ナイトキラーのバラし解析も終了し、いよいよ臨海学校前日となった。一先ず簪の病室を訪れた俺は、花瓶に水を入れ持ってきた花を飾った。
「これがおとぎ話の世界なら、キスで目覚めるもんなんだけどね…現実はそうもいかないよ。」
俺はそっと簪の手を握る。長い昏睡状態で骨のように細くなってしまった手を握ると、守り切れなかったという自身への嫌悪感が湧き上がってくる。
「どうして…俺じゃなくて君なんだ…何度もそう思ったよ。でも、わかったんだ。全ての元凶をこの世から排除するために生きているって。」
怒りから手に力が入りかけるが、なんとか抑え込んだ。
「きっと、君は怒るだろうな。…こんな俺を見たら。簪は、優しいから。」
そう呟いて、椅子から立ち上がり荷物を持った。
「なんでこんなこと言ったんだろうな。…嫌な予感がしたからかな。
じゃあな、簪。」
最後にそう言い残して、俺は病室を後にした。
臨海学校当日
バスに乗って目的の海へと移動するという何とも面倒なイベントから幕を開けた臨海学校だが、出発ギリギリまでダリル・ケイシーへの尋問をしていたことから睡眠時間の確保、と考えれば問題はなかった。
ヘッドホンを装着し、小さめにだが音楽を掛ける。気分を少し明るくしたかったのでultra spiralを聞くことにした。まぁ、すぐ眠るのだが。
1番のサビが終わった辺りで睡魔に誘われるまま、眠りへと落ちた。
肩が揺さぶられるような感覚が体を襲う。耳から入ってくる音はZero to Infinityが微かに聞こえるのと、俺の名を呼ぶ声…
「おーい!着いたよ!!起きてよ!一夏ってば!!」
寝起きで半開きの目が捉えたのは、肩を揺すっていたデュノアの姿だった。
「あぁ、すまない。すぐ行く。」
どうやら、眠っている間に目的の海についていたようだ。それに、ヘッドホンが外れている…微かに音楽が聞こえていたが、音量が大きくなっていたようだ。
そっとヘッドホンの音量を下げ、バスから降りる。粗方整列していたので、後ろの方にそのまま並ぶことにした。
「ったく、やっと起きたか。では、本日お世話になる女将さんだ。」
形式的な挨拶を済ませると、荷物を旅館に置き、周辺地理の確認に向かった。
「大きな障害物はなし。ま、海岸なんてそんなもんか。」
障害物がないのはいいが、それは遮蔽物がないことも意味する。回避行動が取りにくいという事だ。
「一体何なんだ、この嫌な予感は…。この臨海学校、何も起こらなければいいんだが…。」
空を仰ぎながら、俺はそう祈らざるを得なかった。
本当は昨日のうちに投稿する予定でしたが…
皆様、地震は大丈夫でしたか?
何が起こるかわかりませんので、自身の安全を最優先に行動してくださいね。