目が覚めた時に、まず目に入ったのは見知らぬ天井だった。
「…俺は…そうか。……インペライザーは!?っあ!!」
身体を急に起こしたことで痛みが駆け巡る。腕や胴を見ると、包帯が巻かれており、左腕にはチューブが繋がっていた。
「はぁ…はぁ…。こりゃ、例えここから出れたとしても、インペライザーとはまともに戦えそうにないか。」
大人しく体を横にし、インペライザーの情報を整理する。
「ほぼ完璧に再現されたインペライザー。ISじゃあ相手にならなそうだ。」
そもそも兵器として作られた存在と、宇宙服の延長線上にあるパワードスーツでは相手にならん。
「あの再生能力…でも、タロウは一度ストリウム光線で撤退させていたはず。あの時…上半身を吹き飛ばしていた。ダメだ、俺のナイトシュートにはそこまでの威力はない。やるなら一点集中…確実に弱点を撃つ必要がある。どこだ?奴の弱点は…。」
脳内データベースからインペライザーの弱点情報を探していると、ドアが開いたような音が聞こえた。
「目は覚めたようだな。」
「……千冬姉、か。ISの方は…どうなった?」
「無事に止まった、パイロットも無事だ。」
「そうか、良かった。」
「いや、事態は良くない方へ向かっている。」
「どういうことだ?」
「まず一夏。お前が倒れてから既に三日が経過している。」
「……三日か。」
「そして、つい昨日のことだ…ダリル・ケイシーが奪還された。」
「まさか…インペライザーが…。」
「そのまさかだ。ISを使っていないとはいえ、更識の精鋭部隊が壊滅。地下施設は中破で済んだが…対応に当たった教師たちは中傷だ。」
「…ちょっと待て。本校舎の被害は?そもそも地下施設が中破?どうなっている?」
「……本校舎への被害はない。対応に当たった教師以外に被害も出ていない。生徒たちも無傷だ。」
「血気盛んな代表候補生たちは?」
「無論、私がこれで出撃不許可を出した。」
と、グーを作る千冬姉に対して、相変わらずだと思ってしまったが、口に出したら今は死が確定しているので、心にとどめておいた。
「というか、ここは何処なんだ?」
「ここは、学園敷地内にある病院だ。お前の彼女が入院していた、な。」「そうか。ん?入院していた?」
千冬姉の言葉に違和感を感じていた。「していた」と千冬姉は言った。あたかも今は入院していないかのような言い草だ。
「…あの日。臨海学校襲撃があった日。あの鉄の部隊からお前を救い出したのは私ではない。」
千冬姉でも相手をするのが難しいであろうあの部隊から、俺を救い出した人物が居たというのか?
「そして、学園施設が中破、教師陣が中傷。本校舎や生徒たちが無傷なのも彼女のおかげだ。」
学園をあのインペライザーから救った人物…束さんではない。あの人なら自分で言い来るはずだ。
「紹介しよう。彼女がおまえを救い出し、インペライザーと戦い、学園を守った人物。
更識 簪だ。」
次回 炎の奇跡