本音の本音が見えてくる……
屋上で一夏の過去を聞いた鈴は……
(もう少し情報が欲しいわね。でも、一夏にこれ以上問い詰めたら……。他に詳しそうな人は……。本音も確かこの学園に居たわね。)
そう思い立ち、放課後。本音の元へ向かった。
放課後
HR終了後1組へと鈴は向かった。
「えーと、布仏さんっている?」
クラス全体に聞こえるように言いながら、一夏を探してみたが既に姿はなかった。
「あ、リンリン!」
自分を呼ぶ声に反応し、本音は長い袖を振りながら、鈴の元へと向かう。
「いや~、久しぶり。変わんないわね、アンタ。」
「そういうリンリンもねぇ~。」
「この後時間ある?ちょっと聞きたいことがあってさ。」
「あー……うん、大丈夫。多分一緒に行くでしょ?かんちゃんのお見舞い。」
「え?今から行くの?でも外出って許可申請しないと……。」
「かんちゃんが入院してるのは、学園の敷地内にある病院だよ?最先端医療技術が集まってる病院だからねぇ~。」
「そういえば、一夏から聞いたときはピンと来てなかったんだけど、ここの病院だったのね。アタシ、ケガしてもあんまり病院とか掛からなかったから、チェックしてなかったわ。」
「それじゃあ、行こうか。」
「うん。」
二人は教室から出て、病院へと向かった。
病院への道中
「アタシが中国に戻って以来だから……3年ぶりくらいかしら…。懐かしいわね~、あん時、ゲーセンで絡まれてた二人を一夏が助けに行ってなかったら、関わることなかったもんね~。」
「そうだねぇ~、バッと現れてスパッと助けてくれた。かんちゃんの目が輝いてたよ~。本物のヒーローみたいって呟いてたしねぇ~。」
「まぁね。でも、助けた直後に黒服がゾロゾロ出てきたからすごく焦ったわよ……。」
「あはは~、本来あの人たちが対処すべき事案だったからねぇ~。……まぁ、お父さんにはみっちり怒られたけど……あの二人が見事くっついてくれたから、そのことは後悔してないよぉ~。」
「ほんと仲良かったわよね、あの二人。……特撮好きは惹かれあうのかしら?」
「アレ?リンリンも好きだったよね、特撮?」
「アタシはメタルヒーロー好きだったからね。あの二人はウルトラマン好きっていうのが更なる共通項。しかも、互いにメビウス好き……。」
「そっかぁ~……着いたよ、ここがかんちゃんの病室。」
普段ののほほんとした雰囲気が消え、本音の表情が少し暗くなる。ダボダボの袖のままドアをゆっくりとスライドさせる。カーテンから夕焼けが差し込んでいる影響か、橙に染まった部屋が鈴たちの目に飛び込む。その部屋にはベットが一つだけ置いてあり、そこにはチューブがつながれ、呼吸器が装着された簪が横たわっていた。
「簪……こんな形で再会なんてしたくなかったわよ。」
鈴が簪の手を握る。なんの反応もないことが更なる現実へと鈴を引き込んでいった。鈴が握っている簪の手に水滴が流れ落ちる。
その傍では、本音がせかせかと花瓶の水を入れ替えたりしていた。
「本音は毎日来てるの?」
「まぁね。私はかんちゃんの専属メイドだし……。」
「そう……アタシも、用事がない時は足を運ぶわ。……ところで、その花。」
「これは、差出人不明でいつも病室に置いてあるんだよねぇ~。ま、不明とは言ってもだいたい検討は付いてるんだけどね。」
「アイツか。……本音はさ、なんでアイツが復讐に走ってるかは知ってるの?」
「……うん。……そもそも、かんちゃんがこうなったのは……私のせいだから……。」
その発言に鈴は衝撃を受けた。普段からのほほーんとしているが、自身の主である簪のことを一番に考えていることを鈴は知っていたからだ。
「……本音。」
「あの日、私はかんちゃんがおりむーと合流するのを見送った後、ショッピングモール内で、二人の邪魔にならないように動いてたんだ。で、テロが起きて、かんちゃんと合流して外に避難した。」
「えぇ、そこまでは一夏から聞いたわ。」
「……かんちゃん、おりむーのことが心配でずっとそわそわしてたから、中の制圧が終わったのを確認して、おりむーのとこに行こうって言ったんだ。……だから、私があんなこと言わなければ、かんちゃんもおりむーも……楯無様も……。」
そこまで言って泣き出してしまった本音を鈴は抱き寄せる。
「大丈夫、悪いのはテロを起こした奴らよ。誰も本音を恨んでなんかいないわ。」
泣き崩れかけた本音を鈴は支え、落ち着いたタイミングで二人は病室を後にした。