システマティックな少女と一般サラリーマンな俺   作:伊駒辰葉

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投稿すると改行がたくさん入ることに気がつきました……。
ええー!
改行ひとつのつもりが3つ入ってる!!(汗)
そっか、そういう仕様なんですね……。


カレーと水族館、悲しい笑み 1

 出来た料理を皿に盛って、二つ並べたダンボール箱を挟んで向きあい、プラスチックのスプーンで一口ほど食ったところで睦月が言う。

 

「カレー……」

「おう。カレーだ」

 

 俺はビールを飲みながら頷いた。しばらく振りに使ったからなのか包丁がろくに切れなくて困ったが大丈夫だろ。見目は悪くても味さえ良ければいいんだし。じっと皿を見下ろして黙っている睦月のことを不思議に思いながら、俺は試しに自分の皿のカレーをひとすくいして口に入れた。そこで俺は目を見張って動きを止めた。こ、これは。

 

「悪い」

 

 しまった、味見をすればよかった。すげえ味が薄いんでやんの。でも辛さだけはやたらと……おっかしいなあ。インスタントのルーは使ったが、学生の頃と同じように作ったつもりだったんだがな。

 

 うあー、まずったなあ。そう言ってもう一度詫びた俺をじっと見ていた睦月が、ふと表情を緩める。お?

 

「能戸さん、面白い顔をしています」

「何だよ。俺の顔見て笑いやがったのか」

 

 即座に言い返して俺はそっぽを向いた。こっそりと伺い見た睦月は間違いなく口許に微かな笑みを浮かべている。初めて睦月の笑顔を見られただけで俺は妙に満たされた気分になった。カレーはまずいけどな。

 

 笑いながらまずいカレーを平らげて食器を片付け、俺はダンボール箱にチェス盤を乗せた。ビールを飲みながら小さな駒を並べる。睦月も一つずつ真面目な面持ちで駒を乗せていく。手加減しては貰ってるんだが酒のせいかな。一勝も出来ない。でも俺は上機嫌で睦月と何度も勝負した。

 

 チェスに飽きたところで交替でシャワーを浴びる。部屋の中でいきなり睦月が服を脱ごうとした時には慌てたけどな。まあ、それ以外は特に何事もなく夜が更けた。腰付近まである睦月の髪はもう乾いている。

 

「おやすみなさい」

 

 ぶかぶかのパジャマを着た睦月が挨拶して軽く頭を下げる。裾も袖も余りまくってるな。やっぱりけちなことせずに買った方が良かったんだろうか。そんなことを思いつつも俺はおやすみ、と挨拶を返して部屋を出た。暑いからドアを開けておくぞ、と言おうとして俺は口を閉じた。ベッドに入った睦月は既に目を閉じている。毛布を抱えて丸くなった睦月を俺はぼんやりと眺めた。一応、こっちの部屋も掃除はしたんだが寝にくくないかな。だが心配はいらなかったようだ。ほどなく睦月は穏やかな寝息を立て始めた。

 

 音を立てないように気をつけてリビングに戻る。今日は俺はこっちで寝ることにしたんだ。さすがに一緒の部屋ってのは気が咎めるしな。いや、俺にだって理性くらいあるぞ? 幾ら睦月が可愛いからってまずいだろ、それは。

 

 妄想終了。俺は強制的に頭を切り替えるために端末を立ち上げた。メールをチェックしてため息をつく。特に重要なメールは着ていない。二、三通ほど返事してから俺は端末の電源を落とした。

 

 そういえば睦月は食事を摂るのは初めてだと言っていた。茶やら水やらは実験中に飲んだりするらしいんだけどな。普段はケースの中だから食事は必要ないんだと。さすがに生まれて初めて食ったのがあれじゃ、ちょっと可哀想だったかな。そういえばベッドで寝るのも初めてなのか。その割にすぐに寝ちまったとこを見ると、案外と睦月って大物かも知れないな。

 

