また、今話の投稿前に不定期更新等のタグを増やさせていただきました。
そして、やや不快になる描写があるかもしれません。予めご了承ください。
俺はダリル…レイン・ミューゼル確保のために大暴れし、学園地下ラボを破壊した…いや、待て。そもそも地下ラボなのに上からオータムが降って来ている時点で、俺のせいじゃないような…。まぁ、いいや。つまり、その件で束さんにお願いしに行ったわけだ。が、意外なことにあの束さんが何の見返りもなく了承してくれるとは思わなかった。しかもファントム・タスクまで追跡してくれているとのこと。何か裏があそうで少々怖いが、何か起きたら仕方ない。自業自得と割り切ろう。
さて、俺が来ているのはまたまた地下施設。レイン・ミューゼルを拘束している場所だ。あのテロの首謀者…ないし、何らかの形で糸を引いてるであろうファントム・タスクのメンバーを拘束したんだ。有益な情報を得られるはずだ。そうでなくとも……。
「さて、何か話す気になったか?」
「…………。」
「黙秘か。それもありだろう。確か……オータムとスコールだったか?そいつらの助けが来るのを待っているんだろうが……ここは一切の電波を通さないらしい。それにISは回収済み……さっさと吐くことはいて楽になろや。」
両手両足縄で縛ってある……やったのは千冬姉だ。俺にそんな趣味はない。
「数年前から起きていたテロ事件、ファントム・タスクは関わっているのか否か!たったそれだけだろ?」
「…………。」
「……気絶してるわけでもない。死んでいるわけでもない。…これ以上黙秘してお前に何のメリットがある?」
「……組織を裏切るわけないだろ…。」
「はぁ……忠誠心が厚いねぇ~。吐こうが黙ろうが死ぬのは変わらないのに……。」
「どういう……ことだ?」
「今お前の立場は捕虜ではない。世界規模の犯罪組織をおびき出す餌だ。それに……日本や各国政府が万が一にも釈放したなら……そん時は俺がお前の息の根を止める!!」
そういって俺はナイフを壁に投げつける。……それを使って脱走されても困るので、回収はする。
「死が確定してるのなら、さっさと殺しなさい。」
「そう易々と死ねると思うか?……今、かの大天災様が全力でファントム・タスクを追ってる。どの道、壊滅は時間の問題だ。」
「そうかしら?あんた程度じゃ、スコールの叔母様には勝てないわよ。」
「いいや、勝つさ。……例えこの身が滅びようとも、必ずテロリストは殲滅するっ!!」
俺はそう言い残し、ひとまずこの場を去った。
束のラボ
いっくんが訪ねてきたときは何用かと思ったけど、あの程度この束さんには朝飯前だったから、何の条件もなしに受けた。
……正直束さんは後悔してる。いっくんが壊れたのは束さんのせいだ。いっくんにあんなこと頼まなきゃ……あんないっくんを見なくて済んだんだ。ファントム・タスクの追跡も……今作ってる『コレ』も、束さんにできる数少ない贖罪に過ぎない。それに、あのいっくんは、束さんにもちーちゃんにも……残念な箒ちゃんにも戻せない。唯一、あの女……いっくんの……ガールフレンド?なら希望がある。上手くいかないかもしれない……でも、上手くいっていっくんが止まってくれるなら…あの笑顔がもう一度見られるなら……今できることに、束さんの全力を尽くす。
ヒカリ……束様は、昔宇宙人を見たそうです。とても眩しい、太陽のような眩しさを持った……光る巨人を。ISは彼らに会うために作ったと聞きました。世間では宇宙開発用パワードスーツ、もしくはスポーツ目的に使われているもの、という認識ですが。束様曰く…「有象無象の馬鹿に本当のこと言ったってわかんないからねぇ。それっぽいこと言っておいたんだけど、それすら理解できなかったみたい」…だそうです。
そして、ISの研究過程で光のエネルギーを凝縮するテクノロジーを思いついたそうです。試作段階ではありましたが、偶発的なのか、出来上がったもの…それが、一夏様のヒカリ。ISコアを使わない、束様が目指した宇宙への希望…しかし、それは闇も誘発してしまった。それがツルギ、そう束様はおっしゃっていました。
束様はここ最近苦しそうな顔ばかりして、モニターに向かっておられます。何か、私にできることはないでしょうか……。
簪の病室
鈴は今日も本音と、簪の病室を訪れていた。鈴が簪を最後に見たのは2年前だ。元々細い腕だったが、今では木の枝と見間違うくらいやせ細っていた。
「ねぇ、本音。一つ聞きたいんだけど……。」
「ほぇ?」
「一夏の……ヒカリの姿がツルギになったのって…いつ?」
「えっと……かんちゃんが入院した1ヵ月後くらいに起きたテロの中継の時には…。」
(全治2ヵ月って言ってたのに、アイツ……。)
「……その間にはなかったわよね?」
「うん。」
(アイツはずっと……目覚めてから復讐に駆られてたんだ。)
鈴がそんなことを考えていると、微かにだがドアが開く音がした。
「あ、楯無さま。」
「楯無…あっ、ロシア代表の…。」
「…中国代表候補生の凰鈴音さんね。はじめまして、ロシア代表兼IS学園生徒会長の更識楯無よ。」
あまり目立ってこそ居ないが、目の下のクマがあるのを鈴は見た。
「はじめまして、凰鈴音です。鈴で構いません。」
「そう……じゃあ鈴ちゃん。鈴ちゃんは簪ちゃんとはどういう関係なの?」
「まぁ、その…友達です。」
「簪ちゃん、私より交友関係広かったのね。……これからも簪ちゃんのことよろしくね。」
「はい。では、アタシはこれで。」
「楯無さま、失礼します。」
鈴と本音が病室から出た直後、鈴の耳にはすすり泣く声が微かに聞こえた。
今回のサブタイは、ひとつの道のオマージュ……というよりかは、普通に逆の意味だったので……。