俺は何故かカラオケに来ていた。所謂、テスト終わりの歓喜の舞というやつである。一之瀬とサッカー部のイケメン、柴田颯とBクラスの面々。そして何故か櫛田がちゃっかりいた。
いや、俺は確かに勧誘したけどさ。もう普通に溶け込んじゃってるのはなんか違くない? しかも清隆も来るって聞いてたのにいないしどうなってんのまじで。
ホワイトルームにいた時間が長く外の情報も殆ど遮断されていたせいで俺と清隆は外の文化、つまり音楽や映画云々にとてつもなく疎いのだ。まじで周りのみんなが何歌ってるのかわからないし俺が何を歌えば良いのかもさっぱりわからない。
そんな俺の心境は知らないであろう一之瀬がにっこりとした表情で俺にマイクを差し出してくる。
「はい。田中くんも歌おう?」
そんな彼女の優しさとも言える毒に俺が返したアンサーはーー
君が代でした。それしか知りません。二度とカラオケには行くものかと、トラウマを植え付けられました。逃げた清隆はくたばれ。
◇
時は変わってカラオケを解散した後の俺の部屋である。部屋を開けると何故かゲームをしている清隆がいてそれを後ろから面白そうに眺めている坂柳
がいた。なに、俺の部屋はいつでも使える休憩所かなにかなの?。ていうか清隆はともかくなんで
「あら、お邪魔しています誠くん」
「帰れ」
お邪魔すんなさっさと帰れ。そしてそんな恍惚とした表情でこっちをみながら俺の名前を呼ぶな。いろいろ勘違いするしそもそもお前だけには勘違いしたくない。
そんな俺の心境など特に気にした様子もなく奴は再び口を開いた。
「この前の件はすみませんでした。とても軽率な行動だったと理解しております。今回はそれの"説明"も兼ねてここに来ました」
「……話が終わったら帰れよ」
「はい♡」
いやそれやめろ。
◇
坂柳の話を要約するのであればホワイトルームに見学に来たことがあるらしい。その時に俺たち二人を見ていたのを印象強く覚えていただけであってホワイトルームの裏側の人間というわけでは特になく存在をしっているだけ、だそうだ。
そもそもの話ホワイトルームに見学、という時点で坂柳はかなり限られた側の人間というのが理解できる。一体こいつは何者なんだーー?
「……坂柳はこれやったことあるのか?」
どうやら清隆と坂柳はゲームをしているようで、予想外に坂柳が上手かったのか清隆が少し驚いた様子だ。確かに見た目からはそんなにゲームを熱心にやるようなタイプに見えないが。
「いえ、綾小路くんの見よう見真似でやってみたら思いの外上手くいったといいますか」
「そ、そうか」
流石Aクラス様というべきか、最早これは関係ない気がしないでも無いが見様見真似でそこそこやり込んでる清隆レベルでできるのはすごいな。流石に中盤になってくると清隆が押し始めて最後は普通に勝利を収めていた。
「ああもう……思ったよりも難しいですね」
「まぁ俺はわりかしやり込んでるからな。ここで負けたらそれはそれで情けない」
「ふふふ……次は勝ちます」
勝負は思ったよりも白熱しているようでーーあれ?なんか2人とも仲良くなってね? ていうか俺の部屋なのになんで俺は蚊帳の外なんですか。
勝負は数時間にわたり行われた結果、両者半々くらいの勝率で進んでいき最後に坂柳が勝利をおさめて坂柳は満足そうに帰っていった。
一方の綾小路はまさに絶望といった感じで床に手を置いていた。おそらく最後の勝負は完敗だったのであろう。
その日の夜、綾小路が打倒坂柳を目標に徹夜していたのは言うまでもない。