 俺はダンボール箱を片付けて、あらかじめ運んでおいた予備の布団を敷いた。要するに気にしなけりゃいいんだよ。こっちがシステマとして扱わなきゃ睦月だってそのうち忘れるだろ。明日、もっと楽しいところに連れてってやればいいんだよ。そうだ。遊園地なんてどうだろう。あ、でも遊園地のアトラクションってシステマ使ってるのが多いんだよな。下手なところに連れてったら逆に意識させちまうか。じゃあ、プールとか。……しまった。睦月のどころか自分の水着も持ってねえ。

 

 ああでもないこうでもない、と口の中で呟いてから俺は腕組みをして座り込んだ。今時、システマを導入していない娯楽施設は殆どない。特にこういった人の多い街の施設はこぞってシステマを入れている節がある。避ける方が難しいのだ。

 

 要するにシステマがいない場所を探せばいいんだよ。アトラクションとか派手なものがあるところは駄目だ。となると。

 

 そうだ。水族館はどうだ。あそこなら水槽の裏側にはシステマはいるかも知れんが、派手な出し物さえなけりゃ、人目につくところには出てこねえだろう。それに静かで落ち着けるに違いない。

 

 我ながらいい案だ、と頷いて俺は早速寝ることにした。こんなにわくわくするのは本当に久しぶりだ。明日のことが楽しみですぐには眠れそうにない。子供か、と自分に突っ込みを入れながら、俺は部屋の明かりを落として布団に横になった。

 

 楽しい気分で目覚めて朝っぱらからまたあのまずいカレーを食って……仕方ねえだろ。捨てるのは勿体無いし、他に食えるもんがなかったんだよっ。で、睦月と二人で用意して出発。昼食は出先でとればいいってんで、俺は出来るだけ身軽な格好で家を出た。ちなみに睦月の服は昨日きっちり手に入れておいたから大丈夫だ。まあ、夏場ってこともあって薄手の軽い生地のワンピースだけどな。しかし女物の服ってどうしてああ色んな種類があるかな。上と下が繋がってるやつがワンピースってのは判るんだが、それ以外は俺にはさっぱり判らん。




水族館のシーンを書くために実際に行った時のことを思い出しました。
懐かしいです。

余談ですが、ひとつのシーンを書くために色々調べますが、調べたことの100分の1使えれば良い方です。
それ以上入れると邪魔というか読みづらいと思います。
個人的見解ですがw

この13話を例にすると、カレーと水族館、出版事情などを調べました。

水族館と出版系の話、やっぱりちょっとしか使ってませんね。
水族館はバックヤードを巡るとけっこう楽しいですw

カレーはまあ、調べるというか経験から?
インスタントのルーを作ってめちゃくちゃ辛くするには、タマネギを入れる前に炒めなければOKだと思います。

あとはインスタントルーを辛口にするとか、甘みや酸味を排除するとかすれば、ペラいカレーになります。

美味しいカレーにしたい時は、タマネギは入れる前にがっつり炒めましょう。

作り方には鍋で全て調理する的なことが書かれてます。
でもタマネギは黄金色から茶色になるまでフライパンで炒めて、それを鍋に移しても大丈夫。

ただし、フライパンについた旨味が勿体ないので、水を入れてこそげるようにしゃもじで擦ってから、その水を鍋にインするといいです。
(この状態のタマネギは煮込むと溶けて形がなくなりますので、形があるタマネギが欲しい時は、後で別に入れるといいと思います)

ルーによってはコンソメの素を入れるのもアリ。
自分はフツーのクノールのコンソメを使ってます。
使うのはブロックの方ですね。塩分が程よく足されるので美味しくなります。

(同じ煮込み系でもインスタントルーのシチューには、コンソメの素は入れないようにするといいかも? 塩分が多すぎになりダシが喧嘩するような?)

煮込み時間は好き好きですが、ルーを入れてからはかき混ぜないと焦げるかも?
弱火でもとろみがついたカレーは焦げます(´;ω;`)


……しまった。
料理話になってしまいました(汗)
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