらう。そう重く考えなくていい。一般的なクラス委員長の仕事にクラス対抗戦などがあるだけだ。まぁ、就任したら基本的に1年間は変更できん。自薦他薦は問わん、誰か居ないか?」
俺は他薦も自薦もしない。どーせ、あんなこと言った後だ……誰も俺を他薦しようなんて奴は……いや、待て!こんな変態だらけの教室だ。……嫌な予感がする。
「えっと、わ、私は織斑君を推薦します。」「わ、私も!」「あ、私も推薦します!」
と、続々と俺を他薦する声が上がる。これは、嫌な予感が的中した…。
「納得いきませんわ!」
声を上げたのは、あのやかましい奴だった……。